異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

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第4章……グリエル奪還編

98話……アルマン教国へ

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 リバークを出発して数時間、俺たちはガーシュにたどり着いていた。

 ギルドマスターを訪ねるとちょうど王都に出していた使いの者が帰ってきたばかりらしく無事に報酬を受け取ることが出来た。

「ほぅ、教国にですか……」
「えぇ、リバークとここが溢れ出しオーバーフローしましたからね、教国の迷宮の確認もしておきたいですし」

 報告の話は別にする必要も無いだろう。

「分かりました。戻ってきたらまた復興に力を貸してくださいね」
「もちろんです」

 復興支援はトラック運転手にとって花形だと変態先輩も言ってたしな。
 普段邪魔だの遅いだの文句言われてばかりのトラックが賞賛される数少ない事だし。

 そんなことで褒められるなら災害なんて起こらず邪魔者扱いされてた方が平和ってことだから褒められ無くてもいいんだけどね……

 報酬も受け取ったし挨拶も済ませたのでギルドマスター執務室を後にする。

 そのままギルドを抜けて出発しようと扉を開けると、1組の冒険者パーティと鉢合わせになった。

「む?  クリードか?」

 避けて通り過ぎようとしていると向こうのパーティの先頭の男に声をかけられた。

「ディーン?」

 そこに居たのはかつて俺が決闘騒ぎを起こした相手の所属するパーティのリーダーディーンが立っていた。
 よく見れば後ろにはカルロスも立っている、装いからして冒険帰りかな?

「久しぶりだな、こちらに来ていたのか」
「挨拶がてら報酬貰いにね。ディーンたちはフライングビートル退治?」
「そうだ。かなり数も減ってきているからな、もうすぐ終わるだろう」

 よく見れば鎧には細かい傷がたくさん付いている。
 以前会った時にはこんなに傷は無かったような気記憶があるのでかなりの激戦だったのだろう。

「お疲れ様、大変だったろ」
「お前たちこそな。聞いたぞ、グレートビートル討伐の功労者であり迷宮も攻略してこの先の被害を起こさせないようにしたそうじゃないか」

 あら、こっちでも広まってるのか……

「まぁ……ね。成り行きだよ」
「成り行きで迷宮攻略なぞ出来るものかよ。以前手合わせの約束をしたが辞めておいた方が身のためだろうな」

 ハハハと笑うディーン、後ろではカルロスが苦虫を噛み潰したような顔をしてこちらを見ている。

 目が合ったので首元のオリハルコンランクの冒険者証をよく見えるように向けてやるとさらに酷い顔になったのでとても面白い。

 俺の冒険者証から目を逸らしたカルロスだが、逸らした先のケイトの冒険者証を見て目を見開く。

 なんかあいつの顔見たらスッキリしたな!

「じゃあ俺たちは行くよ。フライングビートル討伐頑張ってな」
「あぁ、クリードたちに負けないように頑張るさ」

 ディーンたちと別れてギルドを出る。
 手合わせやってみても面白そうだけど疲れてるだろうし元気だとしてもあの様子じゃ嫌がられそうだしな。

「リン!」

 ギルドを出て街の外を目指して移動していると、今度は女性に声を掛けられた。
 確か風舞のリーダーリリオットだったかな?

「リリオット!」

 正解だったようだ、最近は慣れたのかこっちの世界の人の名前も覚えられるようになってきたな。

「以前は自己紹介もせずにすみませんでした。プラチナランク冒険者パーティ風舞リーダーのリリオットです」
「これはご丁寧に……こちらこそすみません。オリハルコンランク冒険者パーティ自由の翼のクリードです」

 お互いのパーティメンバーを紹介しあって握手する。

 リリオットたちも俺たちが勇者たちと力を合わせてグレートビートルを討伐したこととグリエル迷宮を攻略したことを聞いているようで色々と質問責めにあってしまった。

 向こうのリーダーリリオットの友人であるリンがほとんど対応してくれたが風舞の男性メンバーは俺のところに来るから対応に少し困ってしまった。

 どうやって攻略したか聞かれてもウルト任せですとしか言えないもん……

 時間も時間なのでキリのいいところで会話を終わらせて出発、リンとリリオットは少し別れを惜しんでいたがまぁまたすぐ会えるからね。

 街の外に出てウルトに乗り込む。

「ちなみにここからアルマン教国ってどれくらいかかるんだ?」
「そうですね……アルマン教国からエルヴニエス王都まで馬車で3週間といったところですかね?」

 3週間……遠いな。

 馬車で1日約50キロ進めると計算して3週間、およそ1050キロくらいかな?

 ウルトなら……平均時速100キロくらいで走れるか?
 今は昼過ぎだし……さすがに今日中は難しいか。

 正確な場所もわからないからあまり街道から逸れるわけにもいかないし。

「なら明日の朝には着くのかな?  ウルト、頼むよ」
『お任せ下さい』

 まずは王都方面へ、特に用事も無いのでエルヴニエス王都には立ち寄らずにそこからひたすら東を目指して走っていく。

「サーシャ、アルマン教国ってどんなところなんだ?」

 道中特にやることもないのでサーシャにどんな国なのか聞くことにした。
 道案内としてリンが運転席、アンナが助手席に座っているので俺は今日は後ろに乗っている。

「そうですね……少しばかり堅苦しいかもしれませんがいい国ですよ」

 なんでもアルマン教国では王族や貴族は存在するが力は弱いらしい。
 国の運営はほぼ教会が行っており実質教皇が国のトップだという。
 とはいえ教皇の任命権は国王が持っており力が弱いとはいえ無視は出来ないという不思議な力関係だそうだ。

 ちなみにサーシャはその教会でもかなり上の立場らしい。
 そんな立場の人が冒険してていいの?

 当然護衛のソフィアとアンナも所属は教会、神殿騎士団というところに属しているそうだ。
 リンだけは国の所属になるらしいのだがその辺はまぁ大人の事情だろう。

 そして名前から分かるようにサーシャは貴族出身。
 しかもライノス家というのは王家に連なる血筋らしく聖女でなければお姫様……
 国としてもサーシャは重要人物であり教会としても聖女としてかなりの重要人物。
 つまりアルマン教国の最重要人物ってことじゃない?

 ホントなんで俺と一緒に冒険者なんてやってるの?

「関所が見えてきたわよー」

 サーシャの立場が俺の想像より遥かに高かったことに驚いているとリンから気の抜けたような声で関所が見えてきたと報告があった。

 関所……国境か。

「このままウルトに乗ったまま近付いて大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。私が対応しますので」

 とはいえこのままのサイズじゃ関所は通れないから降りる必要はあるだろうけどね。

 俺たちは関所から少し離れた場所でウルトから降りてサーシャを先頭に関所を守る兵の元に歩いていく。

「アルマン教国聖女サーシャ・ライノスです。お通し願えますか」

 サーシャは収納魔法なら何かを取り出し守兵に見せながら名乗りを上げた。

「確認しました。どうぞお通りください」

 守兵によって開かれた扉を潜り俺たちはアルマン教国に入国した。
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