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第5章……アルマン教国編
99話……聖都
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「聖女様、このまま出発されますとすぐに日が落ちます。粗末な場所ではございますがこちらで1泊して行かれては?」
関所を潜った先、アルマン教国側の守兵に声を掛けられた。
時刻は16時、俺たちにとって野宿はなんの不都合も無いのだがせっかくの好意だし、どうするかね?
「こちらの勇者様の神器の力で移動しますので問題ありません。ご心配いただきありがとうございます」
サーシャが優しい笑顔でそう答えると守兵は敬礼して「お気を付けて」と見送ってくれた。
少し歩いて邪魔にならない位置でウルトに大きくなってもらい乗り込み出発する。
「もう半分以上は来てるよね? あとどれくらいかな?」
「教都から関所までで馬車で6日程ですね、なので3時間ほどでしょうか?」
エルヴニエスの王都からリバークと同じくらいか、ならそんなもんか……
「もう16時を過ぎてるし教都に入るのは明日かな?」
「そうですね。適当なところで野宿ですね」
何で野宿する話でサーシャは嬉しそうなの? 野宿好きなの?
「どうせ野宿するなら関所で1泊させてもらっても良かったんじゃ?」
「クリード様……アルマン教国からエルヴニエス王国へ行く際に泊まらせて頂いたのですが……その……」
汚かったのかな?
「サーシャちゃんは職業柄、立場上あまり男の人に慣れてないからね」
ソフィアと席を代わり後ろにやってきたリンがそう説明してくれた。
「そういえば最初に会った時男は……みたいな事言ってたな」
アンナは何も言わなかったけどソフィアとリンは言ってた。
でもサーシャ俺に対しては苦手とかそういう気配無いよな?
まぁサーシャは男性が苦手、アルマン教国に来ることが決まってからサーシャのことが色々知れたな。
そんな会話をしながら進み日が落ち始めた辺りで移動は終了、まだ明るいうちに外で訓練と夕食を済ませる。
全員に浄化魔法を掛けてあとは寝るだけだ。
「そういえば関所の宿舎では男が多くて落ち着かなかったって話だけどウルトの中で寝る時って俺もすぐ近くに居るけど大丈夫なのか?」
布団を取り出しながら気になったことを聞いてみる。
「大丈夫ですよ。クリード様はなにか安心感があってこの人は大丈夫だって確信があります」
何その評価……
「ヘタレだしね」
何が面白いのかリンが笑いながらそう言うと同意なのかアンナも笑っている。
「クリードくんは優しいんだよ、ヘタレとかじゃないと思うよ?」
「ケイト……ありがとう……」
まさかヘタレと言われるとは……ケイトのフォローが心に染みる。
ヘタレじゃ……ないよ?
なんだかモヤモヤしながらも布団に入る。
軽くウトウトしているとイヤホンからウルトの声がした。
『みなさまお休みになられました』
「んっ……」
起き上がりウルトから降りて1人黙々と剣を振るう。
ヘタレ……ヘタレかぁ……
リンが俺の事をヘタレって言うのは一度リンの誘いをはぐらかしたからだろうか?
でもパーティ内でそういうのは……
異性問題はグループを簡単に崩壊させる。
だから気軽に自分の気持ちを漏らしたり手を出したりするべきじゃない。
昔の友達の顔を思い出して改めて心に決める。
当然俺にだって欲はあるし勘違いでなければ好意も感じている。
もちろん抱いている好意もある。
だけどそれを出すのは今じゃない。魔王討伐を成してからだ。
それまではヘタレでいい。
モヤモヤを斬り払うように大きく剣を振るい大きく息を吐く。
……さて寝るか。
自分に浄化魔法を掛けて改めて布団に潜り込んだ。
翌朝早めにウルトに起こしてもらい朝の訓練を行う。
途中で起きてきたケイトと剣を合わせてから朝食を食べる。
「そろそろ出発しましょうか。今から出ればちょうど開門時間に到着すると思いますよ」
サーシャの号令でアルマン教国聖都に向けて出発、ちょうど開門直後の聖都に到着した。
入門が始まったばかりの列から少し離れた場所でウルトから降りて列に並ぶと、サーシャの顔を知っていた人が居たようでザワザワと聖女様という声が聞こえてきた。
すぐに門まで伝わったのか慌てたように鎧を身につけ槍を持った兵士が駆け寄ってきた。
「聖女様、どうぞこちらへ」
駆け付けてきた兵士に案内されて列の横を進む、かなりの特別扱いだな。
俺たちは特に入門のチェックを受けるでもなく通された。
さすが聖女様、顔パスなんてもんじゃないな。
「思ったより早く入れましたね」
「でも……僕までいいのかな……」
ケイトの先導で歩いていると後ろからソフィアとケイトの話す声が聞こえてきた。
確かにサーシャたちは聖女とその護衛だからまぁいいとして俺とケイトはなぁ……
聖女様のお連れだからと通されたけど誰だこいつみたいな目で見られたから少し心苦しかった。
しかもケイトはまだ女性だからいいけど俺なんて……
変な目で見られるだけじゃなく並んでる人の「なんで聖女様と男が?」というヒソヒソ話す声が聞こえたので肩身が狭かった。
色々とサーシャに街の説明を受けながら歩くこと1時間と少し、俺たちの目には大きな屋敷が見えてきた。
「あそこが私の実家です」
門番はこちらに気付いたようで2人のうち1人が屋敷に走っていくのが見える。
おそらく家人にサーシャの帰宅を告げに行ったのだろう。
「おかえりなさいませお嬢様。お供の方もようこそ」
門の前までたどり着くと門番に仰々しく迎えられた。
なんとなく居心地の悪さを感じながら門を抜けると玄関が開かれて中から執事やメイドのような格好をした人がたくさん出てきてお出迎えを受けた。
「おかえりなさいませサーシャ様」
「ただいま。今日は仲間も連れてきたのだけれど大丈夫?」
「もちろんでございます、どうぞ中へ」
執事に出迎えられいくつか言葉を交わして中に入る。
サーシャはもちろんリンやソフィア、アンナも慣れたような顔をしている。
俺とケイトは慣れない空気に戸惑いながらもみんなについて屋敷に入った。
関所を潜った先、アルマン教国側の守兵に声を掛けられた。
時刻は16時、俺たちにとって野宿はなんの不都合も無いのだがせっかくの好意だし、どうするかね?
「こちらの勇者様の神器の力で移動しますので問題ありません。ご心配いただきありがとうございます」
サーシャが優しい笑顔でそう答えると守兵は敬礼して「お気を付けて」と見送ってくれた。
少し歩いて邪魔にならない位置でウルトに大きくなってもらい乗り込み出発する。
「もう半分以上は来てるよね? あとどれくらいかな?」
「教都から関所までで馬車で6日程ですね、なので3時間ほどでしょうか?」
エルヴニエスの王都からリバークと同じくらいか、ならそんなもんか……
「もう16時を過ぎてるし教都に入るのは明日かな?」
「そうですね。適当なところで野宿ですね」
何で野宿する話でサーシャは嬉しそうなの? 野宿好きなの?
「どうせ野宿するなら関所で1泊させてもらっても良かったんじゃ?」
「クリード様……アルマン教国からエルヴニエス王国へ行く際に泊まらせて頂いたのですが……その……」
汚かったのかな?
「サーシャちゃんは職業柄、立場上あまり男の人に慣れてないからね」
ソフィアと席を代わり後ろにやってきたリンがそう説明してくれた。
「そういえば最初に会った時男は……みたいな事言ってたな」
アンナは何も言わなかったけどソフィアとリンは言ってた。
でもサーシャ俺に対しては苦手とかそういう気配無いよな?
まぁサーシャは男性が苦手、アルマン教国に来ることが決まってからサーシャのことが色々知れたな。
そんな会話をしながら進み日が落ち始めた辺りで移動は終了、まだ明るいうちに外で訓練と夕食を済ませる。
全員に浄化魔法を掛けてあとは寝るだけだ。
「そういえば関所の宿舎では男が多くて落ち着かなかったって話だけどウルトの中で寝る時って俺もすぐ近くに居るけど大丈夫なのか?」
布団を取り出しながら気になったことを聞いてみる。
「大丈夫ですよ。クリード様はなにか安心感があってこの人は大丈夫だって確信があります」
何その評価……
「ヘタレだしね」
何が面白いのかリンが笑いながらそう言うと同意なのかアンナも笑っている。
「クリードくんは優しいんだよ、ヘタレとかじゃないと思うよ?」
「ケイト……ありがとう……」
まさかヘタレと言われるとは……ケイトのフォローが心に染みる。
ヘタレじゃ……ないよ?
なんだかモヤモヤしながらも布団に入る。
軽くウトウトしているとイヤホンからウルトの声がした。
『みなさまお休みになられました』
「んっ……」
起き上がりウルトから降りて1人黙々と剣を振るう。
ヘタレ……ヘタレかぁ……
リンが俺の事をヘタレって言うのは一度リンの誘いをはぐらかしたからだろうか?
でもパーティ内でそういうのは……
異性問題はグループを簡単に崩壊させる。
だから気軽に自分の気持ちを漏らしたり手を出したりするべきじゃない。
昔の友達の顔を思い出して改めて心に決める。
当然俺にだって欲はあるし勘違いでなければ好意も感じている。
もちろん抱いている好意もある。
だけどそれを出すのは今じゃない。魔王討伐を成してからだ。
それまではヘタレでいい。
モヤモヤを斬り払うように大きく剣を振るい大きく息を吐く。
……さて寝るか。
自分に浄化魔法を掛けて改めて布団に潜り込んだ。
翌朝早めにウルトに起こしてもらい朝の訓練を行う。
途中で起きてきたケイトと剣を合わせてから朝食を食べる。
「そろそろ出発しましょうか。今から出ればちょうど開門時間に到着すると思いますよ」
サーシャの号令でアルマン教国聖都に向けて出発、ちょうど開門直後の聖都に到着した。
入門が始まったばかりの列から少し離れた場所でウルトから降りて列に並ぶと、サーシャの顔を知っていた人が居たようでザワザワと聖女様という声が聞こえてきた。
すぐに門まで伝わったのか慌てたように鎧を身につけ槍を持った兵士が駆け寄ってきた。
「聖女様、どうぞこちらへ」
駆け付けてきた兵士に案内されて列の横を進む、かなりの特別扱いだな。
俺たちは特に入門のチェックを受けるでもなく通された。
さすが聖女様、顔パスなんてもんじゃないな。
「思ったより早く入れましたね」
「でも……僕までいいのかな……」
ケイトの先導で歩いていると後ろからソフィアとケイトの話す声が聞こえてきた。
確かにサーシャたちは聖女とその護衛だからまぁいいとして俺とケイトはなぁ……
聖女様のお連れだからと通されたけど誰だこいつみたいな目で見られたから少し心苦しかった。
しかもケイトはまだ女性だからいいけど俺なんて……
変な目で見られるだけじゃなく並んでる人の「なんで聖女様と男が?」というヒソヒソ話す声が聞こえたので肩身が狭かった。
色々とサーシャに街の説明を受けながら歩くこと1時間と少し、俺たちの目には大きな屋敷が見えてきた。
「あそこが私の実家です」
門番はこちらに気付いたようで2人のうち1人が屋敷に走っていくのが見える。
おそらく家人にサーシャの帰宅を告げに行ったのだろう。
「おかえりなさいませお嬢様。お供の方もようこそ」
門の前までたどり着くと門番に仰々しく迎えられた。
なんとなく居心地の悪さを感じながら門を抜けると玄関が開かれて中から執事やメイドのような格好をした人がたくさん出てきてお出迎えを受けた。
「おかえりなさいませサーシャ様」
「ただいま。今日は仲間も連れてきたのだけれど大丈夫?」
「もちろんでございます、どうぞ中へ」
執事に出迎えられいくつか言葉を交わして中に入る。
サーシャはもちろんリンやソフィア、アンナも慣れたような顔をしている。
俺とケイトは慣れない空気に戸惑いながらもみんなについて屋敷に入った。
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