106 / 266
第5章……アルマン教国編
99話……聖都
しおりを挟む
「聖女様、このまま出発されますとすぐに日が落ちます。粗末な場所ではございますがこちらで1泊して行かれては?」
関所を潜った先、アルマン教国側の守兵に声を掛けられた。
時刻は16時、俺たちにとって野宿はなんの不都合も無いのだがせっかくの好意だし、どうするかね?
「こちらの勇者様の神器の力で移動しますので問題ありません。ご心配いただきありがとうございます」
サーシャが優しい笑顔でそう答えると守兵は敬礼して「お気を付けて」と見送ってくれた。
少し歩いて邪魔にならない位置でウルトに大きくなってもらい乗り込み出発する。
「もう半分以上は来てるよね? あとどれくらいかな?」
「教都から関所までで馬車で6日程ですね、なので3時間ほどでしょうか?」
エルヴニエスの王都からリバークと同じくらいか、ならそんなもんか……
「もう16時を過ぎてるし教都に入るのは明日かな?」
「そうですね。適当なところで野宿ですね」
何で野宿する話でサーシャは嬉しそうなの? 野宿好きなの?
「どうせ野宿するなら関所で1泊させてもらっても良かったんじゃ?」
「クリード様……アルマン教国からエルヴニエス王国へ行く際に泊まらせて頂いたのですが……その……」
汚かったのかな?
「サーシャちゃんは職業柄、立場上あまり男の人に慣れてないからね」
ソフィアと席を代わり後ろにやってきたリンがそう説明してくれた。
「そういえば最初に会った時男は……みたいな事言ってたな」
アンナは何も言わなかったけどソフィアとリンは言ってた。
でもサーシャ俺に対しては苦手とかそういう気配無いよな?
まぁサーシャは男性が苦手、アルマン教国に来ることが決まってからサーシャのことが色々知れたな。
そんな会話をしながら進み日が落ち始めた辺りで移動は終了、まだ明るいうちに外で訓練と夕食を済ませる。
全員に浄化魔法を掛けてあとは寝るだけだ。
「そういえば関所の宿舎では男が多くて落ち着かなかったって話だけどウルトの中で寝る時って俺もすぐ近くに居るけど大丈夫なのか?」
布団を取り出しながら気になったことを聞いてみる。
「大丈夫ですよ。クリード様はなにか安心感があってこの人は大丈夫だって確信があります」
何その評価……
「ヘタレだしね」
何が面白いのかリンが笑いながらそう言うと同意なのかアンナも笑っている。
「クリードくんは優しいんだよ、ヘタレとかじゃないと思うよ?」
「ケイト……ありがとう……」
まさかヘタレと言われるとは……ケイトのフォローが心に染みる。
ヘタレじゃ……ないよ?
なんだかモヤモヤしながらも布団に入る。
軽くウトウトしているとイヤホンからウルトの声がした。
『みなさまお休みになられました』
「んっ……」
起き上がりウルトから降りて1人黙々と剣を振るう。
ヘタレ……ヘタレかぁ……
リンが俺の事をヘタレって言うのは一度リンの誘いをはぐらかしたからだろうか?
でもパーティ内でそういうのは……
異性問題はグループを簡単に崩壊させる。
だから気軽に自分の気持ちを漏らしたり手を出したりするべきじゃない。
昔の友達の顔を思い出して改めて心に決める。
当然俺にだって欲はあるし勘違いでなければ好意も感じている。
もちろん抱いている好意もある。
だけどそれを出すのは今じゃない。魔王討伐を成してからだ。
それまではヘタレでいい。
モヤモヤを斬り払うように大きく剣を振るい大きく息を吐く。
……さて寝るか。
自分に浄化魔法を掛けて改めて布団に潜り込んだ。
翌朝早めにウルトに起こしてもらい朝の訓練を行う。
途中で起きてきたケイトと剣を合わせてから朝食を食べる。
「そろそろ出発しましょうか。今から出ればちょうど開門時間に到着すると思いますよ」
サーシャの号令でアルマン教国聖都に向けて出発、ちょうど開門直後の聖都に到着した。
入門が始まったばかりの列から少し離れた場所でウルトから降りて列に並ぶと、サーシャの顔を知っていた人が居たようでザワザワと聖女様という声が聞こえてきた。
すぐに門まで伝わったのか慌てたように鎧を身につけ槍を持った兵士が駆け寄ってきた。
「聖女様、どうぞこちらへ」
駆け付けてきた兵士に案内されて列の横を進む、かなりの特別扱いだな。
俺たちは特に入門のチェックを受けるでもなく通された。
さすが聖女様、顔パスなんてもんじゃないな。
「思ったより早く入れましたね」
「でも……僕までいいのかな……」
ケイトの先導で歩いていると後ろからソフィアとケイトの話す声が聞こえてきた。
確かにサーシャたちは聖女とその護衛だからまぁいいとして俺とケイトはなぁ……
聖女様のお連れだからと通されたけど誰だこいつみたいな目で見られたから少し心苦しかった。
しかもケイトはまだ女性だからいいけど俺なんて……
変な目で見られるだけじゃなく並んでる人の「なんで聖女様と男が?」というヒソヒソ話す声が聞こえたので肩身が狭かった。
色々とサーシャに街の説明を受けながら歩くこと1時間と少し、俺たちの目には大きな屋敷が見えてきた。
「あそこが私の実家です」
門番はこちらに気付いたようで2人のうち1人が屋敷に走っていくのが見える。
おそらく家人にサーシャの帰宅を告げに行ったのだろう。
「おかえりなさいませお嬢様。お供の方もようこそ」
門の前までたどり着くと門番に仰々しく迎えられた。
なんとなく居心地の悪さを感じながら門を抜けると玄関が開かれて中から執事やメイドのような格好をした人がたくさん出てきてお出迎えを受けた。
「おかえりなさいませサーシャ様」
「ただいま。今日は仲間も連れてきたのだけれど大丈夫?」
「もちろんでございます、どうぞ中へ」
執事に出迎えられいくつか言葉を交わして中に入る。
サーシャはもちろんリンやソフィア、アンナも慣れたような顔をしている。
俺とケイトは慣れない空気に戸惑いながらもみんなについて屋敷に入った。
関所を潜った先、アルマン教国側の守兵に声を掛けられた。
時刻は16時、俺たちにとって野宿はなんの不都合も無いのだがせっかくの好意だし、どうするかね?
「こちらの勇者様の神器の力で移動しますので問題ありません。ご心配いただきありがとうございます」
サーシャが優しい笑顔でそう答えると守兵は敬礼して「お気を付けて」と見送ってくれた。
少し歩いて邪魔にならない位置でウルトに大きくなってもらい乗り込み出発する。
「もう半分以上は来てるよね? あとどれくらいかな?」
「教都から関所までで馬車で6日程ですね、なので3時間ほどでしょうか?」
エルヴニエスの王都からリバークと同じくらいか、ならそんなもんか……
「もう16時を過ぎてるし教都に入るのは明日かな?」
「そうですね。適当なところで野宿ですね」
何で野宿する話でサーシャは嬉しそうなの? 野宿好きなの?
「どうせ野宿するなら関所で1泊させてもらっても良かったんじゃ?」
「クリード様……アルマン教国からエルヴニエス王国へ行く際に泊まらせて頂いたのですが……その……」
汚かったのかな?
「サーシャちゃんは職業柄、立場上あまり男の人に慣れてないからね」
ソフィアと席を代わり後ろにやってきたリンがそう説明してくれた。
「そういえば最初に会った時男は……みたいな事言ってたな」
アンナは何も言わなかったけどソフィアとリンは言ってた。
でもサーシャ俺に対しては苦手とかそういう気配無いよな?
まぁサーシャは男性が苦手、アルマン教国に来ることが決まってからサーシャのことが色々知れたな。
そんな会話をしながら進み日が落ち始めた辺りで移動は終了、まだ明るいうちに外で訓練と夕食を済ませる。
全員に浄化魔法を掛けてあとは寝るだけだ。
「そういえば関所の宿舎では男が多くて落ち着かなかったって話だけどウルトの中で寝る時って俺もすぐ近くに居るけど大丈夫なのか?」
布団を取り出しながら気になったことを聞いてみる。
「大丈夫ですよ。クリード様はなにか安心感があってこの人は大丈夫だって確信があります」
何その評価……
「ヘタレだしね」
何が面白いのかリンが笑いながらそう言うと同意なのかアンナも笑っている。
「クリードくんは優しいんだよ、ヘタレとかじゃないと思うよ?」
「ケイト……ありがとう……」
まさかヘタレと言われるとは……ケイトのフォローが心に染みる。
ヘタレじゃ……ないよ?
なんだかモヤモヤしながらも布団に入る。
軽くウトウトしているとイヤホンからウルトの声がした。
『みなさまお休みになられました』
「んっ……」
起き上がりウルトから降りて1人黙々と剣を振るう。
ヘタレ……ヘタレかぁ……
リンが俺の事をヘタレって言うのは一度リンの誘いをはぐらかしたからだろうか?
でもパーティ内でそういうのは……
異性問題はグループを簡単に崩壊させる。
だから気軽に自分の気持ちを漏らしたり手を出したりするべきじゃない。
昔の友達の顔を思い出して改めて心に決める。
当然俺にだって欲はあるし勘違いでなければ好意も感じている。
もちろん抱いている好意もある。
だけどそれを出すのは今じゃない。魔王討伐を成してからだ。
それまではヘタレでいい。
モヤモヤを斬り払うように大きく剣を振るい大きく息を吐く。
……さて寝るか。
自分に浄化魔法を掛けて改めて布団に潜り込んだ。
翌朝早めにウルトに起こしてもらい朝の訓練を行う。
途中で起きてきたケイトと剣を合わせてから朝食を食べる。
「そろそろ出発しましょうか。今から出ればちょうど開門時間に到着すると思いますよ」
サーシャの号令でアルマン教国聖都に向けて出発、ちょうど開門直後の聖都に到着した。
入門が始まったばかりの列から少し離れた場所でウルトから降りて列に並ぶと、サーシャの顔を知っていた人が居たようでザワザワと聖女様という声が聞こえてきた。
すぐに門まで伝わったのか慌てたように鎧を身につけ槍を持った兵士が駆け寄ってきた。
「聖女様、どうぞこちらへ」
駆け付けてきた兵士に案内されて列の横を進む、かなりの特別扱いだな。
俺たちは特に入門のチェックを受けるでもなく通された。
さすが聖女様、顔パスなんてもんじゃないな。
「思ったより早く入れましたね」
「でも……僕までいいのかな……」
ケイトの先導で歩いていると後ろからソフィアとケイトの話す声が聞こえてきた。
確かにサーシャたちは聖女とその護衛だからまぁいいとして俺とケイトはなぁ……
聖女様のお連れだからと通されたけど誰だこいつみたいな目で見られたから少し心苦しかった。
しかもケイトはまだ女性だからいいけど俺なんて……
変な目で見られるだけじゃなく並んでる人の「なんで聖女様と男が?」というヒソヒソ話す声が聞こえたので肩身が狭かった。
色々とサーシャに街の説明を受けながら歩くこと1時間と少し、俺たちの目には大きな屋敷が見えてきた。
「あそこが私の実家です」
門番はこちらに気付いたようで2人のうち1人が屋敷に走っていくのが見える。
おそらく家人にサーシャの帰宅を告げに行ったのだろう。
「おかえりなさいませお嬢様。お供の方もようこそ」
門の前までたどり着くと門番に仰々しく迎えられた。
なんとなく居心地の悪さを感じながら門を抜けると玄関が開かれて中から執事やメイドのような格好をした人がたくさん出てきてお出迎えを受けた。
「おかえりなさいませサーシャ様」
「ただいま。今日は仲間も連れてきたのだけれど大丈夫?」
「もちろんでございます、どうぞ中へ」
執事に出迎えられいくつか言葉を交わして中に入る。
サーシャはもちろんリンやソフィア、アンナも慣れたような顔をしている。
俺とケイトは慣れない空気に戸惑いながらもみんなについて屋敷に入った。
14
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる