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積み残し編……もうちょっと続くんじゃよ
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アルスが生まれて数日後、いよいよ出陣の日となった。
「さぁ御館様! 出陣のお時間ですぞ!」
「え、やだ」
何が楽しくてむさ苦しい兵士たちに囲まれないといけないの?
俺は一日中アルスを眺めて過ごすんだ!
「御館様……儂も義理とはいえ孫のアルス様を眺めていたい気持ちはありますが……」
「父上、何故同意しそうになっているのですか……御館様、我が妹イリアーナも出陣準備を整えてお待ちですので」
「だってぇ……」
ほら見てよ? こんなに可愛いんだよ?
こんな可愛い子を置いて出陣しろとかお前ら鬼か?
育休を! 育児休暇を申請します!
「レオ様?」
「はい」
ゾクッとした! 今ゾクッとしたよ!
「わがままを言ってはいけません。アルスのことら私たちがしっかり見ておきますので、レオ様はお役目を果たして来て下さい」
「でもサーシャ……」
「でもではありません。レオ様、そのような情けない姿をアルスに見せるのですか?」
む……
「レオ様はクリード侯爵家当主、今回の戦争では相手側に勇者も居ます。レオ様は先頭に立って勇者を抑えることがお役目のはず……それを嫌だと駄々をこねる姿をアルスに見せられるのですか?」
「見せられないです」
そんなかっこ悪い父親にはなりたくない……
俺は尊敬され愛される父になるのだ。
「でしたら行ってきて下さい。それに、レオ様なら転移で戻ってくることも出来るではないですか」
「毎分戻ってくるよ!」
「レオ様?」
「冗談です」
すごい冷めた目で見られた。
まさかサーシャにあんな目で見られるなんて……
普段は優しいんだけど、こういうときはしっかりしてるんだよなぁ。
「わかった、わかったから。ちゃんと行くから」
「はい。お気を付けて……相手側に勇者が居るのですからくれぐれも油断しないように」
冷めた目から一転、優しい笑顔で微笑んでくれた。
怒らせないように早く行こう。
「よし、ジェイド、フィリップ、さっさと行くぞ!」
俺は2人を引き連れて集合場所の街の外まで移動した。
「お、やっと来たッスね」
「レオ様、遅い」
庁舎の前には既にアンナとイリアーナも来ており、その後ろには100名からなるクリード家諸侯軍が綺麗に整列していた。
「ごめんごめん、ちょっと用事がね」
「どうせアルスを見てた」
「バレバレッスよ」
2人に言い当てられるが気にしない。俺は当主様なのだから。
「さて、全員揃ってるな?」
「はっ! いつでも出陣可能です!」
軍を代表して、体隊長であるゲルトが返事をする。
よし……さぁ、行こうか。
「ウルト」
『はい。マスター』
今日だけはベビーベッドの役目から外されたウルトが巨大化、クリード家諸侯軍を全員乗り込ませる。
事前にウルトを見せて説明もしておいたので混乱もなく、スムーズに全員が乗り込んだ。
『乗車完了しました』
「よし、じゃあちょっと待ってて」
アンナとイリアーナと手を繋いで【傲慢なる者の瞳】を発動、転移先には誰も居ないことを確認して転移する。
聖都にほど近い草原に到着したので【トラック召喚】を発動、諸侯軍を乗せたウルトを召喚、これにてクリード侯爵領から聖都までの移動は完了である。
全員を降ろして数名に馬を取りに聖都まで走らせる。
その間に俺はミニウルトを持ってクリードの街へと転移、ウルトを置いて今度は聖都屋敷へと飛んでこの日に合わせて聖女 都屋敷の料理長ベリルに用意させた大量の料理を【無限積載】に回収、草原へと移動する。
あっちこっち飛び回って忙しい限りだ。
「お疲れ様ッス。魔力は大丈夫ッスか?」
「大丈夫だよ。結構減ったけど、このくらいならすぐ回復するから」
【魔力吸収(極)】があるからね。
【理外】だった頃は魔力とか気にする必要無かったのに面倒な事だ。
今更ながら外れたのに戻るって不思議だよね。
不思議なことはもう一点ある。
今の俺は【トラック運転手】に加えて【勇者】の職も持っている。
2つの職業、片方が【勇者】であるにも関わらずステータスの伸びがイマイチなのだ、
さすがに【トラック運転手】だけの時と比べると同レベル帯でのステータスは高いのだが少々物足りない。
大器晩成型かしらね?
それとも倒すべき魔王が居ないから弱いとか?
可能性ありそう……
「どしたんッスか?」
「ああ、ちょっと考え込んでた」
「話聞くッスよ?」
「じゃあ――」
俺のステータスの伸びが想像より悪いこととその考察をアンナとイリアーナに話してみる。
「うーん……自分にはわかんないッスね!」
アンナは聞くだけ聞いてそう切り捨てた。
というか途中から興味を失ってる感じもあったな。
「レオ様、その考察は多分正解」
「そうなのか?」
反対にイリアーナは俺の話を興味深そうに聞いてからその考察を肯定してくれた。
「これ以上は国と教会の秘密だから言えない」
この前サーシャとリンが話していた内容か。
「酷いッス! ここまで言ったのなら全部話すべきッスよ! こんな中途半端で放置されちゃったら気になって夜しか眠れないッスよ!」
「夜だけ眠れたら問題ない」
「ありゃ?」
この2人の掛け合いを見ていたらなんかどうでも良くなってきたな。
「レオ様とアンナなら問題はない。誰にも言わないって約束……出来る?」
「モチのロンッスよ!」
アンナは自分の胸をドンと叩いて宣言する。
それを見てイリアーナは俺に視線を向けてきたので頷いて返す。
「【勇者召喚の儀】は実は魔王が存在しなくても実行可能。これは知ってる?」
俺とアンナは頷く。アンナも知ってたんだな。
「召喚された人物にはその目的にあった能力と職業が付与される。レオ様の持っている【勇者】は魔王を倒すための職業であり能力。だから魔王が居ない今その力は発揮されない」
やっぱりかー……
一番バランスよく強くなれそうだから勇者の職残したのに……これなら魔王残した方が良かったのかもしれない。
「それで今回相手側に勇者がいるということは、目的を魔王討伐から変更しているはず。その目的がレオ様の殺害ならそれが出来る能力と職業を持った人物なはず」
それって……
「ヤバいんじゃないッスかそれ」
「ヤバくない。そのためにあたしとアンナが居る。お父さんとお兄ちゃんも居る。それに、レオ様がウルトさんを召喚すれば解決」
「へぇ……」
俺に対して特効の可能性が高いわけか。
領都の守りも気になるけど、いざとなったら早めにウルトを喚ばないとまずいかもな。
そんな話をしている間に馬を取りに行った兵たちも戻ってきたので話はここまで。
すぐに準備を整えて出発となった。
「さぁ御館様! 出陣のお時間ですぞ!」
「え、やだ」
何が楽しくてむさ苦しい兵士たちに囲まれないといけないの?
俺は一日中アルスを眺めて過ごすんだ!
「御館様……儂も義理とはいえ孫のアルス様を眺めていたい気持ちはありますが……」
「父上、何故同意しそうになっているのですか……御館様、我が妹イリアーナも出陣準備を整えてお待ちですので」
「だってぇ……」
ほら見てよ? こんなに可愛いんだよ?
こんな可愛い子を置いて出陣しろとかお前ら鬼か?
育休を! 育児休暇を申請します!
「レオ様?」
「はい」
ゾクッとした! 今ゾクッとしたよ!
「わがままを言ってはいけません。アルスのことら私たちがしっかり見ておきますので、レオ様はお役目を果たして来て下さい」
「でもサーシャ……」
「でもではありません。レオ様、そのような情けない姿をアルスに見せるのですか?」
む……
「レオ様はクリード侯爵家当主、今回の戦争では相手側に勇者も居ます。レオ様は先頭に立って勇者を抑えることがお役目のはず……それを嫌だと駄々をこねる姿をアルスに見せられるのですか?」
「見せられないです」
そんなかっこ悪い父親にはなりたくない……
俺は尊敬され愛される父になるのだ。
「でしたら行ってきて下さい。それに、レオ様なら転移で戻ってくることも出来るではないですか」
「毎分戻ってくるよ!」
「レオ様?」
「冗談です」
すごい冷めた目で見られた。
まさかサーシャにあんな目で見られるなんて……
普段は優しいんだけど、こういうときはしっかりしてるんだよなぁ。
「わかった、わかったから。ちゃんと行くから」
「はい。お気を付けて……相手側に勇者が居るのですからくれぐれも油断しないように」
冷めた目から一転、優しい笑顔で微笑んでくれた。
怒らせないように早く行こう。
「よし、ジェイド、フィリップ、さっさと行くぞ!」
俺は2人を引き連れて集合場所の街の外まで移動した。
「お、やっと来たッスね」
「レオ様、遅い」
庁舎の前には既にアンナとイリアーナも来ており、その後ろには100名からなるクリード家諸侯軍が綺麗に整列していた。
「ごめんごめん、ちょっと用事がね」
「どうせアルスを見てた」
「バレバレッスよ」
2人に言い当てられるが気にしない。俺は当主様なのだから。
「さて、全員揃ってるな?」
「はっ! いつでも出陣可能です!」
軍を代表して、体隊長であるゲルトが返事をする。
よし……さぁ、行こうか。
「ウルト」
『はい。マスター』
今日だけはベビーベッドの役目から外されたウルトが巨大化、クリード家諸侯軍を全員乗り込ませる。
事前にウルトを見せて説明もしておいたので混乱もなく、スムーズに全員が乗り込んだ。
『乗車完了しました』
「よし、じゃあちょっと待ってて」
アンナとイリアーナと手を繋いで【傲慢なる者の瞳】を発動、転移先には誰も居ないことを確認して転移する。
聖都にほど近い草原に到着したので【トラック召喚】を発動、諸侯軍を乗せたウルトを召喚、これにてクリード侯爵領から聖都までの移動は完了である。
全員を降ろして数名に馬を取りに聖都まで走らせる。
その間に俺はミニウルトを持ってクリードの街へと転移、ウルトを置いて今度は聖都屋敷へと飛んでこの日に合わせて聖女 都屋敷の料理長ベリルに用意させた大量の料理を【無限積載】に回収、草原へと移動する。
あっちこっち飛び回って忙しい限りだ。
「お疲れ様ッス。魔力は大丈夫ッスか?」
「大丈夫だよ。結構減ったけど、このくらいならすぐ回復するから」
【魔力吸収(極)】があるからね。
【理外】だった頃は魔力とか気にする必要無かったのに面倒な事だ。
今更ながら外れたのに戻るって不思議だよね。
不思議なことはもう一点ある。
今の俺は【トラック運転手】に加えて【勇者】の職も持っている。
2つの職業、片方が【勇者】であるにも関わらずステータスの伸びがイマイチなのだ、
さすがに【トラック運転手】だけの時と比べると同レベル帯でのステータスは高いのだが少々物足りない。
大器晩成型かしらね?
それとも倒すべき魔王が居ないから弱いとか?
可能性ありそう……
「どしたんッスか?」
「ああ、ちょっと考え込んでた」
「話聞くッスよ?」
「じゃあ――」
俺のステータスの伸びが想像より悪いこととその考察をアンナとイリアーナに話してみる。
「うーん……自分にはわかんないッスね!」
アンナは聞くだけ聞いてそう切り捨てた。
というか途中から興味を失ってる感じもあったな。
「レオ様、その考察は多分正解」
「そうなのか?」
反対にイリアーナは俺の話を興味深そうに聞いてからその考察を肯定してくれた。
「これ以上は国と教会の秘密だから言えない」
この前サーシャとリンが話していた内容か。
「酷いッス! ここまで言ったのなら全部話すべきッスよ! こんな中途半端で放置されちゃったら気になって夜しか眠れないッスよ!」
「夜だけ眠れたら問題ない」
「ありゃ?」
この2人の掛け合いを見ていたらなんかどうでも良くなってきたな。
「レオ様とアンナなら問題はない。誰にも言わないって約束……出来る?」
「モチのロンッスよ!」
アンナは自分の胸をドンと叩いて宣言する。
それを見てイリアーナは俺に視線を向けてきたので頷いて返す。
「【勇者召喚の儀】は実は魔王が存在しなくても実行可能。これは知ってる?」
俺とアンナは頷く。アンナも知ってたんだな。
「召喚された人物にはその目的にあった能力と職業が付与される。レオ様の持っている【勇者】は魔王を倒すための職業であり能力。だから魔王が居ない今その力は発揮されない」
やっぱりかー……
一番バランスよく強くなれそうだから勇者の職残したのに……これなら魔王残した方が良かったのかもしれない。
「それで今回相手側に勇者がいるということは、目的を魔王討伐から変更しているはず。その目的がレオ様の殺害ならそれが出来る能力と職業を持った人物なはず」
それって……
「ヤバいんじゃないッスかそれ」
「ヤバくない。そのためにあたしとアンナが居る。お父さんとお兄ちゃんも居る。それに、レオ様がウルトさんを召喚すれば解決」
「へぇ……」
俺に対して特効の可能性が高いわけか。
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