228 / 266
積み残し編……もうちょっと続くんじゃよ
初戦を終えて
しおりを挟む
「イリアーナ、回復お願い」
「お任せ」
クリード家諸侯軍本陣に戻りウルトの中で待機していたイリアーナに声を掛ける。
「せっかくですので私も手伝いますね」
そうだった、サーシャも結局来てしまったのだから協力を求めればよかった。
2人は協力して諸侯軍の兵士たちに回復と浄化の魔法をかけていく。
「犠牲が出なくてよかった」
たまたま偶然、運が良かったのだろう、諸侯軍兵士に犠牲は1人も出ていない。
「左様ですな。御館様から貸し出されている装備のおかげでしょうな」
「それもあるか」
運だと思っていたけど、ジェイドが言うには装備の恩恵も相当に大きいらしい。
「敵軍兵士と同じ品質の装備だった場合、少なくとも2割は死んでいたと思います。それだけ魔法の付与された装備は強い」
「そんなにか」
諸侯軍の2割……20人か。
「はい。とはいえ10倍以上の数の敵に突っ込んだのです。それで死者が2割で済むと計算できるのは諸侯軍兵士の精強さの証でしょうな」
うちの兵は毎日訓練や魔物狩りを行っている。徴兵された農民兵とは根本的に強さも経験も違うのだ。
それでも2割は失う、やはり数とは侮れない力らしい。
「レオ様、終わった」
「私とイリアーナさんは教国軍の救護所に行ってきます」
救護所には教国の現役聖女も詰めているが、まだレベルも高くないので2人はそのサポートに行くのだろう。
「分かった。俺は殿下のところに行くから……フィリップ、2人を頼む。ジェイドは残って勇者たちの監視を頼む」
「お任せ下され」
「かしこまりました」
王国軍は引き始めている。今日の戦いももう終わるだろう。
サーシャたちを見送り、アンナを伴って殿下の居る教国軍本陣へと向かう。
「おお、クリード侯爵。大戦果であったな」
「ゴルベフ辺境伯、先程は助かりました。感謝します」
実は、ウルトが結界を破り、勇者娘たちを倒した直後に俺たちに襲い掛かろうとしてきた王国軍を止めてくれたのがゴルベフ辺境伯軍だったのだ。
「なに、勇者を倒した殊勲者たる侯爵を死なせる訳にはいかないからな。役に立てたのなら何よりだ」
もちろん、あの場にはウルトが居たので襲いかかられても全く問題はなかった。
しかしだからといってゴルベフ辺境伯にお礼を言わないのは違うだろう。
「殿下がお待ちだ。ほかの主だった貴族も集まり始めている。我々も行こう」
ゴルベフ辺境伯と一緒に砦に入り軍議室へと向かう。
中には多くの貴族。王太子やアンドレイさん、ヒメカワ伯爵も座っていた。
俺とゴルベフ辺境伯が空いている席に座ると、アンドレイさんが立ち上がり話始めた。
「皆さん、本日の戦お疲れ様でした。王国との戦争の初戦は我々の勝利、最上の結果です」
多くの貴族が安堵の息を吐く。王太子も頷いていた。
「王国の召喚した勇者ですが、捕縛と聞いています。クリード侯爵、間違いは?」
「ありません。完全に無力化しています」
「ここへは?」
「私の神器で身動きを封じていますのでここへは連れてきてはいません。呼びましょうか?」
【思念共有】を使えば簡単に呼び出せる。
「いえ、構いません。どうせ大した情報も持っていないでしょう。その辺はクリード侯爵にお任せします」
「分かりました。今夜にでも喋らせます」
「お願いします。それでは……」
そこから始まったのは戦果報告。
今更ながら教国軍は大きく3つに分けられている。
帝国方面を預かるゴルベフ辺境伯が左軍を、王国方面の国境を守るグスタフ辺境伯を右軍を、中央軍を教国軍元帥が率いている。
そして2人の辺境伯と元帥の上に総大将として王太子が君臨している。
俺たちクリード侯爵家はどこにも所属していない遊軍みたいなものだ。
勇者の捕縛に成功したので、今後は中央軍に組み込まれて王太子直轄の親衛隊のような動きをする予定だ。
「それでアンデル男爵家フリッツ準男爵家ですが……」
聞き覚えのある貴族家の名前が出てきた。
アンデル男爵家、フリッツ準男爵家、共に以前の会議で俺の引渡しに賛成していた家だね。
「功を焦ったようで敵軍に突撃を敢行。諸侯軍の大半は討ち取られ、当主も戦死しました」
「そうか、了解した。国から見舞金を送るように陛下に進言しておこう」
ゴルベフ辺境伯は一度頭を下げてから俺に向けて意味ありげな視線を送ってきた。
あ、これはやったな。わざとだな。
王太子も特に気にした様子もない。これは俺への配慮なのだろうか?
そんな配慮要らないんだけど……
各貴族家からの報告、提案が終わり、戦果を挙げたものは王太子からお褒めの言葉を賜り会議は解散、自分の陣地へと戻ってきた。
天幕は張ってあるが、ウルトとよめーずが来ているのだ、ならば天幕で寝る意味は俺には無い。
そう思いウルトが停車している場所に向かうと、ジェイド監視の下でサーシャ、ベラ、イリアーナの元聖女組が勇者娘3人と話している姿が確認できた。
一応、勇者娘はウルト牢の中に居るしされるジェイドが護衛しているので危険は無いだろうがこれはあまりよろしくない。
主に俺の過去的な意味で。
俺は急いでその会話に割り込もうと駆け出した。
「お任せ」
クリード家諸侯軍本陣に戻りウルトの中で待機していたイリアーナに声を掛ける。
「せっかくですので私も手伝いますね」
そうだった、サーシャも結局来てしまったのだから協力を求めればよかった。
2人は協力して諸侯軍の兵士たちに回復と浄化の魔法をかけていく。
「犠牲が出なくてよかった」
たまたま偶然、運が良かったのだろう、諸侯軍兵士に犠牲は1人も出ていない。
「左様ですな。御館様から貸し出されている装備のおかげでしょうな」
「それもあるか」
運だと思っていたけど、ジェイドが言うには装備の恩恵も相当に大きいらしい。
「敵軍兵士と同じ品質の装備だった場合、少なくとも2割は死んでいたと思います。それだけ魔法の付与された装備は強い」
「そんなにか」
諸侯軍の2割……20人か。
「はい。とはいえ10倍以上の数の敵に突っ込んだのです。それで死者が2割で済むと計算できるのは諸侯軍兵士の精強さの証でしょうな」
うちの兵は毎日訓練や魔物狩りを行っている。徴兵された農民兵とは根本的に強さも経験も違うのだ。
それでも2割は失う、やはり数とは侮れない力らしい。
「レオ様、終わった」
「私とイリアーナさんは教国軍の救護所に行ってきます」
救護所には教国の現役聖女も詰めているが、まだレベルも高くないので2人はそのサポートに行くのだろう。
「分かった。俺は殿下のところに行くから……フィリップ、2人を頼む。ジェイドは残って勇者たちの監視を頼む」
「お任せ下され」
「かしこまりました」
王国軍は引き始めている。今日の戦いももう終わるだろう。
サーシャたちを見送り、アンナを伴って殿下の居る教国軍本陣へと向かう。
「おお、クリード侯爵。大戦果であったな」
「ゴルベフ辺境伯、先程は助かりました。感謝します」
実は、ウルトが結界を破り、勇者娘たちを倒した直後に俺たちに襲い掛かろうとしてきた王国軍を止めてくれたのがゴルベフ辺境伯軍だったのだ。
「なに、勇者を倒した殊勲者たる侯爵を死なせる訳にはいかないからな。役に立てたのなら何よりだ」
もちろん、あの場にはウルトが居たので襲いかかられても全く問題はなかった。
しかしだからといってゴルベフ辺境伯にお礼を言わないのは違うだろう。
「殿下がお待ちだ。ほかの主だった貴族も集まり始めている。我々も行こう」
ゴルベフ辺境伯と一緒に砦に入り軍議室へと向かう。
中には多くの貴族。王太子やアンドレイさん、ヒメカワ伯爵も座っていた。
俺とゴルベフ辺境伯が空いている席に座ると、アンドレイさんが立ち上がり話始めた。
「皆さん、本日の戦お疲れ様でした。王国との戦争の初戦は我々の勝利、最上の結果です」
多くの貴族が安堵の息を吐く。王太子も頷いていた。
「王国の召喚した勇者ですが、捕縛と聞いています。クリード侯爵、間違いは?」
「ありません。完全に無力化しています」
「ここへは?」
「私の神器で身動きを封じていますのでここへは連れてきてはいません。呼びましょうか?」
【思念共有】を使えば簡単に呼び出せる。
「いえ、構いません。どうせ大した情報も持っていないでしょう。その辺はクリード侯爵にお任せします」
「分かりました。今夜にでも喋らせます」
「お願いします。それでは……」
そこから始まったのは戦果報告。
今更ながら教国軍は大きく3つに分けられている。
帝国方面を預かるゴルベフ辺境伯が左軍を、王国方面の国境を守るグスタフ辺境伯を右軍を、中央軍を教国軍元帥が率いている。
そして2人の辺境伯と元帥の上に総大将として王太子が君臨している。
俺たちクリード侯爵家はどこにも所属していない遊軍みたいなものだ。
勇者の捕縛に成功したので、今後は中央軍に組み込まれて王太子直轄の親衛隊のような動きをする予定だ。
「それでアンデル男爵家フリッツ準男爵家ですが……」
聞き覚えのある貴族家の名前が出てきた。
アンデル男爵家、フリッツ準男爵家、共に以前の会議で俺の引渡しに賛成していた家だね。
「功を焦ったようで敵軍に突撃を敢行。諸侯軍の大半は討ち取られ、当主も戦死しました」
「そうか、了解した。国から見舞金を送るように陛下に進言しておこう」
ゴルベフ辺境伯は一度頭を下げてから俺に向けて意味ありげな視線を送ってきた。
あ、これはやったな。わざとだな。
王太子も特に気にした様子もない。これは俺への配慮なのだろうか?
そんな配慮要らないんだけど……
各貴族家からの報告、提案が終わり、戦果を挙げたものは王太子からお褒めの言葉を賜り会議は解散、自分の陣地へと戻ってきた。
天幕は張ってあるが、ウルトとよめーずが来ているのだ、ならば天幕で寝る意味は俺には無い。
そう思いウルトが停車している場所に向かうと、ジェイド監視の下でサーシャ、ベラ、イリアーナの元聖女組が勇者娘3人と話している姿が確認できた。
一応、勇者娘はウルト牢の中に居るしされるジェイドが護衛しているので危険は無いだろうがこれはあまりよろしくない。
主に俺の過去的な意味で。
俺は急いでその会話に割り込もうと駆け出した。
3
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界で至った男は帰還したがファンタジーに巻き込まれていく
竹桜
ファンタジー
神社のお参り帰りに異世界召喚に巻き込まれた主人公。
巻き込まれただけなのに、狂った姿を見たい為に何も無い真っ白な空間で閉じ込められる。
千年間も。
それなのに主人公は鍛錬をする。
1つのことだけを。
やがて、真っ白な空間から異世界に戻るが、その時に至っていたのだ。
これは異世界で至った男が帰還した現実世界でファンタジーに巻き込まれていく物語だ。
そして、主人公は至った力を存分に振るう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる