異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

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積み残し編……もうちょっと続くんじゃよ

降伏勧告

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「はい、という訳でマークくんとダニエルくんの部下兼俺のパシリに就職した『イサオ・アサダテ』くんです。みんな仲良くしてくださいね。はい、拍手!」

 ここに俺が集めた面々は皆困惑顔だ。
 ちゃんと拍手をしてくれたのはイリアーナだけだった。 

「とりあえずはマークとダニエルの下で半年くらいは試用期間扱いかな?  その間の報酬なんかは3人で相談して決めてくれ」
「かしこまりました」
「あの……レオ様?  そちらの方は兎斗さんたちが仰っていた黒幕の方では?」
「サーシャ、あの時点では容疑者であって犯人では無いよ。疑わしきは罰せずだよ」
「レオ様がそうおっしゃるのであれば」

 我ながら適当なことを言ったと思うのだけど、それでいいんだ……

「じゃあイサオ、まずは俺の妻たちを紹介するよ」

 この場で変態呼びはさすがにどうかと思ったので名前呼びにする。
 呼び慣れないな……今まで変態か先輩か朝立さんとしか呼んでなかったからな。
 しかし試用期間とはいえ雇用関係を結んだ以上対外的には上下関係を明確にしなければならない。
 俺が先輩のことを先輩や朝立さんと呼ぶことは問題になる可能性があるのだ。

 もちろん内々では今まで通りだけどね。
 今取り繕ってるのは先輩とみんなが初めましてだから、紹介が終わればいつも通りでいいだろう。
 ここに居るのはクリード侯爵家の身内ばかりだからね。

「まずはサーシャ。俺の正妻で元々この教国の聖女だった女性だ」
「イサオさん。よろしくお願いしますね」
「よろしくお願い致しますサーシャ様」

 それから妻の序列順に紹介していく。
 リン、ベラ、イリアーナ。それから同率のソフィアとアンナ。さらにその下に同列で兎斗、佳奈、瞳である。

 瞳を加えてもいいのかは甚だ疑問ではあるが、妻として扱うと決めた以上加えるべきであろう。
 この際男か女かなんて些細な問題だ。

「次にうちのトップの家臣2人を紹介しよう。こっちがマーク、そしてダニエルだ。マークはサーシャの兄でダニエルはリンの弟だな。2人とも貴族出身だから色々教わって欲しい」
「マーク・ライノスです。よろしく」
「ダニエル・ヒメカワです。よろしくお願いします」
「イサオ・アサダテです。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします」

 3人は軽く自己紹介と握手を交わす。

「御館様、私とダニエルさんの部下との事ですが、イサオさんは何が出来るのでしょうか?」
「今は何にもできないけど教えればなんでも出来るよ。能力だけは俺が保証するよ。人柄はちょっとアレだけど」
「人柄はアレですか……」
「悪い人では……無いんだよ?」

 俺は好きだよ。

「かしこまりました。相談しながら仕事を割り振ります」
「よろしく頼む」

 よし、仕事関係はこれで丸投げ出来るな!

「それでは早速イサオさんをお借りしても?」
「いや、王太子殿下にも紹介しておかないといけないだろうから、一回あっちに戻るよ」

 帰ってきたばかりなんだけどなぁ……

「それはそうですね。かしこまりました」
「同行者は……」

 そうだな。誰にしようかな……

「イサオは確定、あとは……ジェイドとイリアーナ、行くぞ」

 少し人数が少ない気もするが、俺の転移での移動だからな、人数を増やすと魔力が足りない。

「兎斗たちは、ほかの奥さんたちと親交を深めておいて」

 家庭内不和は出来れば避けたい。上手くやってくれることを願うばかりだ。
 昔の佳奈であれば絶対に無理だっただろうが、今の佳奈なら上手くやってくれそうな気もするし。元々コミュ力は高い方だからな。俺が絡みさえしなければね。

【傲慢なる者の瞳】で転移先を確認、4人で転移する。

 本陣に居る王太子を訪ねて王太子に変態を紹介する。

「お初にお目にかかります。イサオ・アサダテと申します。この度知己であるクリード侯爵の慈悲に与り傘下に下ることと相成りました。以後、よろしくお願い致します」
「うむ。よしなに」

 王太子は変態に対して大仰に頷いてから、俺に呆れたような視線を向けてきた。

「クリード侯爵……」
「殿下、こちらのイサオは召喚される前に住んでいた国で私の友であった者です。信用に足る男です」
「そうではなく……」
「これで王国の召喚した勇者は全員こちらに付きましたね!」
「そうだな」

 なにかお小言を頂きそうだったので先手を打つ。
 俺が原因とはいえ、この4人が召喚されたことに俺は関わっていない。
 俺が怒られる謂れは無いのだ。

「降伏勧告をしてみては?」
「王国の切り札は奪った、ならば今こそであろうな」

 その後、今日の戦闘も終了して貴族たちが集まってきた軍議の場で王太子がこの事を発表、バーデン子爵という初めて名前を聞く貴族が使者に指名されて王国軍へと送られた。

 どうやらバーデン子爵は有能な貴族ではあるのだが、クーネル将軍と当たってしまい奮戦虚しく敗走してしまった貴族のようで、その失態を取り戻すために使者の任を与えられたそうだ。
 なんでも使者の役割とは敵軍に首を刎ねられる危険もある大役で、無事に戻ると功績もそれなりに大きいらしい。

 それから論功行賞が行われ、多くの貴族が名前を呼ばれるのを話半分に聞き流す。
 先輩は呼ばれた貴族の顔と名前を記憶しているようだ。変態のくせに仕事となると真面目だね。

 翌日朝、バーデン子爵が無事に戻りその報告を聞く。
 どうやら事実確認とその対応の為暫く時間が欲しいらしい。

 その間は停戦となるが、大方の予想ではそのまま降伏するだろうとのことだ。

 というわけで、王太子を始めとする偉い貴族たちで降伏条件案の作成が開始された。
 問題は侯爵だからという理由でその偉い貴族の1人として会議に参加していることくらいだろう。

 そんな話し合いに俺がついていけるはずも無く、俺は真顔でうんうんと相槌を打つだけの存在になっていた。

 話し合いの後半では、話の内容を理解した先輩が俺に耳打ちしてき始めたのでそのまま発言するスピーカーモードへと切り替わる。
 なお、真面目な顔をして発言している俺はイマイチ理解出来ていない模様。
 ホント有能だわ、仲間にしておいてよかった。

 数日掛けて降伏条件案が完成した頃、王国側から話し合いの場を持ちたいと打診があった。
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