異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

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積み残し編……もうちょっと続くんじゃよ

新婚旅行サーシャ編3

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 チュンチュンと囀る小鳥の鳴き声で目を覚ます。
 腕の中でモゾモゾ動く感触があったので視線を落とすと、真っ赤な顔をしたサーシャが俺を見上げていた。

「おはようサーシャ」
「おはようございます……あの、離して頂いても?」

 少し潤んだ目で見上げるサーシャの顔を見ていると、なんだかドキドキしてくる。

 朝からいいものが見れた。今日はいい日になりそうだ。

「あの、レオ様?」

 サーシャは落ち着かないようで、相変わらずモゾモゾと動いている。
 なんだろう、そんなに離れたいのかな?

「やーだ」

 なんだかそれも可愛くて、普段落ち着いているサーシャを少し困らせてみたい、困った顔も見てみたいと腕に力を込めて強く抱きしめる。

「レオ様、あの……」
「嫌なの?」

 耳元で囁くように質問すると、サーシャはピタリと動きを止めた。

「嫌じゃ……ないです」
「ならいいじゃん」

 ちらりと時間を確認すると午前6時、起きてもいいが起きる必要はない。
 このままサーシャを抱き枕にして2度寝できればとても気持ちいいだろう。
 いや、昨夜は生殺しだったのだ、朝から一戦交えてもいいかもしれない。
 幸いなことに、寝起き故俺の聖剣は何時でも振るえる状態にある。

 ……もしかして、寝てるうちに押し付けてたのかな?
 だからサーシャは顔を真っ赤にしてモジモジしてたのか、なるほどなるほど。

「サーシャ……」
「だ、ダメ!!」

 ちょうど口元にあったサーシャの耳にフッと息を吹きかけると、サーシャは体を大きく震わせ、鋭い声を発して俺の胸を強く押した。

 なんだろう、全力で拒絶されてるような気が……

「……ダメなの?」
「ダメじゃないです!  でも今はダメです!」

 ダメじゃないけどダメ?
 つまり、嫌よ嫌よも好きのうち?  さすがに違うか。

「も……」

 も?

「漏れちゃ……」
「ごめんなさい!」

 パッと腕を離してサーシャを解放して体を離すがサーシャは起き上がらない。

 よく見てみると、モゾモゾを通り越してプルプルしている。限界なのだろう。
 このままでは大変な事故が発生してしまいそうだ。

「ふむ……」

 それはそれで……と思わなくもないがおそらくその選択肢は選んではいけないだろう。

 そうなったらなったで浄化魔法を使えば解決ではあるのだが、きっとサーシャは布団から出てこなくなる。
 見てみたい気もするが、せっかくの新婚旅行でそれはいけない。

「もうちょっとだけ頑張って!」

 身動きの取れないサーシャをそっと抱き上げて揺らさないよう細心の注意を払いながらゆっくり急ぐことでなんとか事なきを得た。

 そんなこんなで慌ただしい時間となってしまったが、それからは落ち着いて朝食を食べてのんびりと過ごした。

 部屋でサーシャとお茶を飲みながら談笑していると、ホテルの従業員がやってきて俺に1枚の紙を手渡してきた。

 礼を言って受け取り、中を確認してみるとどうやら皇帝からの夕食の誘いのようだった。
 日時は明後日の夕刻、このホテルまで迎えに来てくれるそうだ。

「サーシャ、明後日の夕食は城で食べることになったよ」
「わかりました。アルスはどうしますか?」
「せっかくだから連れて行こうか」

 軽く打ち合わせをしてアルスも連れていくことを決定、ついでにこの部屋もチェックアウトすることにする。
 どうせ城に泊まれと言われるだろうしね。

「さて、とりあえずの予定も決まったし、どうしようか?」

 このまままったり部屋で過ごすのもいいし、街に出てみるのも良いかもしれない。

「良かったらお出かけしませんか?」
「いいよ、どこか行きたいところはある?」

 おや、てっきり部屋で2人で過ごしたいと言われると予想していたのだが、どうやらその予想は外れてしまったようだ。

「帝都大聖堂を見てみたいです」

 なるほど、大聖堂か。

 大聖堂というのはこの世界に3つ存在する。
 教国、帝国、王国にそれぞれ1つずつある教会本社のようなものだ。
 本社という例えが適切かどうかはしらん。

 主な役割は王族や大貴族の婚儀や葬儀、それらの子女の就職の儀など。
 俺とよめーずの結婚式も当然教会国の大聖堂で執り行っている。

 それらと並行して、聖女の教育という大切な仕事も大聖堂の役割である、
 つまり帝国の大聖堂はイリアーナの第2の実家みたいなものだ。
 ってサーシャがこの前言ってた。

 せっかく帝国の大聖堂に行くのならイリアーナも連れていくべきかなとも思ったが、今はどの大聖堂もサーシャたちの次の聖女の教育に忙しいだろうからそれが落ち着いてからでもいいだろう。

 下手に今代の聖女と顔を合わせて何かあれば俺の『聖女ホイホイ』という渾名に箔をつけてしまいかねない。

「見学だけね?」

 もし関係者に誘われても奥には行かない、そう心に決めて俺たちは大聖堂の見学へと赴いた。
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