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第二章
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作業中事務所から呼び出しがあった、手を洗い事務所に入る。
「坂井君ご指名の電話よ」
誰からとも言わず事務の若い女性から受話器を受け取り耳に当てた。
「もしもし代わりました坂井です」
この前の刑事だろうか、自分で探せと言いたくなる。
「坂井君、私です田辺です」
安堵したが、嫌な予感もした。
「ああ、声でわかりましたよ。俺に用事ですか?」
先日の整備は問題ないはずだ。次の言葉を待った。
「実はタイヤがパンクしてるみたいなの、しかも四本とも」
交換したのは俺だ、四日前に全部のタイヤのエア漏れも点検したし空気圧もバッチリのはずだった。
「近くですか?」
遠ければレッカーでここまで移動しないといけなかった、それを伝える。
「事務所にいるわ」
その事務所がわからず聞こうと思ったのを察したかのように続けて話しだした、
「あら、もしかして私の事務所知らなかったかしら、坂井君の職場から東へ二軒隣のビルの二階よ、谷口さんもご存知のはずだわ」
くすくすと笑っている。こんなに近かったんだと俺も釣られ苦笑する、
「わかった直ぐに行くよ」
電話を切った、谷口に報告すると直ぐに行けとの事なので工具箱を抱えて飛び出した。
一階の駐車スペースに車はなかった。仕方なく二階の事務所に入る、上野フーズと書いてあった。山本興信所よりも事務所らしく綺麗に片付いていて場違いな感じだった。
従業員は四人だけだった、訝しげな目で見られる、
「谷口モータースの坂井です。田辺さん、いや社長さんに呼ばれたのですが」
一番近くの中年女性に尋ねると、先程までと態度が一変し、こちらですと更に奥の部屋に通された。
「呼び出してごめんなさい」
メガネを外して頭を下げる、ロングヘアはまとめて結ってある。
「いいよ、それより駐車場に車が見当たらないんだけど」
「こっちよ、付いて来て」
一緒にエレベーターで下に降りる、近くで見るとかなりの美人だった、美人なのは知っていたがこんなに近距離で見るのは初めてだった、長いまつ毛が影を落とす。
外に出ると田辺はビルの裏側に回った。緩やかなスロープの地下駐車場があった、目立たないので俺も今まで知らなかった。しかし意外と広くそして暗い。一番近くにベンツを見つけた、四輪ともタイヤは完全にエアが抜けてた。
明らかに誰かの仕業だ。
まずタイヤの側面を調べるがイタズラでアイスピックやナイフで刺した痕跡はない、横をやられると修理のしようがない、田辺に一つ一つ説明しながら作業を続けていった。
試しにエアを入れようとバルブキャップを開けると小石が出てきた。
小石をキャップに挟んで締めるとバルブの先端を小石が押さえエアが漏れるという巧妙な頭を使ったイタズラだ、四輪とも全て同じだった。
他に駐車している車も全部見てみたが異常はなく、田辺の車だけを狙ったんだろう。持ち運び式のエアタンクでは四輪ともエアは補充出来ないので均等にエアを入れた。
これで工場までは何とか走れるだろう。田辺にもそう説明し車は田辺の仕事が終わる夕方まで俺が預かる事にした。
田辺の緊張した表情も戻り、財布からお金を出そうとするのをやんわりと断り、じゃあまた夕方と言い俺はベンツに乗り込みゆっくりと発進した。
夕方十八時にきっちりと仕事を終らせる。
田辺は先に来ていたらしく谷口と談笑していた。
「あら、お疲れ様です。昼間はありがとうございました」
田辺は昼と同じ笑顔を向けてくる。
「あれくらいお安い御用さ」
着替えながら答える、着替えると言っても繋ぎの作業服の下に普段着を着込んでいる、ジャンパーを羽織れば終わりだった。
「谷口さんも昼間の料金受け取って下さらないのよ」
「お得意様だし、事務所も近いしいらんよ」
と谷口は言うが、田辺は借りは作りたくないのか、少し困った顔をしている。
「エアを入れただけだよ、空気に金を取れないさ」
さらりと言ってのける。
「でも何かしらお礼がしたいわ」
まるで駄々っ子のようだ。
「じゃあ、都合がよければこれから一緒に夕飯でもどうかな?」
反応を見る。
「喜んでご一緒させてもらいますわ」
いろいろ聞けるチャンスが来た、後は谷口の様子を伺う。
「若いの二人で行っておいで、デートの邪魔はせんよ」
谷口は茶化すかのように言って帰り支度を始めたがそんな気分ではなかった、ジーンズのポケットに手を突っ込んで隠してある物に触れる、少し緊張している自分に気付いた。
真理子のベンツに乗り込む。
田辺のレストランではなく、別のレストランに田辺は車を滑り込ませた。
肉が美味いと評判の店だったが来るのは初めてだった。
田辺も心なしか緊張している感じだった。
美味いステーキだった、食後のデザートまで付いてくる、田辺も満足したのか他愛ない会話が続いた、
「坂井さんの趣味って何かしら?」
「俺は車と読書と釣りだね、海より池や川が主だが」
「あら、意外な一面ですわ、今度釣りに行く時誘って下さるかしら」
「いいぜ、田辺さんの趣味は?」
「私は料理と同じく読書ですわ」
そしてだんだん深刻な話になっていき、元旦那の上野とはすれ違いの生活だったとか、結婚後すぐに上野の末期癌が見つかり一緒に住んでいたのは一ヶ月だけだったこと、子供も作らなかったとかの話に移っていったが潮時だと思い無理やり話題を変えた。
「昼に車を預かってからちょっといろいろと車を勝手に点検させてもらった」
話を変えた途端にまた緊張の色が走る、次の言葉を遮り田辺はカクテルを注文した。
「飲酒運転は駄目だぞ」
「お願い、一口だけ」
やはり緊張しているのか指先が少し震えているのは寒さのせいじゃないはずだった、俺は頷き一口飲んだのを見終えてからポケットの中身を取り出し田辺に見せた。
「君の車のフロントドアの穴から取り出したんだが何かわかっているよな」
沈黙が続いたのでまた俺から話し出す。
「潰れてはいるが拳銃の玉だ、一体何が起きてるか聞かせて貰おうじゃないか、いつどこで撃たれた? 田辺さん」
止める間もなくカクテルを飲み干した。
「真理子でいいわ、坂井君」
どういう心境のせいかわからないが、そう言ってきた、いつもの毅然とした様子は微塵もない、もう酔っているのだろうか? だとしたら相当酒に弱い方なのかもしれない。
「直人、俺も直人でいいぜ歳も近そうだし今日はどちらかが客って訳でもないしな」
沈黙が続く、根比べだタバコに火を付けた
吸い終わるまで黙り込んだ。
真理子が伏せていた顔を上げ、いつもの毅然とした表情に戻っていた。
俺もタバコを灰皿で揉み消した。
先に話しだしたのは真理子からだった。
「撃たれたのはもう一ヶ月くらい前、高速道路を走ってたら横を走行してた車からいきなり、二度目は信号待ちをしてたら後ろの車から覆面を付けた二人組が降りて来て、ナイフをちらつかせて来たから信号無視して逃げたの」
声が震えていた。
「坂…直人さん助けて、理由もなく襲われるのはもう嫌なの」
毅然とした表情に涙が滲んでいた。
「警察署はすぐそこだぜ」
見捨てたつもりはなかったがナイフを持った二人組相手に素手で立ち向かうほどの馬鹿でもなかった。
「相手にされなかったわ、二度も襲われているのに」
下唇を噛み締めている、俺は胸ポケットから写真と名刺を取り出し真理子に見せた、真理子はまじまじと見比べている。
「警察も動いてるようだ、俺の家にまで押しかけてきた」
真理子は混乱しているようだった。
聞くと自宅のマンションは事務所の近くらしく、車はあの地下駐車場にずっと止めていて事務所には徒歩で行き来していたらしい。だからこそ今まで警察も見つけられなかったのかもしれない、そう考えると話は少しづつ繋がってくるがまだ氷山の一角としか思えない。
「今日はここまでにしておこう、真理子を殺そうとしているならとっくに死んでいてもおかしくない状況だ、何か目論見があって脅しに来てるんじゃないかな」
一連の出来事をまとめて真理子に話すと、何とか理解したのか涙は止まっていた。
「片付くまでは俺が守ってやる」
根拠の欠片もない約束だが真理子に笑顔が戻った。
改めて携帯の番号とメールアドレス等を交換した、五年来の付き合いで初めてだった、 今日はもういいだろう収穫は得た。
俺の運転でベンツを地下駐車場に戻して、俺の車に乗り換え真理子を自宅まで送った。
「暫くベンツに乗るのは絶対に禁止だ」
と強く念を押して帰路についた。
「坂井君ご指名の電話よ」
誰からとも言わず事務の若い女性から受話器を受け取り耳に当てた。
「もしもし代わりました坂井です」
この前の刑事だろうか、自分で探せと言いたくなる。
「坂井君、私です田辺です」
安堵したが、嫌な予感もした。
「ああ、声でわかりましたよ。俺に用事ですか?」
先日の整備は問題ないはずだ。次の言葉を待った。
「実はタイヤがパンクしてるみたいなの、しかも四本とも」
交換したのは俺だ、四日前に全部のタイヤのエア漏れも点検したし空気圧もバッチリのはずだった。
「近くですか?」
遠ければレッカーでここまで移動しないといけなかった、それを伝える。
「事務所にいるわ」
その事務所がわからず聞こうと思ったのを察したかのように続けて話しだした、
「あら、もしかして私の事務所知らなかったかしら、坂井君の職場から東へ二軒隣のビルの二階よ、谷口さんもご存知のはずだわ」
くすくすと笑っている。こんなに近かったんだと俺も釣られ苦笑する、
「わかった直ぐに行くよ」
電話を切った、谷口に報告すると直ぐに行けとの事なので工具箱を抱えて飛び出した。
一階の駐車スペースに車はなかった。仕方なく二階の事務所に入る、上野フーズと書いてあった。山本興信所よりも事務所らしく綺麗に片付いていて場違いな感じだった。
従業員は四人だけだった、訝しげな目で見られる、
「谷口モータースの坂井です。田辺さん、いや社長さんに呼ばれたのですが」
一番近くの中年女性に尋ねると、先程までと態度が一変し、こちらですと更に奥の部屋に通された。
「呼び出してごめんなさい」
メガネを外して頭を下げる、ロングヘアはまとめて結ってある。
「いいよ、それより駐車場に車が見当たらないんだけど」
「こっちよ、付いて来て」
一緒にエレベーターで下に降りる、近くで見るとかなりの美人だった、美人なのは知っていたがこんなに近距離で見るのは初めてだった、長いまつ毛が影を落とす。
外に出ると田辺はビルの裏側に回った。緩やかなスロープの地下駐車場があった、目立たないので俺も今まで知らなかった。しかし意外と広くそして暗い。一番近くにベンツを見つけた、四輪ともタイヤは完全にエアが抜けてた。
明らかに誰かの仕業だ。
まずタイヤの側面を調べるがイタズラでアイスピックやナイフで刺した痕跡はない、横をやられると修理のしようがない、田辺に一つ一つ説明しながら作業を続けていった。
試しにエアを入れようとバルブキャップを開けると小石が出てきた。
小石をキャップに挟んで締めるとバルブの先端を小石が押さえエアが漏れるという巧妙な頭を使ったイタズラだ、四輪とも全て同じだった。
他に駐車している車も全部見てみたが異常はなく、田辺の車だけを狙ったんだろう。持ち運び式のエアタンクでは四輪ともエアは補充出来ないので均等にエアを入れた。
これで工場までは何とか走れるだろう。田辺にもそう説明し車は田辺の仕事が終わる夕方まで俺が預かる事にした。
田辺の緊張した表情も戻り、財布からお金を出そうとするのをやんわりと断り、じゃあまた夕方と言い俺はベンツに乗り込みゆっくりと発進した。
夕方十八時にきっちりと仕事を終らせる。
田辺は先に来ていたらしく谷口と談笑していた。
「あら、お疲れ様です。昼間はありがとうございました」
田辺は昼と同じ笑顔を向けてくる。
「あれくらいお安い御用さ」
着替えながら答える、着替えると言っても繋ぎの作業服の下に普段着を着込んでいる、ジャンパーを羽織れば終わりだった。
「谷口さんも昼間の料金受け取って下さらないのよ」
「お得意様だし、事務所も近いしいらんよ」
と谷口は言うが、田辺は借りは作りたくないのか、少し困った顔をしている。
「エアを入れただけだよ、空気に金を取れないさ」
さらりと言ってのける。
「でも何かしらお礼がしたいわ」
まるで駄々っ子のようだ。
「じゃあ、都合がよければこれから一緒に夕飯でもどうかな?」
反応を見る。
「喜んでご一緒させてもらいますわ」
いろいろ聞けるチャンスが来た、後は谷口の様子を伺う。
「若いの二人で行っておいで、デートの邪魔はせんよ」
谷口は茶化すかのように言って帰り支度を始めたがそんな気分ではなかった、ジーンズのポケットに手を突っ込んで隠してある物に触れる、少し緊張している自分に気付いた。
真理子のベンツに乗り込む。
田辺のレストランではなく、別のレストランに田辺は車を滑り込ませた。
肉が美味いと評判の店だったが来るのは初めてだった。
田辺も心なしか緊張している感じだった。
美味いステーキだった、食後のデザートまで付いてくる、田辺も満足したのか他愛ない会話が続いた、
「坂井さんの趣味って何かしら?」
「俺は車と読書と釣りだね、海より池や川が主だが」
「あら、意外な一面ですわ、今度釣りに行く時誘って下さるかしら」
「いいぜ、田辺さんの趣味は?」
「私は料理と同じく読書ですわ」
そしてだんだん深刻な話になっていき、元旦那の上野とはすれ違いの生活だったとか、結婚後すぐに上野の末期癌が見つかり一緒に住んでいたのは一ヶ月だけだったこと、子供も作らなかったとかの話に移っていったが潮時だと思い無理やり話題を変えた。
「昼に車を預かってからちょっといろいろと車を勝手に点検させてもらった」
話を変えた途端にまた緊張の色が走る、次の言葉を遮り田辺はカクテルを注文した。
「飲酒運転は駄目だぞ」
「お願い、一口だけ」
やはり緊張しているのか指先が少し震えているのは寒さのせいじゃないはずだった、俺は頷き一口飲んだのを見終えてからポケットの中身を取り出し田辺に見せた。
「君の車のフロントドアの穴から取り出したんだが何かわかっているよな」
沈黙が続いたのでまた俺から話し出す。
「潰れてはいるが拳銃の玉だ、一体何が起きてるか聞かせて貰おうじゃないか、いつどこで撃たれた? 田辺さん」
止める間もなくカクテルを飲み干した。
「真理子でいいわ、坂井君」
どういう心境のせいかわからないが、そう言ってきた、いつもの毅然とした様子は微塵もない、もう酔っているのだろうか? だとしたら相当酒に弱い方なのかもしれない。
「直人、俺も直人でいいぜ歳も近そうだし今日はどちらかが客って訳でもないしな」
沈黙が続く、根比べだタバコに火を付けた
吸い終わるまで黙り込んだ。
真理子が伏せていた顔を上げ、いつもの毅然とした表情に戻っていた。
俺もタバコを灰皿で揉み消した。
先に話しだしたのは真理子からだった。
「撃たれたのはもう一ヶ月くらい前、高速道路を走ってたら横を走行してた車からいきなり、二度目は信号待ちをしてたら後ろの車から覆面を付けた二人組が降りて来て、ナイフをちらつかせて来たから信号無視して逃げたの」
声が震えていた。
「坂…直人さん助けて、理由もなく襲われるのはもう嫌なの」
毅然とした表情に涙が滲んでいた。
「警察署はすぐそこだぜ」
見捨てたつもりはなかったがナイフを持った二人組相手に素手で立ち向かうほどの馬鹿でもなかった。
「相手にされなかったわ、二度も襲われているのに」
下唇を噛み締めている、俺は胸ポケットから写真と名刺を取り出し真理子に見せた、真理子はまじまじと見比べている。
「警察も動いてるようだ、俺の家にまで押しかけてきた」
真理子は混乱しているようだった。
聞くと自宅のマンションは事務所の近くらしく、車はあの地下駐車場にずっと止めていて事務所には徒歩で行き来していたらしい。だからこそ今まで警察も見つけられなかったのかもしれない、そう考えると話は少しづつ繋がってくるがまだ氷山の一角としか思えない。
「今日はここまでにしておこう、真理子を殺そうとしているならとっくに死んでいてもおかしくない状況だ、何か目論見があって脅しに来てるんじゃないかな」
一連の出来事をまとめて真理子に話すと、何とか理解したのか涙は止まっていた。
「片付くまでは俺が守ってやる」
根拠の欠片もない約束だが真理子に笑顔が戻った。
改めて携帯の番号とメールアドレス等を交換した、五年来の付き合いで初めてだった、 今日はもういいだろう収穫は得た。
俺の運転でベンツを地下駐車場に戻して、俺の車に乗り換え真理子を自宅まで送った。
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