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第一章
48 私利
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初めて、翔が美颯の頼みより月光を優先してくれた。
おそらく、叫んで拒絶したのが良かったのだろう。
次も嫌なことをされそうになったら、全力で拒否すれば許してもらえるかもしれない。
「月光、翔が許すって言ってるから今回はもういいけど、次に悪いことしたら今まで以上に厳しく叱るからね?わかった?」
--おこってる……。
当然だが、翔の判断が美颯には不満なのだろう。
「……はい」
返事をしながら、翔の背後にまわって翔に抱きつく。
美颯はこわい。
「……いい子。おいで」
怒っていた美颯の顔が一変して優しくなる。
月光は翔から離れて美颯に抱きついた。怒っていなければ、美颯のことも翔と同じくらい大好きだ。
「俺、学校の課題してくるから月兄といてもらっていいか?」
もうすぐ期末試験なんだ。言いながら翔が立ち上がって月光の頭を撫でた。
「そうなんだ。じゃあ月光はもうすることないからお風呂行こうね」
「風呂か。……月兄、いい子にしてろよ?」
お風呂はきらいだが、どう返事をしても入らないわけにはいかないので頷いておく。
「……美颯、昨日言っていたこと、よろしく」
「うん、任せて」
どこか嫌そうな言い方をした翔を不思議に思って首を傾げる。
「月兄も大人になるから色々必要な知識があるんだ。風呂で美颯に教えてもらえ」
「ぼく、翔よりおとなだよ?」
月光には何のことを言っているのか分からないが、曖昧に頷いた。
月光のほうが年上だ。それを忘れられているような気がして、頭を撫でてくる翔の手を掴みながらそこだけ言い返した。
「夕飯は部屋に運ぶ?」
「いや、リビングで食べる」
部屋から出ていこうとする翔に美颯が声をかけ、翔はそれに答えてから部屋を出ていった。
「お風呂、準備してくるから月光はちょっと待ってて」
そう言って美颯も出て行き、部屋が一気に静かになった。
--……お風呂入りたくない……。
ベッドで座ったまま、ぬいぐるみを抱きしめて頭に顔を埋める。
元々、昔からお風呂が好きではなかった。それが、ここに引っ越してきてからはさらに憂鬱なものになった。
入る度に性器を触られればお風呂を好きになんてなれない。
「準備できたよ~」
うとうとし始めたところで美颯の声が聞こえ、月光は瞑っていた目を開けた。
「眠いの?可愛い~」
上機嫌の美颯にぬいぐるみごと抱きしめられて、そのまま持ち上げられた。
「お風呂入ろうね」
頬にキスをされたが何も言わずに、はい、とだけ返事をした。
☆
犯したい。
体も頭も洗い終えて湯船に二人で浸かりながら何度もよぎる想いを遮るようにため息をついた。
どうしたの?というように、こちらを向いて座る月光が首を傾けて美颯を見つめてくる。
「可愛い~」
「あの、翔が言ってたのって何のことだったんですか?」
「あ、そうだ、忘れてた」
嘘だ。いつ言い出そうかとずっと考えていた。
何を?と尋ねてくる月光を美颯は抱きしめた。
「昨日の夜、翔に頼まれたんだけど、月光、頑張れる?」
「えっ……」
頑張れるかと聞かれたことで、臆病な月光の身体が強ばった。
「月光ももう18でしょ?大人になるために必要なことだから、頑張ろう?」
性に関する知識や自慰を教えると翔には言ったが、それは既に教えてある。
だから、他の、美颯の欲望を満たすために必要な知識を月光に与えてやろう。
おそらく、叫んで拒絶したのが良かったのだろう。
次も嫌なことをされそうになったら、全力で拒否すれば許してもらえるかもしれない。
「月光、翔が許すって言ってるから今回はもういいけど、次に悪いことしたら今まで以上に厳しく叱るからね?わかった?」
--おこってる……。
当然だが、翔の判断が美颯には不満なのだろう。
「……はい」
返事をしながら、翔の背後にまわって翔に抱きつく。
美颯はこわい。
「……いい子。おいで」
怒っていた美颯の顔が一変して優しくなる。
月光は翔から離れて美颯に抱きついた。怒っていなければ、美颯のことも翔と同じくらい大好きだ。
「俺、学校の課題してくるから月兄といてもらっていいか?」
もうすぐ期末試験なんだ。言いながら翔が立ち上がって月光の頭を撫でた。
「そうなんだ。じゃあ月光はもうすることないからお風呂行こうね」
「風呂か。……月兄、いい子にしてろよ?」
お風呂はきらいだが、どう返事をしても入らないわけにはいかないので頷いておく。
「……美颯、昨日言っていたこと、よろしく」
「うん、任せて」
どこか嫌そうな言い方をした翔を不思議に思って首を傾げる。
「月兄も大人になるから色々必要な知識があるんだ。風呂で美颯に教えてもらえ」
「ぼく、翔よりおとなだよ?」
月光には何のことを言っているのか分からないが、曖昧に頷いた。
月光のほうが年上だ。それを忘れられているような気がして、頭を撫でてくる翔の手を掴みながらそこだけ言い返した。
「夕飯は部屋に運ぶ?」
「いや、リビングで食べる」
部屋から出ていこうとする翔に美颯が声をかけ、翔はそれに答えてから部屋を出ていった。
「お風呂、準備してくるから月光はちょっと待ってて」
そう言って美颯も出て行き、部屋が一気に静かになった。
--……お風呂入りたくない……。
ベッドで座ったまま、ぬいぐるみを抱きしめて頭に顔を埋める。
元々、昔からお風呂が好きではなかった。それが、ここに引っ越してきてからはさらに憂鬱なものになった。
入る度に性器を触られればお風呂を好きになんてなれない。
「準備できたよ~」
うとうとし始めたところで美颯の声が聞こえ、月光は瞑っていた目を開けた。
「眠いの?可愛い~」
上機嫌の美颯にぬいぐるみごと抱きしめられて、そのまま持ち上げられた。
「お風呂入ろうね」
頬にキスをされたが何も言わずに、はい、とだけ返事をした。
☆
犯したい。
体も頭も洗い終えて湯船に二人で浸かりながら何度もよぎる想いを遮るようにため息をついた。
どうしたの?というように、こちらを向いて座る月光が首を傾けて美颯を見つめてくる。
「可愛い~」
「あの、翔が言ってたのって何のことだったんですか?」
「あ、そうだ、忘れてた」
嘘だ。いつ言い出そうかとずっと考えていた。
何を?と尋ねてくる月光を美颯は抱きしめた。
「昨日の夜、翔に頼まれたんだけど、月光、頑張れる?」
「えっ……」
頑張れるかと聞かれたことで、臆病な月光の身体が強ばった。
「月光ももう18でしょ?大人になるために必要なことだから、頑張ろう?」
性に関する知識や自慰を教えると翔には言ったが、それは既に教えてある。
だから、他の、美颯の欲望を満たすために必要な知識を月光に与えてやろう。
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続きみたい、、、、(>人<;)です、、
続き見たい( ˙-˙ )
月光くんめちゃくちゃ好みです!
更新楽しみにしてます!
体調には気をつけてくださいね
hikage様、コメントありがとうございます!
次の話でエロ書きたいんですけど、文章力がなくていろんな方の文章を読んで勉強してます💦
頑張って更新するので今後も読んでいただけると嬉しいです(*' ')*, ,)✨ペコリ