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紅掛雲が瑠璃紺の空に溶けゆく時間に
しおりを挟む「う~ん……」
「ソラ、どうしたの?難しそうな顔して」
「いや、冬期講習も今日で終わりかぁ……って」
「え?ラッキーじゃん?」
「……そっちはそうなんだけど、な」
「?」
そう、高校の冬期講習も今日で終わる。
それが問題なんだよ。
自宅が離れているから、アカネに次に会えるのは年が明けてからになってしまう。
そりゃスマホ使えば顔は見れる。けど、実際に「そばにいる」存在感には絶対に敵わない。だから大人たちだってリモートワークをやめる人が多いんじゃないかなあって思うんだよ。
「ね?冬休みは1回くらいは会えるよね?」
「そうだなあ。大晦日は無理としても、どこかで初詣は行きたいな」
「じゃあ、護国神社に3日でってどう?」
「多いかもしれないけど、初売りもあるし。そこにしようか?」
「やった!じゃあ、いつものとこで10時ね」
「いつもの……そごうの時計台前。OK」
よっし!タナボタラッキー!
ボソッ
「……できれば毎日会いたいけど……」
「なんか言った?」
「んーん!なーんにも!」
聞こえてますよ、アカネさん。
良かった。俺だけじゃなかった……!
自転車での帰り道、いつもはそこで別々になる橋を二人で渡る。少しだけでも一緒にいる時間を延ばしたくて、アカネを途中まで送ることにしたからだ。
坂の途中、横道にそれると川に掛かる橋と夕日が一緒に見られる場所が二人のお気に入りの場所だったので、自然とそこに向かうことになった。
空を見上げると、もう夕日が山の向こうに沈み、西には薄ピンク色の空が広がっていた。反対側の東の空は紺色のグラデーションがかかっていて、一足早く夜が来ている。
「あのピンク色の空ってなんていうんだろ?」
「ちょっと待って……あ。『薄明』だって。あのピンクが混ざった薄い青色が『紅掛空』だってさ」
「は~。なんにでも名前があるもんなんだなぁ」
「そうだね。でも、色の和名ってちょっと素敵じゃない?」
「他にも知らない名前がありそうだな」
そんなことを話していると、だんだんと紺色の空が濃くなってきて星が見え始めた。
「ねえ、オリオン座ってあれでしょ?」
「そうだよ」
「私12月生まれで射手座なんだけど、どこにあるの?」
「……」
「何よ?」
「あのな。射手座は夏の星座だ」
「ウソ?」
「ちなみにその射手座が狙ってる先に何があるか知ってるか?」
「?」
「さそり座のアンタレス。心臓だよ」
「へぇ~」
「で、俺の星座は?」
「?10月で確か……あ!」
「そ。さそり座」
そう言って俺はアカネを抱き寄せる。
心臓の音が聞こえそうになってるけど、それはアカネからも伝わってくる。
すっかり暗くなった道を、車が通り過ぎる。
赤いテールライトが角を曲がって、消える。
少しだけの、静寂。
アカネが 顔をあげた。
その額に唇が 微かに触れる。
そのまま二人の 距離は近づいて……
「……もう、こんなとこで……」
「……イヤだった?」
「……イヤじゃない、けど」
そう言ってアカネが顔を胸に押し付けてくる。
その華奢な肩を覆うように抱きしめ、力を入れる。
「寒い?」
「大丈夫……でも顔が熱いから、もう少しこのまま」
わかったよ。
でもさ。
もう少しじゃなくて、ずっとこのままでいれたらいいのにって思うんだ。
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