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7.追想編
31境界少女は九月一日の夢を見るか 後編
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***
たぬき寝入り、のはずが健やかな睡眠にまで落ちてしまうことはままあるだろう。
ただし、授業中では空前絶後かもしれない。
「で、マジで寝てた。すまんすまん」
「知ってる。見てたもの。……三日月さんとそんなことが?」
「まあねー。もしかしたら、今あの子がいないのは私のせいかもなー……」
爆睡状態の氷架璃は、さんざん声をかけられた末、担任から見放されて放課後まで眠りこけていた。浅い眠りに周期が戻ってきたところを芽華実に起こされ、親友ということもあって全部話したというわけである。
クラスメイト達は皆帰り、先生も職員室にたっている今、教室にいるのは氷架璃と芽華実だけだ。だが、ロッカーに入っているランドセルは三つ。机にノートを広げたまま姿を消している、雷奈のものだ。児童が半分ほどはけたところで芽華実が席に視線を投げると、もうどこかへ行ってしまっていたのだった。
「でも、もし三日月さんが気分を害してたとしたら、荷物も持っておうちに帰ってるんじゃない? 今は、また先生に呼ばれてるだけかもよ?」
「だったら一緒に帰ることになってる芽華実に一言置いていくだろ? 私にキツイこと言われたって悩んでるか、先生に相談してるか……あーあ、どうすっかなー……」
氷架璃は自分の帰り支度をすると、ゆっくりと机の列の中を歩いた。
「昨日の朝さ、あの日の夢見たんだよ。母さんが死んでからの一週間のダイジェスト。芽華実が気を遣ってくれてたのも知ってた。軽くあしらってごめんな。でも、そうできる私は成長したんだって思ってたのに、ちょっと突かれるとすぐこれだ」
振り返ってひらっと手を振り、また歩き出す。
「芽華実だって、今年からお母さん、夜勤再開だろ? お父さんは単身赴任だし。家族団欒の話とか聞くと、キツイじゃん?」
「ええ。……でも」
いつも気弱な友人が、芯の通った声で答えたのを聞いて、氷架璃は再び振り返った。
「でもね、いくら家族がそろってることが当たり前じゃないって思ってたって、ありがたいことなんだって伝えたって、ごく普通の家庭にいるみんなにとっては、やっぱり全員そろってるのが当たり前なのよ。当たり前を変えるのは難しくて、お互いの当たり前を完全に理解しあうのも簡単じゃなくて、だったら違う当たり前のままで、理解できないままでいいから、笑っているほうが楽なの。だって、それで友達とぶつかったら……友達までなくしちゃう」
普段、はっきりと自分の意見を通すことのない芽華実だが、内に秘める哲学はいつも自他の両方に対して優しい。自分が我慢しているように見えて、自分の失いたくないものは確保するしたたかさまで持ち合わせている。氷架璃はぱちんと指を鳴らすと、「正しい」と芽華実を指した。
「そうだよな……三日月さんにとっても、やっぱりお母さんがいるのが当然なんだよな。ま、だからって仲良くできないわけじゃない。私がもっと心を強く持って、どんな話にも笑ってうなずけるようになればいいだけ……お?」
雷奈の机の横に差し掛かった氷架璃が、足を上げたまま止まった。視線の先は、置きっぱなしのノートだ。白紙部分を表にしていたのが、窓からの風でめくれ、使用済みページがあらわになってしまっている。
そこに書かれていた文字は、「美楓芽華実ちゃん」と読み取れた。
「え……何これ」
「氷架璃、人のノートを勝手に見ちゃだめよ」
「いや、だって芽華実の名前書かれてあるし」
たしなめに来た芽華実も、それを聞いて視線を吸い寄せられてしまった。女の子らしい丁寧な筆跡で、こう綴られていた。
『美楓芽華実(みふう めがみ)ちゃん ポニーテールの女の子。声が高くてきれい。一緒に帰ってくれることになった二人のうちの一人。光丘の(あとで書く)の辺に住んでる。優しそうだけど、もうちょっと話してみたい。はずかしがり屋?』
「……休み時間とかに書いてたのは、これだったのか? 友達帳、的な?」
「恥ずかしがり屋って書かれてる……のが、ちょっと恥ずかしいかも。あ、次ページは氷架璃よ」
「あんたもバッチリ見てるじゃん」
ツッコミながら、見開き右ページに視線を移して、
『水晶氷架璃(すいしょう ひかり)ちゃん 上のほうで二つくくりの女の子。しっかりしてて、ろうかでふざけてる男の子をしかってた。一緒に帰ってくれることになった二人のうちの一人。美楓芽華実ちゃんと仲がよさそう。光丘の(あとで書く)の辺に住んでる。この子もお母さんが亡くなってるみたいだから、私の気持ちもわかるかも?』
読み切った氷架璃は、全身が凍り付いたかのような衝撃に襲われた。油切れの機械のようなぎこちなさで芽華実を振り返る。相手も、鏡写しのように同じ動作で氷架璃を見た。
「……読んだ?」
「読んだ……」
「この子もって……」
「そうね……」
「あの子も……?」
「あああ――――っ!」
空気抵抗ゼロの大声量が、教室の壁から机から何まで震わせた。当然、二人の体も。
教室の出入り口に、小さな少女がいた。あんぐりと口を開けて、棒立ちである。かと思えば、こけつまろびつ、走り寄ってきた。
「見たと!? 見たと!? 見よったとー!?」
「あ、うん……ごめん、見ました」
泣き出しそうな芽華実を後ろにかばい、氷架璃。雷奈は石化した後、スライムのようにぐんにゃりとうなだれた。
「恥ずかしー……友達作る気満々って意気込みが丸見えったい……。やっぱノート置いたまんまトイレ行くんやなかったか。まさか空いてるほうに足伸ばして迷子になると思わんかったし……」
「そうだったのか、お疲れ……じゃなくて、マジでごめん。風でめくれたページに、偶然私たちの名前があったもんで、反射的につい……」
顔を上げた雷奈の顔は真っ赤に紅潮していた。瞳や髪の色同様、肌も普通の日本人より白いからか、簡単に赤面してしまうらしい。が、怒ってはいなさそうだった。この赤は、羞恥の色だ。
「だってほら、クラスメイト、たくさんおるけん、メモせんと覚えられんっちゃろ?」
「あ、うん、わかる。全然わかるから、別に恥ずかしがることないって。……それよりさ」
氷架璃より頭一つ分小さな位置から、薄茶の瞳が見上げる。ためらったが、氷架璃はささやくように問うた。
「……三日月さんも、お母さん、いないの?」
この歩み寄りが、吉と出るか凶と出るか。それは、氷架璃の態度と雷奈の器にかかっていた。
雷奈は大きく目を見開いた後、ノートを一瞥して、小さく声を漏らして、
「……うん」
そう言って、寂しそうに微笑んだ。
「私が東京に引っ越してきたのは、それが関係しとると。昼に水晶さんの話ば聞いて、今まで会ったことのない同じ境遇の人ば見つけて、ちょっとびっくりして……。ばってん、私と同じ気持ちを分かってくれるかなって思って、ノートに書いちゃったけど……ごめん、やっぱりこんなの、書くべきやなかね。こうやって誰かに見られるかもしれんし、よくなかね」
雷奈はそばに置いてあった消しゴムに手を伸ばした。その瞬間、氷架璃は怪鳥のような奇声を上げて消しゴムを取り上げた。
「な、何ね、今の声」
「いや、すまん、私も自分でびっくりした。……消す必要ないよ、本当のことだし。それに、たぶん、お互い共感できると思う。昼、なんかそっけない言い方してごめんな。昨日が母さんの命日でさ。ちょっと気が立ってたんだよ」
「あ……そうやったと? 私のほうこそ、無神経やったね。ごめん。えっと、こういう時は何て言うんだっけ? だいふ……じゃない、ご冥福をお祈りします」
「今なんて?」
「なんも言っとらん」
再び雷奈の頬に朱がさして、芽華実がふきだした。氷架璃も腹を抱えて「だいふく……?」と笑いこけるのに、雷奈がぴょこぴょこ飛び跳ねて「言っとらんー!」と猛抗議。ひとしきり笑った後、氷架璃は膨れる雷奈に手を差し出した。
「よし、これからよろしくな、雷奈! なんか、まだ方言からかってくるヤツとか、距離置いてるヤツとかいるけど、私が全部から守ってやる。小中高と先は長いし、仲良くしようや!」
「うんっ! ありがとう、氷架璃! よろしくね! あ、芽華実……って呼んでよか?」
「え? あ、う、うん……雷奈、よろしくね」
「芽華実も実は、お母さんが夜勤でお父さんが単身赴任で、家では一人っきりか、妹と二人ってことがあるんだよ」
「そっか、芽華実も寂しい思いしとるとね。不謹慎やけど、よかった。同じ気持ちば共有してくれる友達ができるなんて、夢にも思っとらんかったとよ」
雷奈は芽華実の手も取って嬉しそうに跳ねた。
彼女は、芽華実の持論の権化だった。母親を失いながらも、笑顔でその話を持ち出した雷奈。なぜなら、他の皆にとっては母がいることは当たり前だから。彼女もそれに気づいていて、周りに溶け込みたくて自分の当たり前を引っ込めたのだ。
芽華実が口にして、雷奈が行動に示したこれが、氷架璃の求めていた答え。よりどころとなる信念。そして、それが上手くいくことは証明された。
彼女らのおかげで、もう来年からは、あの夢を見なくて済みそうだ。
「んじゃ、帰るか! あ、今日は雷奈の家の場所を案内してくれるんだって? 珍しく寄り道だな、芽華実!」
「ええ、この寄り道なら、見つかっても先生に怒られなくて済みそうね。どこにあるのかしら、とっても近かったら、いつか遊びに行けそうね」
教室を後にしながら、新しい友達の家を想像する二人に、雷奈は遠慮がちに声をかけた。
「あの、ごめん、私の住んどるとこ、家っていうか……」
「ん?」
「……神社ったい」
「……」
「……」
「神社あぁぁ!?」
登校時は鳥居前集合。
三人組の習慣は、ここから始まった。
***
あれから、未久の訃報の夢を見る九月初日は訪れなくなった。それは、周りで唯一、同じ境遇を分かり合える雷奈と出会えたからか。はたまた、転校してきたばかりの雷奈と、芽華実を巻き込んで騒がしく過ごしていたからか。どちらにしろ、新奇性の薄れた今でさえ、あの夢も見なければ母の話題で刺々しくなることもないのは、小四の夏休み明けの出会いが、不安定な境界線上にあった氷架璃を前へとひっぱってくれたからに相違ない。
縁側に座って五月晴れの空を見上げていた氷架璃は、ローテーブルに麦茶を準備していく部屋主を振り返った。
「雷奈」
「ん?」
「ありがとな」
雷奈は、しぱしぱと不思議そうにまばたきをした。何が何やらさっぱりわかっていないはずだが、彼女は無邪気に笑って「どういたしまして」と答えた。
「どうしたのさ、氷架璃。急にそんなこと」
「いんや、大したことじゃないよ」
そばでスフィンクス座り――犬の伏せのような座り方――をするアワの額をぴんと弾くと、氷架璃は立ち上がって畳の部屋へ戻った。
「で、雷華は今、おじさんとおばさんに交渉中?」
「うん。ま、雷華なら心配いらんっちゃろ」
「なになに、何の話ー?」
「午後からリーフとファイとリンとユウが遊びに来るけん、カラフルなあの子たちば目撃されんように、雷華に二人ば連れ出してもらうとよ」
「ええっ、リーフたち来るの!? ボク聞いてないけど! フー、知ってた!?」
頭がちぎれんばかりの速さで、芽華実のそばに座るフーを振り向くが、彼女にもその情報は伝わっていなかったようだ。「そうなの?」とパートナーを見上げるフーに、芽華実は申し訳なさそうにうなずいた。
「なんだよ、だったらお母さんに午前中で帰るって言わなきゃよかった。ボクも一緒におしゃべりしたかったのに。どうして教えてくれなかったのさ!」
「なんでいちいち教えなきゃいけないのさ!」
アワの口調を真似しながら笑いをこらえる氷架璃に、アワはへそを曲げてフーの隣に並んだ。
「寂しいねー、フー。ボクたち、仲間に入れてもらえなかったねー」
「ま、まあまあ……また今度みんなでお茶しましょ」
「へん! 私と雷奈と芽華実の情報網に完全に入ろうなんざ、十年早いわ! 私たちの絆は特別なんだから、今はまだ片足だけ突っ込んどきな!」
左手で芽華実、右手で雷奈の肩を抱き寄せ、氷架璃は鼻息荒く言った。アワとフーとはすっかり仲良しとはいえ、同じ仲良しでも、雷奈と芽華実は規格外だ。三人の間には、正統後継者だの選ばれし人間だのという、決められた運命などなかった。偶然出会い、友達になれる保証もないまま歩み寄りあい、自分たちの手でつかみ取った友情なのだから。そして何より、過ごした年月が違う。
実のところ、今日アワとフーが来ることが決まった後で、リーフたちが遊びに来る予定ができたためにこのようなことになっているだけなのだが、先ほどの追憶のせいか、なんとなく関係性の密さを誇示してやりたくなったのであった。
しばらく頬を膨らませていたアワは、急にあらぬ方向を向いて、小さな小さな声でつぶやいた。
「……十年後には、パートナーですらないのに……」
「ん? なんて? なんか言った?」
「なんでもない。……そういや、午後からリーフたちが来るから、神主さんたちを連れ出す……って言ったよね。じゃあ、今からくる二人は? 見られてもいいの?」
「あの二人には人間姿で来るよう言っとるし、髪の色は、まあ、ありえん色ではなかけん、いいかなって」
「あ、そう……。だいぶ目立つと思うけど……」
程なくして、全ての席にお茶が行きわたったころ、部屋の戸がゆっくりと開いた。無造作に入ってきたのは雷華だ。サムズアップでミッション完了を伝えながら、彼女は顎でくいっと鳥居の方向を指した。
「もう、そこまで来てるぞ」
あえて障子を開けっぱなしにして入ってくると、彼女はいつも通り雷奈の隣に座った。その右側に氷架璃と芽華実、左側にアワとフーがくる。上座に招く客の足音が徐々に大きくなり、やがて、琥珀色の少女が護衛とともに姿を現した。
「ごめんなさいね、遅くなってしまって。いろいろ見て回っていたら、少し時間が押しちゃった」
「よかとよ、この辺りの地理ば把握するのが本命で、こっちはついでっちゃろ? いらっしゃい、二人とも」
「……宿題の答えは出たのか」
満面の笑みで迎える姉と対照的に、双子の妹はいつものポーカーフェイスだ。厳密には、いつもの、ではないかもしれない。普段よりもほんのわずかに緊張感を帯びた、真剣なまなざし。
まるでその両方に応えるように、最司官制服の時尼美雷は、笑顔にごく微量の真剣みを混ぜてうなずいた。
「回答は出したわ。けれど、世の中は赤ペンで採点できるほど確かじゃない。どれだけ正論に近い答えを考えられたか……ディスカッションのお時間ね」
薄い緊迫感の膜につつまれ、一同はゆっくりと首肯した。
ゴールデンウィークの一日目。世間の児童生徒が多量の宿題を切り崩していく中で、少女たちはたった一問の難解な問題の答えを吟味するべく額を寄せ合った。
今日、答え合わせをする問いは以下だ。
――我々の敵は何者なのか、考察せよ。
たぬき寝入り、のはずが健やかな睡眠にまで落ちてしまうことはままあるだろう。
ただし、授業中では空前絶後かもしれない。
「で、マジで寝てた。すまんすまん」
「知ってる。見てたもの。……三日月さんとそんなことが?」
「まあねー。もしかしたら、今あの子がいないのは私のせいかもなー……」
爆睡状態の氷架璃は、さんざん声をかけられた末、担任から見放されて放課後まで眠りこけていた。浅い眠りに周期が戻ってきたところを芽華実に起こされ、親友ということもあって全部話したというわけである。
クラスメイト達は皆帰り、先生も職員室にたっている今、教室にいるのは氷架璃と芽華実だけだ。だが、ロッカーに入っているランドセルは三つ。机にノートを広げたまま姿を消している、雷奈のものだ。児童が半分ほどはけたところで芽華実が席に視線を投げると、もうどこかへ行ってしまっていたのだった。
「でも、もし三日月さんが気分を害してたとしたら、荷物も持っておうちに帰ってるんじゃない? 今は、また先生に呼ばれてるだけかもよ?」
「だったら一緒に帰ることになってる芽華実に一言置いていくだろ? 私にキツイこと言われたって悩んでるか、先生に相談してるか……あーあ、どうすっかなー……」
氷架璃は自分の帰り支度をすると、ゆっくりと机の列の中を歩いた。
「昨日の朝さ、あの日の夢見たんだよ。母さんが死んでからの一週間のダイジェスト。芽華実が気を遣ってくれてたのも知ってた。軽くあしらってごめんな。でも、そうできる私は成長したんだって思ってたのに、ちょっと突かれるとすぐこれだ」
振り返ってひらっと手を振り、また歩き出す。
「芽華実だって、今年からお母さん、夜勤再開だろ? お父さんは単身赴任だし。家族団欒の話とか聞くと、キツイじゃん?」
「ええ。……でも」
いつも気弱な友人が、芯の通った声で答えたのを聞いて、氷架璃は再び振り返った。
「でもね、いくら家族がそろってることが当たり前じゃないって思ってたって、ありがたいことなんだって伝えたって、ごく普通の家庭にいるみんなにとっては、やっぱり全員そろってるのが当たり前なのよ。当たり前を変えるのは難しくて、お互いの当たり前を完全に理解しあうのも簡単じゃなくて、だったら違う当たり前のままで、理解できないままでいいから、笑っているほうが楽なの。だって、それで友達とぶつかったら……友達までなくしちゃう」
普段、はっきりと自分の意見を通すことのない芽華実だが、内に秘める哲学はいつも自他の両方に対して優しい。自分が我慢しているように見えて、自分の失いたくないものは確保するしたたかさまで持ち合わせている。氷架璃はぱちんと指を鳴らすと、「正しい」と芽華実を指した。
「そうだよな……三日月さんにとっても、やっぱりお母さんがいるのが当然なんだよな。ま、だからって仲良くできないわけじゃない。私がもっと心を強く持って、どんな話にも笑ってうなずけるようになればいいだけ……お?」
雷奈の机の横に差し掛かった氷架璃が、足を上げたまま止まった。視線の先は、置きっぱなしのノートだ。白紙部分を表にしていたのが、窓からの風でめくれ、使用済みページがあらわになってしまっている。
そこに書かれていた文字は、「美楓芽華実ちゃん」と読み取れた。
「え……何これ」
「氷架璃、人のノートを勝手に見ちゃだめよ」
「いや、だって芽華実の名前書かれてあるし」
たしなめに来た芽華実も、それを聞いて視線を吸い寄せられてしまった。女の子らしい丁寧な筆跡で、こう綴られていた。
『美楓芽華実(みふう めがみ)ちゃん ポニーテールの女の子。声が高くてきれい。一緒に帰ってくれることになった二人のうちの一人。光丘の(あとで書く)の辺に住んでる。優しそうだけど、もうちょっと話してみたい。はずかしがり屋?』
「……休み時間とかに書いてたのは、これだったのか? 友達帳、的な?」
「恥ずかしがり屋って書かれてる……のが、ちょっと恥ずかしいかも。あ、次ページは氷架璃よ」
「あんたもバッチリ見てるじゃん」
ツッコミながら、見開き右ページに視線を移して、
『水晶氷架璃(すいしょう ひかり)ちゃん 上のほうで二つくくりの女の子。しっかりしてて、ろうかでふざけてる男の子をしかってた。一緒に帰ってくれることになった二人のうちの一人。美楓芽華実ちゃんと仲がよさそう。光丘の(あとで書く)の辺に住んでる。この子もお母さんが亡くなってるみたいだから、私の気持ちもわかるかも?』
読み切った氷架璃は、全身が凍り付いたかのような衝撃に襲われた。油切れの機械のようなぎこちなさで芽華実を振り返る。相手も、鏡写しのように同じ動作で氷架璃を見た。
「……読んだ?」
「読んだ……」
「この子もって……」
「そうね……」
「あの子も……?」
「あああ――――っ!」
空気抵抗ゼロの大声量が、教室の壁から机から何まで震わせた。当然、二人の体も。
教室の出入り口に、小さな少女がいた。あんぐりと口を開けて、棒立ちである。かと思えば、こけつまろびつ、走り寄ってきた。
「見たと!? 見たと!? 見よったとー!?」
「あ、うん……ごめん、見ました」
泣き出しそうな芽華実を後ろにかばい、氷架璃。雷奈は石化した後、スライムのようにぐんにゃりとうなだれた。
「恥ずかしー……友達作る気満々って意気込みが丸見えったい……。やっぱノート置いたまんまトイレ行くんやなかったか。まさか空いてるほうに足伸ばして迷子になると思わんかったし……」
「そうだったのか、お疲れ……じゃなくて、マジでごめん。風でめくれたページに、偶然私たちの名前があったもんで、反射的につい……」
顔を上げた雷奈の顔は真っ赤に紅潮していた。瞳や髪の色同様、肌も普通の日本人より白いからか、簡単に赤面してしまうらしい。が、怒ってはいなさそうだった。この赤は、羞恥の色だ。
「だってほら、クラスメイト、たくさんおるけん、メモせんと覚えられんっちゃろ?」
「あ、うん、わかる。全然わかるから、別に恥ずかしがることないって。……それよりさ」
氷架璃より頭一つ分小さな位置から、薄茶の瞳が見上げる。ためらったが、氷架璃はささやくように問うた。
「……三日月さんも、お母さん、いないの?」
この歩み寄りが、吉と出るか凶と出るか。それは、氷架璃の態度と雷奈の器にかかっていた。
雷奈は大きく目を見開いた後、ノートを一瞥して、小さく声を漏らして、
「……うん」
そう言って、寂しそうに微笑んだ。
「私が東京に引っ越してきたのは、それが関係しとると。昼に水晶さんの話ば聞いて、今まで会ったことのない同じ境遇の人ば見つけて、ちょっとびっくりして……。ばってん、私と同じ気持ちを分かってくれるかなって思って、ノートに書いちゃったけど……ごめん、やっぱりこんなの、書くべきやなかね。こうやって誰かに見られるかもしれんし、よくなかね」
雷奈はそばに置いてあった消しゴムに手を伸ばした。その瞬間、氷架璃は怪鳥のような奇声を上げて消しゴムを取り上げた。
「な、何ね、今の声」
「いや、すまん、私も自分でびっくりした。……消す必要ないよ、本当のことだし。それに、たぶん、お互い共感できると思う。昼、なんかそっけない言い方してごめんな。昨日が母さんの命日でさ。ちょっと気が立ってたんだよ」
「あ……そうやったと? 私のほうこそ、無神経やったね。ごめん。えっと、こういう時は何て言うんだっけ? だいふ……じゃない、ご冥福をお祈りします」
「今なんて?」
「なんも言っとらん」
再び雷奈の頬に朱がさして、芽華実がふきだした。氷架璃も腹を抱えて「だいふく……?」と笑いこけるのに、雷奈がぴょこぴょこ飛び跳ねて「言っとらんー!」と猛抗議。ひとしきり笑った後、氷架璃は膨れる雷奈に手を差し出した。
「よし、これからよろしくな、雷奈! なんか、まだ方言からかってくるヤツとか、距離置いてるヤツとかいるけど、私が全部から守ってやる。小中高と先は長いし、仲良くしようや!」
「うんっ! ありがとう、氷架璃! よろしくね! あ、芽華実……って呼んでよか?」
「え? あ、う、うん……雷奈、よろしくね」
「芽華実も実は、お母さんが夜勤でお父さんが単身赴任で、家では一人っきりか、妹と二人ってことがあるんだよ」
「そっか、芽華実も寂しい思いしとるとね。不謹慎やけど、よかった。同じ気持ちば共有してくれる友達ができるなんて、夢にも思っとらんかったとよ」
雷奈は芽華実の手も取って嬉しそうに跳ねた。
彼女は、芽華実の持論の権化だった。母親を失いながらも、笑顔でその話を持ち出した雷奈。なぜなら、他の皆にとっては母がいることは当たり前だから。彼女もそれに気づいていて、周りに溶け込みたくて自分の当たり前を引っ込めたのだ。
芽華実が口にして、雷奈が行動に示したこれが、氷架璃の求めていた答え。よりどころとなる信念。そして、それが上手くいくことは証明された。
彼女らのおかげで、もう来年からは、あの夢を見なくて済みそうだ。
「んじゃ、帰るか! あ、今日は雷奈の家の場所を案内してくれるんだって? 珍しく寄り道だな、芽華実!」
「ええ、この寄り道なら、見つかっても先生に怒られなくて済みそうね。どこにあるのかしら、とっても近かったら、いつか遊びに行けそうね」
教室を後にしながら、新しい友達の家を想像する二人に、雷奈は遠慮がちに声をかけた。
「あの、ごめん、私の住んどるとこ、家っていうか……」
「ん?」
「……神社ったい」
「……」
「……」
「神社あぁぁ!?」
登校時は鳥居前集合。
三人組の習慣は、ここから始まった。
***
あれから、未久の訃報の夢を見る九月初日は訪れなくなった。それは、周りで唯一、同じ境遇を分かり合える雷奈と出会えたからか。はたまた、転校してきたばかりの雷奈と、芽華実を巻き込んで騒がしく過ごしていたからか。どちらにしろ、新奇性の薄れた今でさえ、あの夢も見なければ母の話題で刺々しくなることもないのは、小四の夏休み明けの出会いが、不安定な境界線上にあった氷架璃を前へとひっぱってくれたからに相違ない。
縁側に座って五月晴れの空を見上げていた氷架璃は、ローテーブルに麦茶を準備していく部屋主を振り返った。
「雷奈」
「ん?」
「ありがとな」
雷奈は、しぱしぱと不思議そうにまばたきをした。何が何やらさっぱりわかっていないはずだが、彼女は無邪気に笑って「どういたしまして」と答えた。
「どうしたのさ、氷架璃。急にそんなこと」
「いんや、大したことじゃないよ」
そばでスフィンクス座り――犬の伏せのような座り方――をするアワの額をぴんと弾くと、氷架璃は立ち上がって畳の部屋へ戻った。
「で、雷華は今、おじさんとおばさんに交渉中?」
「うん。ま、雷華なら心配いらんっちゃろ」
「なになに、何の話ー?」
「午後からリーフとファイとリンとユウが遊びに来るけん、カラフルなあの子たちば目撃されんように、雷華に二人ば連れ出してもらうとよ」
「ええっ、リーフたち来るの!? ボク聞いてないけど! フー、知ってた!?」
頭がちぎれんばかりの速さで、芽華実のそばに座るフーを振り向くが、彼女にもその情報は伝わっていなかったようだ。「そうなの?」とパートナーを見上げるフーに、芽華実は申し訳なさそうにうなずいた。
「なんだよ、だったらお母さんに午前中で帰るって言わなきゃよかった。ボクも一緒におしゃべりしたかったのに。どうして教えてくれなかったのさ!」
「なんでいちいち教えなきゃいけないのさ!」
アワの口調を真似しながら笑いをこらえる氷架璃に、アワはへそを曲げてフーの隣に並んだ。
「寂しいねー、フー。ボクたち、仲間に入れてもらえなかったねー」
「ま、まあまあ……また今度みんなでお茶しましょ」
「へん! 私と雷奈と芽華実の情報網に完全に入ろうなんざ、十年早いわ! 私たちの絆は特別なんだから、今はまだ片足だけ突っ込んどきな!」
左手で芽華実、右手で雷奈の肩を抱き寄せ、氷架璃は鼻息荒く言った。アワとフーとはすっかり仲良しとはいえ、同じ仲良しでも、雷奈と芽華実は規格外だ。三人の間には、正統後継者だの選ばれし人間だのという、決められた運命などなかった。偶然出会い、友達になれる保証もないまま歩み寄りあい、自分たちの手でつかみ取った友情なのだから。そして何より、過ごした年月が違う。
実のところ、今日アワとフーが来ることが決まった後で、リーフたちが遊びに来る予定ができたためにこのようなことになっているだけなのだが、先ほどの追憶のせいか、なんとなく関係性の密さを誇示してやりたくなったのであった。
しばらく頬を膨らませていたアワは、急にあらぬ方向を向いて、小さな小さな声でつぶやいた。
「……十年後には、パートナーですらないのに……」
「ん? なんて? なんか言った?」
「なんでもない。……そういや、午後からリーフたちが来るから、神主さんたちを連れ出す……って言ったよね。じゃあ、今からくる二人は? 見られてもいいの?」
「あの二人には人間姿で来るよう言っとるし、髪の色は、まあ、ありえん色ではなかけん、いいかなって」
「あ、そう……。だいぶ目立つと思うけど……」
程なくして、全ての席にお茶が行きわたったころ、部屋の戸がゆっくりと開いた。無造作に入ってきたのは雷華だ。サムズアップでミッション完了を伝えながら、彼女は顎でくいっと鳥居の方向を指した。
「もう、そこまで来てるぞ」
あえて障子を開けっぱなしにして入ってくると、彼女はいつも通り雷奈の隣に座った。その右側に氷架璃と芽華実、左側にアワとフーがくる。上座に招く客の足音が徐々に大きくなり、やがて、琥珀色の少女が護衛とともに姿を現した。
「ごめんなさいね、遅くなってしまって。いろいろ見て回っていたら、少し時間が押しちゃった」
「よかとよ、この辺りの地理ば把握するのが本命で、こっちはついでっちゃろ? いらっしゃい、二人とも」
「……宿題の答えは出たのか」
満面の笑みで迎える姉と対照的に、双子の妹はいつものポーカーフェイスだ。厳密には、いつもの、ではないかもしれない。普段よりもほんのわずかに緊張感を帯びた、真剣なまなざし。
まるでその両方に応えるように、最司官制服の時尼美雷は、笑顔にごく微量の真剣みを混ぜてうなずいた。
「回答は出したわ。けれど、世の中は赤ペンで採点できるほど確かじゃない。どれだけ正論に近い答えを考えられたか……ディスカッションのお時間ね」
薄い緊迫感の膜につつまれ、一同はゆっくりと首肯した。
ゴールデンウィークの一日目。世間の児童生徒が多量の宿題を切り崩していく中で、少女たちはたった一問の難解な問題の答えを吟味するべく額を寄せ合った。
今日、答え合わせをする問いは以下だ。
――我々の敵は何者なのか、考察せよ。
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