フィライン・エデン Ⅲ

夜市彼乃

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13.水鏡編

61あわせてはならない ②

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***

 普段、始業の一時間前に鳥居前に集まり、余裕をもって教室に入る一同は、さらに三十分早く集まり、予鈴と同時の駆け込み登校を覚悟した。
 芽華実に遅れて五分後、まだツインテールも結えていない氷架璃が、息を切らして到着する。
「ぜー、はー、おい、ミンリが行方不明って?」
「うん、そうみたいで……」
 サイによると、昨日ミンリは人間界へ出かけたまま、薬屋に戻ってこなかったという。
 連絡もつかず、心配したサイは、希兵隊に通報した。そういうわけで、雷奈たちが寝静まっている間、実は光丘の町を四番隊が飛び回っていたのだという。
 昨晩のうちには見つからず、引き続き捜索は行われるが、念のため、雷奈たちにも連絡してきたというわけだった。
「希兵隊が探して見つからないのに、私達で見つけられるか?」
「でも、人手は多い方がいいわ。もしケガでもして動けなくなってたら大変よ」
「もうすぐ、アワとフーが二人も連れて来てくれるけん……」
 噂をすればとはこのことで、まるで呼ばれたように、人間姿のアワとフーが駆けてきた。後ろから、高校生くらいの眼鏡の少年と、黒髪の男もついてきている。
 どどめ色のシンプル極まる服装をした男に、雷奈は歩み寄る。
「サイ、会うのは久しぶりっちゃね。……で、こっちはもしかして?」
「朽木ケイだ。この姿では初めてだな」
 前髪を真ん中で分けた、几帳面そうな少年は、そう言って銀縁眼鏡の中央を押し上げた。学校で見かけたら、第一印象は「この人が生徒会長かな」であろう風貌である。
「さて、さっそくですまないが、君たち。この辺りで、危険なところがあったりはしないだろうか。ただの迷子なら、電話に出るはずだが、出ない以上、事故か何かに巻き込まれた可能性がある」
「希兵隊も探したって言っとったね。希兵隊が見落としそうなところかもしれんね」
「けど、深い側溝とか切り立った崖とかはないしな」
「川や土手は図書館とは反対側だし、そっちへ行った可能性も低いわよね……?」
「いや、彼女も抜けているところがあるからな。地図と反対方向に行くくらいのドジはしていそうだ」
「師匠にそう言われちゃあな……」
 捜索範囲は広そうだ。一同は手分けすることにした。
 氷架璃とアワは図書館周辺。芽華実とフーは、希兵隊の捜索範囲から外れていそうな、図書館とは逆方向のエリア。雷奈とケイ、そしてサイは図書館へ行くまでに通る、やや迷いやすそうな住宅街。
 制限時間は、雷奈たちが予鈴と同時にヘッドスライディングすれば教室に滑り込めるギリギリラインから逆算して、約四十分だ。
「足滑らせて川に落ちていたら大変だね」
「ケガで動けなくて橋の下で震えてるとかな」
「車にはねられてたらどうしよう……」
「そうね、人間界の自動車は怖いものね……!」
「ふむ……人間界は危険であふれているようだ。いよいよ心配だな」
「落ち着きましょう、師匠。落ち着きましょう……まずは落ち着きましょう」
「まずは一秒に三回眼鏡ば押し上げとるあなたが落ち着きましょう。師匠の平常通りの死んだ目を見習うったい」
 ミンリの安否の次にケイの眼鏡のブリッジが心配になってきたので、さっそく朝から大捜索を始めた。

***

 フィライン・エデンのようなのどかな世界に触れていると忘れてしまいがちだが、人間界は悪意と欲望にまみれた事件が横行する。
 誘拐、暴行、傷害、殺人、死体遺棄。痛ましい報道は後を絶たない。そして、そんな悲劇が今日も他人事である保証はない。特に、年頃の少女ともなると――。
  ……などと口にしてしまったが最後、ケイの眼鏡の左レンズと右レンズは絶交してしまいかねないので、両者にはまだ仲良く彼の視力を補ってもらうべく、雷奈は言葉を替えた。
「そういえば、ミンリの双体は見たことなかばってん、どんな感じ?」
 サイとケイが交互に答える。
「髪の色は薄めだな」
「ゆるく編んだおさげが似合う少女だ」
「目は黒にも見える濃い紺色だ」
「ひかえめで奥ゆかしい、優しい目つきだ」
「昨日はワンピースを着ていたな」
「そういえば、初めて見るリボンをしていたな。赤系統が似合いそうと言ったから、新しく買ったのかもしれない。実際、よく似合っていた」
「…………」
 雷奈はサイを見た。
 サイは雷奈を見つめ返すと、首を横に振った。
 これでまだ付き合っていないらしい。
 雷奈は話を戻した。
「図書館に行ったからには、人間姿になっとるはずよね。もしかしたら、聞き込みしてみたら――」
 次の瞬間には、聞き込みの必要はなくなった。
 雷奈、ケイ、サイの三人は、前方右手の道から出てきた少女たちが、T字路で折れて向こう側へ歩いていくまでのごくわずかな時間に見えた、その腕に抱かれたものに歩き方を忘れた。
 制服姿の二人の少女は、こちらには気づかず、背を向けて遠ざかっていく。
 三人の中で一番動揺していた彼が、声を震わせた。
「ミン――」
 リ、の一音はぐんと後ろに遠ざかった。全力でケイを引っ張った雷奈は、すぐ後ろの曲がり角に飛び込んだ。一歩遅れてサイも続く。
「何をするんだ! 今、ミンリが……!」
「しっ。わかっとる。主体姿で抱きかかえられとったね」
「どうして人間の少女が彼女を運んでいたのだろうかね?」
「……それを、今から訊いてくるったい」
 二人を陰に隠したまま、雷奈は道へ出た。
 ケイの焦り声が追ってくる。
「待て、怪しいやつだったら……!」
「大丈夫」
 雷奈は微笑んで頷いて見せた。安心させようと、自信を込めた笑顔のつもりだったが……どこか辟易の色がにじんだのは否定できない。
 見失う前に、二人の少女のもとへ走り寄る。ゆっくりと歩いていく彼女らに追いつくのに、駿足の走力をもつ雷奈は役不足だ。
「おーい!」
 距離を半分以上縮めたところで、雷奈は思い切って呼びかけた。
 二人は同時に振り向くと、ぱっと顔を輝かせた。
「雷奈ちゃん!」
「久しぶり! 元気してた?」
「ちなみにあたしは元気! 二学期の中間テストも生物は満点!」
「ちなみにわたしも元気! 二学期の中間テストも地学は満点!」
「さすがっちゃね、由実、美由。私も元気ったい」
 かたや、茶がかった短髪の快活そうな少女。
 かたや、黒髪を左右でお団子にした清楚そうな少女。
 光丘中学校の角真かどま由実ゆみまどか美由みゆだ。
「フェス以来だね!」
「そうっちゃね。美由、ケガもよくなって何よりったい」
「ありがとう。それにしても、朝会うなんて珍しいね。家、この辺なの?」
「えっと、今日はちょっと散歩がてら回り道っていうか……。それより、その子は……」
 たわいない話もそこそこに、雷奈は由実の腕の中の本題に視線を落とした。本題はウサギのような長めの耳を伏せ、一縷の希望を見つけてすがりつくような潤んだ目で雷奈を見上げている。
 問。なぜ、行方不明だった玉城ミンリが、由実の腕の中にいるのだろうか?
「聞いてよ、雷奈ちゃん! 昨日道端で拾ったんだけどさ!」
「耳はウサギなのに、体は猫なの! 見たことない生き物なの!」
「きっと新種の哺乳類だよ! UMAだよ! だから前に飼ってたウサギのケージに入れてうちに置いてるんだ!」
「一緒に調べて、新種として発表するの!」
 ねー、と顔を見合わせる二人は、UMA本人が自分たちの会話を理解し、泣きそうになっているのに気づいていない。雷奈は必死でミンリを視線でなだめた。今にも「助けて」と言いたげな口元だったが、一言でも言葉を発したが最後、二度と帰っては来られない気がする。
「ハーネスはないから、こうやってがっしり抱っこして、学校の前と後にお散歩してるんだ!」
「うさんぽしてるのー!」
「そ……そう……」
「よかったら、今度うちに遊びに来て! じっくり見せてあげるね!」
「ア……アリガトウ……」
 衝撃的な経緯と予測される今後の展開があまりにもショックで、雷奈はミンリを取り返すのも忘れてカタコトを発するのみとなった。二人は無邪気に笑うと、真っ白な灰の像になった雷奈に手を振り、楽しげな足取りで住宅街の角に消えた。

***

 現状を共有して合流した氷架璃と芽華実は、お通夜前のような顔をしていた。
「よりによってあいつらか……」
「まさか飼われていたなんて……それは希兵隊も見つけられないわよ……」
 あの好奇心旺盛な二人が、珍しく不思議な事象を見逃すはずがない。おそらく、これが水色の毛並みをしたアワでも同じことが起こっただろう。会ってしまったが最後の相手だ。
 由実と美由を知らないアワとフーも、ことの深刻さには同感した。
「どうしようか……散歩のタイミングで連れ戻せればいいんだけど……」
「しっかり抱っこしてたら、さすがに逃げられないんじゃないかしら」
 ケイは狼狽のあまり、もはや言葉も発さず眼鏡を押し上げ続けている。レンズの間のブリッジは、半角と全角を間違えて打った後のバックスペースキーもかくやの連打に負けて、早くも形が変わり始めていた。
 そんな中、最も落ち着き払った、唯一の大人が声を上げた。
「ボクに任せたまえ」
 彼は少年少女の視線を一身に浴びて、死んだ目で口の端を吊り上げて見せた。
「彼女らは学校の後にも散歩すると言っていたな。一つ、ボクが接触してみよう」

***

 気もそぞろな授業六コマを終え、放課後になった。
 待ち合わせをしていたサイとケイと合流し、雷奈たちは今朝と同じ場所で待ち構える。
「本当にこんなんで大丈夫かぁ?」
「いける、いける。見ているといい」
「っていうか、サイさん、どこから借りてきたの」
「アイに頼んで借りてきた」
「えっ、じゃあそれ女性もの? 大きいね?」
「冗談に決まっているだろう。ボクだって医療従事者だ、一着や二着持っているとも」
「なーんだ。そういえばアイさん元気?」
「元気だとも」
 声を潜めてささやきあっていると――雷奈が鋭く無声音を発した。
「来たったい!」
 ターゲットの二人が、早くも姿を現したのだ。由実は一度帰宅したのだろうが、美由は直接彼女の家に寄り道したのだろう。二人とも制服のまま、由実はミンリを、美由は鞄を腕に抱いている。
「よし、では行って来よう」
「お願いね、サイさん」
 ハラハラドキドキの雷奈たちに見送られながら、彼は並んで歩く二人の前に身を躍らせた。
「やあ、君たち、ちょっといいかな?」
「だっ、誰です!?」
「ボクは四藤という。生物学者だ。君たち、珍しい生き物を抱えているね?」
 そう言う彼は、どどめ色の上に白衣を羽織り、ケイから拝借した眼鏡をかけている。何とか取り繕って、研究者のステレオタイプを作り上げた結果だ。
 由実の腕の中で、ミンリが「師匠ぉぉ!」と感激に目を潤ませる。サイは眼鏡の度が合わずくらくら回る目でアイコンタクトをとると、口上を続けた。
「ここは一つ、その子をボクに貸してはくれないか? なに、悪いようにはしない。少し調べて……」
 けたたましい大音量が、住宅街に鳴り響いた。
 美由が、鞄につけていた防犯ブザーを容赦なく引き抜いていた。
「不審者が話しかけてきたー!」
「知らない人が近寄ってきたー!」
「事案だー!」
「事案だー!」
「え……あの、ちょっと」
 恐ろしいことにブザー音をもかき消す甲高い声を上げて、二人は一目散に反対方向へダッシュしていった。
 少女の悲鳴。尾を引いて残響するビブラート。何事かと窓からのぞいてくる住宅の住人。一人残された、白衣の男。
 身の危険を感じたサイは、すぐにその場を離れた。

***

「何が任せたまえだよ! 危うく通報されるところだったぞ!」
「いやあ、想定外に危機管理能力の高い少女たちだったね」
 念のため主体に戻ったサイは、妙に感心したようにそう言った。その体はふらふら揺れている。ケイの眼鏡はよほど度がきつかったらしい。
「どうするよ、やっぱ私達が行く?」
「少なくとも、警戒はされずにすむものね……」
 氷架璃と芽華実が詳しい方法を練ろうとしているところへ、フフンと達観したような笑い声がした。
「何だよ、サイ」
「いや、水晶君と美楓君がこうも一所懸命に考えてくれている中、ケイは立つ瀬がないのではと思ってね」
 ちら、と見上げた先のケイが、ぴくりと眉を動かした。
「共にボクのもとで修行する相棒がピンチなんだ。君が動かず誰が動く?」
 ケイが動かなかったらサイが動くだろうなと思いつつ、サイが動いた結果を思い出して意気消沈する雷奈たちだが、その言葉は少年の心に火をつけたらしい。
「……師匠」
 くい、と眼鏡を押し上げる。
「僕が行きます。正面から、ミンリを返してもらってきます」
「うむ、その意気だ」
 ケイは角から飛び出すと、さっき二人が走っていった方向へ駆け出した。
 雷奈たちも、距離を置きながらその後を追う。
 アワの腕の中で、サイが不敵に笑った。
「さらわれたお姫様を救うのは王子様の役割だからね」
「サイさん、それ本人たちの前で言ったらまた仕事に支障きたすよ」

***

「すまない、少しいいだろうか」
 後ろから声をかけられた由実と美由は、振り返って目を見張った。その目に映るのは、サイに向けたような警戒ではなく、年頃の少女らしいときめきだ。顔の整った、理知的な、スラっと背の高い年上の少年というのは、怪談と同じくらいには少女たちの好物なのだ。
 腕の中ではミンリが「ケイぃぃ!」と感奮に目を熱くしている。彼はそんな彼女に目配せすると、自身の淡い髪色やクールな目元に見とれている少女二人に本題を切り出した。
「この辺りに住んでいる朽木という者だが、実は僕が飼っていた猫が散歩から帰ってこなくて探していたんだ。ウサギのような長い耳をした、珍しい外国種なんだが……」
 その言葉に、二人はハッとミンリを見下ろした。
「もしかして、この子……?」
「ああ、もしやと思ったが……ミンリだ、間違いない」
「そっか……新種じゃなかったのかぁ」
「残念だけど、おうちに帰してあげないとだね」
 とんとんと話が好転していくのを陰からうかがっていた雷奈たちは無言でガッツポーズ。案外早い事件の解決の予感に安堵していた。
 だが。
「ごめんね、勝手に連れてきちゃって。のところに帰ろうね」
 由実の何気ない一言が、ケイの心の中のスイッチを突いたらしい。
 これまで表情らしい表情を見せてこなかった彼の頬に、赤い緊張が浮かんだ。
「か、か、家族?」
「そうだよ。家族でしょ? 帰ったらお風呂入れてあげてね」
「風……呂……!?」
「今夜はだっこして一緒に寝てあげるんだよ」
「寝……る……!?」
「家族が迎えに来てくれてよかったね、ミンリちゃん!」
 由実が差し出したミンリに伸ばしかけていた手が、ふるふると震えてそれ以上進まない。ミンリもミンリで、顔をうつむけてふるふると震えている。
 を受け取ろうとしないケイに、由実と美由が怪訝そうに首をかしげる。
「どうしたの?」
「連れて帰ってあげて?」
「……できない……」
「えっ?」
「風呂になど……抱いて寝るなど……連れて帰るなど……でき……ない……!」
 言われてみれば当たり前である。
 相思相愛とはいえ、まだその想いを伝えあってすらいない男女のすることではない。
 一件落着のビジョンは瓦解した。
 熱に浮かされて出てくるうわごとのように呟き続ける放心状態のケイを見て、由実と美由は一度互いに顔を合わせ、もう一度ケイに視線を戻すと、同時にきりりと眉を吊り上げた。
「連れて帰れないなんて、お世話しないなんて、飼育放棄!?」
「ひどい! この子もきっとそうして欲しがってるのに!」
「連れて帰ってもらって、一緒にお風呂入って、一緒に寝たいと思ってるのに!」
「この子はあたしが責任もって飼うもん!」
「あなたは飼い主失格!」
 散々ぼろっかすに批判したのち、二人はぷん! と踵を返して歩き去っていった。その場には、立ち続けるのに必要な気力を全てへし折られ、膝をついたケイだけが残されていた。
 なお、ケイに差しだしてから再びぎゅっと抱きしめるまでの間、由実のホールドはもがけば逃れられる程度には緩んでいたのだが、湯気を吹き出して震えるミンリにはそんな余裕はなかった。
 結局、その日のうさんぽは終わってしまったらしく、その後二人の姿を住宅街に見つけることはできなかった。
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