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中間テストがあるようです
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ぼんやりとしたままお布団でグダグダしていると、しばらく時間をあけて隆が戻ってきた。なんだか部屋の外が賑やかだけど、誰か部屋の中に居るのかな?さっきのお客さん?
「・・・・・・よし、顔戻ってんな。さっきの雪兎達だった。チャイムまで騒がしいやつだよなぁ。起きれるか?」
僕の顔を覗き込みながらそう言う隆に、顔が戻ってるってどういう意味だろうと首を傾げつつも、雪兎達が来てるという方に意識がそれ、ガバリと起き上がる。
「わぁ!雪兎達だったんだねぇ。起きる起きるっ!」
ぴょんっとベッドから降りて部屋を出ようとすると隆に後ろからギュっと抱きしめられた。
「遥、それパジャマだろ。着替えなきゃ。あとコンタクトは洗面台だから、前言ってた目の色が変わる眼鏡?ってやつ付けとけよ」
あ、そうだった!パジャマもだけど、いつも部屋では付けてなかったからコンタクトの事すっかり忘れてたよ。さすが隆だねっ!
「そうだった!ありがとう隆。ちゃんと着替えて眼鏡かけて行くねっ!」
そう言ってプチプチと前のボタンを外し始めると、隆が慌てたように腕を離して、眼鏡持ってくるからと、くるりと背を向けてベッド横に置いてある鞄の方へ行ってしまった。隆がとっても慌ててる。あ、ベッドに脚ぶつけた。大丈夫かな?
「隆?脚ぶつけたよね?大丈夫?」
慌てて隆の方に行こうとしたら、後ろを向いたまま大丈夫だから早く着替えろと言われてしまった。そうだよね、雪兎達が待ちぼうけしちゃう。
わかった、と言っていそいそと着替えを再開させる。今日はどこに出かけるわけでもないし、ダボッとした黒パーカーに黒スキニーでいいやっ。
昔からおしゃれとは無縁の面倒くさがりだったから、僕のクローゼットの中身は自分で服を全く購入しない僕を見かねたおにぃがいつの間にか買ってクローゼットに入れてくれていた服ばかりだ。さすがおにぃ、適当に選んでもなんかおしゃれに見える服ばっかりだ。何故か上がダボっ、下がピタっとした感じのばっかりだけど、おにぃが選ぶものに間違いはないよねっ。
「りゅー!着替えた!眼鏡あった?」
まだ探しているのか、背中を向けてしゃがみこんでいる隆に思いっきりのしかかって手元を見ると、眼鏡が握られていた。見つかってたみたいでよかった。
「ほら、これかけて。後でコンタクト入れに洗面台行った方が良いかもな。眼鏡慣れないだろ」
僕がのしかかっても微動だにしない隆に、何度目か分からない尊敬と安心感を感じながら、ん、とコクリと頷き眼鏡をかけた。やっぱり鼻のとこ変な感じする。さっさとコンタクト入れよっと。
「ねぇ隆、隆は着替えないの?まだスウェットのまま?」
「あー、着替えるよ。皆待ってるから遥先に行っていいよ。俺も適当に着替えて行くから」
「ん、分かった!じゃあ先に行ってるから早く来てね~!」
そう言って一度思いっきりギュってして、パタパタと隣の部屋に向かった。
「おはよー!」
リビングには、雪兎、律、颯汰が机を囲んで座って珈琲を飲んでいた。隆が僕の分も淹れてくれていたみたいだから、後で僕の黒猫マグカップに入れて飲もっ!
「おはよう遥。今日は眼鏡なんだね?眼鏡も可愛くて似合ってるよ」
「遥、おはよう!昨日は本当にありがとな。眼鏡、本当に似合ってんなぁ。いつもはコンタクト?」
「遥!遥!おはよう!!!昨日の遥まじで格好良かったぞ!!サンキューな!!眼鏡だと色気が抑えられるんだな!!!そんな遥も可愛いぞ!!!」
「そう、いつもはコンタクトなんだ。眼鏡、あんまり慣れてないから後でコンタクト入れに行ってくるね。似合ってるって言ってくれてありがとうっ!それに昨日の事だったらもうたくさんお礼言ってもらっちゃってむしろありがとうって感じなんだけど・・・・・・。本当にもう気にしないで?でも土曜に皆揃うなんて珍しいね?どうしたの?」
きょとんとして首を傾げると、バツが悪そうに苦笑いをした律が口を開いた。
「・・・・・・もうすぐ中間テストがあるだろ?俺と雪兎、ピンチなんだよぉ」
「そうだぞ!!俺は勉強が嫌いだ!!出来るのは英語だけ!!!だけど赤点は回避したい!!!」
「・・・・・・雪兎、それ自慢気に言う事じゃないからね?」
苦笑いをした颯汰が僕に目線を移す。
「遥、昨日は大変だったみたいだね。帰ってきた律に聞いてびっくりしたよ。遥が強いのは律達から聞いたけど、あんまり1人で無茶しちゃだめだよ?心配した。体は大丈夫?ちゃんと休めた?」
「颯汰ー・・・・・・!心配してくれてありがとう。昨日は頭に血が上っちゃって。無茶してごめんなさい。皆んなに心配かけたいわけじゃ無いからちゃんと気をつけます。でも昨日の夜しっかり熟睡したからもう元気いっぱいだよっ!」
「ん、俺のことも頼っていいんだからね。でも疲れはちゃんと取れたみたいでよかった。遥、疲れてるだろうから朝からお邪魔したら悪いかなとは思ったんだけどね。せっかくの休みだし。でも俺だけじゃこの子らの面倒見切れなくて。勉強会って事で一緒に教えてあげてもらえないかな?」
一緒に!勉強・・・・・・!
それって巷では当たり前という、仲良しグループで開催されるテスト前の勉強会ってやつ・・・・・・!なんてこった!僕が誘われるなんて!!!
「い、いいの?!嬉しい!一緒に勉強会する!したいっ!!僕、テスト前に友達と勉強会するの憧れてたんだよねぇ・・・・・・っ!」
目をキラキラさせながらそう興奮していると、いつの間にか僕の後ろに立っていた隆に頭をポンと撫でられた。
「よし、やるか~。お前ら、やるからにはビシバシやっからな。覚悟しとけよ」
僕の頭に手を置いている隆を見上げると、楽しそうな、少し意地悪な笑みを浮かべていた。この顔格好いいよね。
「そうだよ、3人も先生が出来たんだからしっかり勉強しようね」
颯汰まで悪戯っ子のような顔で笑ってる・・・・・・!レアだぁ!爽やか系イケメンもこういう顔似合うんだなぁ。格好いい!
そんな事を考えながら満面の笑みで僕も雪兎と律に目線を向けた。
「僕だってビシバシ教えちゃうんだよー!頑張ろうねっ!」
雪兎と律は顔を真っ赤にしてコクコクと首がとれちゃうんじゃないかってくらい頷いてくれた。気合たっぷりだねっ!
「・・・・・・よし、顔戻ってんな。さっきの雪兎達だった。チャイムまで騒がしいやつだよなぁ。起きれるか?」
僕の顔を覗き込みながらそう言う隆に、顔が戻ってるってどういう意味だろうと首を傾げつつも、雪兎達が来てるという方に意識がそれ、ガバリと起き上がる。
「わぁ!雪兎達だったんだねぇ。起きる起きるっ!」
ぴょんっとベッドから降りて部屋を出ようとすると隆に後ろからギュっと抱きしめられた。
「遥、それパジャマだろ。着替えなきゃ。あとコンタクトは洗面台だから、前言ってた目の色が変わる眼鏡?ってやつ付けとけよ」
あ、そうだった!パジャマもだけど、いつも部屋では付けてなかったからコンタクトの事すっかり忘れてたよ。さすが隆だねっ!
「そうだった!ありがとう隆。ちゃんと着替えて眼鏡かけて行くねっ!」
そう言ってプチプチと前のボタンを外し始めると、隆が慌てたように腕を離して、眼鏡持ってくるからと、くるりと背を向けてベッド横に置いてある鞄の方へ行ってしまった。隆がとっても慌ててる。あ、ベッドに脚ぶつけた。大丈夫かな?
「隆?脚ぶつけたよね?大丈夫?」
慌てて隆の方に行こうとしたら、後ろを向いたまま大丈夫だから早く着替えろと言われてしまった。そうだよね、雪兎達が待ちぼうけしちゃう。
わかった、と言っていそいそと着替えを再開させる。今日はどこに出かけるわけでもないし、ダボッとした黒パーカーに黒スキニーでいいやっ。
昔からおしゃれとは無縁の面倒くさがりだったから、僕のクローゼットの中身は自分で服を全く購入しない僕を見かねたおにぃがいつの間にか買ってクローゼットに入れてくれていた服ばかりだ。さすがおにぃ、適当に選んでもなんかおしゃれに見える服ばっかりだ。何故か上がダボっ、下がピタっとした感じのばっかりだけど、おにぃが選ぶものに間違いはないよねっ。
「りゅー!着替えた!眼鏡あった?」
まだ探しているのか、背中を向けてしゃがみこんでいる隆に思いっきりのしかかって手元を見ると、眼鏡が握られていた。見つかってたみたいでよかった。
「ほら、これかけて。後でコンタクト入れに洗面台行った方が良いかもな。眼鏡慣れないだろ」
僕がのしかかっても微動だにしない隆に、何度目か分からない尊敬と安心感を感じながら、ん、とコクリと頷き眼鏡をかけた。やっぱり鼻のとこ変な感じする。さっさとコンタクト入れよっと。
「ねぇ隆、隆は着替えないの?まだスウェットのまま?」
「あー、着替えるよ。皆待ってるから遥先に行っていいよ。俺も適当に着替えて行くから」
「ん、分かった!じゃあ先に行ってるから早く来てね~!」
そう言って一度思いっきりギュってして、パタパタと隣の部屋に向かった。
「おはよー!」
リビングには、雪兎、律、颯汰が机を囲んで座って珈琲を飲んでいた。隆が僕の分も淹れてくれていたみたいだから、後で僕の黒猫マグカップに入れて飲もっ!
「おはよう遥。今日は眼鏡なんだね?眼鏡も可愛くて似合ってるよ」
「遥、おはよう!昨日は本当にありがとな。眼鏡、本当に似合ってんなぁ。いつもはコンタクト?」
「遥!遥!おはよう!!!昨日の遥まじで格好良かったぞ!!サンキューな!!眼鏡だと色気が抑えられるんだな!!!そんな遥も可愛いぞ!!!」
「そう、いつもはコンタクトなんだ。眼鏡、あんまり慣れてないから後でコンタクト入れに行ってくるね。似合ってるって言ってくれてありがとうっ!それに昨日の事だったらもうたくさんお礼言ってもらっちゃってむしろありがとうって感じなんだけど・・・・・・。本当にもう気にしないで?でも土曜に皆揃うなんて珍しいね?どうしたの?」
きょとんとして首を傾げると、バツが悪そうに苦笑いをした律が口を開いた。
「・・・・・・もうすぐ中間テストがあるだろ?俺と雪兎、ピンチなんだよぉ」
「そうだぞ!!俺は勉強が嫌いだ!!出来るのは英語だけ!!!だけど赤点は回避したい!!!」
「・・・・・・雪兎、それ自慢気に言う事じゃないからね?」
苦笑いをした颯汰が僕に目線を移す。
「遥、昨日は大変だったみたいだね。帰ってきた律に聞いてびっくりしたよ。遥が強いのは律達から聞いたけど、あんまり1人で無茶しちゃだめだよ?心配した。体は大丈夫?ちゃんと休めた?」
「颯汰ー・・・・・・!心配してくれてありがとう。昨日は頭に血が上っちゃって。無茶してごめんなさい。皆んなに心配かけたいわけじゃ無いからちゃんと気をつけます。でも昨日の夜しっかり熟睡したからもう元気いっぱいだよっ!」
「ん、俺のことも頼っていいんだからね。でも疲れはちゃんと取れたみたいでよかった。遥、疲れてるだろうから朝からお邪魔したら悪いかなとは思ったんだけどね。せっかくの休みだし。でも俺だけじゃこの子らの面倒見切れなくて。勉強会って事で一緒に教えてあげてもらえないかな?」
一緒に!勉強・・・・・・!
それって巷では当たり前という、仲良しグループで開催されるテスト前の勉強会ってやつ・・・・・・!なんてこった!僕が誘われるなんて!!!
「い、いいの?!嬉しい!一緒に勉強会する!したいっ!!僕、テスト前に友達と勉強会するの憧れてたんだよねぇ・・・・・・っ!」
目をキラキラさせながらそう興奮していると、いつの間にか僕の後ろに立っていた隆に頭をポンと撫でられた。
「よし、やるか~。お前ら、やるからにはビシバシやっからな。覚悟しとけよ」
僕の頭に手を置いている隆を見上げると、楽しそうな、少し意地悪な笑みを浮かべていた。この顔格好いいよね。
「そうだよ、3人も先生が出来たんだからしっかり勉強しようね」
颯汰まで悪戯っ子のような顔で笑ってる・・・・・・!レアだぁ!爽やか系イケメンもこういう顔似合うんだなぁ。格好いい!
そんな事を考えながら満面の笑みで僕も雪兎と律に目線を向けた。
「僕だってビシバシ教えちゃうんだよー!頑張ろうねっ!」
雪兎と律は顔を真っ赤にしてコクコクと首がとれちゃうんじゃないかってくらい頷いてくれた。気合たっぷりだねっ!
応援ありがとうございます!
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