黒猫ちゃんは愛される

抹茶もち

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親衛隊が出来るようです

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 その後特に何もなく授業を受け、お昼になったので食堂に行くつもりで席を立った所でクラスの子からおずおずと声をかけられた。

「あ、あの・・・・・・水瀬様、大神様、柳様、風紀委員長様が呼んでおられますが・・・」

「あー・・・・・・俺もか。わかった。ありがとな。すぐ終わらせてくるから律はちょっと待ってろ」

「あいあい!行ってらっしゃーい!」

 そう言って隆に連れられて廊下まで行くと、風紀委員長さんが何枚かの書類を眺めながら待っていた。

「委員長、お疲れ様っす。親衛隊っすか?」

「おー!大神ビンゴ!やっぱ分かった?今日の昼休憩は確認班と見回り班で2.3年総動員。お前も来年よろしくなぁ~!」

 ニカッと笑った委員長さんは、隆に1枚資料を渡した後、僕たちの方に視線を向けた。

「あ、えっと、こんにちは」

 ジッと見つめられて思わず挨拶をすると、またまたニカッと笑った委員長さんに資料をズイッと渡された。

「姫さんこんにちは!久しぶりだね。これ、親衛隊の結成申請の資料。姫さんの親衛隊長争奪戦は圧巻だったぞぉ。そこ、資料に親衛隊長と副隊長が書いてあるから、もし人選に不安があったら俺に言って」

「ありがとうございます」

 本当に親衛隊なるものが出来てしまった・・・・・・。ちょっと信じられない思いで資料に目を通し始める。

「ほんでっと、柳君、初めまして。もちろん君にも親衛隊結成申請が来てるよ。これ確認してな。柳君と大神の場合は副隊長がまだ決まってないから、そのうち親衛隊長から報告か相談があると思う。姫さんは問題ないと思うが柳君、親衛隊長に覚えはあるかい?」

「初めまして。わざわざありがとうございます。・・・・・・知らない方ですね」

「そうか、じゃあ1度会ってみるといい。そのうえでチェンジがあれば俺に直接か、大神経由で教えてくれ」

「なるほど、分かりました」

「・・・・・・遥?固まってないか?どうした?」

 委員長さんと颯汰の会話が右から左に流れていく。何度も同じ所を読み返している僕に隆が声をかけてくれた。・・・・・・うん、よし、隆に聞こう。

「あ、うん、なんかね、親衛隊長が田中ゆうさんで副隊長が麦野律ってなってるんだけど・・・・・・。この学校同姓同名とか居るっけ?」

「いや、居ねぇな。うちの学級委員長と律だろ」

「え?田中くんって悠って名前なの?!・・・・・・って事は田中くんが隊長さん?!そんでもって副隊長はやっぱり律なの!?」

「そうだな。でも2人なら心配ないだろ。変な奴がならなくて良かったな」

「え!律が遥の親衛隊副隊長なの?!ずるい、それなら俺だって遥の親衛隊入りたい!」

「無理。親衛隊結成申請が1人でも出された人は他の親衛隊に入れないからな。親衛対象が別の親衛隊に入るってややこしすぎるだろ」

「えー・・・・・・そうなんだ。残念」

「ま、とりあえずあとは大神に任せた!何かあったら言ってくれ~!昼飯食い損ねるなよ~!」

「っす」

 僕がえ?え?って困惑してる間に委員長さんがさっさと帰ってしまった。脚のリーチが長いからもうすでに見えない・・・・・・。さよなら言えなかった。

 しょもん、と眉を下げていると、いつの間にか隆が教室の中で待ってた律と雪兎を呼び寄せてた。
 颯汰も平然としてるし、僕だけ話の流れについていけてない。むぅ・・・・・・。

「はーるっ!びっくりした?びっくりしたぁ??今日から俺、遥の親衛隊副隊長だよ!」

 悪戯っ子みたいにニンマリとした顔で律がそう言うので、自然にお口が尖がる。

「もー!すっごいびっくりしたぁ。何回も読み直しちゃったし、同姓同名が居るのかって隆にまで確認しちゃった」

「へへへ~。びっくりさせたくて黙ってたんだ!放課後にでもさ、田中も合わせて親衛隊の事についてちょっと話しよう?」

「ん、分かった。律が僕の親衛隊って変な感じ。これからも普通にお友達でいてくれるよね・・・・・・?」

 親衛隊になったからって今までみたいに仲良くしてもらえなくなったら嫌だなぁって不安になって律を見上げてそう言うと、一瞬きょとんとした後すぐに破顔して、もちろん!って頷いてくれた。

 良かったぁ!律と他人行儀になるなんて寂しすぎるもんね。親衛隊の事はよくわからないけど、放課後お話しするんだったらその時に聞いてみよう。

 そんな事を思っていたら、今度は雪兎が僕の親衛隊に入りたいって言い出し始めてびっくりした。なんか律もノリノリなんだけど・・・・・・。え、親衛隊ってお友達で結成するものなの?

 困惑しながらお昼ご飯を食べたけど、やっぱりご飯は美味しくて、まぁよくわかんないけどいっか、って気持ちになったから美味しいご飯は偉大だよね。


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