黒猫ちゃんは愛される

抹茶もち

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夏休みが始まります

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 窓から差し込む明るい光に、ゆっくりと瞼を持ち上げる。ぐっすり眠っていたみたいでスッキリ爽快な目覚めです!

 パチリと目を開くと、僕の両隣に朝陽くんと夕陽くんが真ん中の僕に寄り添うように眠っていた。結局2人と一緒に寝たみたい。でも僕ベッドに移動した記憶無いし、誰かがここまで運んでくれたのかな?

 首を傾げつつも僕の鼻はキッチンから香る珈琲のいい香りを拾い、そちらに気が逸れる。月城兄弟はまだ気持ちよさそうに眠ってるし起こすのは可哀想だよね。

 2人を起こさないように気を付けながらソッとベッドを降りて寝室を出た。


「あ、遥。起きたのですね。おはようございます」

「遥くん!おはよう。よく眠れた?」


 寝室を出るとすぐ琉唯先輩と九条くんの声が聞こえてきた。キョロりと周囲を見渡すと2人はアイランドキッチンに立って珈琲を飲んでいた。

 2人とも立って珈琲飲んでるだけなのになんでこんなに絵になるの?

 琉唯先輩は寝起きのはずなのに完璧で全然隙がない、いつもの琉唯先輩って感じ。九条くんはいつも後ろで括っている髪の毛を下ろしていて、普段よりも中性的な雰囲気に感じた。2人ともとにかく綺麗だ。

 ぽおっと見惚れていると、九条くんにキョトンとしながら、遥くんまだ眠いの?って言われてしまった。


「ん?ごめん、2人とも立って珈琲飲んでるだけなのに綺麗で絵になるなぁって見惚れちゃってた。おはようございます。僕はぐっすり寝させてもらってスッキリだよ」


 そう言ってニコリと笑うと、2人とも目を丸くしてしまった。どうしたんだろう?

 キョトンとしていると、琉唯先輩が気を取り直したように微笑んだ。


「遥に綺麗と思っていただけるなら嬉しいですね」

「う、うん、俺も嬉しい。は、はるくんも珈琲飲む?あ、カフェオレの方がいいかな?」


 頬を染めてそう言ってくれる九条くんが可愛いし優しい。コクリと頷いてキッチンへ足を進めた。


「そういえば大和先輩と会長様は?お部屋に戻られてるんですか?」


 琉唯先輩が珈琲を、九条くんがミルクを入れてくれて、アイランドキッチンの向かい側に座った。2人も座ればいいのにって言ったけど、この並びでいいんだって。よく分かんないけど2人がいいならいいかと納得した所で、そういえば2人しか居ないなって気付いた。


「んーん、あそこ」

「大和はもともと寝坊助ですし、慧は昨日夜遅くまで持ち帰りの仕事をしていたみたいですからね。もう少し寝かしておこうかと放っているんです」


 なるほど、大和先輩はソファー下のふかふかラグでぐっすりだし、会長様はソファーでぐっすりだったみたい。全然気付かなかった。


「そうなんですね。それはゆっくりおやすみさせてあげたいですね。今日もお仕事あるんですか?」

「ええ。ですけど昨日双子が真面目に仕事をしてくれたのでだいぶ捗ったんですよ。だから今日はお昼からでも問題ないかと。遥のおかげですね。ありがとうございます」

「そうそう。あーちゃんとゆーちゃんはすぐ悪戯に走るからねぇ~。そんなところが雰囲気を明るくしてくれてるから助かってはいるんだけど、仕事は終わらないよね」


 ニッコリと笑う琉唯先輩に、ちょっと困った様に微笑む九条くん。なるほど、月城兄弟ってそんな悪戯っ子だったんだ。僕と一緒にいるときはあんまり悪戯してる所見た事ないから新鮮だ。


「そうなんですね。じゃあ朝陽くんと夕陽くんは生徒会の皆さんが大好きなんですね。僕は悪戯っ子な所なんてほぼ見た事が無いし。生徒会の皆んなになら悪戯しても受け止めてもらえるって信用して甘えてるんでしょうね。素敵な関係だと思います」


 ニコニコしながら思ったことを言うと、2人はまた目を丸くしたあと、嬉しそうに笑んでくれた。


「信頼して甘えてくれているのだとしたら嬉しいですね。でも俺は遥のそういうふうに人を見れる所もとても素敵だと思いますよ」

「俺もそう思う。やっぱり遥くんはすごいなぁ」


 そんな事を話していると、寝室の扉が開いた。朝陽くんと夕陽くんが目を擦りながら、はーちゃんどこぉ~?って手を繋いで眠そうに僕を探していて、すごく可愛かった。無いはずの母性を感じちゃいそう。


「朝陽くん、夕陽くん、おはよう。僕はここだよ。2人も何か飲む?」

「2人ともおはようございます。いい夢は見られましたか?」

「あーちゃんゆーちゃんおはよぉ~!珈琲にする?カフェオレにする?」

 まだ眠たげにしながらも僕達を視界に収めた2人は、パタパタと小走りに寄ってきて、僕を両側からぎゅうぎゅうと抱きしめた。


「みんなおはよぉ~」

「はーちゃん居なかったからびっくりしちゃったぁ」

「なんかたくさんいい夢見れた気がする~」

「「僕珈琲~!」」


 朝から息ぴったりな2人にふふっと頬を緩めながら、賑やかな朝を楽しんだ。


「そういえばはーちゃん!」

「昨日ね、皆で話し合ったんだけどね!」

「みーんなはーちゃんと一緒に過ごしたいんだって!」

「僕達が2人占めしたら皆んなが可哀想だから~」

「はーちゃんがもしよければなんだけど~」

「今日から日替わりでお部屋移動して順番こにはーちゃんと過ごしたいな~って話になったんだけど~」

「はーちゃんは嫌じゃない~?」

「「はーちゃんが嫌だったら、ずっとこの部屋でみんなで泊まればいいからさ~!」」


 珈琲を飲んで目が覚めたらしい2人に、伺うようにそう聞かれた。なるほど、昨日の話し合いはそんなふうに終結したんだね?僕急に人気者っぽくなってない?ポカンとしてる僕を見て、琉唯先輩がそっと付け足した。


「遥が皆で過ごしたいならそれでいいんですよ。でも、もし可能であれば1人ずつ俺たちと過ごして人となりを知ってもらいたいというか、もっと遥と仲良くなりたいというか・・・・・・。ダメでしょうか?」


 いつになく弱気な琉唯先輩に驚く。びっくりしてると九条くんも真剣な顔をして口を開く。


「俺も、もっと遥くんと仲良くなりたい、し、一緒に過ごせたらなって思う。遥くんの嫌がることは何もしないって皆誓うからさ、だめかな・・・・・・?」


 え?なんでみんなそんなに重大な決定を下されるみたいな雰囲気なの??これ、ただのお友達へのお泊まりのお誘いだよね??え?えぇ??

 重々しい空気にキョトりとしてしまう。


「え?僕だって皆と仲良くなれたら嬉しいし、何も問題ないです、よ・・・・・・?」


 僕がそう言った瞬間、琉唯先輩と九条くんは嬉しい!と花が綻ぶような笑みを浮かべて喜んでくれた。月城兄弟の方からはなぜかチッて舌打ちが聞こえたような気がしたんだけど・・・・・・気のせいだよね??

 そんなふうにして、日替わりで生徒会の人たちのお部屋を渡り歩く事になった。ちなみに今日は九条くんのお部屋らしい。でもさすがに行ってすぐ1人にされるのは困っちゃうよなって思ってたら、晩御飯は皆で食べようと思うから、このお部屋でまたいい子でお留守番しててって。

 大人数分ご飯の準備をするのは大変だろうから、今日からご飯はカフェのデリバリーにするから何も気にせず待っていてって言われたので、ありがたくそうさせてもらう事にした。

 コクリと頷き、起きてきた会長様と大和先輩を含めてお昼ご飯を食べた後、皆を行ってらっしゃいって送り出した。

 さて、昨日の続きでも見ながらみんなの帰りを待とうかなぁ~。


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