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実家に帰省しました
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「可愛い可愛い遥、最高に綺麗だ。何処にも出したくない・・・!」
『おにぃってば大袈裟だよ。おにぃのほうが格好いいよ。やっぱり着慣れてるのもあるのかな?馴染んでてすごくデキる男!って感じ!』
今日は人生初のパーティーの日。僕は学園に入学する前に採寸していたフルオーダーのスーツを着ている。でも僕、着るものにこだわり無いし正直センスにも自信がないからさ、嬉々として選びたがったおにぃにぜーんぶお任せしちゃった。そしたら僕が学園に行ってる間に家族総出でデザインを練って注文してくれたらしい。
ベースはチャコールグレーで薄い色の大きめなチェック柄が入っている柔らかい生地のスーツで、真っ白なシャツにボルドーのソリッドタイを合わせ、ポケットチーフもボルドーで合わせている。靴は明るめのブラウンの革靴で、ベルトもあわせて明るめのブラウンを使っている。僕の髪の毛は直毛で、セットしてもすぐ真っ直ぐに戻っちゃうから、少しオイルを馴染ませて艶を足したくらいで準備は終わった。
用意が終わって鏡を見たら、なんだか一気にオシャレな人みたいになってて、正直僕、スーツに着られちゃってない?って少し気後れしちゃったんだけど、家族全員大絶賛してくれたから気にするのはやめたんだ。家族フィルターかかってるとしても似合わなかったら流石に言ってくれるはずだしね。
おにぃは無地で艶感のあるネイビーのスーツで、ライトブルーの無地シャツにボルドーとネイビーのストライプタイを締め、ポケットチーフもボルドーで合わせている。靴は艶が出ている真っ黒な革靴で、ベルトも靴と同じ黒。おにぃの髪の毛は癖がつきやすい柔らかい髪質なので、全体を緩めに巻いた後、いつもセンターで分け下ろしている前髪の分け目を少し横にズラして立ち上がらせた後片側に流し、逆を耳に掛けておでこを出している。
シンプルなのにお洒落な雰囲気を出していてとっても格好良い。背も高いからシンプルにスーツが似合うよねぇ。
おにぃは僕のスーツ姿を見てテンションが爆あがりしているし、父さんはおにぃと僕を見ながら何故か目を潤ませていて、じい様はおにぃと僕の周りを動き回りながら写真を撮り続けてる。なんだか小学校の入学式を思い出しちゃったよ。
少し苦笑しつつ、時間大丈夫なの?と言うと3人とも正気に戻ったようにハッとして、お留守番のじい様に行ってきますをして、運転手が待つ車に乗り込んだ。
✱✱✱
ーーー・・・うわぁ。
今日は定期的に開催されている交流会みたいなもので、堅苦しいものというよりも顔繋ぎの場という意味合いが強いパーティーだからか、開催されているホテルの会場いっぱいの人が集まっていた。煌びやかな雰囲気に思わずポカンとしかけたけど、今日は僕のお披露目を兼ねて参加しているんだった、と気を引き締めなおした。
父さんとおにぃに連れられて、関わりのある家の方達へ挨拶回りをする。
さすがに社交をする中で無表情でいるのはよろしくないと思って、練習した通り少し口角を上げる。笑顔というには笑みが足らないけど、印象が柔らかくなるとおにぃのお墨付きだ。
おにぃは、遥は可愛くて綺麗すぎるから無表情なくらいがちょうど良いんだよ、って兄バカ炸裂してたけど、僕の愛想の無さのせいで家に迷惑かけたく無いからね、頑張った。
でもやっぱり僕の表情筋は愛想笑いをうまくしてくれなくて、口角を少し上げて維持する所までしかできなかったけど。
そんなふうに微笑を称えたまま次々と変わる相手に自己紹介を続けるというお仕事がひと段落した頃、いつも学園で聞いていた声が、いつもの声の大きさより随分小さな声で遥・・・?と僕を呼ぶ声が聞こえた。
『おにぃってば大袈裟だよ。おにぃのほうが格好いいよ。やっぱり着慣れてるのもあるのかな?馴染んでてすごくデキる男!って感じ!』
今日は人生初のパーティーの日。僕は学園に入学する前に採寸していたフルオーダーのスーツを着ている。でも僕、着るものにこだわり無いし正直センスにも自信がないからさ、嬉々として選びたがったおにぃにぜーんぶお任せしちゃった。そしたら僕が学園に行ってる間に家族総出でデザインを練って注文してくれたらしい。
ベースはチャコールグレーで薄い色の大きめなチェック柄が入っている柔らかい生地のスーツで、真っ白なシャツにボルドーのソリッドタイを合わせ、ポケットチーフもボルドーで合わせている。靴は明るめのブラウンの革靴で、ベルトもあわせて明るめのブラウンを使っている。僕の髪の毛は直毛で、セットしてもすぐ真っ直ぐに戻っちゃうから、少しオイルを馴染ませて艶を足したくらいで準備は終わった。
用意が終わって鏡を見たら、なんだか一気にオシャレな人みたいになってて、正直僕、スーツに着られちゃってない?って少し気後れしちゃったんだけど、家族全員大絶賛してくれたから気にするのはやめたんだ。家族フィルターかかってるとしても似合わなかったら流石に言ってくれるはずだしね。
おにぃは無地で艶感のあるネイビーのスーツで、ライトブルーの無地シャツにボルドーとネイビーのストライプタイを締め、ポケットチーフもボルドーで合わせている。靴は艶が出ている真っ黒な革靴で、ベルトも靴と同じ黒。おにぃの髪の毛は癖がつきやすい柔らかい髪質なので、全体を緩めに巻いた後、いつもセンターで分け下ろしている前髪の分け目を少し横にズラして立ち上がらせた後片側に流し、逆を耳に掛けておでこを出している。
シンプルなのにお洒落な雰囲気を出していてとっても格好良い。背も高いからシンプルにスーツが似合うよねぇ。
おにぃは僕のスーツ姿を見てテンションが爆あがりしているし、父さんはおにぃと僕を見ながら何故か目を潤ませていて、じい様はおにぃと僕の周りを動き回りながら写真を撮り続けてる。なんだか小学校の入学式を思い出しちゃったよ。
少し苦笑しつつ、時間大丈夫なの?と言うと3人とも正気に戻ったようにハッとして、お留守番のじい様に行ってきますをして、運転手が待つ車に乗り込んだ。
✱✱✱
ーーー・・・うわぁ。
今日は定期的に開催されている交流会みたいなもので、堅苦しいものというよりも顔繋ぎの場という意味合いが強いパーティーだからか、開催されているホテルの会場いっぱいの人が集まっていた。煌びやかな雰囲気に思わずポカンとしかけたけど、今日は僕のお披露目を兼ねて参加しているんだった、と気を引き締めなおした。
父さんとおにぃに連れられて、関わりのある家の方達へ挨拶回りをする。
さすがに社交をする中で無表情でいるのはよろしくないと思って、練習した通り少し口角を上げる。笑顔というには笑みが足らないけど、印象が柔らかくなるとおにぃのお墨付きだ。
おにぃは、遥は可愛くて綺麗すぎるから無表情なくらいがちょうど良いんだよ、って兄バカ炸裂してたけど、僕の愛想の無さのせいで家に迷惑かけたく無いからね、頑張った。
でもやっぱり僕の表情筋は愛想笑いをうまくしてくれなくて、口角を少し上げて維持する所までしかできなかったけど。
そんなふうに微笑を称えたまま次々と変わる相手に自己紹介を続けるというお仕事がひと段落した頃、いつも学園で聞いていた声が、いつもの声の大きさより随分小さな声で遥・・・?と僕を呼ぶ声が聞こえた。
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