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第2章
第10話 井戸から得られるもの
しおりを挟む俺達の拠点は西の森よりの中央の森にある。
そこから南の森にある井戸へは少し距離がある。
俺が前回通ったルートとほぼ同じくらいだろう。
トトだけならいいが、俺を乗せてとなるとやはり休憩が必要になる。
ほかのワイバーンに会ったら厄介なので、グランドツリーの近くで休もうと近づいたが、トトが物凄い勢いで拒絶した。
仕方なく中央の森にある木の穴で休む事にした。
「懐かしいな…前回はシュガーと一緒に此処へ隠れたっけ?」
確かワイバーンから隠れたんだったか…皮肉なものだな。
「キュイ!」
「ほら、これ食べたら行くからな。」
木の穴から飛び立つと上空へ上がりさっきと同じくらいの高度で南へ向かう。
「ん?どうしたトト、もう上昇しなくていいんだぞ?」
トトが羽搏きを一向にやめない。
右手を上に上げてみると風がない。
グランドツリーから離れれば離れる程風が吹かなくなるのか。
これでは体力の消耗が激しくなる。
「大丈夫か?トト。」
「キュイ!」
しかし高度を下げるとワイバーンに出くわす可能がある。
「なんとか井戸まで頑張ってくれ。」
「見えた!南の森だ。」
大きな切り株の群生地。もしかしたら、何処かにシュガーが居たりしてな。
なんて胸を躍らせていると、目的地が見えてきた。
「トト、井戸だ!あそこに降りてくれ。」
「キィ」
* * *
「た、大変だ!早く、早く皆んなに知らせないと!」
「っと、ストーップ!残念だったなぁウサギちゃん。」
「ぷ、プレイヤー。狙いはなんだ!作物や水は渡している筈だ!これ以上何を」
「あぁ、助かってるよ働きウサギのお陰で俺達は死なないでいられる。だけどなぁ…それだけなんだよ。」
「うわぁ!!」
「ほらほら!わざわざ井戸に来たのに水置いてっちゃダメだろ!馬鹿なウサギに親切で返してやったんだ、ちゃんと這い蹲って礼しろよ!」
「ぐえぁ!!………あ…ありがとうございます。」
「はぁ!?聞こえねーな!?」
「あ……ありが」
「もういいや。どうせ殺すんだしな!」
「ん……」
「ひゃぁ!?な何だ!?この水!うわッ何処から湧いてやがる!!」
「こらこらトト。行儀が悪いぞ。」
「だ、誰だお前ら!一体何をした!!」
「すみません。通りすがりの者ですが、少し野暮用で外出したのですが、それが存外長旅になりましてトイレ休憩もままならなかったものでして、誠にすみませんでした。」
「何だと!?じゃあコレは……ふざけるな!!さっさと木から降りて来てちゃんと謝れ!!逆光で何も見えないんだよ!!このクソ野郎が!」
「トト、down」
「キュイ!」
ドシンッ!!
「よっと。」
「わ、わわわわわわ」
「この度はウチの子が粗相してしまって大変申し訳ございませんでした。ほら、トトも謝りなさい。」
「キュイ?」
「おや?お取り込み中でしたか?」
「あー…いやいや!旅のお方お目が高い!今生きのいいウサギを捕まえましてね。どうですか1匹?そちらのペットの餌に丁度いいですよ?」
「早く……早く伝えない…と。」
「…なるほど。確かにまだ息があるようだ。」
「トト。」
ビュンッバキ!!
「ぎゃやぁぁぁぁ!!」
「平気ですよ大丈夫。少し両足が折れただけです。持ち物無し。味方はいないようですね。」
「ななな何でこんな事を!?」
「貴方もしたじゃないですか。では、こちらの非は謝りましたので言わせていただきますが、トトは果物しか食べないし、俺の大切な仲間をペットなんて下衆な言葉でかたるんじゃねぇ!!あと、自分がされて嫌な事は他にするなって習うだろ?」
「ゔわぁ!ぐふぅ…う…」
「ほら、ちゃんと這い蹲って謝れ!クソ野郎が!!」
「すぅ…すみません…てしだ!…ぅさひさん……」
「よし、いい子だ。」
負傷した彼の頭から足を退け、頬や体に付いた砂を払ってやると、
ドゴーン!!!!!!
ん!?何だ!?爆発音!?
「ギキァーーー!!」
トト!!
股の下をくぐるようにして気づいたらトトの背に乗せられていた。
「待てトト!危ないのは分かった。だがアイツらも運べるか?」
「ギー!」
「頼む、行けるところまで運んでくれ。」
トトは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて、水浸しのウサギをこっちへ放り、負傷した男を尾で巻いて空へ飛び立った。
ウサギを抱えながら後方を振り向くと、ファームの方向から真っ黒い煙が立ち上っていた。
『憎い』
ダメだ。今はそんな事考えてる場合じゃ
前方に視界を移すと果てしない暗黒。
暗い…憎い苦しい…憎い痛い…憎い熱い…怖い。
「ふぁはッ!!」
「だ、大丈夫ですか?酷くうなされてましたけど。」
「シュガー…シュガー!!」
「あ、いえ私はシュガー殿ではありません!」
「え…あ、すまない。」
「あの…離して頂けますか?」
「あぁ、悪い。」
「キュイ!キュイ!!」
「トト!無事だったか。怪我は無さそうだな。此処は何処だ?」
「今は南の森から中央の森にだいぶ入ったところです。プレイヤーは暴れるし、貴方は倒れるしで、一度休憩をとっていたのです。」
「成る程、ありがとう。俺はもう大丈夫だ。トト飛べるか?」
「キュイ!」
「よし、ならシェルターまで飛ぼう。」
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