エリートは迷わず勇者で無く魔王を選んだようです。

不知火美月

文字の大きさ
10 / 19

エリートは迷わず勇者で無く魔王を選んだようです。6

しおりを挟む
「勇者様!やっとこの国を救う決心がついたのですね!さぁ、此方へどうぞ、伝説の聖剣がこの城にはあるのです。その名もエクス」

五月蝿い、耳障りだ・・・

『いいか一煌、鷺ノ宮家はいつもトップでなければならない。
お前はその家の長男として生を得た、分かるな。
、それがお前だ。』

俺は――

「あ、脚が・・・動く」

気を失っていたゴブリンが目を覚ましたようだ。
悲鳴をあげ後退る姫の前に騎士長が立ち、ゴブリンに剣を向けた。

「勇者様、此方へお早く!」

騎士長が張り上げた声に驚いたのか、ゴブリンは武器を構えるどころか体を丸めて両の手で頭を抱えた。

その動きに2人は顔を引き攣らせ、刃をゴブリンの頭めがけて振り下ろす。

「待て」

既で止まった剣の下に潜り込むと、やはりゴブリンは怯え震えている。

「お前は、どうして武器を取らないんだ?」

俺の行動がそんなに異質だったのか、この部屋にいる全ての生き物が一様に驚きの反応をみせた。

「あ、え、いや・・・オイラだけじゃ、もうどうしようも無いし・・・」

俺は徐に彼の小さな盾と短剣を取り眺めていると、やはり数奇な視線を感じる。

「そうじゃない。この盾は傷だらけだが、短剣は綺麗で傷一つない。それにお前の手の平は女神の治癒でも治らない程に刻まれた傷跡が沢山・・・ん?これはマメの後か?皮膚も歪に固くなってるな?」

「な、何をしている!?触るな人間!!」

青い顔をしてゴブリンは勢い良く手を払うと、止まっていた時間が動き出したかの様に再び場の空気が緊迫し、騎士長は剣を構え直した。

「勇者様、危険です!コイツらに人の心はありません、言葉など通じるわけも無い。早く息の根を止めないと!」

騒音を背中で受け止めながら、俺は再度ゴブリンと向き合った。
すると恐る恐るゴブリンは語り始めた。

「お、オイラは刃が嫌いだ。刃は壊すばかりで何も生み出さない、オイラは作る事が好きなんだ。皆は変だって言うけど・・・」

そうか――
願い、それが夢――

「凄いな君は、この俺がとどきえない地にいるとは――
決めた、その願いは俺が叶える」

「え!?あの・・・手放して貰えますか?」

目的は決まった。後はそこに向かうだけだ、最短でな!

「ななななな何を言ってるんですか!!!?
勇者様はこの国を救うと女神様と約束されましたよねーーーーーーー!!!!!!!!!!
ねーーー??バルドーーー??」

「は、はい!確かに誓われました姫様!」

そんな期待満々のドヤ顔を向けられても俺は知らん。何度も何度もな、ん、ど、も繰り返すが、この話は3ページまでで終わっているんだ。

「女神にはこのを救うと誓ったんだ。誰もこのとは言っていない。
最初にも言ったが、俺がつくのは魔族側だ。
俺は鷺ノ宮さぎのみや一煌いつき
今、この瞬間よりを冠する者だ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...