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訪問者
訪問者・6〈李玖と牧之原〉
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藤代さまがご学友の皆様を玄関まで見送られてリビングに戻ってこられた。私はリビングの柱の陰から姿を現し、彼からの指示を待った。
「マキ、報告を」
「は、盗みをはたらく者や、カメラや盗聴器その他の危険物を設置する者はおりませんでした。ただ一人、前から行動を危ぶんでいた例の者だけが、人目を盗んで部屋の様子を携帯カメラに収めております」
「では引き続きその者の監視を。その者に指示を出したであろう人物の洗い出しも早急に」
「はっ」
マンションのコンシェルジュをしている私こと牧ノ原行利は、藤代李玖の隠密である。隠密とは稀少種を主と仰いで手足となり、主命を遂行する者である。今回は気配を消して招き入れた訪問者達の動向を監視していた。
報告を終えた私は頭を下げ、一礼した姿勢を保った──
暫くその姿勢のままでいると彼から声が掛かった。
「もういいですよ、任務は終了です。どうぞ好きなだけ笑ってください」
「……っ、ふ、ふふっ。ふふふ、あーっはっはっは」
李玖くんは苦笑いになった。下を向いてても肩が震えていただろうから笑ってるのがバレてたな。
「だって見たかい、涼平くんのあの顔!胡散臭いって顔にありありと書いてあったじゃないか。李玖くんかなり怪しい人だと思われたね。焦りすぎだよ」
私は彼の手足となる隠密であるが、同時に友人でもある。李玖くんは子供のいなかった私には子供のようなものだが、年の差を考えると祖父みたいなものもしれない。
「でも絶好のチャンスだったんですよ。あの構造式が理解できて、かつ発表してもおかしくないような人ってなかなか見つからなくて。すぐにでも公表できるような人が何処かにいないかと探していたから、涼平くんが理解してくれたのが嬉しくて渡りに船だと飛びついてしまいました」
「そんな事情を彼は知らないからね。結局は胡散臭さを印象付けただけで逃げられちゃった。ああ、おっかしいの」
涼平くんが見た構造式は、李玖くんがやっと解明してくれた難病の組成式だ。
今こうしている間にもその難病で亡くなっていく者がいるのだ。焦れる気持ちも分かる。一刻も早く特効薬を作って犠牲者を止めたいところだが、薬は一般人に製造して欲しいのだ。
稀少種から薬を与えられるのを待つのではなく、多少誘導しても皆の力で新薬を生み出さなければならない。
「大学の生物工学科の小早川教授に話を振ってごらん。彼は免疫工学の博士号を持っているし、彼のラボには遺伝子工学の設備が整っているよ。李玖くんが上手くヒントを出したなら、短い日数で答えに辿りつく筈だ」
「小早川教授……彼は確か僕のゼミの教授と親しかった筈です。分かりました、それとなく話題にしてみます」
「成功を祈ってるよ」
李玖くんが通っている大学は昔僕の隠密をしていた友人が設立した大学で、僕にも多少馴染みがあった。小早川教授なら人柄を知っている。βだが努力家で知識も豊富だから、彼ならどんなに苦労を重ねても答えに辿り着ける筈だ。
「そうだ、薬と言えば、例の秘薬はやはり……」
「ああ、天沼商会のからくりのアレですね」
美と健康の天沼商会。
「あそこの発展ぶりは何かあると思っていたけど、まさかあの薬を使っていたとはね。驚いたよ。彼らは自分たちが使っているものが本物だとは夢にも思っていないだろうね。それが分かっただけでも李玖くんお手柄だよ」
「それは牧之原さんが油断させてくれたからですよ」
「お蔭でうちのマンションはザルだと思われたけどね。それで口が軽くなったなら狙い通りだ。淳也くんは侵入してくる気満々だよ。どうする?李玖くん誘惑されちゃう?」
李玖くんは肩を竦めた。
「申し訳ないのですが僕の好みじゃないんです」
「だよね。ボクもあんなにグイグイ来られたら引いちゃうな。良かった、僕は君を始末しなくて済みそうだ。で?番にするなら控えめで守りたくなるような子がいいよね。やっぱり綾音ちゃん?」
「そうですね、このままだったら綾音さんだったでしょうね。そして二人とも引き取ったと思います。でも僕、実は恋に落ちまして」
なんと。李玖くんが恋!
「李玖くんに恋バナ!なんだ水くさいな、そんな子がいるならすぐに教えてくれなきゃ。どんな子なの?李玖くんが恋に落ちただなんて、よっぽどの美人さんなんだろ?何処で知り合ってどういうところに惚れたの」
矢継ぎ早に聞いたら、李玖くんは思案するように視線をさまよわせ、何かを思い出したのだろう柔らかく笑った。
「そうですね、優しい子です。飲み会に行くと人の世話を焼いてばかりでよく食いっぱぐれてるから、遠くで見ててハラハラしてます。それから人の悲しみや苦しみに敏感で、自分の痛みと苦しみは我慢してしまう子です。だから人を傷付けずに自分が傷付いてばかりいる。でも決して弱いだけの子ではありません。怒りのオーラが出ていた僕を止めたんですよ?震えていたのに手を離さなかったんです。それが僕を思っての勇気だったから、僕はあの子を振りほどけなかった。晶馬くんは優しくて勇気のある子です。僕はあの子に我慢をさせたくない。傍にいて悲しみや苦しみを少しでも遠ざけたい」
なんて優しい顔をするんだろう。それが彼の痛みを思い出したのか、切ない表情になった。李玖くんにとってその子は本当に何よりも大事な人なんだね。
「いい人に出会えたね」
「ええ。でもその子、運命の相手と出会ってしまったんです」
「!」
なんという事だ!
「李玖くん、それは……もう諦めるしか……」
「でもその相手が悪い」
李玖くんのオーラが急速に冷えてゆく。
「彼はΩに何かしらの思いを抱いているらしく、その子を見ていない。惹かれ合う筈の二人なのに無理に反発してるから、憎しみをぶつけられてる晶馬くんはボロボロに傷付けられてるんです。晶馬くんが幸せなら諦めもついたかもしれません。でも、そうじゃないから諦めません」
奪い返します──
李玖くんの目には強い意志が宿っていた。
なんという試練だ。
稀少種にとって、愛する者の存在は世界と引き換えにしても手に入れたい宝であり、希望だ。時として稀少種は、愛する者を求めて犯罪紛いの行いまでしてしまう程だ。
李玖くんにやっと大切な存在が出来たというのに。
運命から奪い返すのは容易い事ではない。
「なんて顔してるんですか。僕はラッキーなんですよ?だって好きになった子が運命の相手と出会ったのに、諦めなくていいんですから。大丈夫です、絶対救ってみせます。僕はあの子を苦しみから解放する」
僕に言ってるようで自分に言っているかの如き口調だった。
多分、失敗はその子の死──
僕にできることは彼らの無事を祈ることだけだ。
「李玖くん、ちょっとここで待っててくれないか?君に渡したい物ができたよ」
「はい」
僕は急いで自分の部屋に戻った。
亡き妻の部屋に入り、彼女のドレッサーの引き出しから小箱を持ち出す。
(私達がまだ彼に出来ることがあったのね、嬉しい)
きっと彼女はそういって喜んでくれた筈だ。急いで李玖くんの元に戻り、小箱を差し出した。
「これは……」
「幸運の子馬だよ。叶がどなたかに頂いたものなんだ。この子馬は幸運を運んで来てくれると言われてるから、李玖くんと君の好きな子の安全を願って託すよ」
「奥様の……そんな大事なもの、受け取れません」
「遠慮はいらないよ。彼女も幸せを願って託された。今度は私達が李玖くんとその子の幸せを願って託す番だ。きっと子馬は君たちの元に幸せを運んで来てくれる」
「野原さん……」
おや、古い名前で呼んだね。でも今私はもう君の影、マキノハラだ。
「受け取って、李玖くん。そして絶対成功させなさい」
「はい。……ありがとうございます」
運命はなんて残酷なんだ。
私達は願いを子馬に託して君とその子の明るい未来を祈るよ。
「君達が番になったら、その子をこのマンションに連れてきて紹介しておくれ。その時は正式にコンシェルジュの格好で出迎えるから」
「ええ、是非」
いつの日か、そう遠くない日に。
李玖くんが連れて来てくれる日を信じて待ってるよ。
子馬よ子馬、彼らに幸せを運んでおくれ──
子馬は願いを乗せて彼らの元へと走って行った。
「マキ、報告を」
「は、盗みをはたらく者や、カメラや盗聴器その他の危険物を設置する者はおりませんでした。ただ一人、前から行動を危ぶんでいた例の者だけが、人目を盗んで部屋の様子を携帯カメラに収めております」
「では引き続きその者の監視を。その者に指示を出したであろう人物の洗い出しも早急に」
「はっ」
マンションのコンシェルジュをしている私こと牧ノ原行利は、藤代李玖の隠密である。隠密とは稀少種を主と仰いで手足となり、主命を遂行する者である。今回は気配を消して招き入れた訪問者達の動向を監視していた。
報告を終えた私は頭を下げ、一礼した姿勢を保った──
暫くその姿勢のままでいると彼から声が掛かった。
「もういいですよ、任務は終了です。どうぞ好きなだけ笑ってください」
「……っ、ふ、ふふっ。ふふふ、あーっはっはっは」
李玖くんは苦笑いになった。下を向いてても肩が震えていただろうから笑ってるのがバレてたな。
「だって見たかい、涼平くんのあの顔!胡散臭いって顔にありありと書いてあったじゃないか。李玖くんかなり怪しい人だと思われたね。焦りすぎだよ」
私は彼の手足となる隠密であるが、同時に友人でもある。李玖くんは子供のいなかった私には子供のようなものだが、年の差を考えると祖父みたいなものもしれない。
「でも絶好のチャンスだったんですよ。あの構造式が理解できて、かつ発表してもおかしくないような人ってなかなか見つからなくて。すぐにでも公表できるような人が何処かにいないかと探していたから、涼平くんが理解してくれたのが嬉しくて渡りに船だと飛びついてしまいました」
「そんな事情を彼は知らないからね。結局は胡散臭さを印象付けただけで逃げられちゃった。ああ、おっかしいの」
涼平くんが見た構造式は、李玖くんがやっと解明してくれた難病の組成式だ。
今こうしている間にもその難病で亡くなっていく者がいるのだ。焦れる気持ちも分かる。一刻も早く特効薬を作って犠牲者を止めたいところだが、薬は一般人に製造して欲しいのだ。
稀少種から薬を与えられるのを待つのではなく、多少誘導しても皆の力で新薬を生み出さなければならない。
「大学の生物工学科の小早川教授に話を振ってごらん。彼は免疫工学の博士号を持っているし、彼のラボには遺伝子工学の設備が整っているよ。李玖くんが上手くヒントを出したなら、短い日数で答えに辿りつく筈だ」
「小早川教授……彼は確か僕のゼミの教授と親しかった筈です。分かりました、それとなく話題にしてみます」
「成功を祈ってるよ」
李玖くんが通っている大学は昔僕の隠密をしていた友人が設立した大学で、僕にも多少馴染みがあった。小早川教授なら人柄を知っている。βだが努力家で知識も豊富だから、彼ならどんなに苦労を重ねても答えに辿り着ける筈だ。
「そうだ、薬と言えば、例の秘薬はやはり……」
「ああ、天沼商会のからくりのアレですね」
美と健康の天沼商会。
「あそこの発展ぶりは何かあると思っていたけど、まさかあの薬を使っていたとはね。驚いたよ。彼らは自分たちが使っているものが本物だとは夢にも思っていないだろうね。それが分かっただけでも李玖くんお手柄だよ」
「それは牧之原さんが油断させてくれたからですよ」
「お蔭でうちのマンションはザルだと思われたけどね。それで口が軽くなったなら狙い通りだ。淳也くんは侵入してくる気満々だよ。どうする?李玖くん誘惑されちゃう?」
李玖くんは肩を竦めた。
「申し訳ないのですが僕の好みじゃないんです」
「だよね。ボクもあんなにグイグイ来られたら引いちゃうな。良かった、僕は君を始末しなくて済みそうだ。で?番にするなら控えめで守りたくなるような子がいいよね。やっぱり綾音ちゃん?」
「そうですね、このままだったら綾音さんだったでしょうね。そして二人とも引き取ったと思います。でも僕、実は恋に落ちまして」
なんと。李玖くんが恋!
「李玖くんに恋バナ!なんだ水くさいな、そんな子がいるならすぐに教えてくれなきゃ。どんな子なの?李玖くんが恋に落ちただなんて、よっぽどの美人さんなんだろ?何処で知り合ってどういうところに惚れたの」
矢継ぎ早に聞いたら、李玖くんは思案するように視線をさまよわせ、何かを思い出したのだろう柔らかく笑った。
「そうですね、優しい子です。飲み会に行くと人の世話を焼いてばかりでよく食いっぱぐれてるから、遠くで見ててハラハラしてます。それから人の悲しみや苦しみに敏感で、自分の痛みと苦しみは我慢してしまう子です。だから人を傷付けずに自分が傷付いてばかりいる。でも決して弱いだけの子ではありません。怒りのオーラが出ていた僕を止めたんですよ?震えていたのに手を離さなかったんです。それが僕を思っての勇気だったから、僕はあの子を振りほどけなかった。晶馬くんは優しくて勇気のある子です。僕はあの子に我慢をさせたくない。傍にいて悲しみや苦しみを少しでも遠ざけたい」
なんて優しい顔をするんだろう。それが彼の痛みを思い出したのか、切ない表情になった。李玖くんにとってその子は本当に何よりも大事な人なんだね。
「いい人に出会えたね」
「ええ。でもその子、運命の相手と出会ってしまったんです」
「!」
なんという事だ!
「李玖くん、それは……もう諦めるしか……」
「でもその相手が悪い」
李玖くんのオーラが急速に冷えてゆく。
「彼はΩに何かしらの思いを抱いているらしく、その子を見ていない。惹かれ合う筈の二人なのに無理に反発してるから、憎しみをぶつけられてる晶馬くんはボロボロに傷付けられてるんです。晶馬くんが幸せなら諦めもついたかもしれません。でも、そうじゃないから諦めません」
奪い返します──
李玖くんの目には強い意志が宿っていた。
なんという試練だ。
稀少種にとって、愛する者の存在は世界と引き換えにしても手に入れたい宝であり、希望だ。時として稀少種は、愛する者を求めて犯罪紛いの行いまでしてしまう程だ。
李玖くんにやっと大切な存在が出来たというのに。
運命から奪い返すのは容易い事ではない。
「なんて顔してるんですか。僕はラッキーなんですよ?だって好きになった子が運命の相手と出会ったのに、諦めなくていいんですから。大丈夫です、絶対救ってみせます。僕はあの子を苦しみから解放する」
僕に言ってるようで自分に言っているかの如き口調だった。
多分、失敗はその子の死──
僕にできることは彼らの無事を祈ることだけだ。
「李玖くん、ちょっとここで待っててくれないか?君に渡したい物ができたよ」
「はい」
僕は急いで自分の部屋に戻った。
亡き妻の部屋に入り、彼女のドレッサーの引き出しから小箱を持ち出す。
(私達がまだ彼に出来ることがあったのね、嬉しい)
きっと彼女はそういって喜んでくれた筈だ。急いで李玖くんの元に戻り、小箱を差し出した。
「これは……」
「幸運の子馬だよ。叶がどなたかに頂いたものなんだ。この子馬は幸運を運んで来てくれると言われてるから、李玖くんと君の好きな子の安全を願って託すよ」
「奥様の……そんな大事なもの、受け取れません」
「遠慮はいらないよ。彼女も幸せを願って託された。今度は私達が李玖くんとその子の幸せを願って託す番だ。きっと子馬は君たちの元に幸せを運んで来てくれる」
「野原さん……」
おや、古い名前で呼んだね。でも今私はもう君の影、マキノハラだ。
「受け取って、李玖くん。そして絶対成功させなさい」
「はい。……ありがとうございます」
運命はなんて残酷なんだ。
私達は願いを子馬に託して君とその子の明るい未来を祈るよ。
「君達が番になったら、その子をこのマンションに連れてきて紹介しておくれ。その時は正式にコンシェルジュの格好で出迎えるから」
「ええ、是非」
いつの日か、そう遠くない日に。
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