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消えた子犬
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日曜日を挟んだ月曜日の朝。
俺は、いつものようにタバコを公園で吸おうとして…やめた。
佐藤先輩と約束した手前、禁煙に成功しないと、先輩の連絡先は教えてもらえない。
最も、今度から木村部長のホテルに遊びに行く時は事前に知らせてくれるらしいから、吸っちまっても良いのかもしれないが、先輩との信頼関係を壊したくはなかった。
学園まで今日は歩いて行く事に決めた。
遅刻しても構うものか。
担任の春日部はうるさいだろうが、俺はコンビニに寄って、スイーツ雑誌の最新号を立ち読みしてから行こうと思っていた。
鈴木の言ってたケーキバイキングに行くのも楽しみだ。
鈴木も、ああ見えて甘いもんが好きなんだろうか?
意外な気もするが、それは、はたから見たら俺もかもしれない。
コンビニに入って、雑誌を見ていると、ケーキバイキング特集の記事を見つけた。
期間は…次の休みの日から、か。
詳細が載っているという、QRコードを携帯で読み取ろうとした俺は、カバンから携帯を取り出したところでタイミングよくメールが来た事に少し驚いた。
画面を見てみると、鈴木からだった。
真面目な鈴木なら、もう教室には着いているはずだ。
まさか、もうケーキバイキングの日程が届いたのか?
不審に思いながらも、俺はメールを読もうとメール画面を開く。
…何だって?
メールを読んだ俺は、田中に車で送らせなかったことに舌打ちをした。
急遽、学園まで急ぐ事にした俺は、携帯でQRコードを手早く読み取ってコンビニを出た。
鈴木からのメールには、こう書かれていた。
『千夜くん、助けて下さい。体育館裏に居るはずの子犬が見つかりません』
途中から急いだ為か、登校時間内に学園に着いた俺は先ず体育館裏に向かった。
するとそこには、しゃがんでうなだれている鈴木が居た。
「鈴木!」
俺の声に、鈴木は顔を上げた。
よく見ると、ドッグフードの袋を握り締めている。
子犬にあげようとしてたのだろう。
確かに、いつも鈴木に尻尾を振っていた子犬の姿は無かった。
「千夜くん…僕はどうしたらいいんでしょう…」
「泣きそうな声出すな!散歩に行っているかもしれないだろ?他の場所は探してみたのか?」
「探しました!でも…見つからないんです…」
鈴木は再びうなだれた。
犬は人に懐くと言うから、自分から他の誰かに付いて行ったとは考え難い。
子犬だから、誰かが「可愛い」と言って連れて行っちまったのだろうか?
最悪、教師に見つかって保健所に連れて行かれたのかもしれないが、その事は流石に鈴木には言えなかった。
「泣くな、鈴木!とりあえず放課後まで様子を見よう。もしかしたら、ひょっこり帰ってくるかもしれないだろ?」
「はい…」
「俺も今日は放課後、部活休んで一緒に探すからさ。今ならまだ遅刻せずに済む。ドッグフードの袋は見つからないように、そこの茂みに隠しておけよ」
「はい…済みません…千夜くん…巻き込んでしまって…」
今にも泣きそうな表情をした鈴木は、ヨロヨロと立ち上がると、俺に言われた通り、ドッグフードの袋を茂みの中に置いて隠した。
「構わねーよ。大切な存在が居なくなるのは誰だって辛いだろ」
俺は、パティシエに興味を持つきっかけを作ってくれて、死んだばーちゃんの事を思い出しながら、そう言った。
一応放課後になったら、一旦部室に行って佐藤先輩に断りを入れた方がいいかもしれないな。
筋を通すなら、木村部長に言うべきだろうが、俺の中では、部活と言えば佐藤先輩だった。
状況次第では今日は先輩と一緒に帰って、アパートまで行けないかもしれないが、仕方ねー。
俺は元気のない鈴木の背中を叩いて、一緒に教室に向かった。
俺は授業をサボって鈴木の子犬を探してみたが、確かに見つからない。
休み時間や昼休みには、鈴木と手分けして探してみたが、それでも見つからない。
これだけ探しているのに見つからないのは、おかしい。
鈴木には言えないが、何かあったとしか思えなかった。
とうとう放課後になっちまったじゃねーか。
俺は鈴木に、直ぐに体育館裏に戻ると言って部室に向かった。
佐藤先輩と過ごせないのは残念だが、今の鈴木を1人にはさせられない。
ところが部室に着いて、ドアを開けた途端に、うるさい奴に捕まった。
「保ー、会いたかったよー。どうして、見舞いに来てくれなかったのさー?」
久しぶりに見た山村は頭に包帯を巻いていたが、以前のように元気そうだ。
「見舞いに行くほど仲良かったか?」
「酷い!僕、頭打ったせいか、階段から落ちた記憶が戻ってないけど、プールで保が助けてくれたのは、覚えてるのに!」
「そりゃ良かったな。ところで、佐藤先輩はどこだ?」
「そう言えば佐藤先輩も、お見舞いに来てくれなかった…」
「それは残念だったな」
「山村くーん。僕はお見舞いに行ったでしょー?」
ウザい木村部長までやって来るが、肝心の佐藤先輩は見当たらない。
と、後ろからその先輩の声が聞こえた。
「ここは、出入り口だぞ。保や俺が中に入れないじゃないか」
「「「佐藤」先輩!」」
3人の声が重なる。
俺は先輩に言った。
「悪いな、先輩。今日は部活には出られない」
「何?」「えっ!そうなの?」「千夜くーん、そう言う事は部長である僕に言ってー」
山村と木村部長の反応は置いておいて、俺は眉をひそめた佐藤先輩に続けて言う。
「ダチの大切なものが見つからないんだ。今のアイツを1人にはさせられない」
「そうか…わかった」「「えー」」
先輩は、他の2人同様ガッカリしたようだが、解ってくれたようだ。
「そんなあー」「仕方ないねー」
山村と木村部長は、ほっとくとしよう。
俺の後ろにいた佐藤先輩は、俺が通れるように、横にずれてくれる。
「サンキュー、先輩。また今度、アパートまで行くからよ!」
「逆効果だったか…」
先輩が小さな声で何か言ったようだが、急いでいた俺は聞き返す事はせずに、体育館裏に向かった。
いちるの望みにかけて体育館裏に行った俺だったが、やっぱ、鈴木1人しか居なかった。
「鈴木!」
「千夜くん…僕はもう諦めます…」
呆然と突っ立ったままメガネを外して鈴木は涙声で言う。
「鈴木…」
「済みません、千夜くん…今だけ肩を貸して下さい…」
鈴木は俺の肩に額を乗せた。
「うっ…うっ…うあああ…!」
いつも涼しい顔をしてる鈴木が泣くなんてな…。
俺は鈴木の頭を右手で押さえながら、空を見上げる。
一体鈴木の子犬はどうしちまったんだ。
皮肉にも、綺麗な青空を俺は睨みつけながら思った。
せめて鈴木の子犬が、良い奴に連れてかれて、大切に飼われているように、と。
「済みませんでした。取り乱してしまって…もう大丈夫です」
完全には立ち直っていないだろうが、ひとしきり泣いて心が落ち着いたのか、鈴木はそう言うと、俺から額を離した。
そう言や、手を怪我した時に手当てしてくれた鈴木に、まだハンカチを返していない事を俺は思い出す。
「ほらよ。これでお互い様だろ」
ハンカチを返すと鈴木は一瞬驚いたようだが、直ぐにハンカチを受け取った。
「ありがとうございます。洗って下さったんですね」
「ああ。俺のせいだからな」
鈴木はハンカチで涙を拭くとメガネを掛けた。
泣き腫らした目をしているが、それ以外は元の鈴木だ。
「家まで送る」
「いえ、大丈夫です。その代わり途中まで一緒に帰りませんか?」
「ああ、わかったよ」
俺と鈴木は途中までとは言え、初めて一緒に下校した。
今日は親父が居るから夕食は作れなかった。
久しぶりに屋敷で夕食を食べてから、自室に戻ると、ベッドの上に置いてあった携帯が点滅している。
見ると、鈴木からのメールだった。
『千夜くん、今日はありがとうございました』
鈴木…律儀な奴だ。
俺はベッドに横になると、鈴木に返信した。
『気にすんなよ。今日はゆっくり休め』
少しして、鈴木から返信が来た。
どうやら、携帯の近くにいるようだ。
『はい。ありがとうございます』
俺はしばらく返信するかどうか考えてたが、そのまま眠っちまった。
俺は、いつものようにタバコを公園で吸おうとして…やめた。
佐藤先輩と約束した手前、禁煙に成功しないと、先輩の連絡先は教えてもらえない。
最も、今度から木村部長のホテルに遊びに行く時は事前に知らせてくれるらしいから、吸っちまっても良いのかもしれないが、先輩との信頼関係を壊したくはなかった。
学園まで今日は歩いて行く事に決めた。
遅刻しても構うものか。
担任の春日部はうるさいだろうが、俺はコンビニに寄って、スイーツ雑誌の最新号を立ち読みしてから行こうと思っていた。
鈴木の言ってたケーキバイキングに行くのも楽しみだ。
鈴木も、ああ見えて甘いもんが好きなんだろうか?
意外な気もするが、それは、はたから見たら俺もかもしれない。
コンビニに入って、雑誌を見ていると、ケーキバイキング特集の記事を見つけた。
期間は…次の休みの日から、か。
詳細が載っているという、QRコードを携帯で読み取ろうとした俺は、カバンから携帯を取り出したところでタイミングよくメールが来た事に少し驚いた。
画面を見てみると、鈴木からだった。
真面目な鈴木なら、もう教室には着いているはずだ。
まさか、もうケーキバイキングの日程が届いたのか?
不審に思いながらも、俺はメールを読もうとメール画面を開く。
…何だって?
メールを読んだ俺は、田中に車で送らせなかったことに舌打ちをした。
急遽、学園まで急ぐ事にした俺は、携帯でQRコードを手早く読み取ってコンビニを出た。
鈴木からのメールには、こう書かれていた。
『千夜くん、助けて下さい。体育館裏に居るはずの子犬が見つかりません』
途中から急いだ為か、登校時間内に学園に着いた俺は先ず体育館裏に向かった。
するとそこには、しゃがんでうなだれている鈴木が居た。
「鈴木!」
俺の声に、鈴木は顔を上げた。
よく見ると、ドッグフードの袋を握り締めている。
子犬にあげようとしてたのだろう。
確かに、いつも鈴木に尻尾を振っていた子犬の姿は無かった。
「千夜くん…僕はどうしたらいいんでしょう…」
「泣きそうな声出すな!散歩に行っているかもしれないだろ?他の場所は探してみたのか?」
「探しました!でも…見つからないんです…」
鈴木は再びうなだれた。
犬は人に懐くと言うから、自分から他の誰かに付いて行ったとは考え難い。
子犬だから、誰かが「可愛い」と言って連れて行っちまったのだろうか?
最悪、教師に見つかって保健所に連れて行かれたのかもしれないが、その事は流石に鈴木には言えなかった。
「泣くな、鈴木!とりあえず放課後まで様子を見よう。もしかしたら、ひょっこり帰ってくるかもしれないだろ?」
「はい…」
「俺も今日は放課後、部活休んで一緒に探すからさ。今ならまだ遅刻せずに済む。ドッグフードの袋は見つからないように、そこの茂みに隠しておけよ」
「はい…済みません…千夜くん…巻き込んでしまって…」
今にも泣きそうな表情をした鈴木は、ヨロヨロと立ち上がると、俺に言われた通り、ドッグフードの袋を茂みの中に置いて隠した。
「構わねーよ。大切な存在が居なくなるのは誰だって辛いだろ」
俺は、パティシエに興味を持つきっかけを作ってくれて、死んだばーちゃんの事を思い出しながら、そう言った。
一応放課後になったら、一旦部室に行って佐藤先輩に断りを入れた方がいいかもしれないな。
筋を通すなら、木村部長に言うべきだろうが、俺の中では、部活と言えば佐藤先輩だった。
状況次第では今日は先輩と一緒に帰って、アパートまで行けないかもしれないが、仕方ねー。
俺は元気のない鈴木の背中を叩いて、一緒に教室に向かった。
俺は授業をサボって鈴木の子犬を探してみたが、確かに見つからない。
休み時間や昼休みには、鈴木と手分けして探してみたが、それでも見つからない。
これだけ探しているのに見つからないのは、おかしい。
鈴木には言えないが、何かあったとしか思えなかった。
とうとう放課後になっちまったじゃねーか。
俺は鈴木に、直ぐに体育館裏に戻ると言って部室に向かった。
佐藤先輩と過ごせないのは残念だが、今の鈴木を1人にはさせられない。
ところが部室に着いて、ドアを開けた途端に、うるさい奴に捕まった。
「保ー、会いたかったよー。どうして、見舞いに来てくれなかったのさー?」
久しぶりに見た山村は頭に包帯を巻いていたが、以前のように元気そうだ。
「見舞いに行くほど仲良かったか?」
「酷い!僕、頭打ったせいか、階段から落ちた記憶が戻ってないけど、プールで保が助けてくれたのは、覚えてるのに!」
「そりゃ良かったな。ところで、佐藤先輩はどこだ?」
「そう言えば佐藤先輩も、お見舞いに来てくれなかった…」
「それは残念だったな」
「山村くーん。僕はお見舞いに行ったでしょー?」
ウザい木村部長までやって来るが、肝心の佐藤先輩は見当たらない。
と、後ろからその先輩の声が聞こえた。
「ここは、出入り口だぞ。保や俺が中に入れないじゃないか」
「「「佐藤」先輩!」」
3人の声が重なる。
俺は先輩に言った。
「悪いな、先輩。今日は部活には出られない」
「何?」「えっ!そうなの?」「千夜くーん、そう言う事は部長である僕に言ってー」
山村と木村部長の反応は置いておいて、俺は眉をひそめた佐藤先輩に続けて言う。
「ダチの大切なものが見つからないんだ。今のアイツを1人にはさせられない」
「そうか…わかった」「「えー」」
先輩は、他の2人同様ガッカリしたようだが、解ってくれたようだ。
「そんなあー」「仕方ないねー」
山村と木村部長は、ほっとくとしよう。
俺の後ろにいた佐藤先輩は、俺が通れるように、横にずれてくれる。
「サンキュー、先輩。また今度、アパートまで行くからよ!」
「逆効果だったか…」
先輩が小さな声で何か言ったようだが、急いでいた俺は聞き返す事はせずに、体育館裏に向かった。
いちるの望みにかけて体育館裏に行った俺だったが、やっぱ、鈴木1人しか居なかった。
「鈴木!」
「千夜くん…僕はもう諦めます…」
呆然と突っ立ったままメガネを外して鈴木は涙声で言う。
「鈴木…」
「済みません、千夜くん…今だけ肩を貸して下さい…」
鈴木は俺の肩に額を乗せた。
「うっ…うっ…うあああ…!」
いつも涼しい顔をしてる鈴木が泣くなんてな…。
俺は鈴木の頭を右手で押さえながら、空を見上げる。
一体鈴木の子犬はどうしちまったんだ。
皮肉にも、綺麗な青空を俺は睨みつけながら思った。
せめて鈴木の子犬が、良い奴に連れてかれて、大切に飼われているように、と。
「済みませんでした。取り乱してしまって…もう大丈夫です」
完全には立ち直っていないだろうが、ひとしきり泣いて心が落ち着いたのか、鈴木はそう言うと、俺から額を離した。
そう言や、手を怪我した時に手当てしてくれた鈴木に、まだハンカチを返していない事を俺は思い出す。
「ほらよ。これでお互い様だろ」
ハンカチを返すと鈴木は一瞬驚いたようだが、直ぐにハンカチを受け取った。
「ありがとうございます。洗って下さったんですね」
「ああ。俺のせいだからな」
鈴木はハンカチで涙を拭くとメガネを掛けた。
泣き腫らした目をしているが、それ以外は元の鈴木だ。
「家まで送る」
「いえ、大丈夫です。その代わり途中まで一緒に帰りませんか?」
「ああ、わかったよ」
俺と鈴木は途中までとは言え、初めて一緒に下校した。
今日は親父が居るから夕食は作れなかった。
久しぶりに屋敷で夕食を食べてから、自室に戻ると、ベッドの上に置いてあった携帯が点滅している。
見ると、鈴木からのメールだった。
『千夜くん、今日はありがとうございました』
鈴木…律儀な奴だ。
俺はベッドに横になると、鈴木に返信した。
『気にすんなよ。今日はゆっくり休め』
少しして、鈴木から返信が来た。
どうやら、携帯の近くにいるようだ。
『はい。ありがとうございます』
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