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第20話 漏らした本音
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貴賓室の近くだからか、冷たい石に囲まれた廊下には多くの衛兵が不寝番をしていた。
目の前を走り抜ける私に一瞬警戒するものの、身分を知って敬礼する。
さっきまでの自分なら、そんな仕草に萎縮していたかもしれない。
今はそんな些事などどうでもよく、必死に道順を思い返していた。
私たちが使っていた部屋からかなり離れた場所に、目的の寮があった。
明かりの数は少なく、静まり返った様子からほとんどが眠っているのだろう。
けれどかまっていられるものか。
足音を潜めることもせず、私は教えられていた部屋を目指す。
何かあった時のためにと、別れ際のルーヴが私たちに言い残したのだ。
必要ないだろうと思っていたけれど、聞いておいて本当によかった。
出入り口に一番近い場所は、深夜でも騒々しいのではないか。
新米の書記官ならばそういう部屋をあてがわれても仕方ないのだろう。
眠っているかもしれないけれど、配慮のないノックを打ち鳴らした。
「どなたですか」
ノックの直後に、訝しげな声が帰ってきた。
まだ起きていたらしい。
それを幸いとし、声が通るよう扉に顔を寄せた。
「私です、フィオナです」
「フィオナ様?」
こんな時間の来訪によほど驚いたのか、ひっくり返ったような高い声がした。
身支度をするから待ってほしいと言われ、手持ち無沙汰から外を眺める。
雲はなく、月明かりが眩しい。
けれど冷たい風が身にしみて、ローブの中で身を震わせた。
途中で目にした機械時計は二十二時を指していた。
二日前の今ごろ、レオーネは殺された。
その時も、こんなにきれいな夜空だったのだろうか。
空の濃紺と月の白さだけの視界に、ふいに黒と赤が入り交じる。
「兄様……」
赤い、赤い、赤。
レオーネの身体を覆っていたものは、兄様の身体も埋め尽くしてしまうのか。
一瞬よぎった不吉な光景は、自分で頬を叩くことで追いやった。
兄様を死なせないためには、事件を解決しなければいけない。
そのためには、くよくよ悩んでいる暇などないのだ。
兄様は言っていた。
鐘をついた方法さえ分かれば、一気に解決に近づくのだと。
だったらそれを解き明かすのが私に出来る最大で最善の行動のはずだ。
考えなければ。
でも、考えられない。
焦りと不安と苦しさは、私の思考をどんどん鈍くする。
気づけば月が動き、影がずれていた。
どれだけの時間を無駄にしてしまったのか。
どうしようもない不甲斐なさに、左目の眼帯を握りしめた。
「お待たせいたしました」
小さな声に振り返ると、ルーヴの部屋の扉が開いていた。
わざわざ制服に着替えていたらしい。
どう考えても勤務時間外なのに、そこまでさせて申し訳ない。
けれど、他に思い浮かぶ人物が居ないから。
調査にあたり手配をしてくれたのはゾロとルーヴだ。
そのどちらを尋ねるかは個人的な感情によるものだろう。
そっと顔色を窺うも、ルーヴは変わらぬ無表情だ。
そのことになぜか安堵を覚え、招かれるままに部屋に入った。
石造りの野暮ったい壁には、明かり取りにもならない小さな窓がついている。
狭苦しい部屋の中には、ベッドと木箱しか置いていなかった。
元から荷物が少ないのだろう。
ペーパーナイフすらないようで、木箱の上に置かれた封筒は千切って開封してあった。
その他に目に留まったのは、手の平に収まるくらい小さな女神像だ。
確か、修道院に併設された孤児院で育ったのだっけ。
繊細な細工に目を向けていると、ルーヴが粗末な丸椅子を差し出してくれた。
他人の部屋をジロジロ見るなんて失礼極まる。
慌てて目をそらして座ると、ルーヴはその場で直立したままだった。
「どうなさいましたか」
狭い部屋に響く声に、ふと落ち着かない気持ちになる。
こんな時間に家族でもない他人と過ごす自分は、はしたないのではないか。
幼いころから教え込まれた教育が頭をよぎり、慌ててそれを追い払う。
だって、今の私は監視官なのだから。
調査のためなら、いつどこで誰と会うかなんて関係ない。
黙って私を見つめるルーヴに着席を促し、ベッドに浅く座ったのを見て口を開く。
どこから話せばいいか。
いや、そもそも部外者に深く教えてはいけないだろう。
細く息を吸い、白く照らされるルーヴに目を合わせた。
「調査官のクリシュナの代わりに、私が調査することになりました。
時間がないので協力してください」
かなり固い声になってしまったけれど、感情的になるよりよっぽどいい。
言うべきは言えたのだからいいだろう。
だというのに、ルーヴは無表情で私をじっと見つめてくる。
何かおかしなことがあっただろうか。
下唇を噛んで見つめ返していたら、ルーヴは突然床に膝をついた。
「ど、どうしたんで……」
「フィオナ様」
初めて聞くはっきりした声のあと、跪いたまま私の手に触れた。
細く小さな手は、まるで子どものように頼りない。
だというのに……ひんやりとしたその手に、どうしてだか引きつけられる気がした。
「お一人で行動なさるということは……何かあったのではないですか」
的確な指摘に思わず息を呑む。
ここに来て一番長く行動していたのだから、私と兄様の距離感など分かっているだろう。
なら、いいのではないか。
そんな考えに必死に抗っていると、ルーヴが真剣な目を私に向ける。
「自分は誰にも何も申し上げません。ゾロ様にも報告いたしません。
お話しすることで楽になるならば、どうぞ自分をお使いください」
感情を映さなかった薄青の目が、初めて何かを訴えているように見えた。
多分それは、私がそう思いたいだけだ。
監視官として初めての事件で、たった一人になってしまった。
その不安から、誰かに頼りたいだけだ。
こんなのいけない。
私は監視官なのだから。
分かっているのに、胸から押し上がる熱いものを抑えきれない。
冷たい手はそれ以上触れることはなく、けれど離れることもない。
握り返したい。
縋り付きたい。
自分の弱さが嫌になる。
嫌だというのに……私の口は、細く小さく開いてしまった。
「明日中に犯人が分からなければ……兄様を、犯人にして、解決して……」
口にしてはいけない言葉なのに。
月明かりを映す瞳に、思わず見せてしまった。
「私が……兄様を、殺します」
私の涙と同時に、ルーヴの短い悲鳴が零れた。
そんな理不尽な決まりなど、信じられるはずもないのだろう。
でも、私たちは逃げられないから。
そういう元に生まれているから。
左目の眼帯を強く押し付けると、視界の中がちかちか光る。
泣いている暇はないのに、悔しくて、悲しくて、辛くて、怖くて。
「神よ……」
止めどなく溢れる涙を前に、ルーヴは小さく呟いた。
眉を寄せた顔は悲痛そのものだ。
まるで自分のことのように悲しむ姿に、私は一人ではないのだと思ってしまった。
触れた手が離れ、背中に回った。
私の目元を自分の肩に押しあて、羽のように軽く包み込まれた。
子どものように細くてか弱い身体は、騎士団ではさぞ苦労していることだろう。
けれど……その柔らかさは安心を生み出し、このままずっと包み込まれていたい気持ちになってしまう。
心地よさから涙はゆっくり量を減らし、胸にこみ上げる痛みが和らいでいく。
もしかしたら、ルーヴもシスターにこうされて育ってきたのだろうか。
そう考えると、修道院も悪くなかったのではと今更ながら思ってしまった。
「解決、させましょう」
私が落ち着いたのに気付いたのか、ルーヴはゆっくり身体を離す。
その瞳には強い意志が宿っているようで、私も残った涙を拭い去った。
もう、泣かない。
必ず事件を解決させるのだ。
深く息を吸い込み、努めて平坦な声を出した。
「兄様は、鐘をついたことについて分かれば、一気に進展すると言っていました。
なので、儀礼室に行くことは可能ですか?」
「……鍵をお借りしております。参りましょう」
そう言うと、ルーヴは静かに扉を開けた。
誰もいない廊下を進む間も、不思議と私の気持ちは落ち着いていた。
異様なまでの安心感はルーヴから伝わるものだ。
きっと、孤児院でシスターからよほど大切に育てられたのだろう。
孤児院にいられるのは十五歳までだけれど、ルーヴなら教会関係で働いていても違和感はない。
なのに騎士団に来たということは、よほどブルアンに恩義があるのだろう。
「ルーヴさんの孤児院を運営していた修道院、私も行く予定だったんです」
親近感から、ふと口に出していた。
その修道院は、外部から入ってくる者が限られる特別な場所だった。
よほど敬虔な信者か、もしくはやんごとなき身分を持つ者か。
「それでもフィオナ様は、監視官を選ばれたのですね」
私の出自をあえて聞かない配慮には感謝しかない。
それ以上お互いに口を利くこともなく、重厚な扉が視界に入ってきた。
ルーヴが見張りの騎士に頭を下げると、意外そうな様子でその場を離れる。
鍵はゾロが預けてくれていたのだろう。
細い鎖のついた鍵を差し込むと、扉は迎え入れるように開いていった。
目の前を走り抜ける私に一瞬警戒するものの、身分を知って敬礼する。
さっきまでの自分なら、そんな仕草に萎縮していたかもしれない。
今はそんな些事などどうでもよく、必死に道順を思い返していた。
私たちが使っていた部屋からかなり離れた場所に、目的の寮があった。
明かりの数は少なく、静まり返った様子からほとんどが眠っているのだろう。
けれどかまっていられるものか。
足音を潜めることもせず、私は教えられていた部屋を目指す。
何かあった時のためにと、別れ際のルーヴが私たちに言い残したのだ。
必要ないだろうと思っていたけれど、聞いておいて本当によかった。
出入り口に一番近い場所は、深夜でも騒々しいのではないか。
新米の書記官ならばそういう部屋をあてがわれても仕方ないのだろう。
眠っているかもしれないけれど、配慮のないノックを打ち鳴らした。
「どなたですか」
ノックの直後に、訝しげな声が帰ってきた。
まだ起きていたらしい。
それを幸いとし、声が通るよう扉に顔を寄せた。
「私です、フィオナです」
「フィオナ様?」
こんな時間の来訪によほど驚いたのか、ひっくり返ったような高い声がした。
身支度をするから待ってほしいと言われ、手持ち無沙汰から外を眺める。
雲はなく、月明かりが眩しい。
けれど冷たい風が身にしみて、ローブの中で身を震わせた。
途中で目にした機械時計は二十二時を指していた。
二日前の今ごろ、レオーネは殺された。
その時も、こんなにきれいな夜空だったのだろうか。
空の濃紺と月の白さだけの視界に、ふいに黒と赤が入り交じる。
「兄様……」
赤い、赤い、赤。
レオーネの身体を覆っていたものは、兄様の身体も埋め尽くしてしまうのか。
一瞬よぎった不吉な光景は、自分で頬を叩くことで追いやった。
兄様を死なせないためには、事件を解決しなければいけない。
そのためには、くよくよ悩んでいる暇などないのだ。
兄様は言っていた。
鐘をついた方法さえ分かれば、一気に解決に近づくのだと。
だったらそれを解き明かすのが私に出来る最大で最善の行動のはずだ。
考えなければ。
でも、考えられない。
焦りと不安と苦しさは、私の思考をどんどん鈍くする。
気づけば月が動き、影がずれていた。
どれだけの時間を無駄にしてしまったのか。
どうしようもない不甲斐なさに、左目の眼帯を握りしめた。
「お待たせいたしました」
小さな声に振り返ると、ルーヴの部屋の扉が開いていた。
わざわざ制服に着替えていたらしい。
どう考えても勤務時間外なのに、そこまでさせて申し訳ない。
けれど、他に思い浮かぶ人物が居ないから。
調査にあたり手配をしてくれたのはゾロとルーヴだ。
そのどちらを尋ねるかは個人的な感情によるものだろう。
そっと顔色を窺うも、ルーヴは変わらぬ無表情だ。
そのことになぜか安堵を覚え、招かれるままに部屋に入った。
石造りの野暮ったい壁には、明かり取りにもならない小さな窓がついている。
狭苦しい部屋の中には、ベッドと木箱しか置いていなかった。
元から荷物が少ないのだろう。
ペーパーナイフすらないようで、木箱の上に置かれた封筒は千切って開封してあった。
その他に目に留まったのは、手の平に収まるくらい小さな女神像だ。
確か、修道院に併設された孤児院で育ったのだっけ。
繊細な細工に目を向けていると、ルーヴが粗末な丸椅子を差し出してくれた。
他人の部屋をジロジロ見るなんて失礼極まる。
慌てて目をそらして座ると、ルーヴはその場で直立したままだった。
「どうなさいましたか」
狭い部屋に響く声に、ふと落ち着かない気持ちになる。
こんな時間に家族でもない他人と過ごす自分は、はしたないのではないか。
幼いころから教え込まれた教育が頭をよぎり、慌ててそれを追い払う。
だって、今の私は監視官なのだから。
調査のためなら、いつどこで誰と会うかなんて関係ない。
黙って私を見つめるルーヴに着席を促し、ベッドに浅く座ったのを見て口を開く。
どこから話せばいいか。
いや、そもそも部外者に深く教えてはいけないだろう。
細く息を吸い、白く照らされるルーヴに目を合わせた。
「調査官のクリシュナの代わりに、私が調査することになりました。
時間がないので協力してください」
かなり固い声になってしまったけれど、感情的になるよりよっぽどいい。
言うべきは言えたのだからいいだろう。
だというのに、ルーヴは無表情で私をじっと見つめてくる。
何かおかしなことがあっただろうか。
下唇を噛んで見つめ返していたら、ルーヴは突然床に膝をついた。
「ど、どうしたんで……」
「フィオナ様」
初めて聞くはっきりした声のあと、跪いたまま私の手に触れた。
細く小さな手は、まるで子どものように頼りない。
だというのに……ひんやりとしたその手に、どうしてだか引きつけられる気がした。
「お一人で行動なさるということは……何かあったのではないですか」
的確な指摘に思わず息を呑む。
ここに来て一番長く行動していたのだから、私と兄様の距離感など分かっているだろう。
なら、いいのではないか。
そんな考えに必死に抗っていると、ルーヴが真剣な目を私に向ける。
「自分は誰にも何も申し上げません。ゾロ様にも報告いたしません。
お話しすることで楽になるならば、どうぞ自分をお使いください」
感情を映さなかった薄青の目が、初めて何かを訴えているように見えた。
多分それは、私がそう思いたいだけだ。
監視官として初めての事件で、たった一人になってしまった。
その不安から、誰かに頼りたいだけだ。
こんなのいけない。
私は監視官なのだから。
分かっているのに、胸から押し上がる熱いものを抑えきれない。
冷たい手はそれ以上触れることはなく、けれど離れることもない。
握り返したい。
縋り付きたい。
自分の弱さが嫌になる。
嫌だというのに……私の口は、細く小さく開いてしまった。
「明日中に犯人が分からなければ……兄様を、犯人にして、解決して……」
口にしてはいけない言葉なのに。
月明かりを映す瞳に、思わず見せてしまった。
「私が……兄様を、殺します」
私の涙と同時に、ルーヴの短い悲鳴が零れた。
そんな理不尽な決まりなど、信じられるはずもないのだろう。
でも、私たちは逃げられないから。
そういう元に生まれているから。
左目の眼帯を強く押し付けると、視界の中がちかちか光る。
泣いている暇はないのに、悔しくて、悲しくて、辛くて、怖くて。
「神よ……」
止めどなく溢れる涙を前に、ルーヴは小さく呟いた。
眉を寄せた顔は悲痛そのものだ。
まるで自分のことのように悲しむ姿に、私は一人ではないのだと思ってしまった。
触れた手が離れ、背中に回った。
私の目元を自分の肩に押しあて、羽のように軽く包み込まれた。
子どものように細くてか弱い身体は、騎士団ではさぞ苦労していることだろう。
けれど……その柔らかさは安心を生み出し、このままずっと包み込まれていたい気持ちになってしまう。
心地よさから涙はゆっくり量を減らし、胸にこみ上げる痛みが和らいでいく。
もしかしたら、ルーヴもシスターにこうされて育ってきたのだろうか。
そう考えると、修道院も悪くなかったのではと今更ながら思ってしまった。
「解決、させましょう」
私が落ち着いたのに気付いたのか、ルーヴはゆっくり身体を離す。
その瞳には強い意志が宿っているようで、私も残った涙を拭い去った。
もう、泣かない。
必ず事件を解決させるのだ。
深く息を吸い込み、努めて平坦な声を出した。
「兄様は、鐘をついたことについて分かれば、一気に進展すると言っていました。
なので、儀礼室に行くことは可能ですか?」
「……鍵をお借りしております。参りましょう」
そう言うと、ルーヴは静かに扉を開けた。
誰もいない廊下を進む間も、不思議と私の気持ちは落ち着いていた。
異様なまでの安心感はルーヴから伝わるものだ。
きっと、孤児院でシスターからよほど大切に育てられたのだろう。
孤児院にいられるのは十五歳までだけれど、ルーヴなら教会関係で働いていても違和感はない。
なのに騎士団に来たということは、よほどブルアンに恩義があるのだろう。
「ルーヴさんの孤児院を運営していた修道院、私も行く予定だったんです」
親近感から、ふと口に出していた。
その修道院は、外部から入ってくる者が限られる特別な場所だった。
よほど敬虔な信者か、もしくはやんごとなき身分を持つ者か。
「それでもフィオナ様は、監視官を選ばれたのですね」
私の出自をあえて聞かない配慮には感謝しかない。
それ以上お互いに口を利くこともなく、重厚な扉が視界に入ってきた。
ルーヴが見張りの騎士に頭を下げると、意外そうな様子でその場を離れる。
鍵はゾロが預けてくれていたのだろう。
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