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第3話 忠誠は誓えません
「ロワーヌ侯爵令嬢、その衣――」
「リシャール様。今夜もパートナーへご指名いただき、光栄の至りに存じます」
「リリー様。殿下の話を遮るのは失礼に――」
当たると何度言えば分かるのかしら。はぁ――っ。聖女の教育係兼サポート役を仰せつかってはいるけれど、もう言うだけ無駄ね。
「そうそうデルフィーヌ様。東の大陸では、主役を支える裏方は黒装束を着用するってご存知ですか?」
「(ほんっと、脈略なく話が飛ぶ人ね)存じ上げません」
「私、一夜にして聖女になったでしょう? 未だに王侯貴族の振る舞いには慣れなくって。デルフィーヌ様がこれからも裏方として支えてくださると、心強いわ」
「それはお受けしかねます」
「そう言っていただけると嬉し……えっ!?」
「利害関係者のリリー様に忠誠は誓えません」
「利害関係者だなんて、そんな言い方……酷いっ」
「リリー様? お気になさらないで。デルフィーヌ様は、高飛車な物言いしかできないのです」
すかさず妃候補1号ことクロエ嬢がリリーのフォローに回る。
「デルフィーヌ様。先程のリリー様への発言、撤回なさって!」
「どうしてです? 妃の椅子はただ一つ。であれば、ここにいる全員、利害関係者でありましょう? それとも、私の与り知らぬところで皆さま、妃候補を辞退なされたのですか?」
「あ、あなたねぇ。そんなわけないでしょう!?」
「でしたら聖女だなんだと祭り上げるのはやめにして、正々堂々、対等な関係で勝負いたしましょう?」
「そんな、私……皆さんと競い合いたくなんてありません」
「リリー様、お妃選びは戦です」
「い、いくさ?」
「婚活戦争――それは妃の座をめぐる争奪戦。生家を背負った覇権争い。覚悟なき者はご遠慮願います」
「そんな、大袈裟だわ」
「加えて言うならリリー様。妃候補に入りたいのなら、参加表明をお忘れなく。真剣勝負の戦場に、お客様気分で来られては迷惑です」
「迷惑だなんて、私、そんなつもりは……」
「あ、貴女に意思決定の自由はなかったんでしたっけ。では、お母様へお伝えください。傍観するふりして漁夫の利を得ようと企むのはお止めください、と」
「ぎょふの、何が何ですか?」
「はぁ―――っ」
「ちょっと、デルフィーヌ様? ため息をつくなんて、リリー様に失礼だわ!」
「クロエ様? 今のは深呼吸でございます。ため息だなんて……クロエ様の本音が透けて見えた気がいたします」
「っ、私の何が透けて見えたっていうのよ!?」
「本当は思われたのでしょう? “漁夫の利”の意味も解さぬ教養なし、と。だから私が、呆れてため息をついたと思われたのでしょう?」
「え、クロエ様……酷い」
「っリリー様、決してそういう意味では! ちょっと、デルフィーヌ様!?」
「私が深呼吸したのには、れっきとした理由がございます。用意されたドレスのお胸周りが私には小さすぎて、息がしづらいのです。まあ、直前に差し替えられたのだから仕方ありませんけれど。はぁーっ、苦しい」
「!!!」
リリー嬢の白い肌が、屈辱と羞恥で真っ赤に染まり、潤いを増した瞳がキッと私を睨んでくる。
やっぱりね。
彼女はみんなが思っているほど繊細で柔な女じゃない。悲劇のヒロインを演じながら他人をうまく利用する、したたかで計算高い女だ。
でも残念。鉄仮面の作り方まではブリジット夫人に教わってこなかったのね。己の感情もコントロールできないようじゃ、王太子妃の座は務まらなくってよ?
せいぜい、夜会で殿下にエスコートされる程度の優越感を、母子で噛みしめていればいいわ。
「殿下。お時間です」
近侍が扉を開け、殿下に続いて控室を出たリリー嬢だったが、チラリと後ろを振り返ると、口元に勝者の微笑みを浮かべてこれ見よがしに殿下の右腕にそっと手を添えた。
そっか、彼女はまだ気づいていないんだ。
観察眼が甘々ね。
そんなんじゃとても、殿下をお側で支えるなんて無理なお話しよ?
あれはいつだっけ。
そうそう、2年前の今頃だ。
妃候補として初めて参加する夜会で、私は殿下のパートナーを務めることになった。会場の扉が開かれるのと同時に殿下の左側半歩後ろに立った私に、彼は一瞬、息を呑んだ。
「……どうして左に立つ?」
「エスコートを受ける側は、エスコートする側の利き手側に立つのがマナーだと習いました」
さすがに今夜は帯刀していないけれど、殿下が剣を抜いた姿を想像すると、絶対に右側には立ちたくない。その瞬間、シュバッ。プシュッ!ブワッ! と血潮を吹いて倒れるに違いないもの。
「おかしいな」
「?」
「私は右利きだ」
「……剣術の稽古を見学したときの記憶でしょうか、左手に剣を握っていたかと」
「あり得ない」
「え?」
「私が左手で剣を扱う姿を君が目にすることは、決してない」
ようやく殿下が私の顔を正面から見てくれたと思ったら、不審感マックスな瞳でそう言い放たれたんだっけ。
でもね、それがあり得るんですよ、殿下。
だって私、あの場にいたんだもの。隣国との軍事衝突を殿下が平定した、あの最後の戦場に。あの時の殿下はたしかに、左手で剣を扱っていた。
それに――何気ないふとした瞬間、反射的に動かしているのは左手だということに、殿下自身、気が付いていないみたいだ。
ま、知られなくないのならそっとしておこう。
「わたくしの勘違いだったようですね。それでは」
「何処へ行く?」
「ダンスは別のご令嬢とどうぞ」
あの時の殿下の驚いた顔ってば、結構、面白かったな。
私は超ド級の“運動音痴”だ。
母の胎内に運動神経を置いてきちゃったのかって思うくらい、センスがない。だから殿下のパートナーの座を射止めても、ダンスのお相手を務めたことは一度もない。
だって、私は名うての高飛車令嬢。みっともない姿を晒すわけにはいかないの。
「ちょっと貴女、何をニヤニヤしているの。気を引き締めなさいよ?」
他の妃候補たちが羨望の眼差しで前を歩く殿下とリリー嬢を見つめている中、過去を回想しながらひとりニヤニヤしていたものだから、クロエ嬢に注意されてしまった。
「リシャール王太子殿下及び聖女・リリー様のご入場です」
殿下たちに続いて入場すると、途端に生徒たちの注目がこちらへ集まった。当然、その中心にいるのはリシャール殿下とリリーだ。
学生たちの視線が3歩先を歩くリシャール殿下と聖女リリーに釘付けになっている中、私は一人、そこで歩みを止めた。
「リシャール様。今夜もパートナーへご指名いただき、光栄の至りに存じます」
「リリー様。殿下の話を遮るのは失礼に――」
当たると何度言えば分かるのかしら。はぁ――っ。聖女の教育係兼サポート役を仰せつかってはいるけれど、もう言うだけ無駄ね。
「そうそうデルフィーヌ様。東の大陸では、主役を支える裏方は黒装束を着用するってご存知ですか?」
「(ほんっと、脈略なく話が飛ぶ人ね)存じ上げません」
「私、一夜にして聖女になったでしょう? 未だに王侯貴族の振る舞いには慣れなくって。デルフィーヌ様がこれからも裏方として支えてくださると、心強いわ」
「それはお受けしかねます」
「そう言っていただけると嬉し……えっ!?」
「利害関係者のリリー様に忠誠は誓えません」
「利害関係者だなんて、そんな言い方……酷いっ」
「リリー様? お気になさらないで。デルフィーヌ様は、高飛車な物言いしかできないのです」
すかさず妃候補1号ことクロエ嬢がリリーのフォローに回る。
「デルフィーヌ様。先程のリリー様への発言、撤回なさって!」
「どうしてです? 妃の椅子はただ一つ。であれば、ここにいる全員、利害関係者でありましょう? それとも、私の与り知らぬところで皆さま、妃候補を辞退なされたのですか?」
「あ、あなたねぇ。そんなわけないでしょう!?」
「でしたら聖女だなんだと祭り上げるのはやめにして、正々堂々、対等な関係で勝負いたしましょう?」
「そんな、私……皆さんと競い合いたくなんてありません」
「リリー様、お妃選びは戦です」
「い、いくさ?」
「婚活戦争――それは妃の座をめぐる争奪戦。生家を背負った覇権争い。覚悟なき者はご遠慮願います」
「そんな、大袈裟だわ」
「加えて言うならリリー様。妃候補に入りたいのなら、参加表明をお忘れなく。真剣勝負の戦場に、お客様気分で来られては迷惑です」
「迷惑だなんて、私、そんなつもりは……」
「あ、貴女に意思決定の自由はなかったんでしたっけ。では、お母様へお伝えください。傍観するふりして漁夫の利を得ようと企むのはお止めください、と」
「ぎょふの、何が何ですか?」
「はぁ―――っ」
「ちょっと、デルフィーヌ様? ため息をつくなんて、リリー様に失礼だわ!」
「クロエ様? 今のは深呼吸でございます。ため息だなんて……クロエ様の本音が透けて見えた気がいたします」
「っ、私の何が透けて見えたっていうのよ!?」
「本当は思われたのでしょう? “漁夫の利”の意味も解さぬ教養なし、と。だから私が、呆れてため息をついたと思われたのでしょう?」
「え、クロエ様……酷い」
「っリリー様、決してそういう意味では! ちょっと、デルフィーヌ様!?」
「私が深呼吸したのには、れっきとした理由がございます。用意されたドレスのお胸周りが私には小さすぎて、息がしづらいのです。まあ、直前に差し替えられたのだから仕方ありませんけれど。はぁーっ、苦しい」
「!!!」
リリー嬢の白い肌が、屈辱と羞恥で真っ赤に染まり、潤いを増した瞳がキッと私を睨んでくる。
やっぱりね。
彼女はみんなが思っているほど繊細で柔な女じゃない。悲劇のヒロインを演じながら他人をうまく利用する、したたかで計算高い女だ。
でも残念。鉄仮面の作り方まではブリジット夫人に教わってこなかったのね。己の感情もコントロールできないようじゃ、王太子妃の座は務まらなくってよ?
せいぜい、夜会で殿下にエスコートされる程度の優越感を、母子で噛みしめていればいいわ。
「殿下。お時間です」
近侍が扉を開け、殿下に続いて控室を出たリリー嬢だったが、チラリと後ろを振り返ると、口元に勝者の微笑みを浮かべてこれ見よがしに殿下の右腕にそっと手を添えた。
そっか、彼女はまだ気づいていないんだ。
観察眼が甘々ね。
そんなんじゃとても、殿下をお側で支えるなんて無理なお話しよ?
あれはいつだっけ。
そうそう、2年前の今頃だ。
妃候補として初めて参加する夜会で、私は殿下のパートナーを務めることになった。会場の扉が開かれるのと同時に殿下の左側半歩後ろに立った私に、彼は一瞬、息を呑んだ。
「……どうして左に立つ?」
「エスコートを受ける側は、エスコートする側の利き手側に立つのがマナーだと習いました」
さすがに今夜は帯刀していないけれど、殿下が剣を抜いた姿を想像すると、絶対に右側には立ちたくない。その瞬間、シュバッ。プシュッ!ブワッ! と血潮を吹いて倒れるに違いないもの。
「おかしいな」
「?」
「私は右利きだ」
「……剣術の稽古を見学したときの記憶でしょうか、左手に剣を握っていたかと」
「あり得ない」
「え?」
「私が左手で剣を扱う姿を君が目にすることは、決してない」
ようやく殿下が私の顔を正面から見てくれたと思ったら、不審感マックスな瞳でそう言い放たれたんだっけ。
でもね、それがあり得るんですよ、殿下。
だって私、あの場にいたんだもの。隣国との軍事衝突を殿下が平定した、あの最後の戦場に。あの時の殿下はたしかに、左手で剣を扱っていた。
それに――何気ないふとした瞬間、反射的に動かしているのは左手だということに、殿下自身、気が付いていないみたいだ。
ま、知られなくないのならそっとしておこう。
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「何処へ行く?」
「ダンスは別のご令嬢とどうぞ」
あの時の殿下の驚いた顔ってば、結構、面白かったな。
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だって、私は名うての高飛車令嬢。みっともない姿を晒すわけにはいかないの。
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他の妃候補たちが羨望の眼差しで前を歩く殿下とリリー嬢を見つめている中、過去を回想しながらひとりニヤニヤしていたものだから、クロエ嬢に注意されてしまった。
「リシャール王太子殿下及び聖女・リリー様のご入場です」
殿下たちに続いて入場すると、途端に生徒たちの注目がこちらへ集まった。当然、その中心にいるのはリシャール殿下とリリーだ。
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エピローグ