友よ、お前は何故死んだのか?

河内三比呂

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解②

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 どれくらい経っただろうか?
 長いようにも、短いようにも感じられた。その間、朝倉と特に会話はなかった。お互い手持ちの資料を見つめ、思考を巡らせる。それの繰り返しだった。
 沈黙を破ったのは……ノック無しに入室して来た竹田だった。
 彼は険しい表情で朝倉の方へ視線を向けると、机の上に右手を勢いよく叩きつけた。
 驚き硬直する識を置いて、朝倉が慣れたように尋ねた。

「竹田さん、その様子だとあまり良い状況ではなさそうですね?」
「全く。アイツはぁなんだい? 今まであらゆる奴を相手にしてきたがなぁ……あそこまで話が通じねぇのは久々さね」
「話が通じないとは、困りものですねぇ。具体的にどういう?」
「どうもこうもねぇさ……まず話に脈絡がねぇ。その上、久川洋壱の名前を出すと叫び出す始末さぁ。やってらんねぇわな」
「なっ!? 洋壱の名前を聞いて叫んだんですか!? あの男は!?」
「おうよ、探偵さん。ソイツがどうしたかい?」

 識は顎に手を当てると、しばらく沈黙した後口をゆっくりと開いた。その声はどこか震えていながら、何かに気づいた様子だった。

「あの男……洋壱と関わりがあるのは確かだと思います。反応を伺う限りですが。そして、その上でお願いがあります。この画像と彼の体格をどうにか比較出来ませんか?」
「なるほど? 進藤さんは、彼がこの姿をしていた人物だと睨んでいるんですね?」
「そうです」

 竹田と朝倉の二人は顔を見合わせると、すぐに動き出した。竹田が朝倉から画像データを受け取ると、すぐに会議室を出て行く。そして朝倉が携帯端末を取り出して、どこかへ連絡を入れ始めた。素早い動きに圧倒されつつ、識も出来る範囲の事をし始めた。
 謎の女性についてだ。

(俺の予想通りなら、間違いなく洋壱のストーカーだ。だが、あの男との接点が見当たらないのと、身元が未だに判明していないのが問題。そこをどう解決するかだが……)
「突破口……か」

 識は呟くと、自身の端末を取り出して過去、自身が関わった洋壱絡みのストーカー案件を見直す。洋壱が過去にストーカーされたのは、識が把握しているだけで五回。それのいずれもがきっかけは些細な事であり、かつ、洋壱の身辺にいた人物だった。その流れで考えれば、今回も洋壱の身近にいる人物と考えるのが妥当だろうと考えていた。
 資料を漁る中、ふと識の視界に洋壱とのチャットをしたアプリが視界に入る。何気なく遡ってみると、以前は気にならなかった事が引っかかった。
 それは取引先の女性が事故死し、葬儀に出た方が良いかの相談だった。チャットが来た当時、洋壱がこういう相談をして来るのは珍しいと思った記憶がある。その女性についての詳細は聞いていなかったが……今思えば、おかしい内容だったと思えた。
 何故なら、葬儀関係のマナー等を聞くのなら普通は職場の上司が妥当であり、会社勤めの経験がない識に尋ねるのはおかしくはないか?
 そこに気づいた識は、思い切って朝倉に声をかけた。

「朝倉刑事、気になる事が出てきました。もう一度、洋壱の勤め先とアポイントをお願いできますか?」
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