上 下
31 / 83
第二章 ルクバトにて

第三十一話 町案内その二

しおりを挟む
 貴族達の住むお屋敷を抜けて、裁判所にやって来た。
 裁判所も四角くて大きいが、こちらはよりシンプルで格式高い感じだ。
 というか、入口の目の前に置かれている多分神様の像デカいな!!

 呆気にとられていると、オクト君が微笑みながら言う。

「この像は、『サジタリウスが裁定を下している』ところを彫ったらしいぜ?」

「なるほど……」

 一神教ってこんな感じなんだ。なんか馴染みがないから、不思議だ。

 っていうか、この神様の像って……上半身人間の下半身馬って……ケンタウロスじゃない!?

「あ……えっと、シンピテキデスネ」

 イケナイ。驚きすぎてカタコトになってしまった。ても、幸か不幸かオクト君は気づかなかったらしい。

「だろ? んじゃ、戻って図書館みっか!」

 私達は来た道を戻って、図書館前に来た。
 図書館も四角くて……四角い建物多いな! とにかく、そんな感じだけどシックで入口の装飾が……誰かはわからんないけど、綺麗な女の人が画かれていた。

「この女性は……?」

 思わず私が訊くと、オクト君が答えてくれた。

「ああ。聖女『ゼナイド・クララック』様だな! もう何百年も昔の人……ってエルフのお前にはあんま関係ねぇか……。まぁ、ゼナイド様は『サジタリウス様の啓示』を人々に伝えて、災害から救ったお方だな!」

「なるほどね……?」

 私が『エルフ』なのは、キャラメイクの影響なんだけど……。話を戻すとつまり、神様の声を聴いて災害から人々を救ったと。凄いな……!

「ん? でもなんで、その人が図書館の入口に飾られているの……かな?」

「そりゃ、元々ゼナイド様は司書だったと伝わっているからな! ルクバト以外の都市でも、大体本関係のとこのシンボルになってるぜ?」

 ほえ~、納得……!

「中、入るか?」

 オクト君にそう訊かれ、私は首を横に振る。あんまり、図書館は好きじゃないのだ。あの静けさというか、独特の空気が……ね?

「そっか、んじゃあ一層目に戻って今度こそ商店街だな!」

 うっ……私、我慢できるかな……。ウィンドショッピング欲を。

「ヨロシクオネガイシマス」

 ショッピング欲を抑えられるか不安で、カタコトになる私をオクト君が不思議そうに見つめてくる。
 き、気まずい!
 申し訳なさと気まずさと、不安を誤魔化すように商店街へと向かうのだった。
しおりを挟む

処理中です...