異世界転移したら魔族に拾われて魔王になったんですが。

Akatsuki

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異世界転移

2.ステータス

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真っ白の部屋を出ると、今度は普通の石造りの廊下だった。5人はこちらに振り返ることなく速足でその廊下を進んでいく。歩いている途中でメイドや執事の様な人々と何度もすれ違ったが、その全てが前を歩く5人に頭を下げていたことから、さっきの自己紹介は本物だと納得していた。

「浩太、俺本物のメイドとか初めて見たんだが。」
「俺もだ。ってか武道の家出身だろ、ソワソワすんな!」
「別にそれは関係ねーだろ!」
2人で騒いでいると、後ろからの視線が痛い。クラスメイトの一番前を歩いているので44人、88個の目がこちらを見ている。…辛い。

暫く歩いていると、ある扉の前で5人が止まった。どうやらとりあえずの目的の場所に着いたようだ。その扉は両開きの大きな扉で、豪華ではないが、しっかりした装飾がされている。

中に入るとそこはよく漫画やアニメで舞踏会(ぶとうかい)なんかをやっている広間だった。広間の正面には三段ほど上がったスペースがあり、豪華な服装の2人はそのスペースに置いてあるこれまた豪華な椅子に座り、残りの3人は段の一番下でこちらに向き直った。
クラスメイトはその広間の中心付近で固まって辺りを見渡している。謎の世界に来てから暫く時間がたったので、とりあえず落ち着けたらしい。今はその後にわいてきた興味や好奇心が全面に出ている。

クラスメイトが落ち着くまで待ってくれたのか、暫くしてから椅子に座っている王女が話を始めた。
「改めまして、皆様。フォルスタリタ王国へようこそお越し下さいました。いろいろと疑問もおありでしょうから順にご説明致します。」

さっきの白い部屋でも言っていたフォルスタリタ王国という国名だが、フォルスタリタなんて国は現在にも過去にも存在しない。
かといってここまで歩いてきた道も、メイドや執事も偽物という印象は無かった。やっぱり異世界って事で間違い無さそうだな。

「その前にもう一度自己紹介からしましょうか。私はイリーナ・フォルスタリタ、フォルスタリタ王国第一王女です。そして、横の男性は現国王にして私の父、ガーランド・フォルスタリタでございます。
王女が国王を紹介をすると国王は一礼するだけで一言も発そうとしない。どうやらここでも話は王女に一任されているらしい。

「では、あなた方をこちらにお呼びした理由をお話しましょう。」
王女が話そうとしたタイミングで1人の男子生徒が話に割り込んだ。
「理由の前に1つだけ確認がしたい。ここは俺たちの世界なのか?」
こいつは大久保大輝おおくぼだいき。クラスの委員長だ。どうやらあいつもここが異世界だと気付きだしたらしい。俺たちの世界なのか?とはそういう事だろう。だが、その声色には夢であって欲しいという期待が僅かながらに入っているようだった。

「いえ、ここはあなた方の世界とは違う世界。私たちがあなた方をこちらの世界に転移させました。」
だが、その期待とは裏腹に返ってきた答えは実に短い物だった。
その答えに思考が停止している生徒も何人かいるみたいだが、王女は構わず話を続けるようだ。

「今から経緯をご説明致しますが、質問があればその場で言って頂いて結構です。」
そう言うと王女は経緯を話始めた。
要約すると、今人類は魔族と呼ばれる人外の存在との戦争、人魔戦争じんませんそうの真っ最中だという。開戦は今からおよそ100年前で、俺たちが召還されたこのフォルスタリタ王国は東の最前線らしい。

ここ数十年は大規模戦闘は無く開戦当時からすれば平和なものだったらしいのだが、半年前に起きた中規模戦闘において兵を多数喪失し、このままでは戦線崩壊の恐れがある。その穴を埋めるために、異世界から俺たちを召還した。という経緯だそうだ。

そこで俺は1つの疑問を持ったので思いきって投げてみた。
「何で異世界から召還するんだ?何の技術も持たない俺たちを召還するよりも他の国からでも援軍を貰った方が戦力になるんじゃないか?」
クラスメイトの何人かが頷いている。当たり前だ。俺たちはただ普通の学生をしているだけで武術やら戦略の技術なんてほとんど持ち合わせていない。

「それは、ステータスが高いからです。」
「ステータス?俺たちがそこらの兵士より強いって事なのか?」
「ええ。この世界にいる転移者、転生者と呼ばれる者は皆総じてステータスが高いのです。それは前の世界での技量、知識に関係なく、です。」
俺や拓磨を始めとする一部の生徒はその答えでだいたいの意味を理解したが、ほとんどの生徒は意味を理解出来ていないようだった。

「…1度見て頂いた方が早そうですね。これから皆様にはステータスの確認をして頂きます。今から魔力鉱まりょくこうから作ったステータスプレートをお配りしますので、受け取ったら『ステータスオープン』と唱えて下さい。」
王女がそう言うと広間の入り口からメイドが数人入ってきて全員にステータスプレートなるものを配り始めた。

ステータスプレートは薄さ3mmほどのアルミ板のようなもので、結構軽い。暫くするとそこら中から『ステータスオープン』と唱える声が聞こえたので俺も試してみる。

「ステータスオープン」
唱えるとステータスプレートに文字が刻まれ始め、こう表示された。
─────
【ステータス】
転移者 Lv1
体力 A+
魔力 B
筋力 B+
敏捷 C
物理耐性 B
魔法耐性 C+
【スキル】
[気配探知A-] [勇者 B] [隠匿B-] [再生C+] [自己回復C+] [偽装C] [王の器D+]
─────
ゲームとかでよくある感じのステータスだ。魔力があるということはこの世界には魔法が存在するらしい。まぁ、魔法が無ければ転移とかも出来なさそうなのもなので、当たり前だとは思うが。

自分のステータスを眺めていると王女がまた話し出した。
「皆様のステータスプレートに【ステータス】と【スキル】が表示されていると思います。この世界でLv1の平均ステータスはF、Lvが上がればステータスも伸びますが、Lv50でCに行けば良い方です。」
自分のステータスを見ると最低でもC、つまりLv1の段階で鍛えた一般人の限界レベルの力があるらしい。

「技術が無くてもステータスが高いとはそう言う事です。私たちはあなた方を欲しています。ご協力して頂けたなら終戦の際にもとの世界へ戻れるよう手配します。どうかご協力頂けないでしょうか?」
王女がそう訪ねてくる。今まであれこれと考え込んでいたせいで気づかなかったがこの王女、割と美人だ。歳は18,19辺りだと思うが、可愛いとかではなく美人。それは男子だけでなく、女子さえも魅了している。そんな人に『お願い』なんてされると黙ってない人が多いわけで…

「も、もちろんだ!」
「協力出来ることならなんでもするぞ!」
「わ、私達にやれるなら…!」
と、そんな感じでクラスの方針は固まった。本当ならもっと質問をしてしっかり考えてから決めることなんだろうが、ほぼ即決。考える暇は与えられないらしい。この王女、恐ろしいな。
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