あなたに嘘を一つ、つきました

小蝶

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エピローグ

護衛長はぼやく

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 ディラン様とユカリナ様の離縁が成立して数年がたった。

 あの時、ディラン様が1年もの間引っ張っていた心に決着をつけられたのは、シェリー様と料理人との件だけではなく、俺が報告したことも関係していることは明らかだ。

 すべては、ディラン様が大戦から戻られたときに始まった。

 後に、後ろめたさからユカリナ様にシェリー様を娶る事を言えなかったのだと聞かされたが、当時では俺ですらシェリー様に心が移ったと思った。全ては、周囲の人々の勝手な解釈による勘違いから起こっていた。それは敬愛する人を守る為の嘘、嫉妬心から生まれた嘘、焦燥感から発生した嘘。嘘を付いた理由は様々だったし、本当にそれが理由かなんて心の奥までは分からない。そして、相手を思って付いた嘘に、その相手が傷つけられるという悪循環がうまれた。

 執事は捕まった。毒草は彼が内密に依頼していたと判明したからだ。発注はしたが、自分の手に渡る前に誤って厨房に搬入されてあの事故が起こったのだと言い訳していたが、そんな事理由にならない。結果として、ディラン様とユカリナ様のお子様は産まれてくることができなかったのだから。事実を報告したところ、ディラン様は見たこともない表情で執事を殴り飛ばした。

『私は、あなたのために!』

 ユカリナ様を愛しているとディラン様が仰った時の執事の顔は忘れられない。

『そんな…馬鹿な…』


 使用人の間で事実が周知された頃、顔を青くしていたのは侍女長だ。直接苦言を呈されることはなかったものの、彼女は自分の言動がユカリナ様とシェリー様を追い詰める発端になったのだと察した。彼女は責任をとって退職し、シェリー様の子供を引き取った。


 その後のディラン様は新たに二人の妻を娶られた。爵位を弟に譲りシェリー様と市位に下られることも考えたそうだが、祝勝会で一度ユカリナ様に恥をかかせている。それでは第2夫人と二人で生きるために第1夫人を捨てて市位に下ったのだと誤解される可能性があるらめ、ユカリナ様に対してあまりに配慮がないと思い直したようだ。ディラン様は今もなお、ユカリナ様を愛している。ユカリナ様にはすでに新しく思う男性がいると伝えた上での、彼女の未来のためにとの決断だった。新たに迎えられた二人の妻とディラン様は、可もなく不可もない愛のない関係を続けている。奥方も特にディラン様に興味を持たれるでもなく、子育てに奮闘されている。




 俺は今、調査に協力してくれた侍女と束の間の休憩を共に過ごしていた。

「こじれにこじれて結果としてはこうなってしまったが、一歩違えたらとても幸福な結末もあったと思う。この世界は歪みが生じやすい。複数妻を持てる事もそう、愛した人と添えない風潮もそう。ただ、ディラン様がユカリナ様にもう一人愛する人が出来てしまったとお伝えしていれば、シェリー様にユカリナ様と比べてはいないとお伝えしていれば、三人はとてもよい関係が築けたかもしれない。この不条理で矛盾だらけの世界において、もっとも理想的な家庭を」

「今となっては何とでも言えます。ただ、私たちは今後同じ過ちを繰り返さないように嘘を付かず、思い込みから突っ走ることのないよう気を付けるだけですわ」

「そうかもしれないな…さぁ休憩は終わりだ。」 


   end

***************************

読んで下さりありがとうございまいた。
始めての長編と言う事で、捻りのない内容を小難しくしただけのお話となっていまいました。次回作の構想を練っています。7月中の投稿をめどにしたいと思います。今後ともよろしくお願いします。


また、勝手に感想を停止してしまい申し訳ありませんでした。近況ボードに書いて下さっいるのに数日前に気がつき、読者様の温かい声援に励まされました。ありがとうございました○┓
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