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悪役令嬢として、散って見せよう
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さて、私は改心した。
改心というより、前世の記憶を取り戻した事により、色々と理解したというほうが正しいか。
まず最初に行ったのは、ミモザの待遇改善だ。
私は使用人を集め、今までミモザに行ってきた全ての事を謝罪した。
もちろん私に加担せざるを得なかった者たちにもだ。
私にはそれをする義務がある。
「今までの事は、全て私の我儘です。あなた方にも申し訳ないことをしました。これからは、ミモザは間違いなく、この侯爵家の娘として、私の妹として、私と変わることのない扱いをするようにお願いします」
謝罪のお辞儀をして顔をあげると、使用人全員が口をぱっくりと開けている。
…そりゃそうだ。昨日まであんだけ悪さをしていた女が突然こんなことを言い出したのだから、皆が疑うのも無理はない。
それを理不尽だなどと憤る権利もないことも、私は知っている。
「突然で信じてはもらえないでしょうが、これからの私の行動を持って示していきたいと思っています」
使用人に頭を垂れるのは、貴族として有り得ない事だ。
それでも私はもう一度深く頭を下げて謝罪した。
「お姉さま…!そんなことなさらないでください!」
ミモザが私の腕に縋る。
ううん、あなたがそんなことをする必要はない。
だって、あなたはヒロイン。
私は悪役令嬢。
あんな子供にあそこまで酷いことをしたのだから、今さら私が断罪を免れようなどとは思わない。
悪役令嬢として、散ってみせよう。
ただ、ミモザだけは、この子だけは幸せにしたい。
ーー聖クレのバッドエンドは絶対に阻止する。
「さ、まずは部屋を変えるわ。私の隣の部屋でもいいかしら」
「えっ?でも、お姉さまの隣は…あの、お姉さまのお部屋と続き間となっているあの部屋は…本来お父様の…」
屋敷の女主人の部屋である母の部屋は、今は私が使っている。
本来は続き間は父の部屋へと繋がるのだが、父はこれを嫌い、別棟をわざわざ建てて、そこに部屋をもった。
母は怒り狂ったが、正妻の意地でその部屋にずっと住んでいた。
母が亡くなったあとは、私はその部屋を自分の部屋として、母がヒステリックに部屋の調度品を壊した続き間の父の部屋はそのままに放置した。
由緒正しい血筋である母を裏切った父を許さないように。
私がこの家の真の主人だと名乗るように。
たびたびミモザをそのボロボロの部屋に連れていっては母の悲しみを私は嬉しそうにこんこんと語ったのだ。…最低だ。
「…死んだ人をいつまでも思っていても仕方ないわ。あなたが嫌なら、私がその部屋に行きます。ただ、出来れば扉ひとつであなたの側に駆け付けられる距離でいたい。昨日の今日で、信じられないかもしれないけれど」
…私だったら信じない。でもお人好しで、かわいくて優しいミモザは嬉しそうに笑うのだ。
「お姉さま…私、うれしいです」
…絶対に守る。
改心というより、前世の記憶を取り戻した事により、色々と理解したというほうが正しいか。
まず最初に行ったのは、ミモザの待遇改善だ。
私は使用人を集め、今までミモザに行ってきた全ての事を謝罪した。
もちろん私に加担せざるを得なかった者たちにもだ。
私にはそれをする義務がある。
「今までの事は、全て私の我儘です。あなた方にも申し訳ないことをしました。これからは、ミモザは間違いなく、この侯爵家の娘として、私の妹として、私と変わることのない扱いをするようにお願いします」
謝罪のお辞儀をして顔をあげると、使用人全員が口をぱっくりと開けている。
…そりゃそうだ。昨日まであんだけ悪さをしていた女が突然こんなことを言い出したのだから、皆が疑うのも無理はない。
それを理不尽だなどと憤る権利もないことも、私は知っている。
「突然で信じてはもらえないでしょうが、これからの私の行動を持って示していきたいと思っています」
使用人に頭を垂れるのは、貴族として有り得ない事だ。
それでも私はもう一度深く頭を下げて謝罪した。
「お姉さま…!そんなことなさらないでください!」
ミモザが私の腕に縋る。
ううん、あなたがそんなことをする必要はない。
だって、あなたはヒロイン。
私は悪役令嬢。
あんな子供にあそこまで酷いことをしたのだから、今さら私が断罪を免れようなどとは思わない。
悪役令嬢として、散ってみせよう。
ただ、ミモザだけは、この子だけは幸せにしたい。
ーー聖クレのバッドエンドは絶対に阻止する。
「さ、まずは部屋を変えるわ。私の隣の部屋でもいいかしら」
「えっ?でも、お姉さまの隣は…あの、お姉さまのお部屋と続き間となっているあの部屋は…本来お父様の…」
屋敷の女主人の部屋である母の部屋は、今は私が使っている。
本来は続き間は父の部屋へと繋がるのだが、父はこれを嫌い、別棟をわざわざ建てて、そこに部屋をもった。
母は怒り狂ったが、正妻の意地でその部屋にずっと住んでいた。
母が亡くなったあとは、私はその部屋を自分の部屋として、母がヒステリックに部屋の調度品を壊した続き間の父の部屋はそのままに放置した。
由緒正しい血筋である母を裏切った父を許さないように。
私がこの家の真の主人だと名乗るように。
たびたびミモザをそのボロボロの部屋に連れていっては母の悲しみを私は嬉しそうにこんこんと語ったのだ。…最低だ。
「…死んだ人をいつまでも思っていても仕方ないわ。あなたが嫌なら、私がその部屋に行きます。ただ、出来れば扉ひとつであなたの側に駆け付けられる距離でいたい。昨日の今日で、信じられないかもしれないけれど」
…私だったら信じない。でもお人好しで、かわいくて優しいミモザは嬉しそうに笑うのだ。
「お姉さま…私、うれしいです」
…絶対に守る。
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