カプセル勇者は三分間だけ暴れまわる

ばうどらて

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瘴気に汚染された大陸からの脱出 その4

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 魅了の聖女は俺の言葉を聞き入れて、絶賛引きこもり中だそうだ。外の社会と完全に切り離されているわけではなく、召使いなどを通じて移民を襲撃させたりとかボチボチやっているようだけど、普通の護衛に普通に撃退されているので、誰かがカプセルを割る事態にまではいたっていないとのこと。

「あなたの技術担当者は、それを不満に思っています。ただでさえ、あなたはこの世界に来てから本気を出す機会がほとんどなかったのに、活躍の機会がさらに減ったら、世界を堅牢にすることができたかどうかの検証が捗らないと苦情を言ってきています」

 今日のゲームマスターは黒のフリルとレースのひらひらに赤い薔薇のヘッドドレスだ。俺はいつもの如く左肩を留める膝上丈のキトンを着てふよふよ浮いている。

「そこで大量発生した怪物の討伐ですか。最大出力の範囲攻撃で殲滅しろと?」

「はい。聖なる山が噴火するとき魔物のスタンピードが起こると浄化の聖女が警告していましたが、つい先程、その山が噴火しました」

 映し出された火山は、聖なる山というより魔の山ではないかという感じで、禍々しい黒煙と火山灰が視界を塞いでいる。濃密な瘴気の塊が怪物に変じたり、生き物に取り憑いて怪物化したりするという。

「三分間で全滅させられない場合は?」

「カプセルを割る者にまとめて何十個か渡せば良いだろうと技術担当者は言っています。時間延長の設定を考えるよりも、そちらの方がはるかに楽なんだそうです。
 カプセルを持つ者は転移能力者で、防具と防御の魔道具でガチガチに固めるから心配ないとも言っていました」

「了解。では、行ってきます」




「あ、夜だ」
 闇の中での戦闘は、この世界に来てから始めてだ。
 自分の身体に薄く光を纏わせ、俺は横にいるカプセル割り男に確認する。
「あちらから来る化け物の集団を全部消し飛ばせばいいんだよね?
 君以外に、攻撃から守る対象はなしって認識で間違いない?」
「はい。周囲に人がいないことは確認済みです」
 カプセル割り男は頑丈そうな防具を装備していて、防御の魔道具も所持しているだろうが、念のために光の網付き防御壁で囲んであげた。

「落雷!」
 剣を天に向ける。上空に雲を発生させ雷を落とす。
「落雷! 落雷! 落雷!」
 稲妻が闇を切り裂き、轟音を響かせる。
「落雷! 落雷! 落雷! 落雷! 落雷!」
 闇に赤黒い火が灯る。可燃性の化け物に引火して燃えているようだ。
「粉砕! 火柱!」
 火の柱というより火の壁だ。化け物たちが暴走してきた経路がそのまま火の道筋となる。

「うーん、一応は片付けたけど、瘴気が晴れない限り、また化け物が——君たちの言うところの魔物がうようよと湧いて出てきそうだ。
 死体の処理はあれでいいんだろうか。土葬も考えたけど、この大陸の大地の性質とやらで瘴気が固まって化け物発生となったら逆効果だし、浄化の聖女さんをこの大陸に呼び戻すことは絶対に避けたいところだろうし」

「浄化の聖女様であっても、聖なる山の噴火後に発生した瘴気を浄化しきるのは無理です。浄化の魔道具も存在しますが、浄化できるのはさらに少量。
 魔物の死体の土葬が有効かどうかは、これから本部に戻って聞いてみます」

「了解。お疲れ様」
 カプセル割り男が転移で消え、そのすぐ後に俺も消える。

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