9 / 30
瘴気に汚染された大陸からの脱出 その6
しおりを挟む
「あの怪しいパーティーと本気で戦わなかった理由? 特に何も。
ピートくんの安全確保が優先だったし、殺すのはいつでもできるけど、いったん殺すと生き返らせることはできないし」
「いつでも殺せますか、それは何よりです。彼らや、少し前にあなたが撃退した辺境伯あたりが、この大陸の人間としては最大の戦闘能力の保持者なのです」
本日のゲームマスターは白の女神ファッション。ラッパのように広がった袖などは中世ヨーロッパ風味なんだけど、体に巻き付けているのがゴツめの金鎖だったり装飾品の意匠が安全剃刀や歯車だったりとパンクしている。
ふよふよ浮いている俺はいつもの左肩留めの膝上丈キトン。イメージを練り上げると別の格好にもできるらしいが、何だか面倒くさいのでパス。
「アレで、ですか。うーん、化け物の二、三匹程度なら倒せるとしても、数百匹単位の化け物の群れを相手にできるほどの実力があるとは思えなかったんですが。
あのパーティーには転移能力者がいたみたいだから、一匹倒したらどこかに転移して素材を剥ぎ取って、終わったらまた化け物のところに転移して——とかやっていたんでしょうかね」と俺。
「それもあるのでしょうけれど、数百匹単位の群れに遭遇した経験自体が彼らにはないと思われます。浄化の聖女たちの情報によると、前回の噴火が百三十年前で経験者は生き残っていません。
それに前回の噴火は今回の噴火よりもずっと規模が小さく、群れを構成する魔物の数は今回より少なめ、高ランクな巨大魔物の発生率も低かったようです。記録を照らし合わせる限りでは、二百年前にあった前々回の噴火の規模が今回のそれと近いでしょう」とゲームマスター。
「それだから奪った命を無駄にするなとか、のんびりしたことを言ってられるのでしょうねぇ。そうでなくても、動物なんかが相手ならともかく、化け物の命に敬意を払えとかホザかれても困りますよ」
「ピートくんとも話したのですが、彼らの価値体系では魔物、特に強い魔物ほど、高価で有効な素材の供給源であると同時に、畏敬すべき対象でもあるみたいです。
まあ、放送で避難勧告を出しても無視、あなたが討伐する直前の魔物の大集合を見せても駄目、浄化の聖女が説得しようとすれば立体映像に切り掛かるのですから処置なしです」
ゲームマスターがいくつかの映像を映し出す。
あのときは暗くてよく見えなかったが、落雷連発前の化け物大集合の様子はなかなか凄かったんだな。見せられたパーティーのメンバーは頭に血がのぼっていて、感じるべき恐怖を感じていないようだけど。
あっ、本当に浄化の聖女の立体映像を剣で横薙ぎにしている。
ピート相手にもがっつり攻撃していたし、明らかに非戦闘用員相手でも容赦しないなあ、あいつら。じゃあ、こっちも容赦しなくていいよね?
「はい。次に彼らが現れたら、巻き添えにしても構いません。
やっちゃってください」
ちなみに次のカプセル割り男もピートの予定。怪我が完治してからだけど。
防具と防御の魔道具を強化し、魔術師の転移妨害を妨害する魔道具も追加するとのこと。何だか技術担当者がノリノリで改良・製作したんだそうだ。
それから、外の時間でどのくらい経過したのか。
今、俺が目にしているのは、遥か彼方から徐々に近づいてくる化け物たち。
まだまだ距離があって火山灰に煙ったその向こうに、遠近感が狂っているような巨大な影。
マジかよ、あれ、魔王よりでかいんじゃね?
ピートくんの安全確保が優先だったし、殺すのはいつでもできるけど、いったん殺すと生き返らせることはできないし」
「いつでも殺せますか、それは何よりです。彼らや、少し前にあなたが撃退した辺境伯あたりが、この大陸の人間としては最大の戦闘能力の保持者なのです」
本日のゲームマスターは白の女神ファッション。ラッパのように広がった袖などは中世ヨーロッパ風味なんだけど、体に巻き付けているのがゴツめの金鎖だったり装飾品の意匠が安全剃刀や歯車だったりとパンクしている。
ふよふよ浮いている俺はいつもの左肩留めの膝上丈キトン。イメージを練り上げると別の格好にもできるらしいが、何だか面倒くさいのでパス。
「アレで、ですか。うーん、化け物の二、三匹程度なら倒せるとしても、数百匹単位の化け物の群れを相手にできるほどの実力があるとは思えなかったんですが。
あのパーティーには転移能力者がいたみたいだから、一匹倒したらどこかに転移して素材を剥ぎ取って、終わったらまた化け物のところに転移して——とかやっていたんでしょうかね」と俺。
「それもあるのでしょうけれど、数百匹単位の群れに遭遇した経験自体が彼らにはないと思われます。浄化の聖女たちの情報によると、前回の噴火が百三十年前で経験者は生き残っていません。
それに前回の噴火は今回の噴火よりもずっと規模が小さく、群れを構成する魔物の数は今回より少なめ、高ランクな巨大魔物の発生率も低かったようです。記録を照らし合わせる限りでは、二百年前にあった前々回の噴火の規模が今回のそれと近いでしょう」とゲームマスター。
「それだから奪った命を無駄にするなとか、のんびりしたことを言ってられるのでしょうねぇ。そうでなくても、動物なんかが相手ならともかく、化け物の命に敬意を払えとかホザかれても困りますよ」
「ピートくんとも話したのですが、彼らの価値体系では魔物、特に強い魔物ほど、高価で有効な素材の供給源であると同時に、畏敬すべき対象でもあるみたいです。
まあ、放送で避難勧告を出しても無視、あなたが討伐する直前の魔物の大集合を見せても駄目、浄化の聖女が説得しようとすれば立体映像に切り掛かるのですから処置なしです」
ゲームマスターがいくつかの映像を映し出す。
あのときは暗くてよく見えなかったが、落雷連発前の化け物大集合の様子はなかなか凄かったんだな。見せられたパーティーのメンバーは頭に血がのぼっていて、感じるべき恐怖を感じていないようだけど。
あっ、本当に浄化の聖女の立体映像を剣で横薙ぎにしている。
ピート相手にもがっつり攻撃していたし、明らかに非戦闘用員相手でも容赦しないなあ、あいつら。じゃあ、こっちも容赦しなくていいよね?
「はい。次に彼らが現れたら、巻き添えにしても構いません。
やっちゃってください」
ちなみに次のカプセル割り男もピートの予定。怪我が完治してからだけど。
防具と防御の魔道具を強化し、魔術師の転移妨害を妨害する魔道具も追加するとのこと。何だか技術担当者がノリノリで改良・製作したんだそうだ。
それから、外の時間でどのくらい経過したのか。
今、俺が目にしているのは、遥か彼方から徐々に近づいてくる化け物たち。
まだまだ距離があって火山灰に煙ったその向こうに、遠近感が狂っているような巨大な影。
マジかよ、あれ、魔王よりでかいんじゃね?
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
偽者に奪われた聖女の地位、なんとしても取り返さ……なくていっか! ~奪ってくれてありがとう。これから私は自由に生きます~
日之影ソラ
恋愛
【小説家になろうにて先行公開中!】
https://ncode.syosetu.com/n9071il/
異世界で村娘に転生したイリアスには、聖女の力が宿っていた。本来スローレン公爵家に生まれるはずの聖女が一般人から生まれた事実を隠すべく、八歳の頃にスローレン公爵家に養子として迎え入れられるイリアス。
貴族としての振る舞い方や作法、聖女の在り方をみっちり教育され、家の人間や王族から厳しい目で見られ大変な日々を送る。そんなある日、事件は起こった。
イリアスと見た目はそっくり、聖女の力?も使えるもう一人のイリアスが現れ、自分こそが本物のイリアスだと主張し、婚約者の王子ですら彼女の味方をする。
このままじゃ聖女の地位が奪われてしまう。何とかして取り戻そう……ん?
別にいっか!
聖女じゃないなら自由に生きさせてもらいますね!
重圧、パワハラから解放された聖女の第二の人生がスタートする!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる