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転生者は何かとやらかす その1
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「どうか助けてください!」
カプセルを割ったのは、意外にも結界の聖女だった。
魔王化する恐れのある人間にゲームマスターがカプセルを渡すなんて、ありだったのか。
「これはこれは。今日は君の主のフェンリル様はご一緒ではないのか?」
「一応俺の方が使役者なんだけどね、二股浮気男くん」
結界の聖女との不貞を理由に婚約破棄を宣言された公爵子息の、確かリッキーとか呼ばれていた男が二十人ほどのお供を引き連れて立ち塞がっている。お供の中には見覚えのある顔もある。前回の卒業パーティーで俺が眠らせた連中だ。
「ステラ、わたしたちと共に来てはくれないのか?」
二股浮気男の呼びかけに結界の聖女は全身で否と応える。
そりゃそうだろう。結界の聖女はこの男のハニートラップに引っ掛かって利用されたんだってことを、王女にしっかりとバラされてるんだから。あのとき王女に「婚約破棄の経緯について洗いざらいしゃべってください」と指示しておいた俺、いい仕事したなぁ。
「何だかな。どの面さげて一緒に来てくれとほざいてるのか」
と俺がつぶやくと、結界の聖女が説明する。
「王太女様の女神の石が砕かれましたよね。あれで魅了が解けて正気に返ったとおっしゃっているのです」
「そうだ、本当に愛しているのはステラ、君だけだ」
「ぐはっ」
「うぐっ」
うめき声をあげた二人は、浮気男の「愛している」に反応したわけではない。
俺の剣と盾による攻撃反射にやられたものだ。
「俺を攻撃しようとしたのならまだしも、聖女に何かしようとしたな」
俺に向けての攻撃ではなかった。俺の背後にいた結界の聖女への攻撃を剣と盾で跳ね返したのだ。
「ま、待ってくれ、違うんだ」
もちろん、待たない。
「眠れ。フェンリルが目覚めさせるまで」
剣に闇の属性を纏わせるのはいつも通りだが、今回は全員まとめて眠らせる。
「俺には時間制限あるし、尋問とかは他の人に任せるしかないでしょう。
残り時間で安全な所まであなたを送ることができればいいんですが」
視界上方に表示される赤のゲージが示す残り時間は半分とちょっと。
「あちらに見える神殿が帰る場所なのですが、魔物が現れて追われてきたのです」
「了解です」
神殿の中にいた狼の魔物は特に何も言うことなく秒殺したが、その外観がまるでフェンリルの超劣化版であることと、奴にやられたらしい被害者たちの姿が俺の心を重くする。
「俺には治癒能力がないので、この人たちには何もできません……。
また化け物が現れたら、すぐにカプセルを割ってください。
カプセルの残りは何個かありますよね?」
涙ながらに頷いた結界の聖女と、治療を開始した様子の神殿の者たちを目にしながら、俺は消えた。
「誘拐されました。助けていただけないでしょうか」
「ええと、確か君は結婚パーティーでフェンリルと契約し損ねた少年——俺の上司は君にもカプセルを渡していたのか」
「はい。我が国の王太子夫妻に敵対する者同士として」
「結婚パーティーで君と大喧嘩していた王太子妃が君の姉さんだっけ。
よくわからんが敵の敵は味方ってことか?
まあ駄女神そっくりの君の姉さんよりは年端もいかない君の味方をするのは納得できるが」
「もうすぐ十二歳なので年端もいかないとは言えないでしょうが……新しい女神様は、生贄にされそうな僕を哀れと思ってくださったようなのです」
カプセルを割ったのは、意外にも結界の聖女だった。
魔王化する恐れのある人間にゲームマスターがカプセルを渡すなんて、ありだったのか。
「これはこれは。今日は君の主のフェンリル様はご一緒ではないのか?」
「一応俺の方が使役者なんだけどね、二股浮気男くん」
結界の聖女との不貞を理由に婚約破棄を宣言された公爵子息の、確かリッキーとか呼ばれていた男が二十人ほどのお供を引き連れて立ち塞がっている。お供の中には見覚えのある顔もある。前回の卒業パーティーで俺が眠らせた連中だ。
「ステラ、わたしたちと共に来てはくれないのか?」
二股浮気男の呼びかけに結界の聖女は全身で否と応える。
そりゃそうだろう。結界の聖女はこの男のハニートラップに引っ掛かって利用されたんだってことを、王女にしっかりとバラされてるんだから。あのとき王女に「婚約破棄の経緯について洗いざらいしゃべってください」と指示しておいた俺、いい仕事したなぁ。
「何だかな。どの面さげて一緒に来てくれとほざいてるのか」
と俺がつぶやくと、結界の聖女が説明する。
「王太女様の女神の石が砕かれましたよね。あれで魅了が解けて正気に返ったとおっしゃっているのです」
「そうだ、本当に愛しているのはステラ、君だけだ」
「ぐはっ」
「うぐっ」
うめき声をあげた二人は、浮気男の「愛している」に反応したわけではない。
俺の剣と盾による攻撃反射にやられたものだ。
「俺を攻撃しようとしたのならまだしも、聖女に何かしようとしたな」
俺に向けての攻撃ではなかった。俺の背後にいた結界の聖女への攻撃を剣と盾で跳ね返したのだ。
「ま、待ってくれ、違うんだ」
もちろん、待たない。
「眠れ。フェンリルが目覚めさせるまで」
剣に闇の属性を纏わせるのはいつも通りだが、今回は全員まとめて眠らせる。
「俺には時間制限あるし、尋問とかは他の人に任せるしかないでしょう。
残り時間で安全な所まであなたを送ることができればいいんですが」
視界上方に表示される赤のゲージが示す残り時間は半分とちょっと。
「あちらに見える神殿が帰る場所なのですが、魔物が現れて追われてきたのです」
「了解です」
神殿の中にいた狼の魔物は特に何も言うことなく秒殺したが、その外観がまるでフェンリルの超劣化版であることと、奴にやられたらしい被害者たちの姿が俺の心を重くする。
「俺には治癒能力がないので、この人たちには何もできません……。
また化け物が現れたら、すぐにカプセルを割ってください。
カプセルの残りは何個かありますよね?」
涙ながらに頷いた結界の聖女と、治療を開始した様子の神殿の者たちを目にしながら、俺は消えた。
「誘拐されました。助けていただけないでしょうか」
「ええと、確か君は結婚パーティーでフェンリルと契約し損ねた少年——俺の上司は君にもカプセルを渡していたのか」
「はい。我が国の王太子夫妻に敵対する者同士として」
「結婚パーティーで君と大喧嘩していた王太子妃が君の姉さんだっけ。
よくわからんが敵の敵は味方ってことか?
まあ駄女神そっくりの君の姉さんよりは年端もいかない君の味方をするのは納得できるが」
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