27 / 30
転生者は何かとやらかす その2
しおりを挟む
「生贄に、ねぇ」
それっぽい魔法陣が少年のいる床に描かれている、というか彫られている。
部屋の四隅には不気味な像。それぞれから黒い鎖が伸びて少年の手首と足首の鉄輪へと繋がっている。あまり動きがとれない状況だろうに、これでよくカプセルを割ることができたもんだ。
「今はこの部屋に誰もいないんだ?」
「時が満ちるまでここで監禁という話でした」
部屋の外には見張りらしき者たちもいるようだが部屋の中には少年のみ。
「フェンリル召喚!」
俺は剣で鎖を切りながらフェンリルを召喚する。
円柱状の青白い光と共に顕現したフェンリルは、登場と同時に嫌悪感を顕にした念話をとばした。
『何だ、ここは? 気色が悪い。瘴気の濃度が半端ではないぞ』
『この少年を生贄にして何かやらかすつもりのようです。
彼を乗せて安全な場所まで送ってあげてください』
『此奴をか? 我を魔道具で束縛しようとした童ではないか』
『カプセルを渡されていたことから推測するに、彼は俺の上司の保護対象です。
それに見てください。あなたをキラキラした憧れの目で見ているではないですか』
『ふむ。本日のところは駄女神の臭い匂いは薄いから、まだましであるか。
振り落とさずに運べれば良いがのう』
『この黒い鎖を身体に巻いて手綱のようにすれば? ああ、お嫌なのはわかりますけどね。俺が同乗すれば安全かもしれませんが、俺はここに残って破壊活動したいんですよ。あなたはこういう瘴気が濃い場所は苦手ですよね』
「防御壁!」
光の網付きの防御壁でフェンリルと少年を囲む。
『俺が消えたらこの防御も無効になりますが、それまでに距離を稼いでおけば大丈夫じゃないかと思います』
俺は剣先から光のビームを出して壁を破壊する。
青い空に陽の光が眩しい。眼下には草原、少し先には森。
「少年よ、もたもたするな! 我につかまれ。振り落とされても知らんぞ」
フェンリルが吠える。
そうか、俺とフェンリルは念話で高速会話してしてたから少年からすると何が何だかだったかも。
「君の本拠地はどこだ? 方角はわかるか?」
「聖国の神殿にお世話になっています」
「そこなら太陽のある方に向かえば良いな」
剣の属性を風に変更。
「風よ、道をつくれ!」
太陽に向かって彼らは飛び去る。
どうかご無事に、ってやつだ。ちなみにフェンリルは卒業パーティーのときより多めに俺の魔力を引き抜いている。
さて、俺は時間の許す限り予告通りの破壊活動をしなければ。
近くに町らしきものは存在しないから天のハンマーでこの塔ごと爆発させるのもいいかと思った。だけど瘴気の大陸での屍竜のしぶとさを思い起こすと、なかなか壊れなかったり、壊れても自己再生したりするんじゃないかと心配になる。
その屍竜は今や俺の騎獣として調整済み——となると、そいつに騎乗して破壊しまくるのが一番ではないかと思う。
「屍竜を騎獣に設定」
俺は屍竜に騎乗し、剣には闇の属性を帯びさせる。
「滅びろ」
魔法陣の彫られた床と、部屋の四隅にある像を叩く。
それなりに力を込めて壊そうとしているのだが一発で粉砕とはいかない。
ただし、ひびや割れ目から漏れ出した瘴気を屍竜が順調に吸収してくれるのは感じる。二度三度と叩いているうちに不気味な像が修復不能なまでに粉々となる。
魔法陣の床もいい感じに削れてきたかと思ったら、屍竜が俺を乗せたまま宙に浮き、瘴気を圧縮したような黒のブレスを魔法陣に向かって噴射。
この時点で塔にいた人間と魔物は、俺と屍竜を除いて死に絶えたのがわかった。
床から大量の瘴気が漏れ出し、その瘴気を屍竜が吸収する。
「これだけ燃料を補給すれば連続してブレスを噛ませられるんじゃないか?」
屍竜が再びブレスを吐く。
魔法陣ごと床が粉砕される。いや床だけではない。
塔全体の崩壊を確認して俺と屍竜は消えた。
それっぽい魔法陣が少年のいる床に描かれている、というか彫られている。
部屋の四隅には不気味な像。それぞれから黒い鎖が伸びて少年の手首と足首の鉄輪へと繋がっている。あまり動きがとれない状況だろうに、これでよくカプセルを割ることができたもんだ。
「今はこの部屋に誰もいないんだ?」
「時が満ちるまでここで監禁という話でした」
部屋の外には見張りらしき者たちもいるようだが部屋の中には少年のみ。
「フェンリル召喚!」
俺は剣で鎖を切りながらフェンリルを召喚する。
円柱状の青白い光と共に顕現したフェンリルは、登場と同時に嫌悪感を顕にした念話をとばした。
『何だ、ここは? 気色が悪い。瘴気の濃度が半端ではないぞ』
『この少年を生贄にして何かやらかすつもりのようです。
彼を乗せて安全な場所まで送ってあげてください』
『此奴をか? 我を魔道具で束縛しようとした童ではないか』
『カプセルを渡されていたことから推測するに、彼は俺の上司の保護対象です。
それに見てください。あなたをキラキラした憧れの目で見ているではないですか』
『ふむ。本日のところは駄女神の臭い匂いは薄いから、まだましであるか。
振り落とさずに運べれば良いがのう』
『この黒い鎖を身体に巻いて手綱のようにすれば? ああ、お嫌なのはわかりますけどね。俺が同乗すれば安全かもしれませんが、俺はここに残って破壊活動したいんですよ。あなたはこういう瘴気が濃い場所は苦手ですよね』
「防御壁!」
光の網付きの防御壁でフェンリルと少年を囲む。
『俺が消えたらこの防御も無効になりますが、それまでに距離を稼いでおけば大丈夫じゃないかと思います』
俺は剣先から光のビームを出して壁を破壊する。
青い空に陽の光が眩しい。眼下には草原、少し先には森。
「少年よ、もたもたするな! 我につかまれ。振り落とされても知らんぞ」
フェンリルが吠える。
そうか、俺とフェンリルは念話で高速会話してしてたから少年からすると何が何だかだったかも。
「君の本拠地はどこだ? 方角はわかるか?」
「聖国の神殿にお世話になっています」
「そこなら太陽のある方に向かえば良いな」
剣の属性を風に変更。
「風よ、道をつくれ!」
太陽に向かって彼らは飛び去る。
どうかご無事に、ってやつだ。ちなみにフェンリルは卒業パーティーのときより多めに俺の魔力を引き抜いている。
さて、俺は時間の許す限り予告通りの破壊活動をしなければ。
近くに町らしきものは存在しないから天のハンマーでこの塔ごと爆発させるのもいいかと思った。だけど瘴気の大陸での屍竜のしぶとさを思い起こすと、なかなか壊れなかったり、壊れても自己再生したりするんじゃないかと心配になる。
その屍竜は今や俺の騎獣として調整済み——となると、そいつに騎乗して破壊しまくるのが一番ではないかと思う。
「屍竜を騎獣に設定」
俺は屍竜に騎乗し、剣には闇の属性を帯びさせる。
「滅びろ」
魔法陣の彫られた床と、部屋の四隅にある像を叩く。
それなりに力を込めて壊そうとしているのだが一発で粉砕とはいかない。
ただし、ひびや割れ目から漏れ出した瘴気を屍竜が順調に吸収してくれるのは感じる。二度三度と叩いているうちに不気味な像が修復不能なまでに粉々となる。
魔法陣の床もいい感じに削れてきたかと思ったら、屍竜が俺を乗せたまま宙に浮き、瘴気を圧縮したような黒のブレスを魔法陣に向かって噴射。
この時点で塔にいた人間と魔物は、俺と屍竜を除いて死に絶えたのがわかった。
床から大量の瘴気が漏れ出し、その瘴気を屍竜が吸収する。
「これだけ燃料を補給すれば連続してブレスを噛ませられるんじゃないか?」
屍竜が再びブレスを吐く。
魔法陣ごと床が粉砕される。いや床だけではない。
塔全体の崩壊を確認して俺と屍竜は消えた。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
偽者に奪われた聖女の地位、なんとしても取り返さ……なくていっか! ~奪ってくれてありがとう。これから私は自由に生きます~
日之影ソラ
恋愛
【小説家になろうにて先行公開中!】
https://ncode.syosetu.com/n9071il/
異世界で村娘に転生したイリアスには、聖女の力が宿っていた。本来スローレン公爵家に生まれるはずの聖女が一般人から生まれた事実を隠すべく、八歳の頃にスローレン公爵家に養子として迎え入れられるイリアス。
貴族としての振る舞い方や作法、聖女の在り方をみっちり教育され、家の人間や王族から厳しい目で見られ大変な日々を送る。そんなある日、事件は起こった。
イリアスと見た目はそっくり、聖女の力?も使えるもう一人のイリアスが現れ、自分こそが本物のイリアスだと主張し、婚約者の王子ですら彼女の味方をする。
このままじゃ聖女の地位が奪われてしまう。何とかして取り戻そう……ん?
別にいっか!
聖女じゃないなら自由に生きさせてもらいますね!
重圧、パワハラから解放された聖女の第二の人生がスタートする!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる