カプセル勇者は三分間だけ暴れまわる

ばうどらて

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転生者は何かとやらかす その2

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「生贄に、ねぇ」
 それっぽい魔法陣が少年のいる床に描かれている、というか彫られている。
 部屋の四隅には不気味な像。それぞれから黒い鎖が伸びて少年の手首と足首の鉄輪へと繋がっている。あまり動きがとれない状況だろうに、これでよくカプセルを割ることができたもんだ。
「今はこの部屋に誰もいないんだ?」
「時が満ちるまでここで監禁という話でした」
 部屋の外には見張りらしき者たちもいるようだが部屋の中には少年のみ。

「フェンリル召喚!」
 俺は剣で鎖を切りながらフェンリルを召喚する。
 円柱状の青白い光と共に顕現したフェンリルは、登場と同時に嫌悪感を顕にした念話をとばした。
『何だ、ここは? 気色が悪い。瘴気の濃度が半端ではないぞ』

『この少年を生贄にして何かやらかすつもりのようです。
 彼を乗せて安全な場所まで送ってあげてください』
『此奴をか? 我を魔道具で束縛しようとした童ではないか』
『カプセルを渡されていたことから推測するに、彼は俺の上司の保護対象です。
 それに見てください。あなたをキラキラした憧れの目で見ているではないですか』
『ふむ。本日のところは駄女神の臭い匂いは薄いから、まだましであるか。
 振り落とさずに運べれば良いがのう』
『この黒い鎖を身体に巻いて手綱のようにすれば? ああ、お嫌なのはわかりますけどね。俺が同乗すれば安全かもしれませんが、俺はここに残って破壊活動したいんですよ。あなたはこういう瘴気が濃い場所は苦手ですよね』

「防御壁!」
 光の網付きの防御壁でフェンリルと少年を囲む。
『俺が消えたらこの防御も無効になりますが、それまでに距離を稼いでおけば大丈夫じゃないかと思います』

 俺は剣先から光のビームを出して壁を破壊する。
 青い空に陽の光が眩しい。眼下には草原、少し先には森。

「少年よ、もたもたするな! 我につかまれ。振り落とされても知らんぞ」
 フェンリルが吠える。
 そうか、俺とフェンリルは念話で高速会話してしてたから少年からすると何が何だかだったかも。

「君の本拠地はどこだ? 方角はわかるか?」
「聖国の神殿にお世話になっています」
「そこなら太陽のある方に向かえば良いな」

 剣の属性を風に変更。
「風よ、道をつくれ!」
 太陽に向かって彼らは飛び去る。
 どうかご無事に、ってやつだ。ちなみにフェンリルは卒業パーティーのときより多めに俺の魔力を引き抜いている。
 さて、俺は時間の許す限り予告通りの破壊活動をしなければ。

 近くに町らしきものは存在しないから天のハンマーでこの塔ごと爆発させるのもいいかと思った。だけど瘴気の大陸での屍竜のしぶとさを思い起こすと、なかなか壊れなかったり、壊れても自己再生したりするんじゃないかと心配になる。
 その屍竜は今や俺の騎獣として調整済み——となると、そいつに騎乗して破壊しまくるのが一番ではないかと思う。

「屍竜を騎獣に設定」
 俺は屍竜に騎乗し、剣には闇の属性を帯びさせる。
「滅びろ」
 魔法陣の彫られた床と、部屋の四隅にある像を叩く。
 それなりに力を込めて壊そうとしているのだが一発で粉砕とはいかない。
 ただし、ひびや割れ目から漏れ出した瘴気を屍竜が順調に吸収してくれるのは感じる。二度三度と叩いているうちに不気味な像が修復不能なまでに粉々となる。

 魔法陣の床もいい感じに削れてきたかと思ったら、屍竜が俺を乗せたまま宙に浮き、瘴気を圧縮したような黒のブレスを魔法陣に向かって噴射。
 この時点で塔にいた人間と魔物は、俺と屍竜を除いて死に絶えたのがわかった。
 床から大量の瘴気が漏れ出し、その瘴気を屍竜が吸収する。

「これだけ燃料を補給すれば連続してブレスを噛ませられるんじゃないか?」
 屍竜が再びブレスを吐く。
 魔法陣ごと床が粉砕される。いや床だけではない。
 塔全体の崩壊を確認して俺と屍竜は消えた。

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