カプセル勇者は三分間だけ暴れまわる

ばうどらて

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転生者は何かとやらかす その5

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 天井画に隠されている魔法陣をどうにかするにあたって、あまり力まかせの攻撃では天井ごと落ちてきそうな心配がある。
「防御壁!」
 光の網付き防御壁で俺とフェンリルと少年を包むような形にしたのは、天井が落ちてくるのとは別の心配もあったからだ。

「天井の魔法陣の近くまで連れていって欲しい」
 そうフェンリルに頼むと俺たちはふわりと空中に浮き、ドーム状に展開していた防御は球状に変化する。
 すぐ目の前にきた魔法陣を盾でやや強めに叩いてみれば、案の定というか、魔法陣が光ってこちらを攻撃してきた。盾が攻撃を反射して魔法陣が凍りつく。

「適切な接近・接触でないとトラップが発動、と」
 神殿の構造物への被害を抑えるには火や雷の系統は不向きだろうし、氷結での対応はまあ妥当なところか。しかし——
「この程度の氷、我の炎には無力」
 フェンリルは建物への少々の被害は気にしないようだ。
 彼の目から出る炎が一瞬で天井を黒焦げにする。

「完全なる漆黒の天井。これがフェンリル様の御業」
 タビー少年はフェンリルの所業を心から称賛する。
 魔法陣が隠されていた箇所以外の天井画には罪も害もなかったんじゃないかとも思うが、もはや天井画はどこにも存在しない。フェンリルの炎で黒く塗りつぶされた天井が見えるのみ。




「それから神殿に潜んでいたミミックをフェンリルが発見したから退治して、そろそろ時間切れだったんで宝物殿にあるものはフェンリル経由で全部ゲームマスターに渡して、それでいったんお終いにした」

 以前にいた世界の勇者パーティーのメンバーたちと夢の中で集う。

「神殿っていったい何なんだろうと、しみじみ思ったぜ。
 ダンジョン攻略してるみたいだった」

「神殿にいろいろ仕掛けてダンジョン化したのは転生者たちという話だったな。
 異世界の記憶を持つ転生者ならでの発想ということか。異なる世界の異なる理」
 王太子が感心したように言う。

「あの世界にとっては俺もまた一種の転生者だけどな。
 あちらの神殿には壁や扉を壊しまくれるような僧侶は常駐していないと言われて驚いた。常識の違いってやつだ。だから僧侶と共同戦線をはれなかった」
「あのぉ、こちらの世界の神殿にもソリバのような僧侶はそう滅多にいないわよ」
 聖女が言う。ここでもまた呆れられるとは。

「で、神殿攻略は後一回くらいはありそうだけど、少年がゲームマスターに直訴してるんだよね。フェンリルや俺と一緒に活動する機会がもっと欲しいと。俺に修行をつけてもらいたいみたいなトチ狂ったことを言い出してるので悩んでいる」

「一回につき三分間では時間が短過ぎるか? でもカプセル割りの連続使用もできると聞いているし、このような夢見の空間で教えを授けたりするのも可能ではないのか?」と王太子が言う。
「時間の制限とかは運用でどうにか解決できたとしても、俺が先生役をつとめられるような人材かどうかが凄く疑問なんだよねぇ」と俺。

「夢でつながりを持たせてもらって、僕が先生役になってもいいよ。
 フェンリルにも夢で会えたら嬉しいな」
 はしゃいだ声の魔術師の提案は俺としてはなるべく却下したい。

「そういえばお前は人に教えることが好きだったな。俺も防御壁に光の網をかける方法を教わったり、随分と世話にはなったが……。
 件の少年はまだ十二歳にもなってなくて、将来への影響を考慮すると、倫理的に穏当な方向に導く教師が必要だと思うんだよ」

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