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第23話「冬木の愛情」
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ここは……。
意識が戻ると、ゆっくりと目を開けけた。
そこに広がっていたのは、さっきまでの生活感あるリビングではなく、打ちっ放しのコンクリートだった。
「おはよう、気分はどう?」
無警戒に近づいてくる冬木に一発喰らわせてやろう腕を動かすと、激痛が走る。
「うっ……」
親指同士が離れる気配がない。
動く指を使い原因を確かめると、結束バンドのようなものでくっつけられていた。
口にもタオルか何か噛ませてあるようで、足の親指も丁寧に結束バンドのリボンで飾られている。
逃がす気はないってことかよ。
「あ、これじゃ話せないよね、ごめんね」
冬木は慣れた様子で口枷を外す。
一瞬の隙をついて噛みついてやろうかと思ったが、少し冷静な頭で考えると、こいつのことだ何か対策をしているに違いない。
この年齢で差し歯になるのは避けたかったので黙って冬木の動きを見守る。
「改めておはよう」
「どういうつもりだよ」
突然の仕打ちに恨みのこもった目を向けるが、対照的に冬木の瞳は恍惚と輝いていた。
「どうも何も守ってあげたんだよ、これ以上私の達也クンがあの女に汚されるのが我慢できなかったし」
守った?
何言ってるんだ。
「私全部聞いてたんだから、あの女がなんで振ったかとか全部」
「お前それ盗聴じゃ……」
「そうだよ、あれ? 写真渡さなかったっけ?」
悪びれもせずそう答えると、スマホをいじり始める。
「ほらこれ」
そう言って見せてきた画面には昨日と同じ画角から取られた、茜の部屋が写っていた。
「最近の盗聴器って撮影までできるんだよね、便利でしょ? ま、なんか余計なのも混じってたけどね」
目の前で盗聴器と思しき三角タップをくるくると回す。
素人目には普段使っているタップと何ら変わらなかった。
「なんの恨みがあってこんなことするんだよ……。俺がお前になにした?」
「恨み? そんなの何一つとして達也クンにはないよ。あるのは愛情だけだよ」
よしよしと頭を撫でてくるが、茜に撫でられた時と違い、嫌悪感しか感じなかった。
「やめろよ、あれが愛情があるやつの行動かよ」
「けど達也クンだってあれに首輪つけて飼い始めたじゃん。けどまだ好きでしょ? 首輪つけてるから愛情ないなんて言える?」
「それとこれとは話が違うだろ!」
「同じだよ。達也クンは愛情があるからペットとして飼う。私は愛情があるから達也クンが不幸にならない様に監視するの」
混じり気の全くない、真っすぐな瞳でそう訴えてきた。
狂ってる……。
茜を飼うと決めた俺が言えるセリフではないとわかってはいるが、それでもこいつの行動は気が触れていると感じた。
「なんか納得できないって顔してるね。しょうがないな、なら私がなんで好きになったか言えば少しは愛されてるって理解してくれるかな?」
そう言うと冬木は自分の宝物を誰かに見せるかのように、ゆっくりと、胸を張って話始めた。
意識が戻ると、ゆっくりと目を開けけた。
そこに広がっていたのは、さっきまでの生活感あるリビングではなく、打ちっ放しのコンクリートだった。
「おはよう、気分はどう?」
無警戒に近づいてくる冬木に一発喰らわせてやろう腕を動かすと、激痛が走る。
「うっ……」
親指同士が離れる気配がない。
動く指を使い原因を確かめると、結束バンドのようなものでくっつけられていた。
口にもタオルか何か噛ませてあるようで、足の親指も丁寧に結束バンドのリボンで飾られている。
逃がす気はないってことかよ。
「あ、これじゃ話せないよね、ごめんね」
冬木は慣れた様子で口枷を外す。
一瞬の隙をついて噛みついてやろうかと思ったが、少し冷静な頭で考えると、こいつのことだ何か対策をしているに違いない。
この年齢で差し歯になるのは避けたかったので黙って冬木の動きを見守る。
「改めておはよう」
「どういうつもりだよ」
突然の仕打ちに恨みのこもった目を向けるが、対照的に冬木の瞳は恍惚と輝いていた。
「どうも何も守ってあげたんだよ、これ以上私の達也クンがあの女に汚されるのが我慢できなかったし」
守った?
何言ってるんだ。
「私全部聞いてたんだから、あの女がなんで振ったかとか全部」
「お前それ盗聴じゃ……」
「そうだよ、あれ? 写真渡さなかったっけ?」
悪びれもせずそう答えると、スマホをいじり始める。
「ほらこれ」
そう言って見せてきた画面には昨日と同じ画角から取られた、茜の部屋が写っていた。
「最近の盗聴器って撮影までできるんだよね、便利でしょ? ま、なんか余計なのも混じってたけどね」
目の前で盗聴器と思しき三角タップをくるくると回す。
素人目には普段使っているタップと何ら変わらなかった。
「なんの恨みがあってこんなことするんだよ……。俺がお前になにした?」
「恨み? そんなの何一つとして達也クンにはないよ。あるのは愛情だけだよ」
よしよしと頭を撫でてくるが、茜に撫でられた時と違い、嫌悪感しか感じなかった。
「やめろよ、あれが愛情があるやつの行動かよ」
「けど達也クンだってあれに首輪つけて飼い始めたじゃん。けどまだ好きでしょ? 首輪つけてるから愛情ないなんて言える?」
「それとこれとは話が違うだろ!」
「同じだよ。達也クンは愛情があるからペットとして飼う。私は愛情があるから達也クンが不幸にならない様に監視するの」
混じり気の全くない、真っすぐな瞳でそう訴えてきた。
狂ってる……。
茜を飼うと決めた俺が言えるセリフではないとわかってはいるが、それでもこいつの行動は気が触れていると感じた。
「なんか納得できないって顔してるね。しょうがないな、なら私がなんで好きになったか言えば少しは愛されてるって理解してくれるかな?」
そう言うと冬木は自分の宝物を誰かに見せるかのように、ゆっくりと、胸を張って話始めた。
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