孤独なヒーロー

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誰だ、お前。

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 今日の食事を済ませた。
いくら吸血鬼とはいえ、毎日血液を摂取しないと
ぶっ倒れたり、死んだりする。
俺は太陽があがるのと同時に地下で過ごす。
ほとんどの吸血鬼はそうしているが
この街の地下だけは基本的に誰もいない。
その理由はもちろん。俺のせいだ。
だが、ここは大きな町ということもあり、
夜は吸血鬼が集まる。
俺は病院からパチッてきた輸血パックを飲む。
はっきり言うが美味しくはない。
俺はまだ人間の血を吸ったことは無いが、
ほんの出来心で人間の血を舐めた。
俺はその後、後悔した。
血の美味しさを知った。知ってしまったんだ。
これは一種の呪いなのかもしれない。
血を吸ってはいないが舐めてしまった呪い。
俺は毎晩他の吸血鬼の血を飲むたびに
あの味を思い出してしまう。
あの時の自分を今でも呪う。

 そして、いつもの様に夜になる。
俺は街へと出かけた。
空を飛び、飛行機とかにも見えないようにする。
そして、街を見下ろす。
人間の何倍も目が良いため
少し目を凝らすとどこでも見える。
はぁ~。また襲ってやがる。
俺はそこへと急行した。

 襲われていると思っていた。
そこには倒れ込む吸血鬼とナイフを持つ女。
そのナイフには吸血鬼の血がベッタリとついていた。
おそらく、油断していたのだろう。
ただ、女の吸血鬼殺しとは初めて見た。
俺が上から見下ろしていると、
「おい、そこの吸血鬼。」
こちらを見ずにそう発する女。
視線でバレたのか凄いな。
「お前も私を殺しに来たのか?」
「あはは。俺はそんなことはしないよ。
 俺は悪い吸血鬼じゃないさ。」
まぁこんなことを言っても、
「そんなわけないだろ。吸血鬼は皆、悪だ。」
そんな事言われてもな~。
俺お前のこと助けに来たんだけどな~。
俺は間違えて鼻で息を吸う。

 なんだ?この匂い?
あまりにも美味しそうな香りがする。
この女からか。くっそ。やらかした。
俺は地面に足をつける。
「おいおい。悪くない吸血鬼よ。
 やはり私の匂いを嗅いだらそうなるのか。」
くっそ。挑発しやがって。
だが、俺はここで冷静さを忘れてはならない。
「おい、女。」
「ん?なんだ?私を殺すか?」
「早くこの場から立ち去れ。食事の時間だ。」
「やはり、私を殺すのか。」

 私は目の前の吸血鬼と相対する。
この吸血鬼は別格だ。
肌で感じる。化け物だ。
だが、逃げる訳にはいかない。
私がこいつを殺さなきゃ被害が出る。
吸血鬼は一気に距離を詰める。
私の目では到底追うことのできない速度で。
私は死を悟る。負けを悟る。逃げたい。生きたい。
だが、吸血鬼は攻撃をせず
後ろにある吸血鬼の死体の血を飲み始めた。

「え?どういうことなの?」
「言っただろう。俺は悪い吸血鬼じゃない。」
「一体なんで共食いを...。」
「俺は過去に人間に助けられている。
 だから、俺は人間を殺さない。
 じゃあな。名も知らぬ女よ。」
その瞬間私の視界から消えた。
お前はいったい何者なんだ。
私は満月の下、そう呟くのだった。
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