【完結】「サバゲー甲子園2043~めざせ日本一のサバゲーチーム!~」

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1-57「追跡」

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1-57「追跡」
 ユニバーサルスタジオ・ショップの前では、門工サバゲー部のメンバーがパニックになっていた。幣巴と才策夫は上坊に、何が起こったのかを問いかけ、おろおろする明日を可偉瑠が優しく抱きしめていた。張尊の姿はそこにはない。夏子と上坊と篠原は上坊の持つタブレットを開いて何やら相談している。穴吹と陽菜はスマホで未来にコールをかけるが何度かけても「圏外」のコールが流れるだけだった。
 未来を拉致した男たちが投げた催涙弾の噴射が収まり、その先から、セシルとアグネス、マチルダが走って戻ってきた。

 「ナッチャン、ゴメン。ワタシタチガイナガラミライチャンツレテイカレテシモタデ!」
「ハッシンキハキノウシテルノ?イマ、デビッドトユジンガクルマヲトリニイッタヨ!」
アグネスとマチルダが慌てて話すと夏子が言った。
「あかん、スマホもGPSも電波が届けへん!こうなったら、こっそり未来ちゃんの靴に仕込んだ「あれ」しだいやな。
 今、良太郎が画像解析してるとこや。」
心配そうにするアグネスとマチルダに陽菜が寄り添い、
「大丈夫。うちの旦那の技術を信じて!きっと、未来ちゃんの居場所は特定するから!見つけ次第、奪還に行くで!準備しときや。」
と発破をかけた」

 デビッドとユジンが戻ってきたとき、上坊と篠原がタブレットの画像を二回繰り返し見て確認し、メモを書き夏子に渡した。
「アグネス、マチルダ、このナンバーが未来ちゃん拉致ったやつの車のナンバーや。デビッドさんに言うて、ロス市警にUSHから周辺道路のNシステムでこの車がどこに行ったか追跡してもろて!。あと、所有者の確認頼むって伝えてくれ!」
夏子が二人に指示を出すと、デビッドが自分の携帯で所轄の主任刑事であるウォルシュ警部に連絡を取った。
 全員は入り口を出たところにあるタクシー乗り場に急いだ。

 5分後、デビッドの携帯電話が鳴った。ロス市警で確認を取った車の所有者の名義人を聞き、セシルと穴吹は小さくガッツポーズをとった。篠原は冷静に事前にセシルが用意してくれていた名義人の持つ不動産リストをマッピングした地図をタブレット上で確認している。上坊と一緒に確認しつつ
「なっちゃん、デビッドさんにNシステムのチェック状況も聞いてくれるか?」
夏子が、アグネスとマチルダを介してデビッドに聞いたことを篠原に伝言した。

 「弘道、良太郎、ここを出て101号線と南東へ。ウエスタンアベニューで南下。10号線で西方向やて!」
篠原は上坊を頭を突き合わせ、地図を目で追った。
「ウエスタンアベニューから10号線に入ったちゅうことは、ロサンゼルス国際空港じゃなくサンタモニカ空港方面やろ!今は、龍堂さんの身が心配や。サンタモニカには奴らの物件は一つしかあれへん!ここは一択でサンタモニカの倉庫に向かうぞ!」
篠原の発言で、デビッドの車には篠原、セシル、アグネス、陽菜、穴吹、幣巴、才策夫が乗り込み先に発進した。続いて、ユジンの車に上坊、マチルダ、夏子、陽菜、明日、可偉瑠が乗り込み後発した。
 
 後部座席に座った明日が最後部の荷室に大量に積み込まれた荷物から漏れる異臭に気づき尋ねた。
「お母さん、いったいリトルトーキョーで何買ってきたん?なんか、変な臭いするねんけど・・・。」
「あー、納豆やな!とろろもあったから、ユジンさんたちにも手巻き寿司か軍艦巻きにして食べさせたろうと思って。くさやの干物も買ったで。まさか、ロスで「くさや」売ってるとは思えへんかったからな。後、罰ゲーム用の「デスソース」の5リットルボトルやで。700グラムの瓶と値段一緒やったから勢いで買ったしもたわ。
 それとは別に魚釣り用のゴカイと刺し虫と撒き餌の「さなぎ粉」がちょっと臭ってるかわからへんな。気になるようやったら、窓開けや。」 
 と夏子は悪気無しに答えた。

 「上坊先生、ところで、どうやって未来ちゃんの居場所を確定できたんですか?スマホもGPSも隠しマイクもあかんかったんでしょ?」
明日が聞くと、上坊は1センチ×2センチで厚みが5ミリくらいの黒い直方体のものをポケットから出し明日に渡した。片面の中央に丸い穴が開いている。可偉瑠も一緒に覗き込んだ。その2人の顔が上坊のスマホに映し出されている。
「えっ、上坊先生、これってカメラなんですか?」
明日が驚きの声を上げた。
「あぁ、昨日のMVPはもちろんの事、日本での準々決勝くらいから、満一に備えてお前ら全員の靴にセットしてたんや。
 短い距離しか飛べへんけど、靴の先の前方の視界だけは記録できるんやな。龍堂が拉致されて車に放り込まれるときに映ったナンバープレートから、デビッドさんとロス市警の協力を得て、車の所有者とNシステムでその車がどっちの方面に進んだんかを調べてもろたんや。
 南に降りて、ロサンゼルス空港の方に行かれたら、複数の施設が対象になってしもたんやけど、幸い、サンタモニカ空港の方は対象施設は1件だけやったんで確定できたっちゅう訳や。」

 明日はしばらく考え込んで、再び上坊に聞いた。
「あの、もしかして単なる誘拐事件やなくて、何かの事件に巻き込まれてるってことなんですか?今、思い起こしたら、パーティーでサインしたらあかんとか、GPSと発信機つけろとか普通やないですよね。」
「あぁ、国内のサバゲー大会の出場者が行方不明になる事件を警察では弘道もとい篠原刑事とマスコミでは智もとい穴吹が水面下で捜査、取材してたわけや。
 元レンジャーチーム蒸発事件で間呈のスマホに残ってたラインの通信履歴から探っていった先がロスや。そこで、お前のお母さん言って、アグネスさん、マチルダさんを通じてセシルさん、デビッドさん、ユジンさんにあらかじめ調べをお願いしてたんや。
 まあ、巻き込まれんと済めば一番やったんやけどな。まあ、こっちで手伝ってくれてる5人も、かつての「やろうぜ会」みたいなことしてたって聞いてたから、今回は「共同成敗」ってなもんやな。」
上坊はさらっと答えて見せた。横で陽菜があきらめ顔で頷いている。

 突然、上坊の電話が鳴った。篠原からの電話だった。スピーカーホンに切り替えたので全員が聞いた。
「デビッドさんが調べてくれたロス市警の情報やと、サンタモニカのやつらの倉庫にいてるのは間違えないわ。龍堂さんの所在を確認したらロス市警に応援は求めるけど、このまま、俺らは突入するで。門工の子らは車で待機な。」
篠原が、話し終わると、明日と可偉瑠が顔を見合わせて言った。
「篠原先輩、私たちも未来ちゃん救出に同行させてください。」
「おいおい、今の声は明日ちゃんか?武器も防具もあれへんのに高校生の君らにそんなことさせられへんわ。君らは待機や!」
「いや、武器はお母さんがようさん用意してくれてますから!未来ちゃんの救出っていうんやったら部長と副長ももちろん参戦ですよ!わたしら、日本一のサバゲー部ですから安心してください!」
 明日は自信満々に篠原に宣言した。

 上坊が間に割って入った。
「弘道、間呈には俺から何をしようとしてるんかは聞いておくわ。理にかなわん話やったら、待機させるから、俺らは俺らで組んでた作戦で行こう。龍堂が拉致されるっていうイレギュラーはあったけど、帝都工大のリーダーもそこにおるはずやろうしロス市警やセシルさんのお膳立てがあってここまで来れたんや。少しは恩返しせんと罰が当たるでな。」
「あぁ、わかった。そこの部分の判断は良太郎に任せるわ。じゃあ、俺はもうすぐ着くから、先に索敵に入っとくわな。じゃあな。」

 上坊が、明日と可偉瑠にどのような作戦があるのかを尋ねた。明日が簡潔にまとめた作戦を説明すると、マチルダがお腹を抱えて笑い出した。
「ナツコノムスメハオモシロイデンナ!ソノサクセンハアメリカデハツウヨウスルントチャウカ。オウエンスルデ。」
と言うと、夏子がこれ以上ないどや顔で
「さすが、我が娘やな!今の今、思いついたにしては十分や。良太郎、陽菜ちゃん、私らの現役やった頃を思い出すやんか。「やろうぜ会」も代替わりかもしれへんな。ケラケラケラ。」
と笑うと上坊もあきらめ顔で言った。
「しゃあないな、相手が銃とか出したら、その時は逃げるんやぞ。それだけ守れるんやったら、参加は認めたろ。」

 明日と可偉瑠はハイタッチして喜んだ。夏子もそんな明日と可偉瑠を目を細めて見ていた。はたと、Tシャツを脱ぎ、キュロットを脱ぎ始めた。
「お、お母さん、な、何そのカッコ?」
「あぁ、今晩、幣巴君と才策夫君をいちびったろうと思って、さっきのユニバーサルスタジオショップで買ってん!なかなか似合うやろ!まあ、顔出しできへんからちょうどええと思ってな。ケラケラケラ。ソフトボール部時代には「マウンドのクイーン」と呼ばれたお母ちゃんや。まさに「クイーン」やろ。あんたらの残念賞の水風船も出番やで!」
と再び声を上げて笑った。

 ハンドルを握るユジンが夏子に目を取られ、車が蛇行した。
(ユジンさん、きちんと前向いて運転して!それにしてもユジンさんホンマに好きやなぁ・・・。記憶は消してもらったはずやのに、C-MART壊滅の時の記憶が残ってるんかな・・・。あー、私には嫌な記憶やけど・・・。)マチルダは少し複雑な表情を浮かべた。前方の倉庫前にデビッドの車が見えてきた。




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