【完結】「サバゲー甲子園2043~めざせ日本一のサバゲーチーム!~」

のーの

文字の大きさ
57 / 63

1―56「拉致」

しおりを挟む
1―56「拉致」
 一瞬のことで何が起こったのかわからなかった。「ガチャッ」っという音が聞こえると同時に両手首と足首に冷たい感触と締め付けられる圧迫感と金属製の重量感が加わった。叫ぼうとしたが、口はテープでおおわれているため声は出ない。(えっ、手錠に足枷はめられた?)と思った瞬間、「く」の字に男の肩に担がれ、走り出した感覚がおなかに伝わった。
「未来ちゃん!」
「龍堂!」
離れたところから夏子の金切り声と上坊の叫び声が聞こえたかと思った瞬間、後方で爆発音が響き、鼻を衝く刺激臭が漂った。(何が起こってるの?さっきの声は夏子さんと上坊先生よね。今の爆発音は?催涙弾?あー、もう何がなんだかわからないわ?)

 未来は、十数メートル走った先で何やら大きな箱に放り込まれた。悪臭が鼻につく。「ガラガラガラ」と床からタイヤの動く音が響く。周りで早口の外国語が飛び交う。(なにここ、ダストボックス?どこに運ばれてるの?)
 「ガタン」と大きな音が響くと、箱から無理やり担ぎ出され、再び狭い空間に放り込まれた。「バタンッ!」と大きな音が響くと床の下からエンジン音が響いた。「キュルキュルキュル」、「バオーン!」とタイヤの鳴る音と排気音が響くと急激な横Gに襲われた。
 細かい凹凸を拾う感覚があり、明らかに車のトランクに閉じ込められたことが分かった。

 車はどんどんとスピードを上げているのが排気音から想像できた。手錠と足枷により自由がきかない中、何とかして被された袋の中で口に張られた粘着テープを剥がした。
「みんなー、助けてー!」
叫んだが何の返事もない。(あっ、ポシェットにスマホが入ってるはず。)と思い、袋の中でスマホを取り出し、スイッチを入れた。バックライトが点灯し、袋の中がうっすらと照らし出された。穀物などを入れる麻袋のようだった。(まずは、上坊先生に電話しなきゃ。)手錠のかかった手で、電話の発信画面にして絶望感を覚えた。
「・・・圏外・・・。」
(トランクの中だからなのか、何がしらの装置で通信ができなくされてる。誘拐するくらいだから、それは十分に考えられる・・・。いったいどうすれば・・・。)未来の頬に不安の涙が伝った。

 車は約30分走り、ようやく止まった。スマホの時刻は午後6時5分を示している。アンテナのマークの横には相変わらず「圏外」の文字がある。
 「ガチャッ」、「バコッ」とランクが開けられ、無理やり引きずり出された。木製の椅子のようなもの座らされた。袋の上から何か探知機のようなものが体に沿わされているのが分かった。ポシェット、スマホ、髪留め、襟の後ろに仕込んだGPSとマイクの場所で「ピー」と言う電子音が鳴った。英語らしき怒鳴り声が周りで響くと同時に人が殴られる音と床に倒れる音が響いた。

 麻袋が乱暴にむしり取られると、水銀灯の明かりに目がくらんだ。中型の倉庫の中ようだった。5人の大きな男に囲まれていた。一人の男は鼻血を吹き出している。
 未来は、最初にスマホ、そしてポシェット、髪留め、最後に襟の後ろのGPSとマイクを取り上げられた。それらは、黒いきんちゃく袋のようなものの中に放り込まれ、再度、Uの字になった手持ちアンテナを体に這わされた。「ピー」。未来の胸の前で信号音が鳴った。3度繰り返しても毎回、左胸の前で鳴る。
 ガサツな男の手でTシャツの上から胸をまさぐられた。(あっ、ブラジャーに仕込んだ発信機が見つかった!?)男は、未来のTシャツを顎までまくり上げるとブラジャーを引きちぎった。
「きゃーっ!やめてー!」
未来は叫んだ。水銀灯の下で未来の小さな胸が男たちの前でさらされるが、男たちは引きちぎったブラジャーにアンテナを当て、2回信号音が鳴ることを確認すると、ブラジャーもきんちゃく袋の中に入れられた。
「おーい、日本人の女の子がいるのか?」
と倉庫の奥から聞こえたような気がした瞬間、「ぐあっ!」という悲鳴が続いた。

 未来は手錠のかかった両手で何とか肩甲骨まで捲り上げられたTシャツを下げると、両眼を閉じた。(まずは、冷静に判断するのよ・・・。いったいこの人たちは何者なの?手際が良すぎるし、何か具体的な目的があって私を誘拐したはず。今、スマホもGPSもマイクも取り上げられてしまって、上坊先生たちにも私がここにいることは分からないのかな・・・。だとしたら、いったいどうすれば・・・。)と考えた。

 十数秒考え、ゆっくりと目を開け、倉庫の中を見回した。大型のダッジバンやアメリカ車と思われるピックアップトラックやセダンが数台止まっている。倉庫の奥にはプレハブ小屋がいくつかあり、人の気配がする。さっきの声がしたであろう方向だった。未来の視力5.0の視界につい最近目にしたものが入ってきた。
 (あっ、あれは、決勝戦で当たった「メカロボ」やん!)



しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

処理中です...