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第14話 そんな風には見えなかったが
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「「「おおおおおおっ!!」」」
「「「~~~~ッ!?」」」
Dランク以上の冒険者ばかりというだけあって、みんな危なげなく魔物を屠っていく。
まぁ前方の魔物はダンジョンの浅い部分の魔物なので、それほど強くないからというのもあるだろう。
そして俺はというと、〈気配隠蔽〉スキルを使用しながら戦っていた。
魔物の意識が完全に冒険者たちに向いているため、背後からの奇襲が簡単にできる。
要するに他の冒険者たちを囮にすることで、〈気配隠蔽〉がより効果を発揮するのだ。
さらに不意打ちが成功すればダメージ量が1.5倍になるので、非力な無職であっても、弱めの魔物なら一撃で仕留めることが可能だ。
ちなみに現在の装備は〈レッドキャップ〉と〈盗賊の服〉、それから〈血濡れのナイフ〉である。
「ん、何だ? 今、魔物が勝手に倒れなかったか……?」
「矢でも刺さったんだろう」
「そんな風には見えなかったが……」
俺の存在に気付かない冒険者たちが、魔物が何の前触れもなく死んでいくのを見て不思議そうな顔をしている。
彼らのお陰でまったく魔物にターゲットにされることもなく、どんどん不意打ちが決まっていく。
不意打ちでも一撃では仕留められない魔物は、急所を突くことでスタン状態にし、連続攻撃で倒していった。
―――――――――
【レベル】29→30
―――――――――
「よし、レベルが上がったぞ。やっぱりこのイベント、安全に経験値を稼ぎやすいな」
もちろん幾らか経験値は分割されてしまうのだが、数をこなせるためそのマイナス分などまったく気にならない。
戦況としても今のところロンダル側が優勢だった。
とはいえ、後方から来ている魔物ほど強力なので油断はできない。
「……危険なのは冒険者側だな」
セレスティアが率いる騎士団の方は規律をもって陣を組み、全員で魔物の群れと対峙している。
堅固な盾役もしっかり揃えており、そう簡単には崩されないはずだ。
一方それとは対照的に、個人主義の冒険者たちはバラバラである。
個人単位、あるいはパーティ単位で行動しており、攻撃力は高く騎士団より魔物を倒していくペースが速いが、その代わり劣勢に立たされると一気に瓦解しそうな脆さがあった。
「はっ、通常より強化されてるっていうから、どんなもんかと思ってたが、この程度かよ!」
「あたしたちの敵じゃないわね!」
「こういう強制依頼での活躍は、昇格への査定に大きくかかわるって話ですから。ガンガン魔物を倒して、早くCランクにあげてもらいましょう」
血気盛んな若い冒険者の中には、我先にと群れの中に突っ込んでいく者たちもいる。
ここで戦功をあげて成り上がろうと考えているようだが、正直なところ逸り過ぎだ。
というか、よく見たらさっき俺に突っかかってきた連中だな。
「あまり深く入り過ぎるなっ! 負傷しても助けられなくなるぞ!」
ベテラン冒険者、バークの声が響くが、若い冒険者の耳には届かなかった。
すぐに恐れていた事態が起こる。
「ブモオオオオオオッ!!」
「なっ!? ブラックミノタウロスだと!」
「ブヒイイイイイイッ!!」
「ちょっ、こっちからはハイオークが来たんだけど!?」
その若い冒険者たちが、いきなり二体の強力な魔物から挟み撃ちにされてしまったのだ。
ブラックミノタウロスは、レベル37の牛頭人身のモンスターだ。
その野太い角を突き出しての強力な突進を喰らったら、たとえ同レベル帯であっても大ダメージを受けてしまうだろう。
一方のハイオークは、豚頭人身のモンスターで、レベルは35。
凄まじい腕力から振り回される巨大な斧の一撃は、防御タイプの【騎士】ですら受け止めるのが難しい。
どちらも『岩窟迷宮』では深部に現れる凶悪な魔物だ。
しかも今はダンジョンの暴走によって、いくらか強化《レベルアップ》されているはず。
「ブモオオオッ!!」
「くっ……〈大剣ガード〉っ!」
いきなりブラックミノタウロスが突進していく。
青年は大剣を地面に突き立て大盾のように構えると、迫りくる猛牛を受け止めようとした。
〈大剣ガード〉は、【大剣士】だけが使えるスキルだ。
【大剣士】自体がNPC専用職だったため、どれくらいの性能を持つスキルなのか詳しくは分からないが、正直あまりいい判断とは思えない。
「があああっ!?」
案の定、青年はあっさりと宙を舞った。
「きゃああっ!?」
さらに同パーティの女――天職は【格闘士】だろう――が、ハイオークの攻撃を受けて吹き飛ばされてしまう。
「二人ともっ……ファイアウォール!」
【魔術士】らしき最後の一人が、倒れた仲間たちを護るべく、慌てて炎の壁を作り出す。
敵の攻撃威力を軽減しつつ、状態異常の『炎上』を付与するという魔法だが、それだけで敵の猛攻を防げるとは思えなかった。
「ブモオオッ!」
「ブイイイッ!」
炎の壁など構うことなく、再び突進していくブラックミノタウロス。
その横っ面に、俺は全力の一撃を叩き込んでやった。
「~~~~ッ!?」
面白いように吹っ飛び、ブラックミノタウロスは何度も地面を転がっていく。
「へ?」
【魔術士】の女は、しばし何が起こったのか分からないという顔で呆けてから、ようやく俺に気が付いた。
「あ、あなたは、さっきの……っ!?」
「「「~~~~ッ!?」」」
Dランク以上の冒険者ばかりというだけあって、みんな危なげなく魔物を屠っていく。
まぁ前方の魔物はダンジョンの浅い部分の魔物なので、それほど強くないからというのもあるだろう。
そして俺はというと、〈気配隠蔽〉スキルを使用しながら戦っていた。
魔物の意識が完全に冒険者たちに向いているため、背後からの奇襲が簡単にできる。
要するに他の冒険者たちを囮にすることで、〈気配隠蔽〉がより効果を発揮するのだ。
さらに不意打ちが成功すればダメージ量が1.5倍になるので、非力な無職であっても、弱めの魔物なら一撃で仕留めることが可能だ。
ちなみに現在の装備は〈レッドキャップ〉と〈盗賊の服〉、それから〈血濡れのナイフ〉である。
「ん、何だ? 今、魔物が勝手に倒れなかったか……?」
「矢でも刺さったんだろう」
「そんな風には見えなかったが……」
俺の存在に気付かない冒険者たちが、魔物が何の前触れもなく死んでいくのを見て不思議そうな顔をしている。
彼らのお陰でまったく魔物にターゲットにされることもなく、どんどん不意打ちが決まっていく。
不意打ちでも一撃では仕留められない魔物は、急所を突くことでスタン状態にし、連続攻撃で倒していった。
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【レベル】29→30
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「よし、レベルが上がったぞ。やっぱりこのイベント、安全に経験値を稼ぎやすいな」
もちろん幾らか経験値は分割されてしまうのだが、数をこなせるためそのマイナス分などまったく気にならない。
戦況としても今のところロンダル側が優勢だった。
とはいえ、後方から来ている魔物ほど強力なので油断はできない。
「……危険なのは冒険者側だな」
セレスティアが率いる騎士団の方は規律をもって陣を組み、全員で魔物の群れと対峙している。
堅固な盾役もしっかり揃えており、そう簡単には崩されないはずだ。
一方それとは対照的に、個人主義の冒険者たちはバラバラである。
個人単位、あるいはパーティ単位で行動しており、攻撃力は高く騎士団より魔物を倒していくペースが速いが、その代わり劣勢に立たされると一気に瓦解しそうな脆さがあった。
「はっ、通常より強化されてるっていうから、どんなもんかと思ってたが、この程度かよ!」
「あたしたちの敵じゃないわね!」
「こういう強制依頼での活躍は、昇格への査定に大きくかかわるって話ですから。ガンガン魔物を倒して、早くCランクにあげてもらいましょう」
血気盛んな若い冒険者の中には、我先にと群れの中に突っ込んでいく者たちもいる。
ここで戦功をあげて成り上がろうと考えているようだが、正直なところ逸り過ぎだ。
というか、よく見たらさっき俺に突っかかってきた連中だな。
「あまり深く入り過ぎるなっ! 負傷しても助けられなくなるぞ!」
ベテラン冒険者、バークの声が響くが、若い冒険者の耳には届かなかった。
すぐに恐れていた事態が起こる。
「ブモオオオオオオッ!!」
「なっ!? ブラックミノタウロスだと!」
「ブヒイイイイイイッ!!」
「ちょっ、こっちからはハイオークが来たんだけど!?」
その若い冒険者たちが、いきなり二体の強力な魔物から挟み撃ちにされてしまったのだ。
ブラックミノタウロスは、レベル37の牛頭人身のモンスターだ。
その野太い角を突き出しての強力な突進を喰らったら、たとえ同レベル帯であっても大ダメージを受けてしまうだろう。
一方のハイオークは、豚頭人身のモンスターで、レベルは35。
凄まじい腕力から振り回される巨大な斧の一撃は、防御タイプの【騎士】ですら受け止めるのが難しい。
どちらも『岩窟迷宮』では深部に現れる凶悪な魔物だ。
しかも今はダンジョンの暴走によって、いくらか強化《レベルアップ》されているはず。
「ブモオオオッ!!」
「くっ……〈大剣ガード〉っ!」
いきなりブラックミノタウロスが突進していく。
青年は大剣を地面に突き立て大盾のように構えると、迫りくる猛牛を受け止めようとした。
〈大剣ガード〉は、【大剣士】だけが使えるスキルだ。
【大剣士】自体がNPC専用職だったため、どれくらいの性能を持つスキルなのか詳しくは分からないが、正直あまりいい判断とは思えない。
「があああっ!?」
案の定、青年はあっさりと宙を舞った。
「きゃああっ!?」
さらに同パーティの女――天職は【格闘士】だろう――が、ハイオークの攻撃を受けて吹き飛ばされてしまう。
「二人ともっ……ファイアウォール!」
【魔術士】らしき最後の一人が、倒れた仲間たちを護るべく、慌てて炎の壁を作り出す。
敵の攻撃威力を軽減しつつ、状態異常の『炎上』を付与するという魔法だが、それだけで敵の猛攻を防げるとは思えなかった。
「ブモオオッ!」
「ブイイイッ!」
炎の壁など構うことなく、再び突進していくブラックミノタウロス。
その横っ面に、俺は全力の一撃を叩き込んでやった。
「~~~~ッ!?」
面白いように吹っ飛び、ブラックミノタウロスは何度も地面を転がっていく。
「へ?」
【魔術士】の女は、しばし何が起こったのか分からないという顔で呆けてから、ようやく俺に気が付いた。
「あ、あなたは、さっきの……っ!?」
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