ドラゴンとスライムに生まれ変わった二人は世界支配を目指したい

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プロローグ ドラゴンの卵から

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「あなたはこの世界のために」

 真っ暗な世界の中。
 そんな声が聞こえてくる。

「あなたは王の子として」

 目は見えない。
 意識はある。
 その声は、優しい声だった。
 聞いていて安心する。心を落ち着かせてくれる。微かに聞こえる心音も合わさり心が穏やかになる。
 ここはどこか分からない。
 でも不思議と気持ちいい場所だった。

「あなたが無事に生まれることを私は祈っています」

 静かな歌声が響く。

「どうだ?」
「分からない。もう少しだと思う。あと少し。小さいけども心音が聞こえる」
「そうか。俺たち種族の子は生まれ難いからな。最後まで油断するな」
「ええ、分かっているわ。私の子ですもの。大事に、大事に見守り続けます」

 そんな話し声を聞いたのはいつだろうか。どれだけの時間が経ったのか分からない。

「あなたの名前を考えないといけないわね。そうね、何が良いかしら」

 何かを忘れている気がする。
 何だろうか。
 大事なことだと思う。でも思い出せない。思い出したくないのかもしれない。

「テバイ」

 俺の名前がテバイだとわかる。
 でも、はっきりとしないが違うと何となく思う。
 俺の名前はテバイじゃないはずだ。

「テバイか。良い名前だな」
「そうでしょ? 他に何か良い案はある?」
「いや、その名前にしよう。テバイだ。テバイか。いい名だ。王にふさわしい」
「ええ、そうね」

「イツキ」

 誰かが言った。
 新しい声だ。二人の会話に混じった声でないことがわかる。
 幻聴?
 でも、はっきりと聞こえた。

「イツキ。あなたは馬鹿ね」

 誰だろうか。
 どうして懐かしいのだろうか。

 これはただの偶然だ。
 でも、もしかしたら。過去を思い出そうとする気持ちが先に進むために必要だったのかもしれない。
 真っ暗な世界に1つの光が現れた。

 ヒビが入る音。
 そして二人の叫び声。

「あなた! ヒビが。卵にヒビが入ったわよ。あなた!」
「ああ、分かっている!」

 体を覆う感覚が現れ始め、すると窮屈に感じ始めた。
 窮屈だから体を動かそうとする。一生懸命動かして、殻を壊す。

 真っ白な世界が現れた。
 そして目の前に二人、いや二体のドラゴンがいた。

「こんにちは。テバイ」

 ドラゴン。
 真っ赤な鱗と、鋭い目。巨大な体。俺の知る知識から彼らがドラゴンだと分かる。
 そして俺はドラゴンではないはずだ。
 でも本能が彼らと同じだと訴えかけてくる。
 俺はドラゴン。
 それは間違いない。

 俺は自分の命を伝えるために、頑張って鳴いた。
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