ドラゴンとスライムに生まれ変わった二人は世界支配を目指したい

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1-1 学び

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 父はドラゴンの王である。
 母はドラゴンの王の妻である。
 ドラゴンの王と言ったが、従えているドラゴンは数百体しかいない。それでも多いと母は教えてくれた。
 それほど、ドラゴンは種の繁栄が難しい生き物なのだ。俺はこのドラゴンの国において50年振りの子らしい。
 生まれてすぐの俺は右も左も分からない赤ん坊だったが、すぐに体が大きくなり、翼の使い方も覚えていく。まだ他のドラゴンと比べると子ドラゴンではあるが。
 それと同時に言語と、この世界について母から学んだ。

「あなたの父は、もう寿命がそれほど長くない。それまでにあなたにこの世の全てを教えて、そしてあなたには父の座を引き継いで。そして世界の支配を目指して欲しい」

 母は俺にこう言った。
 だから聞くことにする。

「どうして?」
「それが私たちドラゴンが神から与えられた使命だから」
「神?」
「そう。神。神はすべての種に意味を持たせるために使命を与えた。私たちの使命は支配。ドラゴンとして、最高の種として。すべてを支配すること」

 母はドラゴンの使命について教えてくれた。
 爪を使い器用に開かれた本に、この世界の地図が広がっている。

「神から使命を与えられた種の数は7つ。ここがドラゴンの山。ここが人間が住む大陸。ここはエルフの国。この巨大な洞窟はドワーフの国。この地図に乗っていないけども、魔族が住む魔界、魚人が住む海の世界、天使が住む天界が存在するわ」

 広がった世界。
 それが楽しくて俺は熱心に勉強した。


 数ヶ月が経った。
 見たことのない動物の肉を食べる毎日。
 まだ父には体の大きさは遠く及ばない。
 この世界について学ぶと同時に、俺は忘れた記憶を思い出すことにも力を入れた。
 父と母は子供らしくない俺にどこか不思議そうだったが大望の子だったがため、幸いにも気にしていない様子だ。
 俺には前世があり、その記憶を一時的に忘れている。この前世の記憶があることがバレてしまうことが怖かった。

 前世の記憶として一つ思い出したのは誰か知らない人の声だけだ。イツキと言っていた。つまり、俺の前世の名前はイツキなのか?あるいはイツキの隣に俺がいたのかもしれない。
 とにかく、このイツキを頼りに、俺は様々な本を読んでいく。
 俺の前世の世界ではドラゴンはいなかった。つまり全く違う世界となる。本をどれだけ読んだとしても思い出すわけがないと思うかもしれない。
 しかし、前世と深い関わりがある単語を見たときに、思い出す可能性がある。
 それに賭けることにした。
 いや、それしか方法がなかった。

 この方法の終わりを迎えたのは二ヶ月ほど経った日のこと。
 読んだ本の数が百を超えた時、俺は無駄だと理解した。
 楽しく読むことは出来たが、何も思い出すことができなかった。
 それからは思い出すためではなく、知識を増やすために読むことにした。


「今日は狩りの実演だ」

 この世界に対する知識は母が教えてくれたが、それ以外の飛び方や狩りと言ったことは教育係であるリンドが教えてくれた。
 山を離れ、俺とリンドは餌場となっている草原へ降り立った。

「あそこに見えるのがシラシカだ。良いか?よおく見ておけよ」

 シラシカと呼ばれる鹿のような生き物はまだこちらに気づいていない。
 リンドは背を低くし、静かに飛び立った。
 シラシカがリンドに気づくのはその数秒後。逃げ始める。その瞬間、リンドは全速力でシラシカを追いかけ始めた。
 空を飛ぶドラゴンと、地を走るシラシカ。どちらが速いのかは一目瞭然だ。瞬く間に、シラシカはリンドの口の中に入る。
 そしてパクリと飲み込んだ。

「ドラゴンの巨体で見つからずに捕まえることは不可能だ。ただし、俺たちドラゴンよりも速い生き物はいない。だから見つかることを前提に、逃げにくい方角へ誘うように捕まえにいく。分かったか?」

 俺は頷いた。

「よし、行ってこい」

 翼を広げ、俺はシラシカをまず探し始める。
 先ほど、リンドがシラシカを食べた際に近辺のシラシカたちはいたる方向に逃げて行った。しかし、すぐに群れを見つける。
 森の逆、草原が広がる方角へ誘導するように俺はシラシカの群れに突っ込んだ。
 逃げるシラシカを追う。
 そして、距離がなくなった瞬間、俺は小さなシラシカの首を加えた。のたまうシラシカの首を噛み締める。動かなくなったシラシカを持って俺はリンドのところへ戻った。

「すごいぞ!流石は時期王だ」

 そう言ってリンドが褒めてくれる。
 王である父は忙しいため、俺は父と会話を全然しない。そのため、俺にとってリンドは第二の父であり兄であり、師匠である。
 そんなリンドに褒められることは何より嬉しかった。
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