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三章
第13話 龍VS優2
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プレイヤーが死ぬとき、プレイヤーが粒子になる時、貫通は可能である。
故に、貫通という状態が起きたのだから、龍は優を殺したと考えるはずであった。
龍が武器を引き抜く。
それは終ったからではなく、驚きからであった。
「どうして死んでいないんだ」
龍の質問に、優は開いた穴を擦りながら言った。
「復活アイテムよ。裏ダンジョンのクリア報酬で貰ったわ。まあ一回しか使えないから、もう復活できない。私の奥の手だったのに」
優に怒りは感じなかった。
むしろ尊敬の眼差しが優にあった。
自身を一度殺すことができたのが嬉しかったのか、優は嬉しそうに龍に聞く。
「どうしてあなたは自身強いか考えたことはないかしら?」
その自身の強さに自信に満ち溢れた言葉に龍は怪訝な顔を作る。
このゲームにおいて、トッププレイヤーは最強クラスである。最強である優が自身を強いからと言ったならまだ龍にとって理解できたが、龍自身が何故強いかという質問は、龍にとって不思議なものであった。
「意味が分からないな。その強さに理由があると言いたいのか」
「そうよ。いえ、質問が悪かったわね。変えましょう。あなたはこのゲームの世界で何回死んだかしら?」
「は?」
龍は優の言葉に思わずそんな声を出す。
「俺に蘇った記憶なんかないが?」
「普通はそういうものよ。でもあなたは幾度も死に、それと同じ回数蘇っている。最初のあなたもきっとすごく弱かったのでしょうね。でも、何度も蘇るうちに、あなたは少しずつこのゲームの戦い方を体で覚えてしまっているのよ」
「何故、そう言い切れる。いや、何故知っている?」
「何故?」
優は剣を収める。
そして右手で自分を指して。
「私は一度このゲームをクリアしているからよ」
はっきりとそう言った。
龍は優の言葉に驚愕の表情となる。
「さて、話は止めて、再び戦いましょうか」
「待て! どういうことだ! 何故お前は一度このゲームをクリアしている。いや、違う。何故クリアしてなお、この世界にいる! ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのではないのか!?」
「そう叫ばないで。まあ、そうね。答えてあげる。私はこのゲームをクリアした。そして一つ、報酬がもらえた」
「報酬だと?」
「そう。私はね。再びこのゲームをクリアしたいと願ったの。だからまだいるのよ」
龍は優の言葉に、やっとで理解した。
目の前の敵に勝てない理由を。
優が最強の地位に立てている理由を。
「さてと、終わらせましょうか。流石に復活アイテムがなくなった私は、もう油断なんかしないわよ? 全力で行かせてもらう」
優は全力で行くと言っても、剣を抜こうとはしない。一歩、二歩と龍との距離をゆっくりと詰めようとする。
龍は優に向けて再び槍を構える。
優は能力強化の言葉をする。
「完全武装レベルⅩ」
優が持つ全スキルの中で最も強力と呼べる完全武装。それの最大レベル。
「それだけで良いのか?」
「そもそも完全武装に他の能力上昇スキルは必要ないのよ」
優は静かに魔法を唱え始める。
龍にワザと隙を与えるかのように。
巨大な魔方陣が優と龍の間に現れる。
龍は完全武装よりも、その魔法を妨害するべく、槍による攻撃を行った。自身のすぐ目の前の優を槍で突く。
それを紙一重で優は避けた。
同時に魔法が消える。
そして隙が出来た龍の横腹を蹴りはらう。
「くっ!」
地面をバウンドする。
鈍い痛みが体の中を響く。
地面を転がる龍はすぐさま立ち上がろうとする。その時には、すでに優は目の前まで迫っていた。
その手は魔法を唱えようとして。
「な」
「マーキュリー」
攻撃魔法、マーキュリー。
水と火が融合された小さな玉。それはふわふわと龍の元へ向かい、龍のすぐ目の前で弾け飛んだ。
はじけ飛んだなどではない。
その衝撃はあまりにも巨大であった。
防御スキルは間に合わず、その魔法は龍に直撃する。
龍の中を激しい痛みが走る。かすむ目で龍は自身の体力が残りわずかなのが見えた。
すでに勝機はない。魔力は優を殺したスキルでほとんど使い切ってしまった。龍は地面を転がりながら、諦めた表情を作る。
「流石にもう終わりかしら」
龍の前に立った、優は龍を見下ろしながら言った。
それに答える気力など龍にはすでにない。
龍は諦めたように、身をゆだねて。
そして。
優の剣が龍にとどめを刺そうとしていた。
樹は龍から連絡が帰ってこないことに不思議がっていた。
だからこそ、すぐにその答えに気づく。
つまり龍は今襲われているのだと。そう考えるのが当然である。それは樹だけでなく陽も同様であり、また茜と護もそんな樹の考えに賛同してくれた。
だから樹たちは龍の元へ向かった。
その時であった。
「なんだ。今来たの。でも残念、もう遅い」
優が龍を殺したのは。
戦いが終わった時、四人は優の元へ駆け寄ったのだから。
「龍!」
龍が敗北の元、光の粒子となって消えていく。
仲間であった龍の死。
その光景に、茜は口に手を当てる。
護と陽は既に武器を構えていた。仲間の死を悲しむ時ではない。そう目の前の敵に勝つためにはそんな情などむしろ邪魔だからである。
コンマ遅れて樹も武器を構えた。
そんな四人に向けて。
「今から二回戦。しかも相手は樹と茜と陽と護。手ごわいメンバーね」
嬉しそうに優は剣を構えた。
故に、貫通という状態が起きたのだから、龍は優を殺したと考えるはずであった。
龍が武器を引き抜く。
それは終ったからではなく、驚きからであった。
「どうして死んでいないんだ」
龍の質問に、優は開いた穴を擦りながら言った。
「復活アイテムよ。裏ダンジョンのクリア報酬で貰ったわ。まあ一回しか使えないから、もう復活できない。私の奥の手だったのに」
優に怒りは感じなかった。
むしろ尊敬の眼差しが優にあった。
自身を一度殺すことができたのが嬉しかったのか、優は嬉しそうに龍に聞く。
「どうしてあなたは自身強いか考えたことはないかしら?」
その自身の強さに自信に満ち溢れた言葉に龍は怪訝な顔を作る。
このゲームにおいて、トッププレイヤーは最強クラスである。最強である優が自身を強いからと言ったならまだ龍にとって理解できたが、龍自身が何故強いかという質問は、龍にとって不思議なものであった。
「意味が分からないな。その強さに理由があると言いたいのか」
「そうよ。いえ、質問が悪かったわね。変えましょう。あなたはこのゲームの世界で何回死んだかしら?」
「は?」
龍は優の言葉に思わずそんな声を出す。
「俺に蘇った記憶なんかないが?」
「普通はそういうものよ。でもあなたは幾度も死に、それと同じ回数蘇っている。最初のあなたもきっとすごく弱かったのでしょうね。でも、何度も蘇るうちに、あなたは少しずつこのゲームの戦い方を体で覚えてしまっているのよ」
「何故、そう言い切れる。いや、何故知っている?」
「何故?」
優は剣を収める。
そして右手で自分を指して。
「私は一度このゲームをクリアしているからよ」
はっきりとそう言った。
龍は優の言葉に驚愕の表情となる。
「さて、話は止めて、再び戦いましょうか」
「待て! どういうことだ! 何故お前は一度このゲームをクリアしている。いや、違う。何故クリアしてなお、この世界にいる! ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのではないのか!?」
「そう叫ばないで。まあ、そうね。答えてあげる。私はこのゲームをクリアした。そして一つ、報酬がもらえた」
「報酬だと?」
「そう。私はね。再びこのゲームをクリアしたいと願ったの。だからまだいるのよ」
龍は優の言葉に、やっとで理解した。
目の前の敵に勝てない理由を。
優が最強の地位に立てている理由を。
「さてと、終わらせましょうか。流石に復活アイテムがなくなった私は、もう油断なんかしないわよ? 全力で行かせてもらう」
優は全力で行くと言っても、剣を抜こうとはしない。一歩、二歩と龍との距離をゆっくりと詰めようとする。
龍は優に向けて再び槍を構える。
優は能力強化の言葉をする。
「完全武装レベルⅩ」
優が持つ全スキルの中で最も強力と呼べる完全武装。それの最大レベル。
「それだけで良いのか?」
「そもそも完全武装に他の能力上昇スキルは必要ないのよ」
優は静かに魔法を唱え始める。
龍にワザと隙を与えるかのように。
巨大な魔方陣が優と龍の間に現れる。
龍は完全武装よりも、その魔法を妨害するべく、槍による攻撃を行った。自身のすぐ目の前の優を槍で突く。
それを紙一重で優は避けた。
同時に魔法が消える。
そして隙が出来た龍の横腹を蹴りはらう。
「くっ!」
地面をバウンドする。
鈍い痛みが体の中を響く。
地面を転がる龍はすぐさま立ち上がろうとする。その時には、すでに優は目の前まで迫っていた。
その手は魔法を唱えようとして。
「な」
「マーキュリー」
攻撃魔法、マーキュリー。
水と火が融合された小さな玉。それはふわふわと龍の元へ向かい、龍のすぐ目の前で弾け飛んだ。
はじけ飛んだなどではない。
その衝撃はあまりにも巨大であった。
防御スキルは間に合わず、その魔法は龍に直撃する。
龍の中を激しい痛みが走る。かすむ目で龍は自身の体力が残りわずかなのが見えた。
すでに勝機はない。魔力は優を殺したスキルでほとんど使い切ってしまった。龍は地面を転がりながら、諦めた表情を作る。
「流石にもう終わりかしら」
龍の前に立った、優は龍を見下ろしながら言った。
それに答える気力など龍にはすでにない。
龍は諦めたように、身をゆだねて。
そして。
優の剣が龍にとどめを刺そうとしていた。
樹は龍から連絡が帰ってこないことに不思議がっていた。
だからこそ、すぐにその答えに気づく。
つまり龍は今襲われているのだと。そう考えるのが当然である。それは樹だけでなく陽も同様であり、また茜と護もそんな樹の考えに賛同してくれた。
だから樹たちは龍の元へ向かった。
その時であった。
「なんだ。今来たの。でも残念、もう遅い」
優が龍を殺したのは。
戦いが終わった時、四人は優の元へ駆け寄ったのだから。
「龍!」
龍が敗北の元、光の粒子となって消えていく。
仲間であった龍の死。
その光景に、茜は口に手を当てる。
護と陽は既に武器を構えていた。仲間の死を悲しむ時ではない。そう目の前の敵に勝つためにはそんな情などむしろ邪魔だからである。
コンマ遅れて樹も武器を構えた。
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「今から二回戦。しかも相手は樹と茜と陽と護。手ごわいメンバーね」
嬉しそうに優は剣を構えた。
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