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二章
第12話 楓VSスルトル2
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スルトル自身のレベルは100である。しかし、スルトルのしもべを倒してしまった時このスルトルのレベルは150へと跳ね上がる。
楓のレベルは現在158。レベルだけを見れば楓にも十分勝機がありそうであるが、最上級モンスターはプレイヤーの三倍近いステータスを持つ。仮にも装備なしで楓がスルトルと同じステータスを持つためには450レベルが必要となる。
この差を埋める術はプレイヤーのスキルでしかない。ゲームシステム上のスキルと、そしてプレイヤー自身のプレイスキルも含めて。
楓は魔法を唱える。
現在楓の体力は満タン。魔力は残り三割ほど。
体力はすぐに回復できるが、幾度と使用した魔法で楓の魔力はスルトルを削り切れる量ではない。
それでも楓が勝つ術は攻撃魔法しかない。
「アケルナー!」
アケルナー、一撃目。これによりスルトルの体力が数パーセント削られる。
シリウスに比べて目に見えてダメージが入っている。これならば十分勝機はある。スルトル自身の自己回復で回復される前に、早く早く攻撃を続ければ。
アケルナーによるノックバックで怯んでいるスルトル目がけて、楓は再びアケルナーを放つ。
二撃目。三撃目。四撃目。
楓の魔力を残り一割近くまで減らして、与えたダメージ量は一割半ほど。まだ八割以上スルトルの体力は残っている。
「回復アイテムを」
楓が回復アイテムを使用している間に、スルトルがローズ目がけて剣を振りかざした。それがローズの体力を四割近く取る。
攻撃速度は二秒に一度。
回復しながら楓は冷静に判断する。
回復魔法は間に合わない。だから楓はローズを一時避難させる。攻撃目標を見失ったスルトルは楓へ矛先を向ける。
ゆっくりとした足取りで楓との距離を詰める。
「アケルナー!」
五撃目。ローズが与えた通常攻撃と含めて、およそ二割。
そして、自身のすぐ後ろにローズを再び召喚させる。スルトルが自身へ攻撃を振りかざす前に、ローズに回復魔法を唱える。
「うぅっ!」
激しい痛みと共に、スルトルの攻撃が自身に通る。
防御よりの楓の体力を三割削る攻撃力。再び攻撃モーションをするスルトルに対して、楓は距離を取る。スルトルの剣は楓の前に振り下ろされる。地面がえぐられる。
楓は再びアケルナーを発動する。
それにより、スルトルが一瞬怯む。
その隙にもう一度。
もう一度。
楓はアケルナーを使おうとして、思いいたってしまう。
どうして私は魔法による攻撃しかしようとしないのだろう、と。
「そうですよね。別に魔法に頼る必要はないですもの」
楓はローズの召喚を再び消した。
自身の武器である杖を強く握りしめて、スルトルへ目がけて走り出す。
このゲームにおいて、回避はゲームシステム上の防御補正を使う他に自身の意思で回避する二つがある。それは攻撃をするときも同様である。
楓はそこまで運動神経が良い訳ではない。だからこそゲームシステムに頼った動きをするほかなかった。
「あなたが遅くて良かった」
でもそれは昔のこと。
自身の判断で回避しようではないか。
楓はスルトルの剣をはっきりととらえ続ける。剣が振りかざされるその軌道を読んでステップする形で横によけるて、杖を相手目がけて振り回す。攻撃補正によって鋭い音と共にスルトルを強打する。
打撃によるダメージが微量ながら入る。
再び、スルトルが剣を振りかざす。それを避けると同時に楓は魔法を唱える。
「アケルナー!」
一瞬怯むスルトルを杖で攻撃すると共に、距離を取る。
そして自身に回復アイテムを使用する。その間もスルトルの行動に意識を配りながら。飲み終わると同時に、楓はスルトルの攻撃を避ける。
スルトルの一番の弱点は魔法に対する耐性よりもその遅さなのかもしれない。
他の最上級モンスターと比べて、攻撃速度と移動速度が極端に遅い。そう言った意味ではしもべを倒した方が戦いやすいのもまた事実である。
スルトルの攻撃を回避し続けれる自信があればの話であるが。
「これなら!」
勝てる。
楓はそう判断した。
幾度となく攻撃を避け、幾度と物理攻撃をし、そして魔法を唱える。
三分近くの一方的な攻撃はスルトルの体力を残りわずかへと減らす。回復アイテムを幾つか使ったが、回復アイテムさえあれば楓でも最上級モンスターを倒すことができる。白魔法使い型でも勝つことができる。
それは楓の今後の自信へと繋がる。
もしかしたら樹はこれを望んだのでは、そんなことを思いながら。
楓は初めて隙を作った。
「…………しまった」
スルトルはまだ一度もスキルを使っていない。
いや、正確には幾つかスポーンした時点で使っていたともいえる。
物理攻撃力上昇、物理防御力上昇、全体性強化、永続回復などスルトルのほとんどのスキルは自身の能力向上系である。
ただ一つを除いて。
スルトルはその時初めて攻撃スキルを使用した。
明かに違う攻撃モーションに楓は一度距離を取る。
楓は自身に回復魔法を唱えていなかった。回復する暇があったら、良ければいい。そして回復に回す分の魔力を攻撃に回せば良いと考えていたからである。
現在、楓の体力は七割。通常攻撃で三割。仮にもスキルを使用した時のダメージが三倍以上あれば。範囲攻撃であれば。
楓に様々な憶測が生まれる。無理はできない。だから回避ではなく防御を取る。
「土塊召喚! フィールシールド!」
咄嗟に召喚する壁となるゴーレムと、そして防御スキル。
楓の周囲に薄いバリアが貼られる。全方位の攻撃を受けてくれるバリア。耐久は楓の総体力の半分ほど。全方位故に必ず攻撃を受けてくれるが、この耐久以上のダメージが出たならば、その余剰分は楓が受けなくてはいけない。
そして仮にも、対防御スキルの攻撃スキル。貫通型の攻撃スキルならば、フィールシールドは一切の効力を出さない。
これで防げないならば。
スルトルの剣が徐々に赤く染まる。
そして激しい炎と共に、スルトルは楓を攻撃した。
スルトルが使用したスキルはただの範囲攻撃。その攻撃力は楓のゴーレムを一瞬で倒し、フィールシールドを破壊し、楓の体力をすべて削り切れるほどのもの。
これはプレイヤーは誰も知らない事実であるが、スルトルを作ったゲーム制作者はひねくれていた。他の最上級モンスターよりも弱く設定し、プレイヤーに弱いと認識させる。そして最後になると、少しレベルが高いくらいでも耐えられないような、文字通り一撃必殺の攻撃スキルで、そのプレイヤーを殺すつもりでいた。
スルトルはその時初めて、最上級モンスターとしての器、いや存在意義を見せたともいえる。
ただ、相手が悪かったとしか言えない。
「どうして」
スルトルの攻撃は何かに吸収された。
それが何であったか、一瞬しか見えなかった。真っ黒な騎士のような何か。楓は樹の方を見る。
樹は楓とスルトルを戦わせている張本人。
樹が放った大丈夫という言葉は言葉通り、樹はずっと楓の命を守っていた。
ただそれだけ。
「ありがとうございます」
スキルを使ったが故に生まれた反動で、スルトルに隙が出来る。スルトルのスキルはスルトル自身の体力を少しばかり削っていた。
楓はその隙を見逃さない。
残りの魔力を振り絞って、最後の攻撃魔法を唱える。
「アケルナー!」
激しい水柱がスルトルを覆い隠す。
スルトルの体力がすべて削り取られ、激しい方向と共に、スルトルはデータの欠片となって消えていく。
それを見届ける中、楓はどっと押し寄せた疲れの中、喜びに包まれていた。
「やりました!」
スルトルを倒した楓はそのまま人の目を気にせず、残りのスタミナを使って樹のもとへ駆け寄ると共に、抱き着いた。
本当に嬉しそうに。
「おめでとう、楓さん」
「樹君のおかげです。樹君が守ってくれたのですよね?」
「さあ、どうだろう」
そんな会話をする間、樹の表情はずっと赤かった。
すぐ近くで、カップルのようにしか見えない二人を羨ましそうに見る島田と和田の存在があったからだ。その二人に数刻遅れて気づいた楓も同様に顔を赤らめて。
「はしたないことをしました」
樹から離れる。
できることなら、ずっと抱き着いていたかった、なんて思いながら。
楓はごほんと咳払いをして。
「それで、茜ちゃんは?」
「まだ帰ってきてないよ」
「それだけ手ごわい相手ということですか?」
「まあ、そうでもないけども。茜は大丈夫だよ。相手が四宮さんなら。負けないし、そもそも命の取り合いをしていないから」
その言葉に楓は不思議そうにする。
「樹君はあの四宮さんの目的を知っているのですか?」
「まあ、ずっと追いかけっこしてたから」
樹はそう言って苦笑いして。
「待とう。もうそろそろしたら戻ってくると思うから」
楓のレベルは現在158。レベルだけを見れば楓にも十分勝機がありそうであるが、最上級モンスターはプレイヤーの三倍近いステータスを持つ。仮にも装備なしで楓がスルトルと同じステータスを持つためには450レベルが必要となる。
この差を埋める術はプレイヤーのスキルでしかない。ゲームシステム上のスキルと、そしてプレイヤー自身のプレイスキルも含めて。
楓は魔法を唱える。
現在楓の体力は満タン。魔力は残り三割ほど。
体力はすぐに回復できるが、幾度と使用した魔法で楓の魔力はスルトルを削り切れる量ではない。
それでも楓が勝つ術は攻撃魔法しかない。
「アケルナー!」
アケルナー、一撃目。これによりスルトルの体力が数パーセント削られる。
シリウスに比べて目に見えてダメージが入っている。これならば十分勝機はある。スルトル自身の自己回復で回復される前に、早く早く攻撃を続ければ。
アケルナーによるノックバックで怯んでいるスルトル目がけて、楓は再びアケルナーを放つ。
二撃目。三撃目。四撃目。
楓の魔力を残り一割近くまで減らして、与えたダメージ量は一割半ほど。まだ八割以上スルトルの体力は残っている。
「回復アイテムを」
楓が回復アイテムを使用している間に、スルトルがローズ目がけて剣を振りかざした。それがローズの体力を四割近く取る。
攻撃速度は二秒に一度。
回復しながら楓は冷静に判断する。
回復魔法は間に合わない。だから楓はローズを一時避難させる。攻撃目標を見失ったスルトルは楓へ矛先を向ける。
ゆっくりとした足取りで楓との距離を詰める。
「アケルナー!」
五撃目。ローズが与えた通常攻撃と含めて、およそ二割。
そして、自身のすぐ後ろにローズを再び召喚させる。スルトルが自身へ攻撃を振りかざす前に、ローズに回復魔法を唱える。
「うぅっ!」
激しい痛みと共に、スルトルの攻撃が自身に通る。
防御よりの楓の体力を三割削る攻撃力。再び攻撃モーションをするスルトルに対して、楓は距離を取る。スルトルの剣は楓の前に振り下ろされる。地面がえぐられる。
楓は再びアケルナーを発動する。
それにより、スルトルが一瞬怯む。
その隙にもう一度。
もう一度。
楓はアケルナーを使おうとして、思いいたってしまう。
どうして私は魔法による攻撃しかしようとしないのだろう、と。
「そうですよね。別に魔法に頼る必要はないですもの」
楓はローズの召喚を再び消した。
自身の武器である杖を強く握りしめて、スルトルへ目がけて走り出す。
このゲームにおいて、回避はゲームシステム上の防御補正を使う他に自身の意思で回避する二つがある。それは攻撃をするときも同様である。
楓はそこまで運動神経が良い訳ではない。だからこそゲームシステムに頼った動きをするほかなかった。
「あなたが遅くて良かった」
でもそれは昔のこと。
自身の判断で回避しようではないか。
楓はスルトルの剣をはっきりととらえ続ける。剣が振りかざされるその軌道を読んでステップする形で横によけるて、杖を相手目がけて振り回す。攻撃補正によって鋭い音と共にスルトルを強打する。
打撃によるダメージが微量ながら入る。
再び、スルトルが剣を振りかざす。それを避けると同時に楓は魔法を唱える。
「アケルナー!」
一瞬怯むスルトルを杖で攻撃すると共に、距離を取る。
そして自身に回復アイテムを使用する。その間もスルトルの行動に意識を配りながら。飲み終わると同時に、楓はスルトルの攻撃を避ける。
スルトルの一番の弱点は魔法に対する耐性よりもその遅さなのかもしれない。
他の最上級モンスターと比べて、攻撃速度と移動速度が極端に遅い。そう言った意味ではしもべを倒した方が戦いやすいのもまた事実である。
スルトルの攻撃を回避し続けれる自信があればの話であるが。
「これなら!」
勝てる。
楓はそう判断した。
幾度となく攻撃を避け、幾度と物理攻撃をし、そして魔法を唱える。
三分近くの一方的な攻撃はスルトルの体力を残りわずかへと減らす。回復アイテムを幾つか使ったが、回復アイテムさえあれば楓でも最上級モンスターを倒すことができる。白魔法使い型でも勝つことができる。
それは楓の今後の自信へと繋がる。
もしかしたら樹はこれを望んだのでは、そんなことを思いながら。
楓は初めて隙を作った。
「…………しまった」
スルトルはまだ一度もスキルを使っていない。
いや、正確には幾つかスポーンした時点で使っていたともいえる。
物理攻撃力上昇、物理防御力上昇、全体性強化、永続回復などスルトルのほとんどのスキルは自身の能力向上系である。
ただ一つを除いて。
スルトルはその時初めて攻撃スキルを使用した。
明かに違う攻撃モーションに楓は一度距離を取る。
楓は自身に回復魔法を唱えていなかった。回復する暇があったら、良ければいい。そして回復に回す分の魔力を攻撃に回せば良いと考えていたからである。
現在、楓の体力は七割。通常攻撃で三割。仮にもスキルを使用した時のダメージが三倍以上あれば。範囲攻撃であれば。
楓に様々な憶測が生まれる。無理はできない。だから回避ではなく防御を取る。
「土塊召喚! フィールシールド!」
咄嗟に召喚する壁となるゴーレムと、そして防御スキル。
楓の周囲に薄いバリアが貼られる。全方位の攻撃を受けてくれるバリア。耐久は楓の総体力の半分ほど。全方位故に必ず攻撃を受けてくれるが、この耐久以上のダメージが出たならば、その余剰分は楓が受けなくてはいけない。
そして仮にも、対防御スキルの攻撃スキル。貫通型の攻撃スキルならば、フィールシールドは一切の効力を出さない。
これで防げないならば。
スルトルの剣が徐々に赤く染まる。
そして激しい炎と共に、スルトルは楓を攻撃した。
スルトルが使用したスキルはただの範囲攻撃。その攻撃力は楓のゴーレムを一瞬で倒し、フィールシールドを破壊し、楓の体力をすべて削り切れるほどのもの。
これはプレイヤーは誰も知らない事実であるが、スルトルを作ったゲーム制作者はひねくれていた。他の最上級モンスターよりも弱く設定し、プレイヤーに弱いと認識させる。そして最後になると、少しレベルが高いくらいでも耐えられないような、文字通り一撃必殺の攻撃スキルで、そのプレイヤーを殺すつもりでいた。
スルトルはその時初めて、最上級モンスターとしての器、いや存在意義を見せたともいえる。
ただ、相手が悪かったとしか言えない。
「どうして」
スルトルの攻撃は何かに吸収された。
それが何であったか、一瞬しか見えなかった。真っ黒な騎士のような何か。楓は樹の方を見る。
樹は楓とスルトルを戦わせている張本人。
樹が放った大丈夫という言葉は言葉通り、樹はずっと楓の命を守っていた。
ただそれだけ。
「ありがとうございます」
スキルを使ったが故に生まれた反動で、スルトルに隙が出来る。スルトルのスキルはスルトル自身の体力を少しばかり削っていた。
楓はその隙を見逃さない。
残りの魔力を振り絞って、最後の攻撃魔法を唱える。
「アケルナー!」
激しい水柱がスルトルを覆い隠す。
スルトルの体力がすべて削り取られ、激しい方向と共に、スルトルはデータの欠片となって消えていく。
それを見届ける中、楓はどっと押し寄せた疲れの中、喜びに包まれていた。
「やりました!」
スルトルを倒した楓はそのまま人の目を気にせず、残りのスタミナを使って樹のもとへ駆け寄ると共に、抱き着いた。
本当に嬉しそうに。
「おめでとう、楓さん」
「樹君のおかげです。樹君が守ってくれたのですよね?」
「さあ、どうだろう」
そんな会話をする間、樹の表情はずっと赤かった。
すぐ近くで、カップルのようにしか見えない二人を羨ましそうに見る島田と和田の存在があったからだ。その二人に数刻遅れて気づいた楓も同様に顔を赤らめて。
「はしたないことをしました」
樹から離れる。
できることなら、ずっと抱き着いていたかった、なんて思いながら。
楓はごほんと咳払いをして。
「それで、茜ちゃんは?」
「まだ帰ってきてないよ」
「それだけ手ごわい相手ということですか?」
「まあ、そうでもないけども。茜は大丈夫だよ。相手が四宮さんなら。負けないし、そもそも命の取り合いをしていないから」
その言葉に楓は不思議そうにする。
「樹君はあの四宮さんの目的を知っているのですか?」
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樹はそう言って苦笑いして。
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