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三章
第7話 戦の思い
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「どうやって防いだ?」
戦の質問に優は素直に答える。
「統一型のみが取得できるスキルの一つよ。一日に二回に限り、どんな攻撃も防ぐことができるわ。まあ、一回あいつに使ってしまったから、もう使えないわ。良かったわね。直撃を食らわせれたら、もしかしたら勝てるかもよ?」
「それは無理だな」
戦はその言葉と共に一歩下がる。
そして陽と視線を交わす。緊急事態。逃げることが先決である。ただ問題なのは逃げられるかである。
超位転移アイテムならば、どこに逃げたかは分からない。しかしそれを助けるアイテムが一つ存在する。超位転移アイテムを使った追いかけっこになってしまった場合超位転移アイテムの個数で勝敗が決まってしまう。
「優さん」
「あなたは邪魔だから、どっか行っていなさい」
「分かりました!」
隼は優の命令で転移アイテムを使用する。
それは陽と戦にとってまたもない好機でもある。
本来二人は、優と隼のパーティーを壊すのが目的であり、そうなればもう一人の化け物との力関係が変わり、まだ終わらない化け物二人の勝負に終止符が打たれる。そしてどちらかが敗北し、死んだときを二人は狙っていた。
「あれとの。戦いは?」
「あれ? ああ、護のこと? あいつは強いからね。残念ながら今回も勝負は引き分けだった。そうね。十日ほどぶっ続けで戦っていたから、今の私はたいしてスタミナもないわ。回数制限のスキルが幾つか使えなくて、スタミナもない。私を倒す絶好のチャンスだと思うのだけれども」
「冗談」
優があからさまに勝負を仕掛けさせようとするが、二人は決して乗らない。
十日も続くスタミナなど存在しない。途中に何度も回復させているはずだ。特にスタミナの減少はステータスの減少を意味する。そんなところから二人は優の言葉は信用できなかった。
そして、仮に真実だとしても、勝てる見込みは五分と言ったところ。
戦いの経験が違う。
戦いの才能が違う。
アイテム数が違う。
ペットの質が違う。
「護は今、失ったペットの補充に向かっているわ。当分かかるでしょうから、その間私は自由にできる。もし良かったら、今から連続して数日戦い続けても良いのだけれども」
「それは嫌だな。それよりも護に追い打ちをかけないのか?」
「護は、準備だけは万全にするからね。多分私と隼の転移アイテムの個数から逃げれるだけの個数を準備してる。だからあいつが逃げるなら、私は無理に追いかけたりしないわ。時間とアイテムを失ってしまう」
そうだろうな、と戦は分かり切った質問をする自分に余裕がないことに気づく。
それは陽も同様。
戦は陽を見る。相手の場所が分かるアイテムは複数に同時に付与させることはできない。つまりどちらかが逃げることはできるということ。
片方の犠牲のもと、片方は助かることができる。
それが最善手。
「なあ、優」
「何かしら」
「俺たちはとりあえず逃げるとするよ」
戦の転移アイテムの使用。
陽は戦が何を考えているのか理解する。同時に陽も転移アイテムを使用する。
ただ、その戦の考えは敵である優も理解した。
「なるほど、だいたい分かったわ。特別に乗ってあげる」
陽の復活魔法は、そのプレイヤーが死んだ場所で行う。そして一定の時間過ぎたプレイヤーには使えない。
つまり戦を復活させるためには戦の元へ制限時間内に行かなくては行けないが、優が復活させる余裕を与えるわけがない。つまり復活させることはできない。
それでも優は復活魔法が使える陽を優先的に狙うべきであるが、優は戦の感情を尊重し、戦にアイテムを使用した。
同時に別々の場所へ逃げる陽と戦。
優は戦の場所を確認し、後は追いかけ続けるだけとなる。
「早く諦めてくれたら嬉しいのだけども」
優がルールのもと、プレイヤーを殺すのは、自分のためではない。
このゲームをクリアしようとすれば、優はクリアできる。すべての裏ダンジョンの場所は知っているのだから、後は他のトッププレイヤーを殺し、残りの裏ダンジョンを攻略すれば良い。
でもそれをしないのにはわけがある。
優がこの世界に残ろうとするのはこの世界の悪を根絶やしにするため。
優は勇者なのだから。
遠く離れた土地にやってきた陽は戦の最後の表情を思い出してしまう。
笑顔を自身に向けていた。
それが何を意味するのか、陽はいまいち理解していない。
「…………戦」
仲間になったのは二日前だが、それまで長い付き合いがあった友人。
陽は戦を追いかけるべきか悩んだ。逃げられないならば、せめて最後まで抗おうと考えた。
でも、陽が追いかけないようにと、戦はすでにパーティーを解除していた。これでは戦の場所が分からない。
「どうして」
陽は涙を見せないように、地面を強く蹴って陽は前に進むことを決めた。
先に進まなくてはいけない。
この世界を終わらせるために。
「仲間。なってくれそうな子」
最初に思い浮かべたのは樹、雛、龍の三人。
でも樹を陽は殺そうとした。これでは助け船は出せない。
他に七里菫と何度か交流があるが、彼女は自身の安全を最優先させる。トッププレイヤー同士仲間になることを好まない。それに今回のような出来事があれば再び起こることが容易に予想される。
では、仲間を増やせば良い。二人ではなく、三人。いや四人まで増やせば、優にも勝てるはずだ。
そうしなければ。何時まで経ってもこの環境は変わらない。
「弱き。ならない。強く。生きる」
陽は手始めに菫と会うことに決めた。
戦の質問に優は素直に答える。
「統一型のみが取得できるスキルの一つよ。一日に二回に限り、どんな攻撃も防ぐことができるわ。まあ、一回あいつに使ってしまったから、もう使えないわ。良かったわね。直撃を食らわせれたら、もしかしたら勝てるかもよ?」
「それは無理だな」
戦はその言葉と共に一歩下がる。
そして陽と視線を交わす。緊急事態。逃げることが先決である。ただ問題なのは逃げられるかである。
超位転移アイテムならば、どこに逃げたかは分からない。しかしそれを助けるアイテムが一つ存在する。超位転移アイテムを使った追いかけっこになってしまった場合超位転移アイテムの個数で勝敗が決まってしまう。
「優さん」
「あなたは邪魔だから、どっか行っていなさい」
「分かりました!」
隼は優の命令で転移アイテムを使用する。
それは陽と戦にとってまたもない好機でもある。
本来二人は、優と隼のパーティーを壊すのが目的であり、そうなればもう一人の化け物との力関係が変わり、まだ終わらない化け物二人の勝負に終止符が打たれる。そしてどちらかが敗北し、死んだときを二人は狙っていた。
「あれとの。戦いは?」
「あれ? ああ、護のこと? あいつは強いからね。残念ながら今回も勝負は引き分けだった。そうね。十日ほどぶっ続けで戦っていたから、今の私はたいしてスタミナもないわ。回数制限のスキルが幾つか使えなくて、スタミナもない。私を倒す絶好のチャンスだと思うのだけれども」
「冗談」
優があからさまに勝負を仕掛けさせようとするが、二人は決して乗らない。
十日も続くスタミナなど存在しない。途中に何度も回復させているはずだ。特にスタミナの減少はステータスの減少を意味する。そんなところから二人は優の言葉は信用できなかった。
そして、仮に真実だとしても、勝てる見込みは五分と言ったところ。
戦いの経験が違う。
戦いの才能が違う。
アイテム数が違う。
ペットの質が違う。
「護は今、失ったペットの補充に向かっているわ。当分かかるでしょうから、その間私は自由にできる。もし良かったら、今から連続して数日戦い続けても良いのだけれども」
「それは嫌だな。それよりも護に追い打ちをかけないのか?」
「護は、準備だけは万全にするからね。多分私と隼の転移アイテムの個数から逃げれるだけの個数を準備してる。だからあいつが逃げるなら、私は無理に追いかけたりしないわ。時間とアイテムを失ってしまう」
そうだろうな、と戦は分かり切った質問をする自分に余裕がないことに気づく。
それは陽も同様。
戦は陽を見る。相手の場所が分かるアイテムは複数に同時に付与させることはできない。つまりどちらかが逃げることはできるということ。
片方の犠牲のもと、片方は助かることができる。
それが最善手。
「なあ、優」
「何かしら」
「俺たちはとりあえず逃げるとするよ」
戦の転移アイテムの使用。
陽は戦が何を考えているのか理解する。同時に陽も転移アイテムを使用する。
ただ、その戦の考えは敵である優も理解した。
「なるほど、だいたい分かったわ。特別に乗ってあげる」
陽の復活魔法は、そのプレイヤーが死んだ場所で行う。そして一定の時間過ぎたプレイヤーには使えない。
つまり戦を復活させるためには戦の元へ制限時間内に行かなくては行けないが、優が復活させる余裕を与えるわけがない。つまり復活させることはできない。
それでも優は復活魔法が使える陽を優先的に狙うべきであるが、優は戦の感情を尊重し、戦にアイテムを使用した。
同時に別々の場所へ逃げる陽と戦。
優は戦の場所を確認し、後は追いかけ続けるだけとなる。
「早く諦めてくれたら嬉しいのだけども」
優がルールのもと、プレイヤーを殺すのは、自分のためではない。
このゲームをクリアしようとすれば、優はクリアできる。すべての裏ダンジョンの場所は知っているのだから、後は他のトッププレイヤーを殺し、残りの裏ダンジョンを攻略すれば良い。
でもそれをしないのにはわけがある。
優がこの世界に残ろうとするのはこの世界の悪を根絶やしにするため。
優は勇者なのだから。
遠く離れた土地にやってきた陽は戦の最後の表情を思い出してしまう。
笑顔を自身に向けていた。
それが何を意味するのか、陽はいまいち理解していない。
「…………戦」
仲間になったのは二日前だが、それまで長い付き合いがあった友人。
陽は戦を追いかけるべきか悩んだ。逃げられないならば、せめて最後まで抗おうと考えた。
でも、陽が追いかけないようにと、戦はすでにパーティーを解除していた。これでは戦の場所が分からない。
「どうして」
陽は涙を見せないように、地面を強く蹴って陽は前に進むことを決めた。
先に進まなくてはいけない。
この世界を終わらせるために。
「仲間。なってくれそうな子」
最初に思い浮かべたのは樹、雛、龍の三人。
でも樹を陽は殺そうとした。これでは助け船は出せない。
他に七里菫と何度か交流があるが、彼女は自身の安全を最優先させる。トッププレイヤー同士仲間になることを好まない。それに今回のような出来事があれば再び起こることが容易に予想される。
では、仲間を増やせば良い。二人ではなく、三人。いや四人まで増やせば、優にも勝てるはずだ。
そうしなければ。何時まで経ってもこの環境は変わらない。
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陽は手始めに菫と会うことに決めた。
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