クラス転移した俺のスキルが【マスター◯―ション】だった件 (新版)

スイーツ阿修羅

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第六膜 見抜きと血煙の仮面舞踏会編

百八十射目「浅尾和奈は朝オカズな」

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「行宗さんっ! 和奈さんっ!」

 そんな瞬間だった。
 進行方向から裏返った男の子の声。ジルクの叫びが聞こえて来たのだ。

「どうした!?」

 明らかに普通ではないジルクの様子に、俺と和奈も足を早めた。

「ヤツらです! マナ騎士団です!
 赤と白の仮面の集団が、北の街ゼピアを壊滅させたと、反乱軍から耳にしました!
 この特徴はもう。マナ騎士団に違いありません!」

「マナ騎士団……」

 その単語を聞いて、俺は体内の血液の温度がカッと上昇し、沸騰するかのような感覚に陥った。
 バクバクと心臓が高鳴りだす。
 それは武者震いだろうか? それとも緊張、恐怖?
 とにかく視界が狭まって、呼吸困難になりそうになっていた。

「嘘でしょう? 壊滅って、どこまで?」

「その場の反乱軍も含めて、皆殺し、全滅だと……」

「そんな……」

 和奈が掠れたような声で、言葉を失っていた。

「これは……願ってもないチャンスだ……」

 俺は歯を食いしばりながら言った。

「俺たちをこの世界に召喚したマナ騎士団なら、現実世界に帰る方法も知っている可能性が高い……」

「うん、それに直穂ちゃんの失踪とも関係しているかもしれないし……そもそも獣族達を皆殺しだなんて、私絶対許せないよ……」

 和奈の怒りの籠った低い声に、俺は結構驚いていた。
 明るくて優しい浅尾和奈でも、これほどまでに冷たい声を出すんだなと。
 
「どうしますか? 二人は?
 フィリア達は、住人を南に避難させるそうですが……」

「戦うに決まってんだろ。
 ジルク、誰かに馬の手配を頼めないか?」

「……それじゃあ遅い。間に合わないでしょ?」

 和奈が食い気味にそう言ってきた。

「和奈……?」

「あのさ行宗……さっき私の後ろで、勃起、してたよね…… おしりに硬いのが当たってるの分かったもん。
 ほら、今も腰かがめてる」

「それは……」

 たしかに俺は今、前屈みの姿勢になっていた。和奈の言う通り、股間の膨らみを隠すために。

「オナニーできないって、賢者になれないって言ってたのは、嘘だったの?」

「それ、は。本当だ。何度か話しただろう? 俺は想像力に欠けるから、直穂の裸しかイメージできないんだ。でも今直穂の身体を思い出すと、悲しい感情が湧き起こってきて、最後までどうしてもできないんだよ」

 俺は少し和奈にイラッとしていた。

「イメージが、できないだけなんだよね……
 だったらさ。本物を見れば良いんじゃないの?
 ちょっと試してみようよ」

 和奈はそう言って、真剣な眼差しで、自身のシャツに両手をかけた。

「なっ!」

 するりとTシャツが脱げると、汗の雫まみれの和奈の上半身が顕になった。
 ぬるりと仄かに汗の匂いが、風に乗ってすっぱく臭う。
 おっぱいは胸当てを弾き飛ばしそうなほどパンパンに熟れて、体のラインはゆるい曲線でキラキラと汗を乱反射させていた。

「この三ヶ月で太っちゃったから、お腹見られるの恥ずかしいな……」

 火照った表情で、はにかみながら和奈が言う。
 違う、そこじゃないだろうって。
 頭がぼーっとしながら俺は心内で突っ込んだ。

 次に和奈は、灰色のズボンに手をかけた。

「待ってくれ、和奈……」

 制止も虚しく、和奈はまた一枚と服を脱いだ。
 白の下着二枚だけで、見晴らしのいい崖上の広場に立つ女の子。
 人物と背景が合っていなくて、でもアンバランスでアブノーマルだからこそ、俺は酷く性的興奮を覚えてしまっていた。
 同時に、強大な罪悪感が、胸を締め付けてくるようだった。

「ふぁー、涼しいね。開放的。
 ほら、行宗。ちゃんと私を見て。
 私をオカズにして、オナニーするの」

「嫌だ………」

 俺は泣きそうになりながら言った。

「……分かってるよ。私に女の子としての魅力が無いことくらい。
 でも、お願い。こんな私でも、なんでもするから!」

「そうじゃないっ! 和奈は魅力的な女子だよ!
 ただ……俺が……
 俺はお前を、性的な目で、見たくないんだよ……
 大切な、家族だから……」

「家族……」

 和奈は驚いた様子だった。

「家族か……嬉しいな」

 そして、照れくさそうに控えめに笑う。

「でも、相手はマナ騎士団なんだよ?
 しかも複数人なんでしょ? 賢者じゃないと勝てないんじゃないの?」

「分かってる。そんなことは分かってるんだよっ!」

 俺はまた声を荒げた。

「……でも、和奈をオナニーの道具として使うなんて、耐えられないんだ。
 ……浅尾和奈っていう、素敵な人の尊厳を傷つけている気がして……罪悪感で、申し訳なくて……」

「うん。優しいんだね。行宗は。……でも、そんな事言ってる場合じゃないでしょ。こんなことを話している間に、誰かが死んじゃってるかもしれない」

「あぁ、そうだな」

 頭では理解している。
 でも身体が、俺の本能が、どうしても拒絶してしまうのだ。

「あとさ……私の尊厳の心配なんかすんな。あんまり私を舐めるなよ。
 行宗のオカズにされた程度で傷がつくほど私の尊厳はヤワじゃない!
 それに行宗になら、裸見られても平気だしっ! 何なら何度かラッキースケベされてじゃんっ!
 ……それにこれは、直穂ちゃんとの再会のためでもあるでしょう?
 せっかくマナ騎士団と接触できるチャンスなんだよ!
 ねぇ行宗、一緒に直穂ちゃんに会いに行こうよ」

 一片の曇りもない。真っ直ぐな眼差しに圧倒されて。
 俺は思わず頷いてしまった。

「だったらせめて、草むらで」

 俺がそう付け加えると、和奈は泣きそうな顔で笑いながら、

「ありがとう。……ごめんね」

 と言った。
 今から裸を見せてくれる恋人でもない女の子に、ごめんねと言わせるなんて、罪悪感が半端じゃない。
 直穂に対する誠実、浮気、不安、罪悪感、責任感、恐怖。
 様々な感情が溢れてくるのを、俺はただ深呼吸をする事でやり過ごした。
 そして俺は、和奈で達する事だけに、全神経を注ぐことにした。

 草むら、と言っても、雨の少ない独立自治区の森は木々が少なく、隠れる場所なんて無いに等しいのだが。
 太い幹に背中合わせになるようにして、彼女はブラジャーを脱ぎ、そして最後の一枚に指をかけるとするすると外していき、
 とうとう生まれたままの姿になった。

「ポーズやセリフのリクエストとかあったら、言ってよ」

「うん、なるべく早く済ますから」

 互いの視線がぶつかり、反射的に目を逸らす。
 そしてまた、探りあうように視線を交わす。
 背徳的で、初々しくて、とてつもなく官能的な緊張のなかで。
 互いの熱が伝わるくらい。お互いに顔が火傷しそうなほど熱かった。

「……こんな事になるなら手入れしとけば良かった、うぅ恥ずかしいよぉ、行宗ぇぇ」
 
「ッッ」

 恥ずかしさを紛らわすように、和奈はいつもにも増して饒舌だった。
 対して俺は、何も言葉を発することができず。飲み込まれるように彼女を視ながら、慣れない左腕で息子を使った。


「……がんばれ、がんばれ行宗、がんばれっ」

 彼女はまるで、小学校の運動会でわが子を応援するお母さんのように、真剣な視線を刺してくる。

 浅尾和奈。
 からかい好きな、サッカー少女。無自覚系のサバサバした女の子。コミュ力も高くて明るくて、クラスのエロい女子ランキングNo.1。
 そんな、陰キャの俺とは住む世界の違った彼女が、
 今は俺を性的興奮させるためだけに、その身ひとつで、懸命に開いて見せてくれる。
 俺こそごめんな。和奈。
 背徳感と高揚感で頭がおかしくなりそうだった。

「うっ……」

 飛び出した俺の白い涙は、彼女の透き通るような太ももを少し汚した。
 そして俺は、賢者になった。
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