あなたは異世界に行ったら何をします?~番外へん 開店中~

深楽朱夜

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3 きゅうとふー

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とある日、テントの図書スペースで千眼、ナイル、ナイデル、オリガ、きゅう、ふーが読書を楽しんでいた。

「異世界のおとぎ話は面白いですね…興味深いです」

「今、ハリーポッターシリーズも4作目…面白いです」

「千眼殿に勧められたライトノベルも中々ですね…。我々にとっては詠斗殿達がいた世界こそが異世界ですが…」

「そう…主達の世界は面白い物で溢れている…」

「この世界は娯楽が少ないというのが良く分かりますね…」

会話でつくづくこの世界がつまらないと感じてしまう、長生きしても新しい事、面白い事は沢山ある。

詠斗達は本日クイナトで買い出しに出かけ食事もそちらでするという事なので、ナイル達からすれば暇な時間、自分達も昼食を終えそれぞれ余暇を楽しんでいた。

「ラドゥ達のプールもそろそろ完成しそうですよ」

「夜になると明かりが虹色に輝いたり、水が噴き出したり、プールの中央に島を作ったりするそうです…」

『……』

「ラドゥのそのやる気をもっと他に…」

「遊びに全振りしていますね…」

ナイデルとオリガの深い溜息、ナイルはきゅうにせがまれ野菜を上げている、千眼はパンくずをふーのガラス鉢に入れていやる。

「しかし…本当にきゅう殿とふー殿は仲睦まじい…昔に出会った、タータイルクッガとキンカダイルラーガの姿を思い出す…彼らの姿は雄大で荘厳という言葉が相応しい存在だった」

「初耳ですね、父様の若い頃の話し」

ナイデルが図鑑を眺めるきゅうとそのきゅうの風魔法で宙に浮くガラス鉢の中できゅうと一緒に図鑑を眺めているらしいふーを見て目を細めた。

「タータイルクッガとキンカダイルラーガ…聞かせて欲しい…。茶を淹れる…」

「そうですね、ナイデル様是非聞かせて下さい」

千眼が茶器を用意し湯を沸かす、今日は花の香りのする茶に蜂蜜を用意し、茶菓子は干した果物を準備する、きゅうが干し果物をねだり、ふーにも小さく千切ったものを少しあげるとぱしゃと跳ねて干した果物を突いて食べている。

ナイデルは昔を思い出し、静かに話しを始めた…。



ナイデルがまだ今のナイルよりも若かった時代、彼は目的のない旅をしていた。

特に大海原を海面すれすれに飛ぶ事が好きで、海に棲む生物達の邪魔をしないように飛行を楽しんでいた。

ナイデルの視界の先、巨大な島がありそこで翼を休めよう近づくと、動く島…タータイルクッガとその隣を優雅に泳ぐ巨大な深紅の魚キンカダイルラーガがいた。

『やあ、こんにちは。若きドラゴンさん』

『こんにちは、少し翼を休ませて貰っても良いですか?』

『構わないよ、さあボクの甲羅で休むといい』

『ありがとうございます』

老いたタータイルクッガが目を細め首を僅かに動かす、甲羅の上は木や土鳥や生物が住み着き生態系が出来ていた。

土の無い部分から見える海の波模様の甲羅の部分に身体を置き、翼を休めた。

『若きドラゴンさん…良かったら果物を食べて…』

『魚と貝も食べますか?』

果物を進めてくれるタータイルクッガの他にキンカダイルラーガの声も聞こえた、ちょうど腹も減っていたので果物を貰う事にした。

『ありがとうございます、では果物を頂きます』

『ゆっくりしていって』

優しい声にナイデルは心地よくなり果物で満たされ、少し寝入ってしまった。

『優しい、タータイルクッガさんとキンカダイルラーガさんありがとうございました、お陰でゆっくり休む事が出来ました。また旅に出れます』

『それなら良かった、またいつでも来てね』

『若いドラゴンさんの旅がより良い物でありますように…』

『ありがとうございます、ぜひこちらを…』

宙に飛び礼を言うナイデルが、自分の鱗を口で1つ剥ぎ取りタータイルクッガに渡す。

『こんなすごいもの貰えないよ』

『良いんです、私の気持ちです』

『では、今日出会った証として…受け取るのいかがです?』

『私達が出会った…友の証としてどうぞ…』

『分かりました、ありがとう』

キンカダイルラーガがタータイルクッガに寄り添う、タータイルクッガが口を開け牙でナイデルの鱗を半分に砕き、それぞれ鱗を呑み込んだ。

『思い出を私たちで分け合おう…』

『はい、若きドラゴンさんまた来てくださいね』

『はい、必ずまたこの海で…』

ナイデルが飛び立ちそれを、2人がいつまでも見送ってくれた…。



「それから随分経って会いに行ったが…タータイルクッガは寿命で亡くなり、寄り添っていたキンカダイルラーガは共にその生に幕を降ろした後でした…」

ナイデルがお茶を飲み、その間誰も口を挟まなかった。

「彼らの亡骸は深い深い海の果てで眠っているそうです…」

「キンカダイルラーガは魔力の強い相性の良い生物に生涯寄り添う性質がある…ふーもそうだろう…」

「確かにきゅうもふーもいつも寄り添っていますね…」

ナイデルの言葉で締めくくる、千眼、ナイデル、ナイル、オリガがきゅうとふーを見つめいつまでもずっと一緒にと願う。

『きゅ!』『ぱしゃ!』

「湖に行くんですか?」

「私が連れて行こう」

図鑑を読み終わり棚に戻したきゅうが散歩を千眼にねだり、湖に蝶達を使い運んだ。

「遠くへは行ってはいけない…そうか…夕食の魚かそうだな…」

『きゅ』『ぱしゃ』

すいーとふーを連れて湖に入っていく、風魔法で魚を巻き上げ仕留めていく。

広大な湖獲物は幾らでも尽きない、きゅうはいつも楽しい、本を読んでいる時、皆と食事をしている時、湖遊んでいる時…。

そして…ふーといる全ての時間がきゅうは好きだった、きゅうはふーに尋ねる。

『ふーどこへいく?』

『きゅう、あなたとならどこへでも…』

『海の果てでも?』

『いつかみんなと行きますか?』

『いつかね…』

そこには…があるから…。



                                               END
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