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外神諫埜と職場

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彼の500年の物語の断片…

「外神…いい加減にしろ」
「……?」
「メシュレラ…それじゃダメじゃん。外神さんよ、あんた最後に飯食ったのいつ?」
「………」
「はぁ、ナビ」
『2日前にスープとパンと果物』
「どこの修行僧だ?」
「僧でも毎日食うだろ、食事の義務化するか」
「そうするか」
「メシュレラさん、イーファナスさん…自己管理出来ていますよ僕は」
『出来ていない』
とある大陸のとある商会の地下…外神と髪が背中迄ある青年イーファナスと黒を何度も塗り重ねた色と瞳の10代終わりの少年のメシュレラと、天井からナビと呼ばれた青年の声。3者から声を揃えて自己管理について否定される。
空腹があれば食事する、それが2日に1回程度なのだ仕方ない、その上元々小食なのだ。
「肉食うぞ、外神さん用意しろ」
「ああ、ナビ、ゲーテ、商会の従業員は1日2回以上食事をするよう規則に設けろ」
『はいはい、マスター今日から食事毎日2回して下さいよ』
『わっかりました』
「………はぁ…肉を用意します」
溜息を吐く、外神達は屋上に出る、メシュレラがナビに指示し商会を今日はもう営業を終わりにし食事をするよう指示を出す。

「外神…肉出せ酒だせ!仕事疲れたぞ!」
「あーもう本当それ!酒と金出せ!」
「はい、どうぞ」
屋上には商会の面子や任務から戻った面子も揃い賑やかだった、従業員が外神に絡む、外神は言われるがまま肉、酒、金を出してやる。
「帰ったぞーってなんだ、よっぱらいが大量だな」
「おかえりなさい…クーネさん」
「外神さん、お土産ね。カードンヴァンダーだよ」
「ありがとうございます、解体します」
「ここでやんなよ!」
「解体部屋行け!」
「酒と肉と魚置いとけ」
「はい」
傍らに空飛ぶ銃の様な物をと共に転移で戻った少年が収納袋を外神に手渡す、心無し僅かに嬉しそうにしている外神が肉と酒を楽しむ仕事仲間から追い出される、酒と魚と肉を置いていく。
「で、アイツは飯食ったのか」
『あ…』
メシュレラが酒と肉を食いながら周囲に尋ねれば全員が食べたかどうかの確認をしていない、ナビとゲーテは皆が宴会を屋上でしている間に残務処理を行っているので確認していない。
「アイツの分は残しておく」
全くと何かに託けて飯が食いたい連中だ、メシュレラが肉と野菜を多めに焼いて後で外神に食べさせようと残しておく、食にも職にも他者にも環境にも興味が薄い人物の数少ない趣味だ、邪魔はするつもりはない。

「流石はクーネさん、血抜きが綺麗ですね。大物…」
建物の隣の解体部屋、常に浄化魔法と空調が効き不快な臭いがない、磨かれ整頓された解体道具の数々、今回の獲物はカードンヴァンダーは爬虫類の大型なワニの様な体躯の魔物で爪には強力な麻痺毒を持ち敵を麻痺させ喰らう魔物だ。
先ずは固い皮を皮剥ぎナイフを2本両手に前足から剥いでいく、皮は商会で販売するために水魔法で即座に汚れを落とし、風魔法で乾かす。
爪は万能包丁の様な物で叩くように落とし薄めて狩猟などで使えるように調整する、牙は矢じりに目は滋養剤としてくり抜く、今度は手で身体をひっくり返し頭の方から割いて臓物を取りだしていく、内臓は心臓は薬にそれ以外は馴染みに渡す、部位ごとに肉を分解して約1時間で全ての解体が終わる。
「タン…食べようか…後は…熟成させるのと…収納に」
解体を終わらせ道具も手入れし、隣の熟成室に向かい肉を吊るして残りは収納に入れ屋上へと戻った。

「外神、お前の分」
「ありがとうございます」
「カードンヴァンダーの解体は終わったか、何か食べるか?」
「タンを食べようかと…」
「そうか、私が焼くからお前は食べていろ」
「ありがとうございます」
「外神ー捌きたて食べたいー」
「分かりました」
外神が肉を収納から出してタンと共にメシュレラが肉を焼いてくれる、肉と焼いた野菜を受け取り椅子に座って食べ始めた。
「ほら、果実水な」
「いただきます」
ナンプラーもとニャンプラーとハーブを混ぜた塩も、レモンモドキを絞った液体の小皿が置かれそれで食べていく。
「美味しいですね」
「ならもっとうまそうに食えよ」
イーファナスが呆れている、酒も肉もまだまだ食べている周囲、何時の間にか仕事から戻った商会の従業員達が増えてワイワイと肉を焼き魚も焼き、盛り上がっていた。
「外神さまー果物が足りませんー下さいー」
「はい、どうぞ。足りますか?」
「はい、ありがとうございます」
小さい精霊が外神の元にくれば、小さい精霊も貰いにくる、きゃきゃと受け取ったリンゴモドキやブドウのようなもの受け取り嬉しそうに宙を舞う。
「ほら、外神出来たぞ食え」
「ありがとうございます」
焼いたタンも受け取り食べる、メシュレラとは長い付き合いだ外神が食べる量を分かっているのか完食出来る量を渡してくれた。
『緊急依頼入りました!』
「しゃーない、行くか」
「肉食ったしなー」
「外神は食ってろよ」
食べ終わった仕事仲間が2名立ち上がり聞こえる声に応じ転移して場所へ向かう、今日も今日とて忙しい。
外神も食事を終わらせて雑務を片付ないとと思い、食事を終わらせる。
『あーレベルテンペスト級の依頼発生しましたー』
「いきます」
「私も行こう」
「じゃ、俺もさっさと片付けて休もうぜ」
外神、メシュレラ、イーファナス立ち上がりナビの声に応じる、片づけを頼み転移し依頼場所へ向かった。
今日も今日とて仕事は忙しい、外神は今夜は風呂にゆっくり浸かろうと決めた…。

                    それではまたお会いしましょう、外神 諫埜でした


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