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第018部 友よ、また…/はじめまして、こんにちは、さようなら
セフトとイトーズ
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セフトとイトーズは、同じ日にほぼ同時刻に村に誕生した兄弟みたいな存在だった。
誰よりも何よりも近しくずっと一緒に過ごし、彼らの家族もまたそんな2人を微笑ましく見守っていた。
「セフト、ほら」
「待ってよイトーズ」
身体が丈夫でいつも元気なイトーズを追うセフト、いつもイトーズがセフトの手を引き森を駆け回り家の仕事を手伝い、肩を寄せ合って生きて行く、それがずっと続くと思っていた。
「なんだ…作物が育たない」
「これじゃ…」
「森に行って採取しよう、これじゃ商人がよりつかなくなっちまう」
そんな日々に暗雲を立ち込めたのは、この村の作物が育たなくなってしまったからだった。
村人達は枯れた作物を見つめ呆然とする、このままでは食べる物も無論売る物もなくなり生活は成り立たない、男達は森へ採取に向かう、セフトとイトーズも手伝う、セフトにもイトーズにも兄弟がいて彼らの為にも食料の確保をしていかなければ…。
「美味いか」
「狩った動物だ、久しぶりの肉だ」
「最近、狩り過ぎたせいで動物がいなくてやっと捕まえた…くえ」
「うん!おいしい」
「そうか…」
「母さん、父さん…」
「お前がもりへ行っている間にあの子が…」
「すまん、病で死んでらすぐに埋めるのがこの村の掟だ分ってくれ、イトーズ」
「あの子の分までいきましょう、お父さんたちが今日は動物を捕まえてきたの」
「………」
「……いない、やっぱり…うぇっ…」
そんな中更なる悲劇が彼らを襲った、森で動物を狩り薬草や食料を採り過ぎ、森での採取も難しくなって来た頃、村に高熱が出る病が流行した…。
「熱が…」
「いったいなんだってこんな…」
「薬草だってそんなに…街に薬を買う金だってないのに…」
「いったいどうしち待ったんだ…」
飢饉の上に蔓延する病、村人達はやせ細り気力も底を尽きただただ力がない者から弱っていく、商人にも村の事情を話したが迷惑そうに言い、若い村人達は我先にと村を出て行き、今は家族がいる中年や女子供や老人達ばかり、イトーズが森へ薬草を探しにいくというのでセフトも無理について行こうとする、イトーズは足手纏いになるからと拒むが無理矢理一緒に行こうとするのでセフトを連れ家の外に出て森へ向かおうとすれば入り口に見慣れぬ2名の男が佇み、一応今村は病が流行っているので入らないように伝えに向かった…。
立っていたのはこの世の者とは思えない美しく妖しい2名、一瞬セフトもイトーズも魅入ってしまったが両腕を広げ村に入らないように言えば、黒い服の男がくすりと笑いこの村の惨状を救いに来たと言い、イルシルカと名乗る、イトーズは警戒心を露わにしセフトは藁にも縋る気持ちだった。
植物柄の不可思議な衣装の片割れは、口元に笑みを浮かべてはいるが気配は酷く冷ややかで、この村がこうなった原因は瘴気にあると言う。
蒐集家とルシルカが紹介した人物とルシルカを村に案内する、彼らを拒んだ所でこの村の行く末は変わらないだろう、ならば僅かな希望に縋ってみる事にした。
「俺の家族…こんなに痩せてみんな苦しんでる…」
「ええ、辛いでしょう。セフトさん、イトーズさん。幼い身でよく耐えています、賞賛に値します」
セフト家に招く、蒐集家はルシルカに言われ薬を渡しイトーズも自分の家族に薬を飲ませに行っている、村人分の薬も用意し、ルシルカは痩せたセフトの手に肩を置く。
寝かされた両親と熱で喘ぐ家族の呼吸が落ち着きセフトはほっとし、セフトは礼を言い蒐集家は戻って来たイトーズにも薬を渡し村の中心で待つ事にした。
薬を配り熱が引き症状が落ち着いたとイトーズとセフトが告げ祈りを捧げていたルシルカは淡く柔らかく微笑む、だが、瘴気は止まらずまた繰り返すだろうと言い、ルシルカはそこでとある提案をした。
瘴気を吸ってくれる剣を此処に置く代わりに番人が必要だと言い、代償としてこの村から離れられないという物だった。
元からこの村で生涯を終えるつもりのセフトは村の人達の病が治り、作物が育たなかった瘴気を吸ってくれるというのでその話しに飛びついた。
この都合がいい話しに騙されていたとしても、自分達に出来る事はない、イトーズもその話しに乗ろうとすればルシルカの赤黒い時間が経って乾いたような血の色の瞳がイトーズを見透かしていた。
「では指を」
ギョロギョロとした目が閉じ赤黒い剣が地面に突き刺され、小指から血を一滴零す、これで番人になったという身体の血が熱を帯びるような感覚が通りすぎた。
蒐集家から生涯使い切れない金を貰い、彼らは消えるように此処から消え、セフトは涙を浮かべ喜び、病は治り飢饉は緩やかに戻った…。
だが、事実と過去は消えない、村人達は味わってしまった…イトーズはもう肉は食えない、だから《悪夢龍》の肉の破片を求めた…だって教えてくれたから頭の中で在り処を…村人達が、家族が、同胞の血肉を食うなら自身は龍の肉を喰らうそれだけだった…。
強さを求めたのはそう簡単に肉が手に入らないから、村を捨てたのは捨ててイトーズやセフトの兄弟を喰ったから、だから植物化するのは当然だ、転生など来世など自身にも彼らにも与えない…。
誰よりも何よりも近しくずっと一緒に過ごし、彼らの家族もまたそんな2人を微笑ましく見守っていた。
「セフト、ほら」
「待ってよイトーズ」
身体が丈夫でいつも元気なイトーズを追うセフト、いつもイトーズがセフトの手を引き森を駆け回り家の仕事を手伝い、肩を寄せ合って生きて行く、それがずっと続くと思っていた。
「なんだ…作物が育たない」
「これじゃ…」
「森に行って採取しよう、これじゃ商人がよりつかなくなっちまう」
そんな日々に暗雲を立ち込めたのは、この村の作物が育たなくなってしまったからだった。
村人達は枯れた作物を見つめ呆然とする、このままでは食べる物も無論売る物もなくなり生活は成り立たない、男達は森へ採取に向かう、セフトとイトーズも手伝う、セフトにもイトーズにも兄弟がいて彼らの為にも食料の確保をしていかなければ…。
「美味いか」
「狩った動物だ、久しぶりの肉だ」
「最近、狩り過ぎたせいで動物がいなくてやっと捕まえた…くえ」
「うん!おいしい」
「そうか…」
「母さん、父さん…」
「お前がもりへ行っている間にあの子が…」
「すまん、病で死んでらすぐに埋めるのがこの村の掟だ分ってくれ、イトーズ」
「あの子の分までいきましょう、お父さんたちが今日は動物を捕まえてきたの」
「………」
「……いない、やっぱり…うぇっ…」
そんな中更なる悲劇が彼らを襲った、森で動物を狩り薬草や食料を採り過ぎ、森での採取も難しくなって来た頃、村に高熱が出る病が流行した…。
「熱が…」
「いったいなんだってこんな…」
「薬草だってそんなに…街に薬を買う金だってないのに…」
「いったいどうしち待ったんだ…」
飢饉の上に蔓延する病、村人達はやせ細り気力も底を尽きただただ力がない者から弱っていく、商人にも村の事情を話したが迷惑そうに言い、若い村人達は我先にと村を出て行き、今は家族がいる中年や女子供や老人達ばかり、イトーズが森へ薬草を探しにいくというのでセフトも無理について行こうとする、イトーズは足手纏いになるからと拒むが無理矢理一緒に行こうとするのでセフトを連れ家の外に出て森へ向かおうとすれば入り口に見慣れぬ2名の男が佇み、一応今村は病が流行っているので入らないように伝えに向かった…。
立っていたのはこの世の者とは思えない美しく妖しい2名、一瞬セフトもイトーズも魅入ってしまったが両腕を広げ村に入らないように言えば、黒い服の男がくすりと笑いこの村の惨状を救いに来たと言い、イルシルカと名乗る、イトーズは警戒心を露わにしセフトは藁にも縋る気持ちだった。
植物柄の不可思議な衣装の片割れは、口元に笑みを浮かべてはいるが気配は酷く冷ややかで、この村がこうなった原因は瘴気にあると言う。
蒐集家とルシルカが紹介した人物とルシルカを村に案内する、彼らを拒んだ所でこの村の行く末は変わらないだろう、ならば僅かな希望に縋ってみる事にした。
「俺の家族…こんなに痩せてみんな苦しんでる…」
「ええ、辛いでしょう。セフトさん、イトーズさん。幼い身でよく耐えています、賞賛に値します」
セフト家に招く、蒐集家はルシルカに言われ薬を渡しイトーズも自分の家族に薬を飲ませに行っている、村人分の薬も用意し、ルシルカは痩せたセフトの手に肩を置く。
寝かされた両親と熱で喘ぐ家族の呼吸が落ち着きセフトはほっとし、セフトは礼を言い蒐集家は戻って来たイトーズにも薬を渡し村の中心で待つ事にした。
薬を配り熱が引き症状が落ち着いたとイトーズとセフトが告げ祈りを捧げていたルシルカは淡く柔らかく微笑む、だが、瘴気は止まらずまた繰り返すだろうと言い、ルシルカはそこでとある提案をした。
瘴気を吸ってくれる剣を此処に置く代わりに番人が必要だと言い、代償としてこの村から離れられないという物だった。
元からこの村で生涯を終えるつもりのセフトは村の人達の病が治り、作物が育たなかった瘴気を吸ってくれるというのでその話しに飛びついた。
この都合がいい話しに騙されていたとしても、自分達に出来る事はない、イトーズもその話しに乗ろうとすればルシルカの赤黒い時間が経って乾いたような血の色の瞳がイトーズを見透かしていた。
「では指を」
ギョロギョロとした目が閉じ赤黒い剣が地面に突き刺され、小指から血を一滴零す、これで番人になったという身体の血が熱を帯びるような感覚が通りすぎた。
蒐集家から生涯使い切れない金を貰い、彼らは消えるように此処から消え、セフトは涙を浮かべ喜び、病は治り飢饉は緩やかに戻った…。
だが、事実と過去は消えない、村人達は味わってしまった…イトーズはもう肉は食えない、だから《悪夢龍》の肉の破片を求めた…だって教えてくれたから頭の中で在り処を…村人達が、家族が、同胞の血肉を食うなら自身は龍の肉を喰らうそれだけだった…。
強さを求めたのはそう簡単に肉が手に入らないから、村を捨てたのは捨ててイトーズやセフトの兄弟を喰ったから、だから植物化するのは当然だ、転生など来世など自身にも彼らにも与えない…。
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