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第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

第25話 教室にて

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「さあ、みなさん媒介が上手く出来たようなので、次は魔法の練習をしましょう」
『はーい』
貴族屋敷の教室でナイデルが教壇に立つ、生徒ユラヴィレオやユラヴィカ、メルガドールに護衛や付き人達も共に作った媒介を用いて魔法を使う。
皆思い思いの媒介、女の子は髪飾り、男の子は腕輪が多く、大人はネックレスや杖等にしている。
「みなさんの保有している属性魔法を脳内でイメージし媒介から発動させてみて下さい」
『はい!』
アルケールやアゲイルやレグも控えているので安心して魔法を発動してもらう、主に水、火、風魔法が発動され小さな炎や水が零れ風が流れていく。
「わ!お水が出た!」
「小さい火が出たぞ!」
「風がふいたよ!」
わいわいと全員魔力の消費を最小限に発動し賑わう特にライルは火と風、ラキは水と風に氷魔法を発動させていた。
「お兄様!こんなに初めてこんなに楽に水魔法を発動出来ましたわ!」
ユラヴィカが花の髪飾りに魔力を送り水が浮いている、ユラヴィレオも水魔法を楽に発動させる事が出来頷く、メルガドールは氷魔法を発動空中にキラキラと氷の結晶が散っている。
「みなさん出来ていますね、媒介は肌身離さず持っていて下さい」
『はい!』
「これで本日の授業は終わりです」
「うむ、では昼の準備だ!」
『ありがとうございましたー』

「今日は孤児院で出来た野菜たっぷりミルクシチューとお店のパンに果物ですね、では頂きましょう」
『いただきまーす』
ユラヴィレオ達も共に食事を摂る、もう慣れた光景だがはっきり言ってしまえば貴族の食事よりもここの食事や《ガルディア》の炊き出しの食事の方が質が高く美味い、肉もダンジョン肉が多く見たことない料理も出され正直ユラヴィレオとメルガドールもここの料理を参考に屋敷の料理人達にも食べて貰い料理の質を上げている。
「美味しいー」
「おかわりー!」
子供たちも貴族との距離は取るが気にしてはいない、何せ教師は人の貴族の更に遥か上の存在のドラゴン、龍皇国でも数少ない精霊のモッカ迄いるのだ、そしてここの子供達が受けている高度な教育どれをとっても水準は並の貴族以上。
「メルガドール殿…大分顔色が良くなりましたね」
「……ええ」
ユラヴィレオが食事を楽しむメルガドールに声を掛ける、一瞬ビクリとするが短く返す、顔色が良くなり痩けた頬が少し膨らんで雰囲気も明るくなった。
「食事…美味しい楽しいと感じたのも久方ぶりです、懐記さんには感謝ですね。2日後のカジノも楽しみにしています」
「私もですよ」 
ユラヴィレオが微かに笑む、ユラヴィカも目をまん丸くして兄を横から見上げた。
外見は美麗…冷たい容貌だが血縁のユラヴィカには優しく情もある、そんな兄だが現在婚約者はいない、兄の年齢的に結婚していても可笑しくはない、婚約の話しも多く来るが自分と同等な優秀な伴侶しか求めていないユラヴィレオの前では高貴な貴族達も引き下がる他無かった。
子孫繁栄にユラヴィレオは然程興味は無い、ユラヴィカにも強いるつもりも無い絶えてしまっても良いと思っている。
「お兄様、お食事が終わったら帰りますか?モッカ先生の授業も受けたいのです」
「ああ、構わない」
「私はこれで、仕事があるので」
食事が終わった食器をメルガドールが自分で運ぶ、最初は付き人…使用人が片付けていだが此処は《ガルディア》では無くメルガドールも1人の個人として扱われているので自分の食べた食器は片付ける、メルガドールとユラヴィカは使用人達が止めて食器を使用人が片付けている。
メルガドールは綴達に挨拶し、転移札で《ガルディア》に戻って行った。

「たっだいまー」
「ん…」
「お帰りなさい」
「ほい、土産。肉な肉」
「はい」
「…クッキー焼いたが」
「食う…」
「食べるわ、ミルクもちょーだい。お、ニア達も」
「はい、頂きます」
最初に戻って来たのジラとチグリス、ナイルに収納袋を渡して次に戻って来たのは畑仕事が終わったニアだった。
大河はテーブルで千華と読書し、ナイルと千眼はクッキーを作っている、甘い香りが畑に広がっていた。
「お疲れだ」
「結構たのしめたけど、そろそろあのダンジョン進化しそうー」
「…するな」
「なら、もっと美味い肉が手に入るか」
「それはいいな!」
ミルクとお茶にクッキーをナイルから貰い食べながらまったりと過ごす、チグリスが赴ろにスマホでメッセージを送る。
「このクッキー美味いな、紅茶の味がする」
「本を見て、紅茶を記事に練り込んでみました。香りや味わいが深くなりましたね」
茶葉を練り込み木の実を乗せたクッキーをジラが味わう、ナイルと千眼、千華も食べながら優雅にミルクティーを飲んでいる。
「ナイル…懐記に煮物頼んだら芋剥いとけと来た…」
「今晩はお芋の煮物ですか、良いですね。沢山剥きましょうか」
「…手伝う」
「ナイル、私もお手伝いしますよ」
「はい」
「今晩は煮物か、いいな。味噌汁と魚にして貰おう」
「ん」
「肉はさっき食いまくったから魚良し」
「ただいま戻りました」
「おかえりなさい、今ちょうどおやつにしていたんです。綴さんもどうですか?」
「いただきますね、冷たいお茶をお願いします」
「用意する…」
綴も戻りテーブルに座り、千眼が果物の香りのするアイスティーを用意してくれる。
「ん、紅茶クッキーですか?美味しいですね」
「綴…今日は煮物…」
「嬉しいです」
「少し休んで風呂に行くか、今日は風呂にレモンに似た果物を入れて柚子風呂風にしたいと千華が提案してくれたから入れてみよう」
「この本に書いてあった物が気になったので主様に頼みました」
「良いですね、とても良い香りがしますよ」
「楽しみです」
千華が読んでいた雑誌は旅と露天風呂特集の物だった、柚子が浮かぶ露天風呂のページを指している。
ゆっくりとした穏やかな時間が流れる、各々自由に過ごした。
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