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第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

STAGE.2-8 おりがみする?

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「3人共風呂入ろ、洗濯するし。パジャマは率っちがくれたのと俺んちの服でいいか。使い方説明するわ」
テントに戻り空き家の中に3人を入れてざっくりとした使い方を説明する、空き家は2つあるので収納の石鹸やらを渡して4人で順番に入る事にした。
「気持ち良かったな」
「ええ」
「服…ありがとう」
「ん、今日はそれで寝て、服は乾いたから。俺も風呂入ってくるわ、暇潰しのトランプおいとくから遊んでてもいいしー」
洗濯機をテントで回し風魔法で乾かす、風呂から出た3人が気持ち良さそうにしているのを確認し懐記も風呂に向かった。

「まーた、グリの勝ちかよ」
「強いですね」
「…面白い遊びです…」
「楽しくやってるじゃん、モギのミルク飲む?」
「頂きます」
「ちょーだい」
「?」
空き家の居間でちゃぶ台を囲みババ抜きをする、ライガル達に収納からグラスとモギのミルクの瓶を出して皆で飲む、グローリーは初めて飲む様で恐る恐る色の薄い舌でペロッと舐めた後に一気に飲み干す、懐記が追加を注ぐと今度はゆっくり飲んでいる。
「寝るのはどする?2、2に分かれる?それとも4人でここで寝る?俺はどっちでもいいし、テントで寝てもいいし」
「ここがいい…です」
『4人で…』
控え目にグローリーが答え、ティスとライガルは言葉を合わせる、上手くいっていない伴侶達、一応懐記なりに気を遣う、問答無用で2人で寝かせる事も出来なくはない、懐記からしたら2人の間に懐記とグローリーが入る形だしと一応確認したまでだった。
「なら、布団敷いとくわ。俺は外で明日の飯の下拵えとかやるから」
「懐記さんスマホ借りても構いませんか?ナイル殿達に渡した仕事の確認をしてから休みます」
「俺は寝る」
「ん、俺のスマホしか繋がらないんだっけ、ほい」
「ありがとうございます」
「…懐記さん…見てもいい?」
「いいけど、懐記って呼べ」
「懐記…いい?」
「ん」
2人で表に出て懐記が色々作り置きする為の道具を収納から出す、その様子をグローリーは興味深く眺めている。
「朝はオムレツとパンとサラダに腸詰めを焼こっか」
「?おにぎり…」
「ん、米も炊くか」
何も無い場所にオープンキッチンのような空間が現れ、グローリーの表情の無い顔が僅かに驚く。
「米磨いで、炊いてみる?」
「……」
グローリーが小さく頷き、懐記の傍らに立った。

「ごめんー野菜炒め少し焦げたー」
「おいしいよー」
こちらは畑、とにかく大所帯なので沢山作る事に集中して野菜炒めが少し焦げてしまったのはご愛嬌、ドラゴン3トリオは仕事の目処を立て一緒に食卓に着いた。
「うう、俺料理人すよーでもご飯美味しいす」
「おかわり…」
「皆さんありがとうございます、お手伝い出来なくてすみません」
「気にするな、俺も野菜切る位しか出来ないしな」
「僕も皮を剥く位しか…役に立てなくてね」
「大丈夫ですよ、明日は《ガルディア》の炊き出しを貰って来ますし」
「朝は簡単な物で…」
「ご飯作るの大変なら、俺カレー作るから!」
「うう…すみませんす、ライガル様の仕事大変で」
野菜炒めと、刺身に味噌汁を食べながら明日の食事の事を考える…大人数の食事を作る懐記はすごいと皆心の中で思った。
「料理の本…読む」
「俺もー今度懐記くんに教わろう」
「先ほどライガル様から仕事の確認と…懐記さんのご飯が美味しかったと連絡がありました…」
「俺も後でラインしよう!」
食事をしながら何処か疲れた表情をするナイル、いつもは3杯以上ご飯をお代わりするチグリスもラウラスと一緒に食事を早々に切り上げ仕事に戻っていった。

「いいにおい…」
「ん、煮込みをしているから時間出来たわ。寝ないの?」
「?眠くない」
「そ、ならトランプでも。いや、おりがみでもするか」
「?」
グローリーは飲み込み…学習能力が高く家事をすぐ覚えた、試しに卵焼きの作り方を教えると綺麗なだし巻き卵を作り、野菜の皮を薄く向き手本を見せれば野菜も綺麗に切ってくれる、お陰で早く食事の準備が終わりまだ寝る時間でもない懐記がテーブルを出してグローリーにミルクを出して収納からおりがみを出してテーブルに並べた。
「キレイ…」
色取り取りの紙、和柄の物までありグローリーは溜息を付き乍ら眺めている、特に気なったのが金色のおりがみ1セットに1枚しか入っていない金色のおりがみをずっと見ている、それはキリングの色だった。
「この本に色々な折り方が書いてあるんだけど、読めないんだっけ」
「『にほんのおりがみいろいろしゅう』?」
懐記が収納から祖母のおりがみの教本を取り出し見せれば普通に読んでいる、懐記は教えなくてもいいや程度でおりがみを教えていく。
「まずはかんたんなやーつ、俺が折るのを見ていて」
「?」
懐記がおりがみを折りグローリーがその手元を見て同じように折り始める、まずは紙飛行機を折って飛ばして見せる。
「グリっち、綺麗におれたじゃん。どっちが長く飛ぶか勝負しよ」
「うん…」
懐記は緑色、グローリーは黄色の紙飛行機を飛ばす…結果はグローリーの紙飛行機が落ちる事無くくるくると飛行していた。
「へえ、魔法?」
「?」
「まあ、いっか。次はおばけ」
「うん」
懐記は気にせずに他のおりがみをグローリーに教えていく、グローリーも熱心な生徒になり折っていった。

「ん…」
朝だろうかライガルが目を覚ますと隣にはまだ寝ているティスの寝顔が側にあり一瞬で身体を起こす、無防備な顔を暫く眺め、横を見ればライガルとティス以外はいないので一旦外に出ると目の前にはとんでもない光景が広がっていた。
「おはようございます…これはいったい?傀儡魔法…いや固有スキル?」
「おはよ」
「おはよう」
懐記とグローリーは夜通しおりがみを続け、グローリーが折った全ての作品が動き回っていた。
「なんかグリっちが折ったやつ全部動くんだわ、朝飯くう?」
「うん」
「はい、頂きます。その前にお風呂頂いても良いですか?」
「いいよー準備しておくわ」
詳細は後で聞くとしてライガルは風呂場へ向かう、まだまだおりがみを続けるグローリーを尻目に無機物に命…動かす魔法もしくはスキルはこの世界…魔王クラス以上でなければ持ち得ない、流石は魔人と言ったところかと感心した。


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