あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第8部 晴れた空の下手を繋いで…

STAGE.3-2 真夜中

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「んじゃま、今日はおひらきっつー事で~」
カジノの支配人を任されたトラングから本日の営業の終わりを告げられる、まだやりたい客達も一斉に帰り支度を始めていく。
「なあ、支配人明日営業あり?」
「あり」
「じゃ、知り合い連れてくるわ」
「お待ちしてる~」
「こちらもだ、それと商業エリアの出店の追加を頼みたい」
「オケオケ、風早ちゃ~ん」
『承知しました、明日商業エリアにお越し下さい』
「感謝する」
「明日、大会議室を借りたい。5時間程で、食事も軽食を頼みたい。20名分」
『承知しました、お待ちしております』
「こちらはカリノ酒を100本程購入したいのだが」
『明日の商業エリアの《トイの酒屋》にお越し下さい』
「承知した」
営業の終わりにトラングや風早に次回の予定を告げていく客が増えつつある、従業員達は片付けを行い客達を見送りトラングに挨拶をして各々の家と戻って行った。
「風早ちゃ~んダンジョンはもう神々が着手してるー?」
『はい、すでに階層を広げています』
「りょーかい、じゃ船に戻りますか」
「ああ、クーランターク達から焼いた魚を貰ったから部屋で食べよう」
「いいけど、結構そっちも賑わっていたって~」
「ああ、釣った魚を捌いてその場で食べられるからな、盛り上がった。明日はまた魚ダンジョンに行くとしよう」
カトゥーシュカが上の生け簀エリアから降りて来て、カジノタワーの本日の営業は完全終了となる。
「じゃ~帰ろ。おやすみ風早ちゃん」
「おやすみ」
『おやすみなさい』 

「あ、これうま」
「うん、焼いたのは美味いな…。ダンジョンの魔法具のお陰で骨も無くていい」
船の客室でトラングとカトゥーシュカがクーランタークから貰った焼き魚を食べている、カトゥーシュカも懐記達から箸の使い方を教わり箸で丁寧に魚を解して食べ、トラングはシシャモの様な小さな魚の串焼きを食べて、適当な酒を飲んでいた。
トラングとカトゥーシュカはゴーシュの管理下に置かれているせいか一緒にいる時間が増えた、カトゥーシュカは最初こそ暴走しこの海域に棲む生物達に迷惑を掛けたが現在は大人しく、様々な雑務にトラングの補佐を行い過ごしている。
「食べたわ~ねむ」
「風呂は入らないのか」
「ん~運んで」
「分かった」
食べた物を片付け収納ショルダーバッグにしまい、眠そうにしているトラングを抱き抱えて部屋を出た。
「お疲れ、2人は今から風呂か?」
「はい、崇幸殿はどちらに?」
「今から舵の所だ」
ちょうど大浴場で風呂を済ませた崇幸と会い、さっぱりとした冷えたソーダのペットボトルを受けとり、崇幸を見送った。
「だる~あー服脱ぐのめんど」
「そのまま入る訳にもいかないか…」
カトゥーシュカがトラングの服を脱がせ、やっとトラングが髪や身体を洗い始めた。
「ふぃー」
「風呂で寝るのは良くないと懐記殿と綴殿が言っていた」
「ん~んー」
「おい」
「おきてる」
「そうか」
暖かい湯…北海の凍えそうな身を凍てつかせる海しか知らないカトゥーシュカには、この湯は余りにも優し過ぎる。
「はっ、そんな顔すんなら故郷に帰って気に入らない物全て破壊してくれば~そこそこあれだけ強ければ一族皆殺しも楽じゃん」
隣で眠そうに吐き捨てるトラング、それが出来たらまだ幼い兄弟達に自分が味わった経験をさせなくて済むのだろうか。
「悩む余地ありかよ、手伝ってやるよ」
「その時は1人でやるさ」
「へぇ、じゃ見物でもするわ」
「俺の故郷は冷たいぞ」
「別にいいよ、飽きたら転移して帰るし~」
「ああ、そうか…そうだな」
詠斗達の力を使えば一瞬だろう、遠い遠い故郷、いつかいつか…。
「出るか、トラング殿は?」
「だる、運んで」
「はぁ…」
風呂からトラングを抱え風魔法で乾かして浴場を出る、毎度毎度これだ、今日はさっさと寝よう…トラングが邪魔してこなければ…。

「舵…」
「崇幸兄、どうしたの?」
「ちょっと頼みがって、何ババ抜きしてるのか?」
「うん、やる?」
診療所の隣の余り眠れない住民達の為に設けられた談話室で、舵と千華と千眼と住民達がいくつかのグループに分かれトランプやオセロをして遊んでいた。
「ゆき…寝ないのか?」
「舵に頼んだら寝るさ、お前手先器用だよな?」
「まあ、人並みに」
「じゃ、この子達の修復頼んでも良いか?ホテル造りもあるし、お駄賃だすぞ。材料と道具あるから」
「いいよ、ずいぶん酷い状態だなー。かわいそうに」
ひび割れたタイタンよりも小さなゴーレムを何体か舵に預け、土や鉱物や細かくしたカルナラー石を舵に渡す。
「それってゴーレムかい?」
「俺らにもやらせてくれないか?家とか建てたり修繕なんかしていたからな、土や岩の扱いは慣れているからな」
「俺も土魔法持ちだぞー任せてみてくれ!」
他のテーブルでオセロをしていた住民達もぞろぞろと壊れたゴーレム達を見て胸を張る、崇幸は材料と道具とゴーレムを追加して託した。
「給料は払うから、頼んだ。綺麗にしてやってくれ…でもちゃんと寝てくれよ」
「ああ、綺麗にしてやるからなー」
「ゴーレムなんて初めてみたなー」
皆口々に感心して、崇幸は部屋に戻った。

『コンコン』
「ティス、どうぞ」 
「ん、グリが夜食に皆に野菜とチーズ焼き作ったからお裾分けだと」
「いつもありがとうございます、座って下さい。お茶を淹れましょう」
「おー」
転移札でティスがライガルの執務室を訪れる、おりがみの子達やヒヨコがライガルの手伝いをしてグローリーの夜食をセッティングしてくれる。
「うちにいるやつらより、なんか上品だな」
「そうですか?よく働いてくれますよ、書類も転移で兄上の所に運んでくれますし」
ヒヨコが茶器を用意し、おりがみの子達が水と茶葉を準備している。
『いただきます』
準備が出来た所でチーズ焼きを食べる、収納に入れれば熱々の状態でたのしめるから便利だと改めてティスは思う。
「お前らも食うか」
「クッキーも出しましょう、皇城で作った物です。ナイル殿が来て作り方を教えたので、今なクッキーとアイスばかり出てきますよ。会議で領主達が作り方を聞いていますし」
「ま、どちらも美味いよな」
「ええ」
クッキーをつついて食べているがライガル達とは別のテーブルで食べている、ティス達の所のヒヨコやおりがみの子達は
同じテーブルで食べるが落ちたものをつつくは、喧嘩して奪い合っているわで騒々しい、挙げ句に産みの親のグローリーの言う事すら聞きはしない。
「あの奴隷商人はどうです?」
「だんまりだな」
「近々兄上が皇城へ召喚すると、最悪記憶を読み取るとの事です」
「へぇ、それで片付きゃいいがな」
「辿り着くのは難しいでしょうね、かなりの用心深さですから」
「兄上の大事な方の親族がいますし、早々に決着を着けたい所ですが…」
「難しいだろうな、グリの件もある」
ティスがクッキーを噛み砕く、ほんのりとした甘さで茶によく合う、そして何故だかここのヒヨコとおりがみの子達は気配を消していつの間にいなくなろうとするのをティスが何匹か捕まえて手元に置いとく、今度クラークラックを何匹か連れてくるかと画策した。
まだ2人だけの時間は嫌なのだ、今はまだ。
「ほら、食え」
「ティス…無理矢理は可哀想ですよ?明日は兄上達と一緒に《ホウラク》観光ですから」
「ああ、ゴーシュのジジイが妖精の商人連れて来たからな。ちょっとした騒ぎだったな。明日の方が良いだろ、ラージュが来るから」
「ラージュ陛下ですよ、そうですね。もう遅いですし、明日は同じ場所に向かいますから泊まって行きますか?」
「…ああ、お前らは俺と寝るぞ」
「私といつも寝てますから、皆さん私と寝ますよ」
「じゃ、半々な」
「仕方ありませんね、おやすみなさい」
「んーおやすみ」
伴侶としての関係は長いが希薄で、友人とも言えない。
2人きりでいられもしない、執務室を出てライガルは私室へ、ティスは客室へ向かった。
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