あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第09部 魔王たちの産声 歪

第4幕 第2蒐 妖しい客

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「もう!ウォルくん!聞いているの?お父さんはすごく驚いたんだからね!」
「お、親父…」
「皇国のドラゴン殿が来てウォルくんが皇国にいるって!しかも子供もいるって!お父さん気を失ったんだよ!」
《ホウラク》のレストランでウォルゾガを責める10代後半の目の大きな少年がウォルゾガを責め立てる、ウォルゾガもたじたじに後ろへと下がった。
「魔人の子供を育てるって?自分の子供もいないでしょ?ウォルくんは」
「い、いやグローリーと育てるんだよ、俺も無責任な事を言ったし」
「なら、結婚するの?」
「し、しない」 
「結婚もしないのに、子供を3人も育てるの?」
「そ、そう」
「ウォルくん…」
「ウォルのお父さん…ウォルに3人とも懐いている…ウォルがいると助かる…ます」
「ウォルゾガの父のカーテスと申します、魔人いえ魔神ですね、それに救世主の皆様もご挨拶が遅れすみません。100年振りの息子の近況に驚いてしまって…」
グローリーとイザラと2人に抱かれた子供達、それに心配そうにこちらを伺う詠斗達に頭を下げる、今朝いつものように住処の側の沼地で微睡んでいるとドラゴンがやって来て、何事かと皇国の皇帝からの書状で一度気を失い、遣いのドラゴンの背に乗り(人生初)100年振りに会った息子は相も変わらず誰に似たのか適当に生きているようで安堵しつつ急に子供を育てると聞いて頭を抱え、責めて事前に相談は欲しいと説教をしていた。
「ま、親父そんな感じで子育てするから、じゃ元気で」
「待ちなさい、久しぶり会ったお父さんにそれはないでしょう?お前という子は父さんに似て…それにお金は?」
「ある!」
「明日を生きるお金があるだけじゃあるとは言わないよ?お父さんもお金だすから」
「いや、鱗と爪と牙売ったら金になった!」
「そんな訳ないでしょ、昔父さんが金になるっていうから、ご近所の商業ギルドに売ったらこんな固いし磨げないし火にも溶けないから使いようがないって言われたんだから」
「10億で売れたんだよ」
「はあ?ウォルくん騙されているんじゃない?爪とか鱗だよ?もう、そういう所は本当に父さんに似て…僕の鱗はご近所さんのお家の鍋敷きだよ?」
心の底から心配そうな眼差しをするカーテスに、ウォルゾガがラジカを前に出した。
「ウォルくん、他の方を盾にしないの!しかも空の支配者を!全くこの子はそんな所ばかり父さんに似て!」
「ラジカとゴーレムに10億で買い取って貰ったんだよ、親父にも金渡すし」
「私とゴーレムが10億で買い取ったのは間違いありません、それよりもゲーターダイルラフテスの鱗を鍋敷きですか、信じられませんね。買い取りますよ、加工出来る伝手もありますから」
「確かに貴方ならありますね」
「話しまとまった?昼出来たわ、カーテスっちも食べてって、好きな物あんの?」
ラジカとカーテスの視線が交わる、そのタイミングで懐記がカーテスに厨房から声を掛けた。
「そ、そんな急に来て悪いです」
「ん、いいよ。沢山あるから、食いながらで話ししたら?」
「え、えとでは頂きます。お肉はお腹壊すので、野菜とかが好きです」
「ゲーターダイルラフテス…どんな固いし生物の皮を噛み砕くタータイルクッガに次ぐ大地の最強生物の一種じゃなかったか?」
「うちの親父は草食ゲーターダイルラフテスなんだなー」
ジラが呆れた視線をウォルゾガに送る、ウォルゾガもまたなんだかなーという表情を浮かべた。

「おいしい!この野菜スープもミルクも、パンもおいしいー」
「おかわりあるから」
野菜たっぷりスープにモギのミルクに焼きたてのパン、カーテスの表情はパアッと明るい、魔人の子供達に食事をさせるグローリーとウォルゾガを眺め周囲の人々も眺める、種族も差別も区別も無い、ここにいる全てが平等に思える、良い場所だとカーテスは心の底から思った。
「うん、決めた!僕も魔人の子供を育てる手伝いをするよ!」
「はあ?」
「うん?」
「うー?」
「いいよ…」
「ん」
あっさりウォルゾガ以外は受け入れた、ウォルゾガの顔は引き攣る、今さら父親と暮らすとか有り得ないだろう。
「これから子供もまだ増えるんでしょう?僕はウォルくんを育てているし!後、寂しいし、賑やかな方が好きだよ!」
「はぁ、えー」
「ウォル…お父さんを大事に…」
「う…」
「こいつら五月蝿いし、また増えるなら必要…」
「う…」
「いんじゃない?」
「そうだね!」
「なら、許可は出す」
「ありがとうございます!古代種様!」
戸惑うウォルゾガに、グローリーとイザラが賛成し懐記と詠斗が歓迎、さっそくイシュターが龍皇国のグローリー達の家に住む許可を出した。
「ご近所さんに挨拶に戻らないと!何を渡そうかな」
「…酒だろ」
「なら、カウン酒あげるからどうぞー」
「カウン酒?え…これって…」
「造れる奴がいる、沢山あるから配るにはいいだろう」
「俺が転移で連れていく…」
「ありがとう!グリくん、ウォルくんも久しぶりに顔をみせてよ」
「うぇー」
食べ終わった大河がカウン酒を勧める、ひたすら嫌そうなウォルゾガを他所に周囲は盛り上がり、グローリー、イザラ、魔人の子供、ウォルゾガ、大河が向かう事にした。

「ここが噂のカジノタワーですか」
「こ、こちらでカジノタワーに入れるか判定を…」
蒐集家と貴族の男がカジノタワーに会員カードで転移する、紹介しさえすれば入れようが入れまいが此処でこの男との縁は切れる…妻の件は心の底から感謝している、だが夢から覚めたような感覚と共にこの男から今すぐ離れたい気持ちでゾワリとした。
「こんにちは、カジノを利用したいのですが。こちらの方の紹介で来ました」
「ようこそ、この時間はカジノのはまだオープンしていませんが、今現在商業エリアは入る事が出来ます」
「是非、商業エリアも入りたいですね」
「承知しました、それではカジノのカード併せても作りますのでこちらに手を置いて下さい」
貴族の男に案内され受付に向かえば優しげな女性が笑顔で出迎えてくれる、希望を伝えればカウンターのモニターに手を置くよう指示され従い手を置くと淡い光が浮かびすぐに消える。
「こちらが、カジノのカードです。商業エリアは毎日朝から夜まで、カードに魔力を込めれば転移可能です、カジノは大体夕暮れから始まります、始まる合図はそのカードが光ればカジノに転移可能となります。カードを失くした場合は1万ログ掛かります、ご了承下さい。商業エリアへはそちらの乗り物をご利用下さい、商業エリアに向かうと詳しい案内があります。何かご質問はありますか?」
「いえ、親切にどうも」
「お楽しみ下さい」
受付の女性がにこりと会釈し見送られる、カードを懐にしまい貴族の男に笑顔を向けた。
「思いの外楽しめそうです」
「そ、それは良かった。私はまだ用があるので失礼する」
「ええ」
そわそわと落ち着きの無い感じでそそくさと貴族の男が転移で家に戻っていく、蒐集家はまるで連れなどいなかったかの
ようにエレベーターへと向かった。
その一連をみていた受付の女性が少し男に妖しさを抱く、風早が問題無しと見なしたのであればこちらは義務的に案内するだけだ。
見たこともない異装…が良く映える肢体、珍しい髪色は夜にふと目が覚めて見る何処か不安を掻き立てられる夜空色に毛先は透けるように薄い紫、見たこともない髪飾りにそして…。
「今の方目は何色だったかしら…」
顔をはっきりとみた筈なのに思い出せない、ここのオーナー達だって人目を惹く美形達ばかりで目の保養になる、友人知人達も美形だらけだ、今の客もかなりの美形だったが…服装や髪ばかり印象に残り徐々に印象ぼやけていった…。

「これは面白い」
エレベーターにのり扉が勝手に開くと、目の前には長い通路に露店が並び、多種多様な人々が大勢行き交っていた。
「なるほど…」
屋内な筈なのに天井には空が見える、どうやら外の空と連動しているようだ。
蒐集家は大きく口を歪ませ一歩を踏み出す、さあここは何を蒐集させてくれるのだろう…。
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