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第011部 イレギュラー過ぎる召喚は神々も知らない内に/500年の孤独と独夜と独りと到達に至る導 回顧録

絡めとるは12脚の蜘蛛なりや 第参章

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「この蟲毒蝶の羽…すごいですね…」
「外神さん!手が…」
「外神ならば問題はない」
結界を張られその先で外神が蟲毒蝶の羽に触れれば皮膚が爛れていく、外神にとって身体の異常は久しぶりの感覚だった…。
空間からおよそ100丁を越える銃が出現し、素手でそのまま蟲毒蝶の羽を粉々にしていった。
「今から異界の魔法を使いこの銃たちを進化させていきます…」
「おい!お前ら!」
ゆっくりと外神が説明をし始めようとすれば、ジラの元から魔剣と聖剣とが結界を抜け、イザラの剣…イシュターの鱗で出来た剣も向かい、グローリーの聖魔剣と魔聖剣、ゲーターダイルラフテスの剣も外神の元へと向かう。
「新しい力…自分の殻を破りたいんですか…苦しいですよ?砕け散る可能性もありますが先へ進みますか?」
武器達、特に一度欠けたジラの剣のやる気は伝わってくる、剣たちは主人の為に次へ行きたいと外神に意思を伝える。
「皆さん…皆さんの武器は進化を求めています…苦しみますし破損するかもしれませんが…」
「あ~お前らに任せる、というかお前ら俺の命令なんか聞いた事ないだろう」
「苦しいの…良いの?望むなら止めない…」
「お願いします…」
「イザラ…進化が終われば名を贈るといいイデアも、グローリーもジラもだ」
「うん…」
「お前ら絶対進化しろよ!」
「分かった、待つ」
「出来るよ…」
イシュターがそれぞれの持ち主に声を掛ける、主に対しての想いと高見に行きたいという気持ちを理解する外神、条件は揃い外神の武器と共に進化を臨む。
「詠斗達の世界の名前を貰うか…」
「うん…異世界の魔法だし」
「俺もそれに乗る」
外神に託し見守る事にする、外神は粉々にした蟲毒蝶の羽の欠片を銃100丁と剣に埋め込んだ…。

「§先へ進め×進化の種よ芽吹け§」
何の感情もない外神の言葉…だが吸収された銃と剣達が苦しむがそのまま「活性魔法発動」と唱えれば、銃が幾つも地面に堕ち残ったのは20丁程の銃と苦しみに震わせ蠢く剣達は欠ける事無く耐えていた。
「……約20丁程…残りましたね」
淡々としている外神、周囲は唖然としていた。
「異界の魔法…武器進化…」
「これは私にも出来ませんね、やろうとも思いません」
千眼と蒐集家が冷静に見ている、進化を成せる魔法はこの世界に存在しない…そもそも進化できる物が長年の魔力循環と魔物の死と再生が繰り返され、冒険者達の血肉を吸い上げるダンジョンの進化。
または数外個体魔王への進化…人が人以上に成る進化と謂われている、剣聖等ステータスに影響を及ぼす物とされている。
神々もこの世界の進化はほぼ無いと言い切る位だ、それをやってのける外神…神々も驚愕しながらも見守っていた。
「異界の魔法…異界渡りを可能とする異世界の方…」
千華が呟く、銃の色が禍々しい蟲毒蝶の羽の色を纏う、剣もまたそれぞれの柄が羽の色を纏い進化を終了とする。
「完了です…お疲れ様です…………はい……進化したばかりで次は……少し間を置いて下さい…」
剣達が物足りないらしい苦しんだにも関わらず…次の進化を求めて外神に頼み込んでいるらしい…シュールな光景だ、武器の声は聞こえな此方からしてみれば無機物と一方的な会話をしている様にしか見えない。
「おつかれー外神っち達」
「支配人~曲もうちょっとまってー明日には出来るからー」
「分かりました、完成次第皆さんに合わせて……1度街の状態を見て来ます」
懐記とメディエスカが労う、すぐにでも移動しようとする外神を止めて休憩を提案した。
「これ、もう使わないの?」
「はい、壊して再利用する位です」
「なら、ちょうだい。こういうのエクト達にやっても良い?」
イデアが周辺に堕ちた銃を拾い外神に聞けば暫し考え、目で周囲の銃の使用権限と弾が出ないようにして譲る事にした。
「使用権限の解除と魔力で弾が出るのは無効にしています、他の機能は全て壊れているので使えませんがどうぞ」
「ありがと」
イデアが風魔法で全て収納バッグにしまう、懐記や千華と千眼がお茶やおやつの準備をしてくれるの皆で食べる事にした。

「えー魔王も歌ってくれるのー?感激」
「ええ、それ位はしましょう。千眼も」
「……ああ…異界の者達ばかりに負担を掛け過ぎるのも良くない…」
メディエスカがドーナツを食べながら喜ぶ、《イトセトナ》で誕生を早める唄を歌うのに千華と千眼も加わると伝える。
「子守唄とは真逆の歌…起こす唄だからね……」
「すみません…メディエスカさん…」
「ううん、いいんだ。大勢の人が助かるのだ!晴海くんの願いも叶える始まりだから良い歌を産み出すよ。私は吟遊詩人だから私が産み出した歌は全て我が子!想いを乗せるよ」
「あ、ありがとう!メディエスカさん!」
「うん!任せてくれ」
メディエスカの表情が少し曇る、外神が詫びる…上手くいくかどうかはメディエスカの歌にも掛かっている、赤ん坊の状態で出現させ思考が完成しない前に…または最悪数外個体魔王への進化の道筋を辿らないようにする為の重要な役目を果たす、晴海が心配そうにしているがニコと自分の誇りを持ってして挑むと晴海を安心させた。
「そろそろ行きます…」
「外神さん…」
「様子を見に行くだけなのですぐに戻ります……」
「うん…」
お茶とクッキーを食べた外神が立ち上がる、晴海達に見送られ《イトセトナ》へ向かった。
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